半導体投資信託ランキング!半導体はなぜ注目されるのか

投稿日:2023/10/30 最終更新日:2024/05/13
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近年、投資家の間で半導体産業への投資について関心が高まっています。AIやIoTの発展に伴って、半導体の需要や市場価値が上昇しているためです。

今回は、半導体市場が注目を集める理由、半導体投資信託のランキング、半導体投資の現状と今後の見通しについて解説します。投資先の選定や、投資セクターの比較として、本記事の内容をご活用ください。
 
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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

半導体とは?

ニュースで「半導体」というワードを耳にする機会が増えたと感じませんか?実際、産業の発展やデジタル化に伴い、半導体市場への世界の注目度は高まるばかりです。

半導体とはどのようなものか、なぜ注目が高まっているかについて解説します。

【関連記事】日本と米国の半導体ETFランキング5選!おすすめ銘柄についても解説

半導体とは?

半導体は、電気を通しやすい物質(導体)と電気を通しにくい物質(絶縁体)の中間の性質を持つ物質です。この「中間の性質」により、電気の流れをコントロールすることが可能となります。温度や電圧などの条件を用いることにより、この能力を自在に変えることもできます。また、電気の流れを適切にコントロールする能力とともに、エネルギーを効率的に利用する役割も担っているのが半導体の特徴です。電子機器の効率を高めるために、不可欠な素材といえます。

半導体は電気部品に使われ、その主なものがICチップやセンサー、レーザーダイオードです。電流をコントロールする特性を活かし、コンピューターやスマートフォン、デジタルカメラ、自動車の制御システムなど、身の回りのあらゆる電子機器の部品として使われています。つまり、半導体は日々の生活に欠かせないものであり、世界中の産業を支えている製品といえるでしょう。

半導体の代表的な素材はシリコンで、砂に含まれるシリカから作られます。半導体の技術は日進月歩で進化しており、より小さくて高性能な半導体を開発することが、半導体産業の重要な課題です。

なぜ注目されるのか?

半導体産業は、世界中で経済的、技術的に高い注目を集めています。それは、半導体が現代社会を支える基盤技術だからです。それに加え、半導体の製造や原料精製には高度な技術が求められ、需要過多の状態が続いているのも要因です。そのため、半導体産業はグローバルマーケットにおいて重要な役割を果たし、投資の観点からも関心を集めています。

スマートフォンの普及、IoT の拡大、AI技術、自動運転技術の発展など、半導体の需要は急速に増加しています。一方で、半導体の製造には緻密で高度な技術を要します。ICチップを始めとする半導体製品は、小さな媒体ながら緻密で複雑な構造をしているためです。そのため、製造技術の飽和が起こりにくく、高い技術を持った企業の市場価値もさらに高まると予測されます。このような技術進展は、ファンドや運用会社に新たなチャンスや投資リスクをもたらします。これらの点から、半導体産業は注目すべきセクターとされています。

近年のデジタル化の拡大により、エネルギー需要の中でも半導体への需要は増加の一途をたどっています。半導体は、現代のテクノロジーを支える製品であり、私たちの生活にも不可欠な存在です。投資の視点からも、半導体に関する産業は今後も注目される領域といえます。 

半導体投資信託ランキング

半導体の投資信託をランキング形式でご紹介します。ランキングは以下のとおりです。

順位 銘柄名 利回り(1年) 基準価格 純資産総額 半導体構成比率
1位 iFreeNEXT FANG+インデックス 62.96% 36,184 円 331.38億円 21%
2位 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 25.87% 33,017円 92.44億円 30%
3位 カレラ 米国小型株式アクティブファンド 16.02% 18,807円 7.57億円 23%
4位 Oneフォーカス ロボット・テクノロジー 20.70% 14,920円 3.62億円 43%

(2023年10月28日時点)

1位:iFreeNEXT FANG+インデックス

iFreeNEXT FANG+インデックスは、「FANG+インデックス・マザーファンド」を通じて米国の株式に100%投資するファンドです。投資成果をNYSE FANG+指数の動きに連動させることを目指しています。

FANG+指数は、Facebook、Amazon、 Netflix、Google(現Alphabet)の頭文字をとったもので、世界的に有名なこれらのテクノロジー企業を中心とした指数です。iFreeNEXT FANG+インデックスに投資することで、これらの米国大手テクノロジー企業への投資が可能となります。

