お得に資産形成できる「つみたてNISA」を始めるにあたって、最初にするのは口座選びです。口座選びで重視すべきは、取扱本数やクレカ決済・ポイント付与の有無などがあります。各々のポイントを踏まえ、証券各社それぞれの違いを理解できるよう、ランキング形式で比較しました。自分にあった口座を見つけるための参考にしてみてください。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAとは、年間40万円の積立投資が20年間(制度は2042年まで)非課税で行える、長期・分散・積立投資に特化した少額投資非課税制度(NISA)のことをいいます。とてもお得な制度ですが、つみたてNISAを始めるにあたって最初にすべきことが証券口座選びです。
制度上、つみたてNISAは年に1回しか金融機関を変更できないため、口座選びに失敗すると1年間後悔することになってしまいます。その意味でも、口座選びは非常に重要なステップといえます。
つみたてNISAの口座選びにあたって、まずは「ネット証券」か、「銀行・総合証券」か、どちらにするかを決めることから始めます。簡単に表でまとめてみましたので、確認してみましょう。
特徴 | メリット | デメリット | |
ネット証券 |
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総合証券・銀行 |
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まとめると、
- ネット証券は、豊富な商品から自分好みのものを選んで手軽に取引したい人向け
- 総合証券・銀行は、手厚いサポートを受けながら取引したい人向け
といえるでしょう。ただし、最近ではオンライン取引ができる総合証券も多く、手厚いサポート体制のあるネット証券もあり、その境目は曖昧になってきているようです。
ここからは、手軽さが魅力の「ネット証券」に絞って口座比較をしていきます。
つみたてNISA選びで重要な比較ポイント
つみたてNISAの口座選びで重視すべきなのは以下のポイントになります。
- 取り扱っている銘柄本数
- 最低積立金額
- 積立頻度を細かくできるか
- クレカ積立できるか
- ポイント還元・付与があるか
- 情報量・ツールの豊富さ
なお「手数料」についてですが、つみたてNISA対象商品の場合、通常は金融商品へ投資する際にかかる「購入時手数料」が政令で無料とされているため、どこで買ってもゼロになります。そのためつみたてNISAの場合は、通常の口座開設でキーとなる「手数料」によって各金融機関が差別化されているわけではないので、注意しておきましょう。
ただし実際に投資信託を選ぶ際には、各商品へ支払う手数料(信託報酬)に気を配る必要もありますが、これは口座開設する金融機関ごとに変わるわけではありません。
銘柄本数
まず、取扱銘柄がいくつあるのかに注目しましょう。 つみたてNISAの場合、自分で銘柄を選び、投資比率を決めます。証券会社によって取扱銘柄もまちまちですから、ラインナップの豊富な証券会社で口座を開設したほうが、さまざまな商品へ投資できるということになります。
また、もし自分の投資したい商品がある場合は、それを扱っているかどうかも確認する必要があるでしょう。
最低積立額
最低積立額とは、一つの商品に投資できる最低金額のことを指します。 最低積立額も証券口座によって異なるので、口座選びの重要なポイントになります。
最低積立額が小さければ、少額から投資が可能になり、損失が出た際のダメージを小さくすることができます(もちろん、その分リターンも小さくなります)。また、商品ひとつひとつへ掛ける金額が小さくなるため、少ない金額のなかで様々な商品へ投資することもできるようになります。
1,000円からのところが多いですが、少ないところだと100円から投資できる証券口座もあるので、ここもしっかり確認しておくようにしましょう。
積立頻度
積立頻度をどのくらい細かく設定できるかも確認しておくと良いでしょう。 だいたい、毎月・月1回の積立が主流ですが、毎週同曜日、あるいは毎日で設定できる口座もあります。
積立頻度を高く設定できるということは、すなわち投資タイミングを細かくずらせるということを意味します。 ある商品に対して、まとめて一括のタイミングで投資するより、複数に分けて投資するほうが、投資の成果が購入時の相場によって左右されにくくなります。これを「時間の分散効果」といいます。
この「時間の分散効果」を期待して一括投資ではなく積立投資を行うわけですが、より細かく投資タイミングを分散すればするほど、その分「時間の分散効果」が強くなり、相場変動に負けないポートフォリオを組めるようになると考えられます。
ただし実のところ、長期投資を前提とした場合、投資頻度を毎月にするか、毎日にするかによって、投資の成果(リターン)はほとんど変わりません。わずかに毎日での積立の方が良いパフォーマンスをあげますが、その差は微々たるものです。
1円でも投資成果を安定させたい人は、積立頻度を気にしてみるのも良いでしょう。
クレカ積立
クレジットカードで積立投資の決済が可能かどうかも、かなり重要な比較ポイントになります。次に紹介するポイント付与にも関わるため、しっかり確認しておくようにしましょう。
まず証券口座引き落としの場合、口座の余力(残金)が少ないと、買い付けができません。その一方、クレジットカードでの決済なら、いちいち証券口座の余力を確認しなくても、(月末に引き落とし口座の残金がある限り)決済を忘れることはありません。
