多くの日本の上場企業の場合、決算発表は3月、6月、9月、12月の年4回で、うち一つが年度決算となりますが、3月が年度決算となる企業が多くなっています。多くの企業は、各四半期末の1〜1ヶ月半後のうちに決算を公表します。投資に役立てるためには、業績や財務状況、配当などの結果を、予想との乖離や前四半期・前年度からの変化とともに確認しておくことが大切です。
決算発表のタイミングは?
決算発表は日本の上場企業の場合、年4回実施されます。45日ルールがあるため、実施時期は決算期末から概ね1〜1ヶ月半後となります。まずは決算発表の頻度やタイミング、そしてこれらに影響を与える45日ルールについて見ていきましょう。
決算発表は四半期ごとに
あらゆる企業は年に一度通期決算を行います。年度の決算期末をいつとするかは企業が決めることができますが、日本では年度末でもある3月末を決算期末としている企業が多くなっています。
また、上場企業は通期決算のほかに四半期に一度決算短信を公表することが義務付けられています。多くの上場企業が通期決算の期末である3月のほか6月、9月、12月の各月末を四半期の決算期末として、四半期ごとに決算をまとめているのです。
決算から1~1か月半が公表時期
各期の決算が過ぎたのち1〜1ヶ月半後が企業決算の公表時期となります。例えば3月末の通期決算は4月末〜5月前半ごろに公表されるケースが多いです。
企業が四半期末が過ぎてから、その四半期の収支状況や財務状況をまとめて決算報告書を作成するため、四半期末と決算発表タイミングには一定期間の開きがあります。
45日ルールとは?
東京証券取引所が定める決算期末後45日以内に決算報告を公表しなければならないというルールです。該当するのは上場企業ということになります。該当するのは上場企業になります。
このルールがあるため、ほとんどの企業が1ヶ月半以内には決算報告を終えることになります。なお、45日後が休日の時は、その翌営業日が期限となります。また、50日を超えた場合には、決算発表が遅れた理由と、翌年度に向けた決算スケジュールの改善計画の提出が義務づけられています。企業の決算発表が期末から大きく遅延すると、企業の現状を把握するのが難しくなり、市場の情報開示の透明性の観点から支障があるため、このようなルールが設定されています。
決算発表の調べ方について解説
個人投資家が決算発表を調べる方法はいくつかあり、特に証券会社や日本取引所グループ、日本経済新聞社などのWebサイトで調べるのが便利です。証券会社についてはSBI証券を例に取って、それぞれの決算発表の調べ方を紹介していきます。
SBI証券
SBI証券では決算発表スケジュールがカレンダー上にまとめられており、カレンダーをもとに何日に何社が決算発表予定なのか把握可能です。
カレンダー上の日付をクリックするとその日決算発表予定の企業、決算発表の予定時刻、決算発表の種別(四半期か通期決算か)、経常利益などの予測値などを見ることができます。株式投資においては決算の公表値それ自体だけでなく、企業や市場が出す予測値との乖離も重要な判断材料になることも。その点、SBI証券の決算発表カレンダーは予測値まで把握できるので便利です。
日本取引所グループ(JPX)
東京証券取引所に上場している企業については、日本取引所グループが決算発表予定日を公表しています。決算発表月ごとにまとめられているエクセルファイルをダウンロードすることで、日付と企業・業種や、決算発表の種別が一覧で見ることが可能です。
日本経済新聞社
日本経済新聞社のデジタルサイトにも、決算タイミングを検索できる機能があります。このシステムでは前2ヶ月と当月・翌月の決算予定を企業名別に見ることができます。証券コードもしくは企業名から検索をかけると、次回もしくは直近の決算予定日や決算の種別、業種などを閲覧可能です。
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決算発表で押さえておくべきポイント
投資の参考とする上では企業の売上高や利益といった営業成績や、資産・負債・純資産などの財務状況、そして配当金水準の変更、業績予想などを見ておくと良いでしょう。それぞれの着目点について詳しく紹介します。
企業の営業成績について
企業の営業成績は「決算短信」と呼ばれており、各企業のホームページからIR情報の欄に載っています。
企業の営業成績では売上高と利益に着目します。それぞれの水準だけでなく前四半期や前年度からの伸び率なども見ておきましょう。売上高は企業がビジネスによって獲得した金額が表示されていて、利益はそこから費用を差し引いた金額を見ることができます。利益については営業・経常・当期純利益の3種類を見ておくと良いでしょう。
