子どもが加入可能な保険とは?
子どもが加入できる保険には、主に以下の5つがあります。
- 医療保険
- 学資保険
- 死亡保険
- 傷害保険
- 個人賠償責任保険
保険と聞けば大人が加入するイメージが強いため、「子どもが医療保険に加入する必要性はあるのか」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、子どもも大人と同じように、突然の病気や怪我を患う可能性はあります。器物の損壊や人に怪我を負わせるといったさまざまなトラブルにより、損失を被るような可能性も否定できません。
さらに、将来に備えて教育費も捻出しなければなりません。このように、子育てにはそれぞれの場面において急な支出の必要に迫られる可能性があります。
資金が必要になったとき、日頃の貯蓄では賄い切れなくなる事態を避けるためにも、保険への加入を検討することが大切です。
子どもの医療保険について
子どもの医療保険には、公的医療保険制度のほか、民間の保険会社が取り扱う医療保険があります。国民皆保険である公的制度の保険においては、掛金は発生しません。各自治体により医療費負担の減額や免除などの助成を受けることもできます。
一方、民間による医療保険は、掛け金の負担が発生します。とはいえ、備えたいリスクに対して、充実した保障内容を選ぶことが可能です。病気や怪我など、万が一の際に十分な医療を受けられます。
▼主な民間医療保険特約
- 先進医療
- がん治療
- 入院費一時金
- 三大疾病
- 通院費給付
- 女性疾病
- 保険料払込免除
- 死亡
子ども特有の病気や突発的な怪我への備えとして、健康な子どもの頃から加入することをおすすめします。
学資保険について
学資保険とは、子どもの将来的な教育費として備える保険です。子どもの進学に伴う入学金や授業料を少しずつ貯蓄することで、保護者に万が一のことがあっても子どもの教育費に備えることができます。
子どもの幼いうちに学資保険を活用することで、将来の教育資金をより多く貯蓄できるため、低年齢からの加入をおすすめします。
なお、学資保険に関する詳細は記事の後半でも解説します。ぜひ参考になさってください。
子どもの死亡保険について
死亡保険は、被保険者が死亡または高度障害の状態になったときに保障が受けられる保険です。
厚生労働省の調査によると、0歳~19歳までの死因において「不慮の事故」が上位に入っています。万が一に備えるうえでのお守りとして、死亡保険への加入も検討しておきましょう。
子どもが加入できる死亡保険には主に3タイプあり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
①終身保険 | ②定期保険 | ③養老保険 | |
保険期間 | ・一生涯保障 | ・年齢や年数による決まりがある | ・満期あり ・保険期間中の死亡保険金と保険期間満了時の保険金は同額である |
契約更新の有無 | ・なし ・保険料は変わらない |
・あり ・契約更新時に保険料が上がる |
・満期がある |
貯蓄性 | ・貯蓄向き ・解約で解約返戻金の受理可能 |
・貯蓄には不向き ・解約返戻金がない掛け捨て型 |
・貯蓄性が最も高い |
保険料 | ・定期保険よりも高い傾向がある | ・安い傾向がある | ・満期まで一定の金額 ・高い傾向がある |
子どもの傷害保険・個人賠償責任保険について
子どもが加入できる保険には、生命保険のほかに2種類の損害保険があります。それが「傷害保険」と「個人賠償責任保険」です。下記では、各損害保険の目的について解説します。
傷害保険の目的
傷害保険は「契約者本人やその家族が怪我をした際に、必要となる通院・入院・手術の費用をまかなうこと」を目的としています。傷害保険の適用には、以下の3つの条件に該当する必要があります。
▼傷害保険の適用条件
1.突発的な事故 :例)段差を踏み外し骨折、舞台からの落下
2.予測不可能な事故:例)バスケットボール練習中の突き指
3.病気以外の事故 :身体の外から突発的に発生した予測不可能な事故
個人賠償責任保険の目的
個人賠償責任保険は「契約者本人やその家族(被保険者)が他人の所有物を壊したり、人に怪我をさせたりして、法律上の損害賠償責任が発生した際の金額保障」が目的です。
個人賠償責任保険の場合、「個人賠償責任保険特約」が生命保険や自動車保険などに付帯されていることもあります。一度加入されている保険の特約をチェックしてみるとよいでしょう。
▼個人賠償責任保険が適用される例
- 子どもが遊びの最中に、友人に怪我を負わせた
- 友人宅の花瓶を割った
- 自転車で走行の際、歩行者と衝突した
子どもの医療保険はなぜ必要?
