金利とは、貸借金に対する利子であり一般的には、金利と株価は関係していると言われています。どう関係しているのか、実際に現在の市場ではどうなっているのかを事例も用いて解説していきます。
株価が動く要因とは?
株価は投資家たちの需要と供給が釣り合うところで形成されます。そのため、株式投資では多くの投資家たちが日々どのような要因によって、株式を売買するかを見極める必要があります。まずは、株価が動く要因について紹介していきます。
内部要因と外部要因がある
株価の変動要因は大きく2つに分けることができます。外部(マクロ)要因と内部(ミクロ)要因です。外部要因とは、株式内外の市場全体の変動によるものです。内部要因とは個別銘柄それぞれを分析するための材料となるものです。 すみ分けは以下のようになります。
外部要因
- 金利
- 為替
- 景気
- 国内外の政治情勢
- 天候・災害 等
内部要因
- 個別企業における業績、将来性等
今回は外部要因について、簡単に解説していきます。
為替
為替とは分かりやすく解釈すると現金を直接使わずに支払いをすることを言います。日本円を海外通貨に交換するときは為替レートという比率で交換されます。上場している日本の企業の多くは海外との取引を持っていると思います。そのような輸出入の際に、為替レートが業績に大きく影響を及ぼすため、為替を見ることは重要な要素の1つとなっていきます。また、日本株の外国人投資家の保有比率は約30%であり、日々の株式相場には外国人投資家の動向が大きく影響しています。
景気
景気とは経済状況全体の動向のことを指しており、「景気がいい」と株価は上がり、「景気が悪い」と株価は下がります。 景気を判断する材料は各国政府が発表する経済指標を読み解くのが良いです。しかし、発表までにはラグがあるため現在の景気を判断するには難しいとされています。 代表的な指標の1つとして、日本の動向について日銀が定期的に企業活動全般にわたる項目について調査しています。その結果を短観という資料で発表しています。
参考:「短観」とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan
国内外の政治・情勢
国内の政策や海外の情勢によっては、大きな株価変動要因となります。例えば、ニューヨークマーケットの変動は世界各国のマーケット動向に大きな影響を与えたり、近年のロシアによるウクライナ侵攻によって株価変動が起きたりしている事などが挙げられます。
天候・災害
天候や災害も株価に影響を与えることがあります。災害により工場の稼動が停止する、建物が倒壊、損失などの被害があった場合は被害に遭った会社の業績にも大きな影響を与えることになります。逆も然り、復興するための需要が増える事から災害関連銘柄と呼ばれるような株式に買いが増える傾向があります。金利とは?
ここからは本題である金利について解説していきます。
金利とは、簡単に言うとお金をある期間の中で貸し借りする時につく利息の割合になります。 例えば、100万円を1年間借りるとして、そのときに3%の金利を約束した場合には、1年間に3万円というのが、利息になるといえます。 2%の金利よりも3%の金利の方が「金利が高い」と表現されます。 すなわち、お金を貸す側にとっては金利が高い方が利息がついて返ってくるお金が増える、借りる側にとっては金利が低い方が利子を多く払わなくて良いということになります。
短期と長期金利の違い
金利には「短期金利」と「長期金利」の2種類に大きく分けることができます。 短期金利とは、取引期間が1年未満の資金を貸し借りする際の金利です。具体的には、短期国債や預貯金、ローンなど、償還期限が1年未満の資産(債権)や負債の金融資産に適用される金利全般を指します。ニュースでよく見る「利上げ」などは政策金利の利上げという意味があり、これも短期金利の1つとされています。短期金利は「無担保コール翌日物金利」が代表的な指標となっています。
長期金利とは、個人や企業、金融機関、政府、地方公共団体、国際機関などが、期間が1年以上の資金の貸し借りをする場合に適用される金利の総称をいいます。長期金利は「10年国債利回り」が用いられるため代表的な指標となっています。
短期金利と長期金利は、変動要因も異なります。短期金利は金融政策によって変動するのに対し、長期金利は景気や資金需要に影響を受けます。一般的に株価と金利の関係についてニュースなどで取り上げられる場合は日本国債10年が多い傾向にあります。
債券価格とは何が違う?