売上高 | 企業が期中に商品、サービスを売り上げた総額のこと。 |
営業利益 | 売上高から売上原価、販管費を引いた額のこと。 |
経常利益 | 営業利益から利息や配当など営業外損益を加味した額のこと。 |
当期純利益 | 経常利益から臨時的に発生した特別損益*を加味した額。 |
*特別損益では資産売却などによる臨時収入や災害などによる損失などを計上します。
もし大幅に変動した項目があった場合は、変動要因も調べておくと良いでしょう。変動要因は決算報告書の「事業の状況」や「添付資料」などで確認できます。
財務状況について
企業の資金の状況がに適切なのか確認する必要があります。そのような表を財務諸表といいます。確認する資料としては貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などがあります。まずは貸借対照表を見てみましょう。貸借対照表(バランスシート)とは資産、負債、純資産の残高を明確に表しています。表の左側には「資産」を表し、企業が調達した資金をどのように保有しているのかを示しています。また、資金調達の方法が貸借対照表の右側に記載されています。右側の情報のうち、金融機関や投資家からの借入や債券などによる調達が「負債」、利益が出ると蓄積される利益剰余金や株式発行による調達資金が「自己資本」です。
財務状況も前四半期や前年度からの変化や、資産全体に対する自己資本の比率である自己資本比率などを見ておきましょう。大きく改善したり、自己資本が高かったりすれば安心ですし、逆に悪化している場合は原因を捉え投資を慎重に考える必要があります。
配当金の増配は?
株式投資をしている場合は配当金の方針についても確認しておきましょう。配当方針は企業に委ねられている部分が大きいですが、通常は業績が上向けば増配し、下向けば減配する傾向にあります。
増配すれば配当収益が増えるため、株式投資においては基本的にポジティブな要素となります。ただし、業績の見通しが甘いまま無闇に増配するリスクもあるため、財務状況や営業成績なども確認しながら総合的に投資判断をしましょう。
業績予想について
企業によっては業績予想を出している先もあり、決算に合わせて通期の業績予想を変更するケースが少なくありません。
企業自身が公表する業績予想の変更は信頼性が高く、上方修正により株価が高騰したり、逆に下方修正が株価急落をもたらしたりと、大きな影響を及ぼす可能性があります。決算発表時には業績予想の公表や修正の有無を見ておきましょう。
まとめ
企業決算は株式へ投資する場合には参考とすべき重要な情報の一つです。上場企業であれば四半期に一度公表されますが、決算期末とは1〜1ヶ月半のずれがあるため、自分が投資している、もしくは投資を予定している企業の決算タイミングを漏らさずに押さえておきましょう。
決算においては営業成績や財務状況、配当や業績予想など、投資判断に影響を及ぼす着眼点が多数あります。足元の水準だけでなく、前四半期や前年度からの変化を捉えることも重要です。決算情報をタイムリーかつ的確に捉えて、自分の資産運用にうまく活用していきましょう。
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よくある質問
Q | 決算発表は株価にどのような影響がありますか? |
A | 利益や財務状況が良好であれば株価上昇に、悪ければ下落の材料になります。またその時の公表値だけでなく、市場やアナリスト、企業自身の予想対比の良し悪しや、前四半期や前年度からの変化も株価を変動させる材料になることがあります。 |
Q | 決算の業績予想は誰が出していますか? |
A | 上場企業の中には企業自身が業績見通しを出している場合もあります。また、証券会社や調査機関などのアナリストが独自の業績予想を出している場合も。閲覧は有料になりますが、日経グループの金融情報会社QUICKでは各アナリストの業績予想を集計して「コンセンサス」として公表しています。 |
Q | 決算発表日はどうやって事前に把握すれば良いですか? |
A | 正確な日付は、証券会社や日本取引所などのWebサイト上もしくは企業自身が公式Webサイトなどで公表するまで分かりません。ただし、多くの企業は毎年、毎四半期同じような日程で決算発表をする傾向にあるので、前年度の発表スケジュールを見ておけば、ある程度発表タイミングのめどは立てられるでしょう。 |