株式を学ぶ (実践編)

2022年コロナ変異株の日本株式市場への影響は?後半には大きく巻き返せるのか?

最終更新:2022/03/18 13:28

世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス。一時期は落ち着きを見せていたものの、オミクロン株が急拡大し収束の兆しは未だ見えません。 新型コロナウイルスはさまざまな場所に影響を及ぼしていますが、株式市場も例外ではありません。新型コロナウイルスの影響で多くの企業が倒産に追い込まれたり、窮地に立たされた2020年〜2021年は株価が大暴落しました。 オミクロン株が広がり続けている今、2022年の株式市場はどのような動きを見せるのでしょうか。 今回は、オミクロン株が株式市場に与える影響と、2022年の株式市場の予測をご紹介します。

丑つまずき、寅千里を走る

株式市場には、干支と株価を結び付ける相場格言があります。それが「辰巳天井、午(ウマ)尻下がり、未(ヒツジ)は 辛抱、申酉(サルトリ)騒ぎ、戌(イヌ)笑い、亥固 まる。子は繁盛、丑(ウシ)つまずき、寅(トラ)千里を走り、 卯跳ねる」です。
2021年は「つまづく」とされる丑年でした。そんな2021年の相場の振り返りと、「千里を走る」とされる寅年の2022年相場の見通しをご紹介します。

2021年の相場をおさらい

相場格言では「丑つまづき」にあたる2021年は、全体を見ると比較的好調だったものの、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の影響を受け、年末はつまづいた結果となりました。そんな2021年を、時期に分けて詳しく見ていきましょう。

まず、年初は景気回復への期待も影響し回復傾向になりました。2月には1990年以来の日経平均3万円台も記録し話題になりました。
しかし、夏にかけて感染の波の繰り返しや緊急事態宣言の発令、デルタ株の感染急増が影響して下落基調となりました。
秋以降になると、ワクチン接種の加速や新規感染者の減少、企業の業績回復基調といったプラス要因と、原材料価格の上昇や米国の金融緩和策の転換、オミクロン株出現などのマイナス要因の繰り返しにより、上がりかける状態と下がる状態が繰り返されました。
このように、2021年の株式市場は急落し、上昇の2020年と比べ、上値重く底堅い一年でした。

「寅千里を走る」の真意とは

次に、「寅千里を走る」の2022年相場の見通しをご紹介します。

まず「寅千里を走る」とは、躍進ではなく政治、経済で波乱が起こりやすいという意味です。干支に関連した相場格言は、経験的な景気循環を示唆しています。毎年世界経済はさまざまなことが起きますが、実は似たような事象が一定の間隔で繰り返し発生しているのです。そのため、相場格言を鵜呑みにする必要はないものの、ある程度視野に入れて相場の見通しを立てた方が良いでしょう。
では「寅千里を走る」の相場格言から、2022年の株式相場はどのような見通しになるのでしょうか。
もし、寅年の傾向に似た動きになるのであれば、日経平均は軟調な推移になるでしょう。ただし、寅年は過去に朝鮮戦争やキューバ危機、ロシア危機、ギリシャ危機が起きた年でもあります。重要視する必要はありませんが、過去の出来事も視野に入れた方が良いでしょう。

オミクロン株流行の市場への影響は?

2021年から日本でも広がり始めたオミクロン株。オミクロン株の流行は株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。
ここからは、オミクロン株が与える株式市場への影響を予測します。

オミクロン株の特性も重要

オミクロン株の影響を判断するためには、オミクロン株の特性を知っておくことが重要です。そこで、まずはオミクロン株の特性をご紹介します。
現在判明しているオミクロン株の特性は下記の通りです。

感染力が強い
毒性はデルタ株と比べると弱い可能性がある
2回ワクチンは感染予防効果が減る可能性がある。3回ワクチンは感染予防にも効果的である可能性が示唆されている。

このように、オミクロン株はこれまでの変異株とは異なる特性を持っています。そのため、オミクロン株が経済へ与える影響は以前までの変異株と異なってくる可能性が高いとされています。

市場への影響

オミクロン株の株式市場への影響は、下記のリスクが考えられます。

・サプライチェーンが混乱してインフレ化する
・消費が落ち込む可能性がある
・新たな変異株の出現
・ワクチン接種の遅れによる景気回復期待の減退

ここからはそれぞれについて詳しく解説します。

サプライチェーンの混乱とインフレ

オミクロン株の蔓延により、国内外でサプライチェーンが逼迫するリスクがあります。サプライチェーンの混乱が生じると、供給減による原材料価格上昇や消費者物価上昇といった影響が予測されます。
また、企業が原材料価格上昇を製品価格へ転嫁できないことによる収益性の悪化や、転嫁した場合には消費者物価が上がり需要が減るといったリスクもあります。どちらの場合でも株式市場にはマイナスのシナリオです。

消費の落ち込みは?