さらにクレジットカードで決済をすれば、それぞれのカードの還元率にしたがって、投資の一部がポイントとして返ってくることになります。クレカ決済が可能な証券会社のなかでも、ぞれぞれで使えるカードは異なるので、自分が普段の買い物で使っているカードや、還元率の高いカードと相性が良い証券会社を選ぶと良いでしょう。
ポイント付与
クレカ決済の有無に加えて、ポイント付与システムがあるかどうかにも注目しましょう。
つみたてNISAの場合、金融機関ごとに手数料は変わらないため、口座開設によって金銭的に区別できる唯一の部分が「ポイント制度」になります。「少しでもお得に口座選びしたい」という方は、ポイント還元・ポイント付与があるかどうかで選んでみると良いでしょう。
例えば、クレカ決済ができる証券でも、カードごとに還元率が異なりますから、それだけでもお得に口座選びをすることができます。 また後々紹介しますが、投資信託の保有残高に応じてポイントが付与されるシステムのある証券口座や、対応するポイントを使って「ポイント投資」のできる口座もあります。
お得な口座選びをしたい方にとっては必見ポイントになります。
情報量・ツールの豊富さ
さらに、少し進んだ投資をしたい方には、証券会社から提供される「情報」も重視してみましょう。
投資は「情報戦」ともいえます。素早く情報を入手し、分析し、市場を先回りして投資し、収益機会をものにすることを目指すからです。
つみたてNISAの場合、買い付け対象が個別銘柄ではなく投資信託であることに加え、一定期間ごとに半強制的に買い付けが行われるため、あまり情報分析が重要でないように思われます。しかし、経済やマーケットの状況に応じて、それぞれの投資商品の組み込み割合を変えてみたり、少し工夫を加えてみたい際には情報分析が必須になります。
また、つみたてNISAをきっかけに個別銘柄への投資もしてみたい方には、情報量やツールが使いやすいかどうかも口座選びの重要なポイントになるでしょう。
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つみたてNISA口座おすすめランキング
それぞれのポイントに基づいて、各証券を比較した結果が以下のランキングになります。
- 楽天証券
- SBI証券
- SMBC日興証券
- マネックス証券
- 松井証券
- auカブコム証券
では、詳細を見ていきましょう。
1位:楽天証券
楽天証券は、楽天グループに属する大手ネット証券です。 楽天証券の大きな特徴は、「楽天のサービスとの相性が良い」点です。
楽天カードでのクレジット決済や、楽天キャッシュ(電子マネー)での投資が可能で、楽天キャッシュなら楽天カードからチャージした分の0.5%が、楽天カードならクレジット決済で積立額の0.2%もしくは1.0%が楽天ポイントとして貯まります。
さらに投資や楽天市場などで貯めた楽天ポイントを、買い付け代金にあてられる「ポイント投資」も可能です。
楽天グループのサービスを使えば使うほど楽天ポイントが貯まりやすくなる「SPU(スーパーポイントアップ)」で、投資信託へ月合計30,000円以上のポイント投資をすると、買い物で貯まるポイントが+0.5倍になるプログラムもあり、普段楽天ユーザーとして楽天市場や楽天カードを使っている方には、かなり相性の良い証券といえるでしょう。
取扱本数も184本と、つみたてNISA対象商品全218本(いずれも2023年1月24日現在)のうち大部分を取り扱っており、業界トップクラスのラインナップです。最低100円から、毎日・毎月の積立が可能で、楽天ユーザーにとってもそうでなくても魅力度の高い証券といえます。
2位:SBI証券
SBI証券は、業界第1位の口座開設数900万以上(2023年1月)を誇る最大手のネット証券です。
オールマイティーの証券会社ともいえ、証券業の各サービスを取り揃えるSBI証券は、つみたてNISA対象商品の取扱本数も185本とトップに立ちます。そのバラエティも豊富で、SBI証券が取り扱い、世界最大手の運用会社ヴァンガード社のETFを投資対象とするインデックスファンド「SBI・V・シリーズ」にはかなりの人気があります。このSBI・V・シリーズの「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」目当ての投資家の方も少なくありません。
クレカ積立の点では「三井住友カード」との相性がよく、カードの種類によって異なりますが、年会費無料の「三井住友カード(NL)」なら0.5%、ポイント特化型プラチナカードの「プラチナプリファード」なら5%のVポイントが貯まります。
さらに「投信マイレージ」といって、投資信託の月間平均保有残高に応じて、Tポイント・dポイント・Pontaポイント・JALマイレージから好きなポイントを貯めることができるプログラムもあります。TポイントとPontaポイントを使って、ポイント投資をすることもでき、これらのポイントを貯めているユーザーには相性良しといえるでしょう。
ネット証券最大手として積立方法のバリエーションも豊富で、最低100円から、毎月・毎週・毎日など5コースから組み合わせられる自由度も魅力です。
3位:SMBC日興証券
SMBC日興証券は、3メガバンクの一頭である三井住友FG系列の総合証券です。
総合証券でありかつネットにも強い証券で、「投信つみたてプラン」では他ネット証券同様に定額積立投資が可能な一方、店舗窓口での対面相談も可能で、初めての投資で不安という方には良いかもしれません。
この「投信つみたてプラン」ではdポイントの還元もあり、ポイ活にもってこいでしょう。
