株価の推移の確認の仕方と株価の分析指標の本当の意味
株価の推移の確認の仕方と株価の分析指標の本当の意味
ここでは、日経会社情報の新春号でオリンパスの株価の欄を見て行きます。
一番上に、過去約3年のチャートがローソク足で載っています。2008年9月のリーマンショック以降、順調に回復していた株価も粉飾決算の発覚により、大きく下落しています。チャートの下は、出来高(できだか)が表示されています。粉飾発覚後に、急激に出来高が増加しているのがわかります。ここでは、月間の売買高が示されています。一般的に、出来高が大きいということは、その銘柄の流動性が高いということで、取引量の多い、人気のある銘柄といえます。オリンパスの出来高が急上昇した理由は、多くの人が損失覚悟で売却し、逆に安くなったところで購入した人も多くいることを表しています。一時的な現象ですね。
【株価】は、日経会社情報の基準の株価(発売日の約1ヵ月前)です。また、最低購入単位は、100株、最低購入単位の株式を購入するのに必要な金額は、11万700円です。
株価1,107円 × 単位100株 = 110,700円、2単位の場合は、その倍の金額となります。
その右の欄の【市場】は、上場している市場は東証1部、「監」の記号は、オリンパスが、日経会社情報の発売当時、監理ポストに割り当てられていることを示しています。また、「整」とあれば、整理ポストに入っています。ちなみに、オリンパスの監理ポストは、1月20日に指定解除されています。
監理ポストとは、取引所が定める「上場廃止基準」に抵触するおそれがある場合に、投資家に周知させるために設けられています。一方、整理ポストは、上場廃止基準に抵触するという判断が下された場合、整理ポストに移されます。約1ヵ月間売買を行うことが可能ですが、その後は、上場廃止となり、取引はできなくなります。
一般の投資家の方は、「監」や「整」のマークのある銘柄は、注意して取引をしましょう。
次に、代表的な株式投資の指標であるPERとPBRを見て行きましょう。オリンパスのPERは、16.7倍、PBRは、1.8倍と出ています。この意味を検証します
PERとは、Price Earning Ratioの頭文字を取ったもので、株価収益率といいます。現在の株価が一株当たりの利益の何倍にあたるのかを表しています。
PER(株価収益率) = 株価 / 一株当たりの利益
PERを算出する場合は、一株当たりの利益は、将来予想されている利益を用います。過去の利益では、「現在」の株価の指標にはならないからです。
オリンパスの場合、新春号では、過年度の決算の訂正が行われる前の数字で、一株当たりの利益は、66.4円となっています。株価は、1,107円でしたね。
なので、PER=1,107円 / 66.4円= 16.7倍と計算されます。
日経会社情報では、以下の計算を行います。
PER(株価収益率) = 時価総額 / 本決算予想利益
= 3,003億円 / 180億円(12.3連結予想)
= 16.7(倍)
ちなみに、時価総額は会社の企業価値の総額を表し、以下の計算式で計算されます。
時価総額 = 発行済み株式総数 × 株価
= 271,284千株 × 1,107円
= 3,003億円
PERは、10倍〜20倍が一つの目安といわれることがありますが、業種によって目安は異なりますので、同業他社のPERのチェックは、欠かせません。この目安より、PERの数値が高ければ、「割高で取引されている」といい、低ければ「割安で取引されている」と言ったりします。また、成長企業のPERは高く、成熟企業のPERは低い傾向にあります。
いずれにしても、計算の根拠となる数字が、「予想収益」であることが問題なのです。「予想」が大きく覆される出来事、例えば、オリンパスのような粉飾決算、大震災、戦争等、予期せぬ出来事が起これば、「予想収益」は、意味をなさないことを肝に銘じましょう。
PBRは、Price Book Value Ratioで「株価純資産倍率」といいます。現在の株価が、1株当たりの純資産額の何倍で取引をされているかを示すものです。
PBR(株価純資産倍率) = 株価 / 一株当たりの純資産
PERを算出する場合は、一株当たりの利益は、将来予想されている利益を用いましたが、PBRを計算する場合は、直近の財務諸表で純資産額を算出します。純資産とは、総資産から負債を引いた値で、自己資本と同じ意味です。
オリンパスの場合、新春号では、過年度の決算の訂正が行われる前の数字で、一株当たりの純資産は、【財務】欄の自己資本の下に(1株)604円と出ています。株価は、1,107円でしたね。
なので、PBR=1,107円 / 604円= 1.8倍と計算されます。
日経会社情報では、以下の計算を行います。
PBR(株価純資産倍率) = 時価総額 / 純資産(自己資本)
= 3,003億円 / 1,637億円(11.3連結)
= 1.8(倍)
第5回で、オリンパスの自己資本が、実は、2011年9月末で428億円であったとの報道を取り上げましたが、その数字で計算すると、PBRは、なんと、7倍になります。
一般的に、PBRは、1倍が基準となります。1倍の意味は、株価が1株当たりの純資産と同額となるので、公平な評価と言えるのです。PBRが1倍を下回ると割安、1倍を上回ると割高と言われています。だとすると、オリンパスは、大変に割高な水準で取引されていたことになります。
このように、PBRで株価を検討するときは、財務諸表に実態が正しく反映されているのかどうかが、一番の注目点となるのです。
日経会社情報では、過去のチャートしか見れませんので、直近のチャートは、MoneyLifeのページを使って調べてみましょう。
最新ネット証券比較ランキング
口座開設されてない初心者の方に向けた、ネット証券が比較できる最新ランキングTOP10はこちらです。口座開設手続きはネット上で完結できます。口座開設キャンペーンもご紹介してます。是非この機会に、ネット証券の口座開設を行ってみましょう。