株主優待とは?
株式を取得することで、各企業が提供している株主優待を受けることができます。
株主優待とは、権利確定日に株主名簿に記載されている株主がもらえる特典です。企業側は、出資してくれていることへの感謝の気持ちを「株主優待」という形でプレゼントします。株主に自社の製品やサービスのファンになってもらうことが最大のメリットですが、株主優待をきっかけに自社株式を知ってもらう、株の保有期間が延びるといったメリットもあります。
株主優待の有無や内容は株式会社ごとに異なります。そこでまずは、株主優待の一例や株主優待を実施している企業の数をご紹介します。また、株主優待と混同されがちな配当金との違いについても確認しましょう。
企業から金券やサービスを受け取る
株主優待は、企業が感謝の気持ちを込めて株主に対して金券やサービスなどをプレゼントすることです。具体的な例としては、自社製品や自社施設、店舗で使える割引券などが挙げられます。また、クオカードやお米、お肉などをプレゼントする場合もあります。
有名企業の株主優待は、以下のようなものがあります。
企業名 | 業種分類 | 株主優待内容 |
オリックス株式会社 | その他金融業 |
・カタログギフト…100株を3年以上継続して保有すればワンランク上のカタログギフトにランクアップ。 ・株主カード…オリックスグループの各種サービスが割引価格で有効期限内に何度でも利用可能。 |
イオン株式会社 | 小売業 | ・イオンオーナーズカード…半年ごとに対象店舗における100万円までのお買上金額に対して3%から7%のキャッシュバック。 |
株式会社すかいらーくホールディングス | 小売業 | ・株主様ご優待カード…すかいらーくグループの店舗で使える割引券。 |
株式会社日本航空 | 空運業 | ・株主割引券…日本航空関係各社の国内線の運賃が片道1区間50%割引で利用できる。 ・旅行商品割引券…ツアー旅行商品が正規旅行代金から2%〜7%割引で利用できる。 |
東京テアトル株式会社 | サービス業 | ・映画ご招待券…対象の映画館で1枚につき1回の上映を鑑賞できる。 |
※2022年3月3日現在の情報です。
このように、各企業には趣向を凝らした株主優待があり、株式を長く保有し続ければ株主優待だけで投資金額の元が取れる場合も少なくありません。最近では、株主優待を目的にその企業の株を取得する人も増えているため、株主優待に力を入れている会社も少なくありません。おすすめの優待に関する情報は色々なサイトで公開されているため、是非調べてみてください。
株主優待を実施している企業の数は?
株主優待は、株式を発行している企業全てが実施しているわけではなく、各企業が自由に株主優待の有無を決めることができます。
2022年3月3日現在、日本証券取引所グループの上場企業数は3,828社です。また、大和インベスター・リレーションズ(大和IR)の調査によると、2021年9月末時点における株主優待の導入企業は1,476社であることがわかっています。つまり、株主優待を実施している企業は上場企業全体の約38%です。 2010年以降株主優待を実施する企業が増え続けていましたが、2019年以降は減少傾向にあります。これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不況により、企業の業績が低下していることが原因と考えられています。
株主優待を実施している企業と実施していない企業があるため、株式投資で株主優待を受けたい場合には、検討している株式会社が株主優待を実施しているかをあらかじめ確認しておく必要があります。優待の有無に関する情報はインターネット上で公開されているため、投資の際は自身の目的に合った銘柄を選ぶようにしましょう。
配当金との違いは?
株式投資をしていると、株主優待だけではなく配当金も受け取ることができます。株主優待には、店舗で現金の用に使えるギフト券が贈られることもあるため、株主優待は配当金の一種と考えている人もいますが、株主優待と配当金は別物です。そこでここからは、配当金と株主優待の違いを確認しましょう。
まず、株主優待とは先ほどご紹介した通り、出資してくれた株主に対して企業が感謝の気持ちを「株主優待」という形で表した特典です。
一方で、配当金は、企業が得た利益を出資してくれた額に応じて還元するお金です。配当金には、決算時の財務状況を踏まえて、決算月の2〜3か月後に分配される期末配当と、決算期以外に分配される中間配当があります。そのため、配当金は投資家の出資額や企業の業績によって金額が大きく変動します。企業の業績悪化などにより、配当金が分配されないこともあります。
このように、株主優待と配当金は性質が異なるため、混同しないようにご注意ください。
なお、株主優待も配当金も受け取るための条件は同じです。条件について詳しくは次項で説明します。
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株主優待をもらうにはどうしたらいいの?