総合証券のなかでは、SMBC日興証券のつみたてNISAの取扱本数は158本と多く、バラエティも豊富なため、ネット証券以外での口座開設を考えている方にはおすすめです。
4位:マネックス証券
マネックス証券は、外国株に強いネット証券です。
マネックスのつみたてNISAの特徴は、高いポイント還元率にあるでしょう。マネックスカードを使えば、つみたて投資で1.1%のマネックスポイントが還元されます。年会費無料のクレジットカードのなかでは、楽天証券の0.5%、SBI証券の0.5%と比較して業界最高水準といえます。
投資信託を持っているだけでもマネックスポイントが貯まり、かつ投資へポイントを利用することもできるので、お得に投資をしたい方には最適でしょう。
5位:松井証券
松井証券は創業100年の老舗証券で、日本で初めてネットへ参入した証券としても有名です。
ネット証券ながら老舗ならではのサポート体制が充実しており、画面操作やPCトラブルなど基本事項の電話・チャットサポートから、投資信託の銘柄選定、その銘柄の投資先情報といった相談に乗ってくれる専用ダイヤル、株の取引相談窓口など、かなり厚いサポートが特徴です。
つみたてNISAの取り扱い商品も179と豊富(2023年1月27日現在)で、100円から毎月・毎週・毎日投資でき、自由に積立ペースを設定できる松井証券投信アプリも使いやすく人気です。
サポートをもらいつつも手軽に取引したい投資初心者の方にはピッタリの証券でしょう。
6位:auカブコム証券
auカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループ×KDDIという新しいタイプのネット証券です。
auカブコム証券の特徴はなんといっても、auサービスやPontaポイントとの相性が良いことでしょう。まずauPayカードで積立決済をすれば、毎月の積立金額の1%がPontaポイントとして還元されます。
また「資産形成プログラム」では月間平均保有残高に応じて、「投資信託ポイントプログラム」ではauの投資信託(auスマート・ベーシック、auスマート・プライム)の保有残高に応じて、Pontaポイントが貯まります。投資信託ポイントプログラムでは、auの通信契約があればポイント2倍と、auユーザーにとってはかなりお得といえるでしょう。
NISA割といってNISAの継続年数に応じて、auカブコム証券に開いた課税口座の手数料が割り引かれるプログラムも用意されており、NISAから株取引へ進みたい方にもおすすめです。
つみたてNISAを今始めるメリット・デメリット
2024年から新NISAに:新NISAは別制度として開始、新NISAの非課税枠に加え現行のつみたてNISA非課税枠の分も2042年まで保有できる=非課税枠が約20年間プラス40万円に。
ここまでつみたてNISA口座のおすすめランキングを紹介してきましたが、つみたてNISAを「今」始めるメリット・デメリットはあるのでしょうか?
まずメリットは、2024年から新NISAが始まるところにあります。新NISAは現行の一般NISA・つみたてNISAとは別制度として始まるため、新NISAで定められている非課税枠とは別に、現行のつみたてNISAの非課税枠40万円を20年間(2042年まで)保有し続けるのです。
逆にいえば、2024年以降にはつみたてNISAを始めることはできず、すべて新NISAの非課税枠のなかでやりくりすることになりますから、今始めなければ20年間40万円の非課税枠の「追加ポケット」を手にすることはできなくなってしまいます。
この点今始めることにデメリットは特にありませんが、焦ってすぐ始めようとすることはおすすめできません。つみたてNISAや新NISAの制度概要やメリット・デメリットへの理解を深め、自分にとってつみたてNISAによる資産運用が本当にあっているのか、ライフスタイルやリスク許容度などに応じて考え、きちんと銘柄を選定するようにしましょう。
まとめ:つみたてNISA口座の証券会社比較
この記事では、つみたてNISA口座を証券会社ごとにランキング形式で比較しました。下に証券会社ごとのランキングをまとめましたので、ご参照ください。
順位 | 証券会社 | 特徴 | おすすな人 |
1 | 楽天証券 |
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2 | SBI証券 |
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3 | SMBC日興証券 |
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4 | マネックス証券 |
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5 | 松井証券 |
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6 | auカブコム証券 |
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最後に口座選びのステップについておさらいしておきます。
まずはじめに、この記事を参考に自分がどのポイントを重視して口座選びをしたいのかを整理しましょう。 そのうえで、どの証券会社にもそれぞれの特徴があるので、自分にあった口座がどれなのかしっかり理解し、開設するようにしましょう。
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