過去のパフォーマンスは、1年のリターンが62.96%、3年リターンが21.12%と高い利回りを提供しています。また、信託報酬は0.78%と低コストでの投資が可能です(2023年10月28日時点)。 なお、2023年10月24日にこのファンドがつみたてNISAの対象銘柄となり、投資家の間でさらに脚光を浴びるようになりました。つみたてNISAの対象銘柄は、2024年からの新NISAにおいてつみたて投資枠での運用が可能です。

iFreeNEXT FANG+インデックスは、米国の大手テクノロジー企業への投資を通じて、高い利回りを追求したい投資家に適しているといえます。

参照:iFreeNEXT FANG+インデックスの詳細

2位:eMAXIS Neo バーチャルリアリティ

「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」は、三菱UFJ国際投信が運用するファンドです。「バーチャルリアリティ関連株式インデックスマザーファンド」への投資を通じ、米国の金融商品取引所に上場する世界各国のバーチャルリアリティ関連企業の株式へ投資を行います。

この投資信託は、S&P Kensho Virtual Reality Indexの値動きに連動する投資成果を目指して運用を行います。S&P Kensho Virtual Reality Indexとは、AIを活用したバーチャルリアリティ関連企業の銘柄から構成される指数です。

2023年9月29日時点で、このファンドのうち「半導体・半導体製造装置」が占める割合は30%と高い割合を占めています。上位組入銘柄の上位10位のうち、エヌビディア(NVIDIA CORP)、ハイマックス・テクノロジーズ(HIMAX TECHNOLOGIES INC-ADR)、シナプティクス(SYNAPTICS INC)の3社は半導体・半導体製造装置セクターの株式です。加えて、組入れ1位のメタ・プラットフォームは、AIサービスに使うための半導体を独自開発する方針であると報じられています。

投資成績は1年リターンで、3年リターンで29.83%と好調な成績を維持しています。また、信託報酬は0.79%と低コストで運用できます(2023年10月28日時点)。投資先の国・地域はアメリカ、ケイマン諸島、イスラエル、オランダと多様。このファンドに投資することで、高いリターンを期待しつつ分散投資における「地域の分散」が可能となります。

参照:eMAXIS Neo バーチャルリアリティの詳細

3位:カレラ 米国小型株式アクティブファンド

カレラ 米国小型株式アクティブファンドは、主に米国の小型株式に投資を行うアクティブファンドです。「カレラ米国小型株式アクティブマザーファンド」受益証券が、主な投資対象です。このマザーファンドは、米国の金融商品取引所に上場している企業、または米国で主な事業を展開する企業の小型株式等に投資を行います。

小型株とは、市場での評価額(時価総額)が比較的小さい企業の株式を指します。小型株は大型株に比べて成長の機会が多い一方、リスクもある点を念頭に入れなければなりません。

このファンドはアクティブ型の運用を行い、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選定や資産配分を行い、ベンチマークを上回る収益を目指しています。株式の銘柄選定にあたっては、事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを総合的に検討し、リターンが期待される銘柄を厳選します。また、業種の配分、企業価値、資産の流動性などを考慮して、ポートフォリオを構築する点も特徴です。したがって、半導体産業への投資の面でも、優れたパフォーマンスと将来的な成長が見込まれる企業を選定していると考えられます。

「半導体・半導体製造」がファンドに占める割合は23%と、「資本財」「ソフトウェア・サービス」に次いで3位の構成比率です。運用成績は1年が16.02%、3年24.23%と高めの水準で推移しています(2023年10月28日時点)。

参照:カレラ 米国小型株式アクティブファンドの詳細

4位:Oneフォーカス ロボット・テクノロジー

「Oneフォーカス ロボット・テクノロジー」は、「Solactive Industrial Robotics & Automation Index」という指数に連動する投資成果を目指すファンドです。「Solactive Industrial Robotics & Automation Index」は、工場自動化装置や産業機械部品、半導体セクターの先進国銘柄を対象としています。

このファンドは主として、国内外の金融商品取引所に上場する(または上場予定の)ロボティクス関連企業の株式に投資しています。半導体製造にはロボット技術が重要な役割を果たし、ロボット自体も半導体技術を必要とします。つまり、このファンドへ投資することで、直接的にも間接的にも半導体産業に投資することが可能です。

加えて、ロボティクスと自動化の技術は、製造業だけでなく、物流、医療、サービス業など、多様な産業での利用が進んでおり、その市場規模は今後も拡大すると予想されています。

ファンドに占める「半導体・半導体製造装置」の構成比率は43%と、構成セクターの中で最大。構成銘柄上位10位には、マコム・テクノロジー・ソリューションズ(MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS INC)、エヌビディア(NVIDIA CORP)、ラティスセミコンダクター(LATTICE SEMICONDUCTOR CORP)など、半導体・半導体製造装置に関連する企業が名を連ねています。

年率リターンは1年が20.70%、3年が15.21%と高めの水準を保っています(2023年10月28日時点)。信託報酬が0.495%と低い点も魅力的です。為替ヘッジは原則として行いません。

参照:Oneフォーカス ロボット・テクノロジーの詳細

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半導体ファンドの運用成績は?

半導体ファンドの運用成績や将来性、半導体市場そのものの今後の見通しはどうでしょうか。

半導体市場全体は?