オミクロン株が蔓延すると、これまでの新型コロナウイルスの影響同様、消費の落ち込みが懸念されます。新型コロナウイルスが広がり始めた頃はワクチン接種も進んでおらず、緊急事態宣言の発令も影響し行動制限がありました。行動制限による消費の落ち込みは甚大なものでした。
現在は2回目のワクチン接種を終えた人も多く、すでに3回目のワクチン接種も始まっています。そのため以前に比べると行動制限はありません。しかし、行動制限がなくても消費が落ち込む可能性は十分にあります。
消費の落ち込みは企業の業績悪化につながるため、株式市場ではマイナスのシナリオです。

他にもリスク要因が多々ある

さらに、オミクロン株のリスク要因は、他にもさまざまなものがあります。今回は一例として下記の2つのリスクをご紹介します。
ブースター接種が伸び悩むことで景気回復期待が減退し、市場が弱気になる
新たな変異株の出現

2021年の市場相場でも見られた、ワクチン接種の遅れによるリスクが考えられます。3回目のワクチン接種は始まったばかりで、2月時点ではまだ一般の接種は始まっていません。そのため、ブースター接種の伸び悩みにより景気回復期待が減退するリスクがあります。
また、これまでオミクロン株以外にも複数の変異株が出現してきました。今後新たな変異株が出現すれば、株式市場に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
ただし、どのリスク要因も現時点では不確実性が大きいです。

2022年のイベント・相場の変動要因

株式市場は、世界的に起こるさまざまなイベントも変動の要因となります。そのため、日本のみならず世界のイベント・相場の変動要因にも目を向けなければなりません。
そこでここからは、2022年のイベントや相場の変動要因になり得る事象をご紹介します。

世界的な金融政策の方針転換

まずは、米国のテーパリングや英国の利上げなど、世界的に金融政策の方針が転換します。これらの金融政策の方針転換はインフレへの警戒感によるもので、これまでの緩和策が大きく転換していきます。
このような世界的な金融政策の方針転換は日本にも影響を及ぼします。例えば、米国で利上げが行われると、金利差でドル買い・円売りが起きて円安になります。円安になることは輸出企業にとっては好都合ですが、輸入品や輸入原材料の価格が上昇し、悪性のインフレを引き起こす可能性もあります。
米国のテーパリングによって、日本で起こりうるシナリオについて
米国のテーパリングによって、日本で起こりうるシナリオについて

日本・米国での選挙

2022年は日本で参議院選挙、米国で中間選挙が行われます。
まずは、日本の参議院選挙から見ていきましょう。
衆議院選挙では「選挙は株高」という言葉もあるほど、17回連続で解散から投票直前までの約1か月間は日経平均株価は上昇しています。しかし、2022年に行われる参議院選挙は、これまでの値上がりと値下がりの傾向からすればやや値上がりに期待できますが、参議院選挙が株式市場に大きく影響を与えることは無さそうです。

一方で、米国の中間選挙は相場の錯乱材料になる可能性があります。なぜなら、民主党内の不安定な構図に加え、トランプ元米大統領の勢いが盛り返しを見せているためです。もし中間選挙の結果が上下院とも民主党が負けるということになれば、バイデン政権のレイムダック(死に体)化になります。これにより、米国の政治力と経済は失速する可能性も大いにあるため注意して動向を確認する必要があります。

中国への注目が集まる?

