仕手株とは?
仕手株とは、特定の投資家(仕手筋)によって、意図的に株価が操作されている可能性が高い銘柄のことをいいます。特定の銘柄にターゲットを絞り、大量に売買しながら株価を操作し、巧みな情報戦略で個人投資家を誘い込むことで株価の急騰や急落を発生させるように仕向け、投機的な売買を繰り返し行うことで利益を得ようとします。
個人投資家で投機的な利益をあげたいと考えている人の中には、この流れに自ら乗ろうとする方もいます。しかし、株初心者にとっては株価が読みづらく、失敗に繋がるリスクがあるので、仕手株の疑いのある銘柄の購入は避けた方が(取引しない方が)賢明です。仕手株に投資するリスクがゼロに近い投資方法としてNISAが挙げられます。NISAの投資対象になる銘柄は厳しい審査を受けているため、初心者の方でも安心して資産運用できます。
仕手筋とは?仕手集団になる人たちというのはどんな人たち?
仕手筋とは、特定の銘柄に対して大量の株取引を意図的時操る投資家集団のことを指します。仕手筋が操作する株の場合、根拠となる情報なく株価が高騰する傾向があります。実際どのような人が仕手筋になるかは不明で様々なグループが存在していると言われています。
仕手株は犯罪?
結論から言うと仕手株自体は犯罪になる可能性があります。自身で多くの売買を完結させ、出来高を多く見せて投資家を誘い込む(他の投資家に”自然形成された相場”と思わせて市場に参加させる等)といった行為は金商法159条2号1「現実売買による相場操縦」に該当する可能性があります。
また相場操縦行為等の金融商品取引法違反がある場合も同様です。「相場操縦」とは相場を意識的、人為的に変動させ、相場をあたかも自然に形成されたものであるかのように装い、他人を誤認させ、その相場の変動を利用し自己の利益を図ろうとするものです。まとめると、価格を意図的に操作し一般の投資家を巻き込むような仕手筋の行為は犯罪となり得る場面がある、ということになります。
仕手株の流れの紹介
仕手株は、決算発表等の変わった情報なしに突然特徴的な株価の変動が発生します。ここでは、仕手株は実際のところどのような株価の動きをするのかチャートを用いて解説していきます。
①操作する株をかき集める(玉集め)
マーケットに存在する株価が低迷している銘柄の中からターゲットを決め、株価が安いうちに株を買い集めます。ここでは、まだ目立ちたくはない段階なので、大きな注目を集めることのないように少しずつ買い集めることが多いです。
②一気に株価を高騰させる(玉転がし)
仕手筋は予定していた株式数を買い集めると、さらに大量の買い注文を出して対象の銘柄を一気に買い増していきます。一気に買い注文を出すことにより、出来高が上がり、他の投資家へアピールできるのです。
玉転がしで出来高が急増すると、仕手筋以外の投資家の期待も高め、価格もどんどん上がっていきます。
冷やし玉とは
仕込みの段階で株価が上がり始め、注目されてしまうと、そこで株価の上昇はそのうち止まってしまいます。 冷やし玉とはそれを防ぐため、意図的に売りを入れ株価を落ち着かせてより高値に上昇させやすいチャートを形成します。
③買い集めた株を一気に売りに出す(ふるい落とし)
仕手筋は株価を高騰させた後、大量に保有していた株を一気に売りに出し、利益を確定しようとします。これによって株価は急落し、何も知らず高値掴みさせられた個人投資家等は損失を出してしまいます。
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仕手株になりやすい銘柄の見分け方とは?
