株主構成のチェックの仕方
株主構成のチェックの仕方
今回は【株主】欄をみていきます。ここには、大株主の上位10名前後のデータが記載されています。順番に上から見ていきましょう。
冒頭の( )内の数字は、株主データを取得した時点を示します。オリンパスの場合、(11.9)ですので11年9月末の株主名簿であることを示します。その右に「単元」とあるのは、1単元(1売買単位)以上の株式を持つ単元株主数を示し、オリンパスの場合は、16,222名の株主がいることがわかります。
その右の「特定」とは、安定株主とみなされる割合と考えて下さい。日経会社情報では単純に、大株主上位10名と役員持分(役員持ち株会を含む)と、自己株式数とを合算した数字となっています。次に、「小口」とは、保有株50単元未満の小口の株主の持株比率です。
一般的に、「単元」株主の数が多いほど、「特定」の比率が低いほど、幅広い層の投資家が保有しているといえます。2行目には、株主のセクター別保有割合を示しています。( )内の数字は、前期末または前中間期末時点の比率です。
それぞれの定義は、以下の通りです。
上記の表では、オリンパスは金融機関の持ち株比率が、今期で51.5%あり、株主名を見ても比較的、安定株主が多いといえます。また、外国籍の法人、個人の持ち株比率は、26.8%ですが、医療機器メーカーとしては、世界的に有名な会社だからなのでしょう。
ちなみに、トヨタ自動車の外国の比率は、24.9%、日産自動車の外国の比率は、67.5%と大きな違いがあります。但し、日産の筆頭株主は、ルノーで43%保有しています。
その下は、「株主名」で、原則として上位10名が掲載されています。株主名のすぐ右の数字は持ち株数で万株単位、その右のカッコ書きの数値は、冒頭の(11.9)時点の持ち株比率で、単位は%、さらに右の数字は、その6ヵ月前の持ち株比率を示します。
ここで注意したいのは、比率が大きく変化している株主がいるかどうかです。大きく変化した時は、何か裏に理由があるかもしれないと疑ってかかりましょう。特に、創業株主や主要株主が持ち株比率を減らしていたなら、その理由を確認したいものです。
オリンパスの上位の株主名に、日本生命、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、テルモ、シンガポール政府投資公社があります。
また、日本マスター信託口や日本トラスティ信託口、日本トラスティ三井住友銀行退職給付信託口、ステートストリートは、どんな投資家なのでしょう?
信託口とは、資産を管理する為の口座のことです。投資家の皆さんや個人の方々が、投資信託を購入したり、年金を支払った場合に、その資金を管理している金融機関の名前と考えて下さい。投資信託や年金の運用担当者が、オリンパスを投資先に選んでいるということなのです。そのように、考えると粉飾決算は、罪が重いですね。皆さんの財産に影響が出る可能性があるのですから。
オリンパスの【株主】欄最後の点線の下の、「自社保有株」とは、当該企業が持つ株で、大株主とは別枠で記載しています。
株主欄の株主構成を見ると、系列の傘下の会社なのか、創業者一族が支配している会社なのかが分かります。
例えば、7739のキャノン電子は、キャノンが53.2%の筆頭株主であり、キャノンの支配下にある会社と分かります。この場合、キャノンがしっかりしていれば、大丈夫と思うでしょう。
一方、コンタクトレンズで有名な7743 (株)シードは、新井隆二氏が17.4%(前号の秋号では、54%)を保有しており、創業者の支配下にあることが分かります。また、取締役に新井隆康氏が名を連ねており、創業家一族の方ではないかと想像できます。筆頭株主の持ち株比率が大きく下落していますが、新しい株主として、みずほ信託15.8%、野村信託11.0%、ソシエテジェネラル信託9.8%が登場しています。
このような場合は、「何かあるかもしれない」と考えるようにしましょう。
次に、【役員】欄にはオリンパスの会長、社長、取締役が、ズラリと並んでいます。前号の秋号の【役員】欄には、今回話題になった、マイケル・ウッドフォード前社長の名前が記載されてます。
なお、最後の「→巻末」は、記載しきれなかった役員名が、巻末の「役員名補遺」に収録されています。
オリンパスも、ちゃんと社外取締役と社外監査役の方がいらっしゃいました。
上場企業は、コーポレートガバナンスを強化する為に、社外取締役か社外監査役を登用するように求められています。
社外取締役と社外監査役の定義は、以下の通りです。
社外取締役は、株式会社の取締役で、その会社や子会社の代表取締役・業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人ではないものをいいます。
社外監査役とは、株式会社の監査役であって、その会社や子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人その他の使用人となったことがないものをいいます。
すなわち、会社と利害関係のない者でなければならないというのが建前となっています。しかしながら、実際には、会社に過去に関係する人であったり、逆に、関係のない人は、当該会社の事業内容が良くわからなかったりで、あまり機能していないようです。
次回は、最終回となります。最後に、MoneyLifeの活用法とまとめをお送りします。