半導体分野のファンドは、近年高い成長率を示しており、金融市場全体に比べても優れたパフォーマンスを発揮しています。投資リターンについては、SBI岡三アセットマネジメントのデータによると、半導体関連株式は過去10年間で約7倍のリターンを示しています。これは世界株式の約2.2倍という、非常に高いリターンです。

導体は、AIやクラウドテックなどの先端技術に欠かせない製品であり、その需要は今後も増加すると予測されます。IT分野に関する調査企業のIDCによる予測では、2023年のAIシステム市場の世界の支出額市場規模は前年比29.3%増の1,665億米ドルに達するとの見通しです。

また、半導体は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスにも広く使われており、これらのモバイルデバイスの普及率は高まっています。特に新興国では、インターネット接続や電子決済などのサービスを利用するために、スマートフォンは必需品です。

加えて、自動車や医療機器などの他の産業分野にも半導体製品は利用されています。例えば、自動運転や電気自動車などの技術革新に伴って、半導体の需要は高まり続けています。

以上のように、半導体分野は多様な市場からのニーズがある産業です。半導体分野のファンドは、このような半導体産業の動向を反映しており、長期的投資を見据えたポートフォリオの1つとして魅力的な選択肢といえるでしょう。

半導体市場のこれからは?

経済産業省は半導体・デジタル産業戦略(2023年6月)で、「世界各国・地域も半導体・デジタル産業政策の重要性を認識」との見解を示しています。デジタル社会の実現に向けさらに高度な情報処理が求められ、それを支える半導体産業への期待は高まるばかりです。技術面、供給、地域の動向から今後の半導体市場の見通しについて解説します。

技術と市場の拡大

半導体技術は過去数十年で劇的に進化しており、今後も高い成長性をもつ分野です。そのため、半導体産業への投資に対する期待も高まり続けています。

現代のスマートフォンの高速処理や機能性は、半導体技術の発展による成果といっても過言ではありません。IoTやAIの普及、メタバースなどのWeb3.0分野において、データの処理・転送に必要な半導体の需要は今後も増大すると考えられています。また、テスラやトヨタのような自動車メーカーによる電動車の生産拡大に伴い、車載用半導体の需要もますます高まります。

これらの技術的進歩と市場の拡大を背景に、半導体産業の成長は今後も続くことが予想され、利回りを期待できる分野といえるでしょう。  

供給と市場価格

現在、半導体産業は供給の問題を抱えています。半導体製造には高度な技術の生産管理を必要とするため、供給が追いつかない場面が増えているためです。

2020年から2022年の自動車や家電の生産停滞は、半導体の供給不足によるものといわれています。また、需要と供給のバランスの不安定さは価格高騰を引き起こし、スマートフォンやパソコンの価格にその影響が現れることも想定されます。

デジタル変革やAI技術、IoTの拡大とともに、半導体の需要はさらに増加する見通しです。このような背景から、半導体産業には供給面でのリスクは存在するものの、需要に裏付けられる投資のチャンスが広がっています。

地域別の動向

アジアは低コストと高品質の半導体生産で急速に市場を拡大しており、多くの企業がアジアを生産基地としています。対照的に欧米の戦略は、ブランド力と技術革新に注力する点です。それぞれ異なる戦略を用いることで、世界規模で半導体分野の成長性と投資価値が高まると期待されています。

半導体製造装置市場のシェアは、 中国、台湾、日本、韓国などのアジア諸国が世界の8割以上です。米調査会社ICインサイツの調査によると、2020年の国・地域別売上高シェアのトップは米国で、次いで2位が韓国、3位台湾、4位に日本と欧州が並びました。

アジアは半導体産業でのリーダーシップを強めており、世界的な需要増に影響され、さらなる発展が見込まれます。この地域間の競争の中で、半導体産業は今後も成長を続けると予想され、半導体分野への投資も持続的なリターンが期待できるでしょう。

まとめ

半導体分野は、現代のデジタル社会を支える核心技術であり、その市場は急成長を続けています。それは、PC、スマートフォン、自動車の電動化などのデジタル技術から日常の家電製品に至るまで、現代社会のあらゆる面に半導体が関与しているためです。加えて、AIやIoTの急速な発展、データ通信量の増加に伴い、半導体の市場価値はさらに高まると考えられます。

このような背景から、半導体関連の投資信託は、今後の成長性を背景にした高い利回りが期待される投資先として注目されています。

しかし、投資において保証はありません。マーケットの動向や世界情勢、ファンドの運用方針、為替、チャート等、投資を続ける上で必要な情報は多岐にわたります。安定した資産形成に求められるのは、これらのデータをつぶさに検索し、変動に備える運用方針です。

半導体分野への投資を行う際は、リターンポテンシャルと市場の動向をしっかりと理解した上で、自身の投資目的に沿った長期的な視点で取り組みましょう。

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