子どもの公的医療保険制度は充実していますが、年齢制限や所得制限を設けている自治体もあり、保障の対象が限定されるケースもあります。また、先進医療を必要とする場合には、公的医療保険制度が適用されないケースもあります。子どもが公的医療保険の対象に該当しない場合や、将来的に先進医療を必要とするケースに備えたい場合には、民間の医療保険をおすすめします。
保険適用外の医療費に備える
ほとんどの自治体では、子どもにかかる医療費の無料化や負担額の軽減といったさまざまなサポートが実施されています。しかし、公的医療保険制度のサポートは「保険適用可能な医療費」に対してのみ受けることができます。また、子どもが通院・入院する際は、保護者の付き添いが必要となるケースも多いですが、公的医療保険は子どもの医療費のみ適用されます。
以下の項目は、公的医療保険制度における保障の対象外となり、全額自己負担となります。
- 通院にかかる交通費
- 個室利用した場合の差額ベッド代
- パジャマや歯ブラシの購入費
- 付添人の食事代 など
また、病気によっては先進医療を受けたいというケースもあります。しかし、先進医療は公的医療保険制度の対象外となります。ほかにも、入院や通院日数の期間、保険適用不可の項目数が多くなると、膨大な医療費に至ることも少なくありません。
医療費負担による家計への圧迫を防ぐためにも、保険適用外の医療にも適用できる民間の医療保険に加入しておくことが安心です。
大人になる前に保険に入る
一般的に持病があると、医療保険には加入できません。健康な子どものうちから医療保険に加入しておくことで、大人になってから持病を抱え、医療保険に加入できない事態を避けることが可能です。
持病があっても加入できる医療保険もありますが、加入のための条件が厳しかったり、加入できる病気が限られていたりします。保険の選択肢が多い子どものうちに加入しておけば、将来の備えにつながります。
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子どもの医療保険は必要ない?
子どもの医療保険は必要ないという意見もあります。その主な理由は、以下のとおりです。
公的制度が充実している
子どもには健康保険または国民健康保険に加えて「乳幼児医療費助成制度」や「子ども医療費助成制度」といった自治体による助成が適用されます。そのため、子どもの医療保険を「不要」と考えている人も少なくありません。また、医療機関で自己負担金が発生した場合でも、未就学児は2割、就学後は3割が上限として定められています。
しかしながら、治療にかかわるすべてが補償対象になるわけではありません。公的制度が適用されるのは、あくまで保険診療の対象となる治療のみとなります。
また、高額療養費や家族療養附加金などが支給された場合は、支給額と同じ金額を助成額から差し引かれるケースもあります。万が一のとき、十分な治療を子どもに受けさせるためには、医療保険に加入しておくことが大切です。
子どもが入院する確率は低い
子どもの医療保険が必要ないとされる理由のひとつは「子どもが入院する確率の低さ」です。小児がんや慢性的な疾患といった大病でなければ、子どもの入院日数は少ない傾向にあります。
厚生労働省による統計データを見てみると、乳児の入院率を除けば、子どもの入院率よりも圧倒的に外来受診率が高いこと分かります。
また、平均的な入院日数についても14歳以下では7日程度となっており、大人の平均入院日数と比較するとそれほど長くはありません。これらのデータのみで判断すると、差額ベッド代や通院費を加味したとしても、医療保険に加入する必要性は低いと捉えることもできるでしょう。
子どものために医療保険を選ぶポイント
平成30年度の生命保険に関する調査によると、子ども(未婚で就学前・就学中)の保険加入率は51.1%でした。死亡保険や年金保険に加入するケースは少なく、医療保障を主な目的として加入している家庭が多い傾向があります。
子ども専用の医療保険には、比較的安価で加入できるプランもあります。また、親の保険特約に子どもの医療保障を付けることや、傷害保険で子どもの怪我に備えておくといった加入方法もあります。
保険料や保障内容、家計の貯蓄状況などを考慮したうえで、家族に合った保険を選ぶことが重要です。
参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
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子どもの医療保険をおすすめしたい人とは?