債券とは、国や民間企業が資金を調達したいときに発行する有価証券で、利息と額面金額での償還が固定されています。 債券は償還日を迎える前でも、そのときの市場価格で売買できます。債券と金利にも密接な関係があります。
債券と長期金利の関係は、長期金利が上昇すると、債券価格は下がります。これは、長期金利の上昇により、債券の利回りが低下し、債券への投資需要が減少するためです。一方で、長期金利が下落すると、債券価格は上昇します。長期金利が下落すると、債券の利回りが上昇し、債券への投資需要が増加するためです。
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金利と株価の関係とは?
金利と株価には密接な関係があります。どのような関係性があるのかについて、解説していきます。
一般的に金利が上昇すると株価が下落すると言われる
金利が上がると、借入れコストが上昇する為、資金の借り入れに抵抗感を覚える企業が増えると予想できます。資金を借りて投資したとしても、金利以上の利益を出せる見込みがないと判断するケースがあるからです。事業拡大が見込めず、設備投資の縮小等により経済が全体的に不活発になり、株価を下げる要因と考えられます。
この理論はあくまでも金利主導の経済環境である場合の考え方であることに注意が必要です。
実際はどうなっているか
実際に過去の事例から金利と株価の関係について、2022年度を元に解説していきます。
2022年はウクライナ侵攻によって世界各国でインフレが起きました。インフレを抑制するために、各国の中央銀行は急速に利上げを推し進めました。それによって、景気が後退し新型コロナウイルスを受けた金融緩和が終わり、結果として主要株価指数、債券価格共に下落しました。 日本も中央銀行も2022年12月の金融政策決定会合にて長期金利の変動許容幅の修正を行いました。市場はこれを「事実上の利上げ」と認識し一時的に株価は大きく下落しました。以上より、2022年の相場で言えば、金利が上がると株価が下がっていることが分かります。
金利変動で価格変動する業種は?
金利変動は企業によっては直接業績変化に関わります。そのメカニズムについて紹介していきます。
金利上昇で株価が上がった業種
一時的に業績に直結する業種は銀行株を主とする金融業です。 利上げに応じて銀行としても金利を上げることで本業の部分で業績が上がる予測が容易に出来ます。
また、景気敏感株の多くが株価が順調に上昇していく傾向に見られます。 景気敏感株とは、景気の変動に応じて業績が大きく変化する業種の株で、鉄鋼、化学、機械、海運などが挙げられます。
景気敏感株は、金利が上昇すると株価も上昇しやすいといわれています。ただ注意しなければならない点として、景気が回復傾向にある場合という条件があります。
金利上昇で株価が下がった業種
まず、業績に直接響くと考えられる業種は不動産業です。金利が上がるとお金を借りて不動産に投資しようと考える人が少なくなります。
また、グロース株と呼ばれる銘柄は株価が下がる傾向にあります。グロース株は将来性を見込んで株価が形成されているため、割高となっている場合が多いです。金利が上昇するとその分コストがかかることになるため、業績低下のリスクを見込んで株を売る投資家が増える傾向にあります。
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金利変動時に取る行動とは?
まず第一に、金利変動要因を探りましょう。どのような背景によって変動したかも把握することで特定の業種に影響を及ぼすのか、それとも市場全体に影響する事象なのか確認しましょう。その後、自身の考えに基づいて株式投資を行いましょう。
例えば、金利上昇時に景気が悪くなりそうだから、保有株を売却する、バリュー株投資をする、ディフェンシブ銘柄と言われる株価が景気にそれほど左右されないインフラ等の銘柄に投資するなど価格変動リスクを避ける動きを取る事が賢明です。
まとめ:株価は様々な要因で変動している
株価変動は一つの要因で決まるのではなく、個々の要因が連鎖的に影響を及ぼし、株価は動きます。金利変動も株価に影響する大きな要素の1つですが、金利変動だけが株価変動につながるとは言い難いです。金利変動がどのような背景によって変動したかも把握することが株式投資を行う上で大切です。よくニュースを見ながら市場動向を観察し投資を行いましょう。
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よくある質問
Q | 株価が上がると金利はどうなるか? |
A | 経済状況が株価主導の時である場合、金利は上がります。 |
Q | なぜ金利を上げるの? |
A | 過熱した市場の抑制を目的としています。利上げによって、株価や物価は下落する傾向にあります。 |
Q | アメリカの利上げの目的は? |
A | 新型コロナウイルスの影響で人手不足や物流の停滞により、一時的に物価の上昇が続いたため、それを抑えるための金融政策です。 |