退職翌年以降の確定申告のポイント
所得税の税額の多寡は、住民税や社会保険料にも反映されます。退職した年はもちろん、それ以降も税金とは上手に付き合いたいものです。
失業手当や公的年金をもらった場合
雇用保険の失業等給付金は非課税ですから、所得税や住民税がかかることはありません。また、公的年金を1カ所から受給している場合は原則確定申告の必要はありません。しかし概算での源泉徴収となっているため、申告すると税金が戻る可能性があります。会社から給与の支給を受けながら公的年金等を受けている場合や、厚生年金や共済年金・退職年金など、2カ所以上から公的年金等を受けている場合は確定申告が必要です(障害年金や遺族年金は非課税です)。
療費控除や国民健康保険料の支払いは所得の高い人からが有利
退職後所得が少なくなったら、医療費控除や国民健康保険料・介護保険料・国民年金保険料等の社会保険料控除を誰が申告するかを検討しましょう。 医療費控除や社会保険料控除は、本人の分以外にも配偶者や生計を一にする親族の為に支払った分は控除できます。生計を一にしている親族であれば、同居の必要はなく、また扶養親族である必要がありません。所得がより高い親族の所得から控除した方が有利でしょう。
職後は所得のある人の扶養親族になる方法も
妻に所得がある場合、夫の年間の所得が76万円未満(給与収入なら141万円未満)であれば、妻の配偶者控除(配偶者特別控除)を受けることで税金が還付される可能性があります。妻に所得がない場合、もしくはより高い所得の親族がいる場合は、その人の扶養親族として扶養控除の対象となることも検討しましょう。扶養控除を受けることで税金が還付されます。
扶養親族になるためには
�@生計を一にしている親族であること(必ずしも同居の必要はない)
�A他の親族の扶養親族でないこと
�Bその年の合計所得金額が38万円以下(給与収入なら103万円以下)であること
の3つの要件を満たす必要があります。
この場合の所得とは、給与所得だけでなく、年金・事業所得・配当所得・譲渡所得など、全ての所得の合計をいいます。
投信の譲渡益・配当所得の申告は要注意
退職して配偶者や親族の扶養に入った場合、注意したいのが株等の譲渡や配当所得の申告です。源泉徴収ありの特定口座を利用している株の譲渡所得や配当所得は、確定申告不要となるため、扶養親族等の基準となる合計所得に含まれません。もし、年間数千万円の儲けがあっても、源泉徴収ありの特定口座内で納税を完結すれば、扶養親族となれるわけです。
しかし、配当控除の適用を受けるためや、株式の譲渡損失の繰越と譲渡益・配当所得の相殺をするためなど、配当所得や譲渡所得の申告をすると、この所得が扶養控除の判定の所得に含まれることとなり、合計所得が38万円(配偶者の場合は76万円)以上となると、扶養親族から外れることになります(配当所得と譲渡損失の損益通算は、平成23年からは特定口座内で行うことができるようになりました)。
また、確定申告した所得は、住民税や国民健康保険料の計算にも反映されます。前年以前の株式等の繰越損失と当年の譲渡益を相殺した結果、国民健康保険料が跳ね上がったというのはよく聞く話です。
もちろん、たとえ扶養から外れたり国民健康保険料が高くなったとしても、確定申告をした方が有利な場合も多々ありますので、どちらが有利か、具体的にシュミレーションしてみることが大切です。
退職後の確定申告は、還付申告となるケースが多いので、是非トライしてみてください。通常の確定申告は、翌年の3月15日が提出期限となっていますが、還付申告は5年間有効です。申告し忘れているものがあれば、今からでも間に合うかもしれません。 最後に確定申告が必要なケースをまとめておきますので、参考にしてください。
確定申告が必要なケース |
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税金が還付されるケース |
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