では、マーケットにおいてどのような銘柄が仕手筋のターゲットになりやすいのでしょうか?ここでは、そういった銘柄を簡単に見極める方法を紹介します。
発行株数・出来高がともに少ない
1つ目は、「発行株数や出来高が少ない」銘柄です。理由としては、仕手筋にとって株価を吊り上げやすい(操作しやすい)からです。仕手筋にとっては、株価が上がるニュースが出ていない状態で株価を吊り上げるには、影響力を高めるために株式をたくさん買い集めなければなりません。加えて、株価が仕手筋の意図しないタイミングで急騰しないよう、投資家に注目されずに買うことも必要となります。
そのため、発行株数や出来高の少ない銘柄であれば、そもそも投資家からの注目度は低いですし、他の銘柄と比較して流通している株式を買い集めることも容易になるため、仕手株となりやすいのです。発行株数が少ないと、仕手筋は買い占めをしやすく、影響力を与えやすくなるからです。
ただ、発行株数が少ないだけで仕手株になりうるわけではありません。過去には発行株数30万株未満でありながら総合評価が高い銘柄もたくさんありましたので、あくまで可能性として発行株数の高い銘柄と比べた時に仕手株にされる確率が高くなるだけです。
低位株
低位株とは、株価水準が低い銘柄のことを言います。低位株が好まれる理由はとして、仕手筋が株式を安く多く買い集めやすく、コストが低くなるからです。低位株のランキングは各証券会社のホームページにて発表されていますので、気になる方は確認してみてください。また、株価水準が低く、発行株数も少ない銘柄の場合は時価総額のランキングで反映されやすいため、そちらからでも確認することができます。
しかし、発行株数と同様、株価水準が低いという単独な理由だけで仕手株になりうるわけではありません。仕手筋としては発行株数が少なく、出来高も少ない低位株の3つの条件を揃えたいはずですから、3つの条件が揃っている場合は注意が必要です。銘柄検索をしっかり行った上で取引しましょう。
仕手株を掴まない「安全」な銘柄選びとは?
以上のような仕手株になりやすい銘柄の特徴を踏まえると、「仕手株になりうるかどうか」という目線のみで(株以外の金融商品を除いて)「安全な銘柄」について考えるとしたら、大型株・時価総額の高い銘柄であれば、仕手株になりづらく「安全」といえるでしょう。このような銘柄は、買い集める際にかかるコストが大きい上、すぐに他の投資家たちに注目されてしまうため、仕手筋のターゲットにはなりにくいのです。
資産運用に取り組んだことのない株初心者は、初めは他の金融商品で投資信託(ファンド)を購入する選択肢もあります。投資信託は金融庁に登録を受けた金融商品取引業者などの運用会社が選別した株式や債券等を購入する形になるため、仕手株を取引してしまうリスクは少なくなります。
【関連記事】株式銘柄の選び方とは?選ぶ基準について具体的に解説 |
仕手株を取引してしまったら
情報を確認し仕手株となりうる銘柄を取引しないのが賢明ですが、もし購入した銘柄が仕手株だと考えられる株だとしたら、もしくは投資していた株が仕手株になってしまったら、過熱する前に売却する又は株価が下がり始めた地点で損切りを行うことをお勧めします。仕手株は上がる時は急激に株価が上がり、下がる時も急激に下がります。下落後、正常な株価の動きに戻ったとするとより損失が膨らみます。
株初心者の方は損切りが上手くできると、他の商品に自分の資金を回せて、効率よく投資ができるようになります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
【関連記事】損切りとは?タイミングとルールは?損失を抑える方法について解説 |
仕手株の事例とは?
ここでは、仕手株の事例を挙げていきます。
実際に起きた仕手株の事例
川本産業
衛生材料メーカーで 医療機関向けガーゼ・脱脂綿・包帯などで国内トップクラスの企業です。コロナウイルス感染が流行る際にマスク産業の需要がきっかけで株価が2020年1月上旬の500円台から2020年1月下旬の3700円台まで、短期間で7倍近く跳ね上がりました。
グローバルウェイ
クラウド開発を行う会社であり主にプラットフォーム事業、セールスフォース事業、メディア事業、リクルーティング事業、シェアリングビジネス事業といった事業を展開しています。2021年8月から株価が高騰し始め、11月には2,200円の高値をつけて約3ヶ月で株価が50倍以上になりました。2022年7月現在、株価は350円となっています。
まとめ
情報を調べづらい仕手株ですが、狙いと反対に株価が動けば大きな損失を抱えてしまうため、しっかりとした知識を身につけておく必要があります。株式投資を始めようとしている人や初心者の方が仕手株に手を出すと急激な株価変動で損失を抱えて失敗するリスクが大きいので、手を出すのは危険です。しっかりと情報収集を行い、安全な銘柄を見分けて安定した株式投資を心がけましょう。
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