株主優待は、株式会社が発行している株を取得すれば必ず受けられるわけではありません。株主優待をもらうためには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。
・権利付最終日までに株式を取得する ・権利落ち日に株を売却しても株主優待を受け取れる ・権利確定日に名簿に名前が記載されていなければならない |
このように、株主優待をもらう要件には「権利付最終日」「権利落ち日」「権利確定日」が大きく関係しています。 ここからは「権利付最終日」「権利落ち日」「権利確定日」とは何かとともに、それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。
権利付最終日
権利付最終日とは、権利確定日から数えて3営業日前の日を指します。
後ほど詳しく解説しますが、株主優待を受け取るためには権利確定日に株主名簿に名前が記載されていなければなりません。株主名簿に名前が記載されるまでには、2〜3営業日かかります。つまり、権利確定日の3日前である権利付最終日に株式を取得していなければ株主優待を受け取ることができません。
なお、権利付最終日当日に株を買っても、名簿の記載に間に合うため問題ありません。例えば、権利確定日が3月31日金曜日だった場合には、権利付最終日は3月29日水曜日になります。この際、権利付最終日は権利確定日の3営業日前であるため、曜日にも注意が必要です。具体的には、以下の表の通りです。
このように、株主優待を受け取るためには、権利付最終日までに株式を取得しておく必要があります。優待を目的とする投資の場合、企業の権利付最終日を事前に把握しておきましょう。 ただし、権利付最終日は多くの投資家が買い付けるタイミングでもあるため株価が上昇しやすい傾向にあります。そのため、権利付最終日直前や当日に買わずに、余裕を持って取得しておいた方が良いでしょう。株主優待を目的に株を取得するタイミングについては、後ほど詳しく解説します。
権利落ち日
権利落ち日とは、権利付最終日の翌日を指します。
権利付最終日までに取得した株を権利落ち日に売却しても、株主名簿には名前が記載されるため、株主優待は受け取ることができます。ただし、権利付最終日が過ぎた翌日である権利落ち日に株を取得しても株主優待は受けられないため注意が必要です。必ず、権利付最終日までに株を取得しましょう。
権利確定日
権利確定日とは、株主優待や配当などの権利が得られる日を指します。
株主優待を受け取れる株主であるという証明は、株主名簿に名前の記載があるかで判断されます。1年間に株主優待を受け取れる回数は各企業で異なりますが、年2回株主優待が受け取れる場合には、中間・期末の2回の権利確定日それぞれの時点で株主名簿に名前が記載されていなければなりません。
ただし、権利確定日当日に株式を取得しても株主優待は受けられません。なぜなら、株主名簿に名前が記載されるまでには2〜3日程度かかるためです。つまり、権利確定日当日に取得しても名簿の記載に間に合いません。 権利確定日に確実に名簿に名前が記載されるためには、遅くても権利付最終日までに株を取得しておいてください。
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株主優待をもらう際の注意点
ここまでご紹介した通り、株主優待は、金券やサービスなどさまざまな特典を受けられ、銘柄によっては数年保有し続ければ株主優待だけで元が取れる場合もあります。そのため、株主優待を目的に株を取得する人も増えています。 しかし、株主優待をもらう際にはいくつかの注意点があります。そのなかでも特に注意が必要なポイントが以下の2点です。
・権利付最終日を超えると株価が下落しやすい ・企業の業績によって株主優待の内容が変更される可能性がある |
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
権利付最終日を越えると株価が下落する可能性が高い
前述の通り、株主優待を目的に株を取得する人は少なくありません。権利付最終日が過ぎて株主優待を確実に受け取る権利を獲得すると、すぐに株を売却する人が増えるため、株価が下落しやすい傾向にあります。
取得時点においても、株主優待を受け取るためだけに株式を取得しようとして、権利付最終日の当日または前日に株式を取得しようとする人も多いため、株価は緩やかに上昇する傾向にあります。
権利付最終日付近の株価が高い状態で取得し、権利付最終日を超えて株価が下落したタイミングで売却してしまうと、損失が発生してしまいます。このような事態を避けるためにも、株主優待を目的に株を取得する場合には、余裕を持って株を取得しておきましょう。目安としては、権利確定日の2〜3ヶ月前程度のタイミングがおすすめです。
このように、株主優待が受け取れるか否かが分かれる権利付最終日周辺は、株価が変動しやすい期間です。権利付最終日直前は株価が上がりやすく、権利付最終日を超えると株価が下落しやすいことを覚えておきましょう。このような株価の動きを把握しておくことで、早めに株を取得しておいたり、下落する直前に売却するなど、含み損を発生させないように行動できます。
企業の業績によって内容が変更される可能性がある
株主優待を目的に株を取得する場合、株主優待のサービスを見て銘柄を選ぶ人がほとんどです。株主優待のサービスに魅力を感じて株を取得する場合には、企業の業績によって株主優待の内容が変更される可能性があることを把握しておかなければなりません。
株主優待は、各企業が株主に対して感謝の気持ちを送る特典です。とはいえ、業績が悪いと株主優待を提供する資金がなくなったり、経費を削減するために株主優待を廃止したり株主優待の内容が改悪されることがあります。そのため、株主優待を目的に株式投資をする場合は最新の株主優待の情報を調べるとともに、その企業の業績にも目を向けることが大切です。
また、東証1部に昇格したばかりの銘柄や、優待利回りが高すぎる銘柄も株主優待の内容が変更されやすいため注意が必要です。例えば、東証1部に昇格したばかりの銘柄は、昇格に必要な株主数を満たすために株主優待を提供している場合があります。この場合、目的である東証1部への昇格を達成すると、株主優待に力を入れる必要がなくなるため株主優待の内容が改悪されるケースが少なくありません。
また、優待利回りが高すぎる銘柄は、株主優待が人気化したことで優待サービスを維持できなくなり、内容が改悪されることがあります。このように、業績の悪化以外にも株主優待の内容が変更される要因が多々あるため、業績だけではなく銘柄の特徴などにも目を向け、慎重に投資しなければなりません。
まとめ
株式投資には、配当金を受け取れるだけではなく、株主優待を提供している株式会社であれば各企業ならではの株主優待を受けることができます。しかし、株主優待を提供している株式会社の株を買えば誰でも株主優待を受けられるという単純な仕組みではなく、株主優待を受けるためには権利確定日に株主名簿に名前が記載されている必要があります。株主名簿に名前が記載されるまでには2〜3営業日程度かかるため、株主優待を受けるためには権利付権利付最終日までに取得しておかなければなりません。
株主優待を受けるためにはいくつかの要件や注意点があるため、ご紹介した要件や注意点を把握した上で株式投資を始めましょう。
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