大人より病気になる可能性は低いとはいえ、子どもは怪我をしやすい特徴があります。病気や怪我をするリスクに備えて、いかなる病気に対しても十分な治療を受けさせるため医療保険に加入しておくことが大切です。
▼子どもの医療保険をおすすめしたい人
子ども特有の怪我・病気に備えたい人
健康で保険料が安いうちに保険に入っておいて欲しいと考えている人
また、子どもが成長するにつれて、健康状態が良好ではなくなる可能性もあります。健康に問題があると医療保険に加入できなくなったり、保険料が高くなったりすることもあります。健康な子どものうちに加入することは、保険料を抑えることにもつながるでしょう。いざというときに備えて、子どもの医療保険に加入することを検討しましょう。
学資保険もおすすめ?
医療保険とは保険の種類は異なりますが、子どもの保険として「学資保険」もあります。
文部科学省の調査結果によると、子ども1人にかかる教育費は、幼稚園から大学まで国公立に通ったとしてもおよそ1,000万円かかります。この金額を貯蓄することは、家計にとって負担となる可能性があります。そこで活用できるのが学資保険です。一般的な学資保険では、進学ごとに「満期」や「祝い金」という名目でまとまった資金を受け取ることができます。
国公立 | 私立 | |
幼稚園(3年間) | 約76万円 | 約158万円 |
小学校(6年間) | 約192万円 | 約959万円 |
中学校(3年間) | 約146万円 | 約442万円 |
高校(3年間) | 約137万円 | 約291万円 |
大学(4年間) | 約500万円 | 約710万円 |
合計 | 約1,042万円 | 約2,540万円 |
学資保険には、主に「貯蓄型」「保障型」の2種類があります。それぞれの特徴・メリット・デメリットは以下のとおりです。
貯蓄型 | 保障型 | |
特徴 | ・保険料を払い込むことで教育資金を貯蓄できる | ・貯蓄だけではなく、子どもの医療・死亡保障や親の医療保険などの保障も付随する |
メリット | ・総支払額よりも受取額のほうが高い | ・保険加入者の万が一に備えることができる ・学資保険以外の医療保険に入る必要がない |
デメリット | ・満期の時期にインフレが起きた場合、資金不足に陥る可能性がある | ・総支払額よりも受け取る金額が少なくなる |
一般的な学資保険の満期年齢は18歳となっており、大学入学のタイミングと重なります。加入時期が遅くなると積立金額が少なくなり、払い込む積立金額が多くなることが一般的です。
学資保険の種類によって加入年齢が異なりますが、商品によっては妊娠6か月から加入できるタイプもあります。子どもの学費がかからない時期からスタートすることで、早い時期に保険料の払い込みを終了できるケースもあります。
▼学資保険の保険料を抑えるポイント
・子どもが小さいうちから保険に加入をする
・一括払いや年払いにする
・保険金の受取時期を延ばす
また、学資保険を万が一の備えとして契約する場合、以下のような特約を付けられる保険商品もあります。
内容 | |
保険料払込免除特約 | 契約者の死亡や高度障害に至った場合、以降の保険料が免除される |
育英年金 | 契約者が死亡した場合、年金形式で保険金が支払われる |
学資保険の特約で注意しなければならない点は、契約満了と同時に医療保険としての機能が終了することです。学資保険の満了後には、新たに医療保険に加入する必要があります。
まとめ
日本国内における多くの自治体では、子どもの医療は「公的医療保険制度」によって保険適用内の医療費が保障されています。そのことから、子どもの医療保険への加入は不要だとする意見も多くあります。
しかしながら、公的医療保険制度の対象外となる治療も存在します。不慮の事故や病気は予想もつかないタイミングで突発的に起こるため、そのような万が一のケースに備えて、子どもの医療保険に加入しておくことが重要です。
また、医療保険を契約する手段以外にも、学資保険や保護者の保険特約を活用する方法もあります。子どもの将来・もしもに備えるために、ご自身に適した保険を検討されてはいかがでしょうか。
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