2022年は特に中国への注目が集まる一年になりそうです。
なぜなら冬季北京オリンピックの開催、中国共産党大会などが行われるためです。
まず、北京オリンピックの開催にあたりコロナ対策の行動規制が強化されます。これに伴い、経済停滞の長期化が予想されます。
さらに、秋には中国共産党全国代表大会が行われます。中国共産党大会では現政権が続くのかなど、政治的な動きにも注目が集まります。

市場再編による影響

4月には市場再編が行われる予定です。市場再編とは東証の市場区分の再編のこと。市場再編は数年かけて行われてきましたが、2022年4月に新市場が始まります。
市場再編をきっかけに、各企業が企業価値向上に取り組めば株価上昇が期待できます。ただし、一時的に株価が上昇しても、中長期的に成長を持続させられなければ一過性のものになってしまいます。
市場再編による影響は十分に考えられるため、企業の動向に要注意です。

2022年の株式市場の展望

2022年のイベント・相場の変動要因をご紹介しました。これらを踏まえ、ここからは2022年の株式市場の展望を3つの観点から解説します。

カギ①サプライチェーンの安定

株式市場の巻き返しのカギとなる要因が、サプライチェーンの安定です。
2021年はサプライチェーンの混乱に大きな影響を受けた株式市場ですが、2022年中の回復が見込まれています。生産体制の回復や供給不足が解消されれば、原材料価格が低下します。すると、企業のコストが低下し、収益性の向上・消費者物価の安定・需要の安定が期待できます。
このシナリオになれば、株式市場の回復が加速するでしょう。

カギ②市場再編による日本株の魅力度アップ

また、市場再編による日本株の魅力度向上も株式市場の巻き返しの大きな一手となるでしょう。
前述の通り、2022年4月から東証市場で新区分がスタートします。市場再編により厳しい基準のガバナンスなど、ESGへの対応がより一層求められます。すると企業は、SDGsへのコミットなどを通じ企業価値向上を目指します。企業価値を高めれば、東証一部から厳選されたトップ企業の市場である「プライム市場」への移行も期待できます。
このように、市場再編に伴う日本株の魅力度アップが期待できます。日本株の魅力度がアップすれば、海外投資家からの注目度も向上し、これまで以上に海外資金が流入する可能性や、ESG投資の拡大なども期待できます。
現在の市場区分

市場の区分

カギ③新型コロナへの対応

最後に、ウィズコロナ・ポストコロナへの移行として、新型コロナウイルスへの対応についても要注目です。
例えば、新薬や特効薬、ワクチンの開発が進めば、製薬会社だけでなく市場全体の回復が見込めます。
また、労働市場や財市場における需要の構造的変化によりコスト消費への需要増加も期待できます。需要の構造的変化に、企業や労働者が対応できれば市場は安定するでしょう。

株初心者はどうしたらいい?

新型コロナウイルスの感染拡大の様相が読めない2022年。専門家も予測が立てにくい中、初心者は特に難しくどうすれば良いかわからないという方も多いでしょう。
そこで最後に、2022年に株初心者がすべきことをご紹介します。

基本的にやることは変わらない

まず、基本的にこれまでとやることは変わりません。分散投資や長期投資を行うことを心がけ、短期的変動に左右されないポートフォリオ作りを目指すようにしましょう。
なお、分散投資とは複数の銘柄に「分散」して投資すること、長期投資とは長いスパンをかけて売買する投資のことです。
短期投資は株価の動きを速やかに読むスキルが求められるため、初心者は余裕を持って株価を分析できる長期投資がおすすめです。

リスクを意識・ニュースをチェック

先ほどご紹介した通り、2022年は日本でも世界でも、株価に影響を与えるさまざまなイベントが起こります。イベントによるリスクを意識しながら、世界のニュースを随時チェックしましょう。

市場の過熱には要注意

世界で起こる数々のイベントや相場の変動要因の直前または直後は、市場の過熱も予想されます。
株価は連日ストップ高になるなど急騰することがあります。このような株は迷わず買う方法もありますが、初心者はなるべく買わない方が良いでしょう。なぜなら、急騰した株は下がる時には一気に下がり、結果的にあまり利益が出ないことも少なくないためです。
初心者の方は株価が下がることを読めないため、投機的な買い方は避けましょう。

まとめ

022年の株式市場の見通しをご紹介しました。
2022年は日本では衆院選の開催や市場再編が行われ、世界では米国の中間選挙や中国の北京オリンピック、中国共産党大会開催など、さまざまな市場要因となるイベントがあります。そのため、日本のみならず世界中のニュースに目を向けて株価の動きに注意が必要です。
加えて、オミクロン株の感染急拡大など新型コロナウイルスの動きが株式市場に大きな影響を与えるでしょう。景気が回復に向かってきても、新しい変異株の出現により急落するリスクもあります。新型コロナウイルス自体の動きにも要注意です。

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