2024年の新NISAでは何が変わる?ロールオーバーが可能になる?

投稿日:2022/10/08 最終更新日:2023/10/10
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新NISAにおける制度変更により投資期間の恒久化や非課税限度額の拡大などが予定されています。また、従来の一般NISAとつみたてNISAについて、併用が可能になったため、より効率的な資産運用が可能に。

一方で、一般NISAで商品の選択肢が狭まるなど、いくつかのデメリットにも注意が必要です。この記事では新NISAの制度変更の概要や変更のメリット、デメリットなどを紹介していきます。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

【2022年12月27日時点】

2024年から新しいNISAの制度がスタートする予定です。すでにルール変更後の制度概要は公表されていて、一般NISA、つみたてNISAはそれぞれ「つみたて投資枠」、「成長投資枠」に名称が変わり、ジュニアNISAは廃止される見込みです。

非課税期間の恒久化や非課税枠の拡充など、投資家にとってメリットがある一方で、従来のNISAから新NISAへロールオーバーができない点もあります。この記事で新NISAの特徴や変更によるメリット、デメリットなどをおさえておきましょう。

新NISAとは?今までのNISAと何が違う?

2024年から新NISAがスタートする予定です。金融庁が現在公表している新NISAの概要は次のとおり。2023年に12月末までが投資期間となっている既存NISAから投資期間が無期限に延長します。

つみたてNISAの非課税対象と同様です。

  • 株式・投資信託等のうち、監理銘柄および整理銘柄に指定されているものと、ヘッジ目的等以外でデリバティブ取引による運用を行っているものは購入することはできません。
  • NISA口座を開設する金融機関は1年単位で変更可能です。ただし、開設済みのNISA口座で既に株式・投資信託等を購入している場合、その年は他の金融機関に変更することはできません。
  • 期間終了後、現行のNISAで運用した商品は新NISAへのロールオーバーは不可能に。

引用先:新しいNISAの概要(金融庁)

一般NISAだけでなく、つみたてNISAやジュニアNISAも合わせて制度変更が予定されています。まずは、新NISAの従来からの変更点について押さえておきましょう。  

新NISAはいつから始まる?

2022年10月時点で、金融庁は新NISAを2024年から開始予定と公表済みです。2024年の最初の営業日から一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAとも新制度がスタートする見込みです。  

2024年NISAに適用される新制度とは?現行NISAからの変更点

新NISAに切り替えられることで、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAそれぞれについて様々な変更点があります。特に今後NISAを使って投資をしたい人は、制度をよく理解しておきましょう。

ここからは、それぞれのNISAの2024年以降の変更点について紹介していきます。

一般NISA

特に変更が大きいのは一般NISAです。具体的には、次の4つの変更が予定されています。

  • 投資可能期間が無制限に
  • 投資枠が年間240万円まで拡大
  • 非課税投資枠が簿価ベースに
  • ロールオーバーのルール変更


現行のNISAの新規の投資可能期間は2023年12月末までです。それぞれ投資を開始した年から最長5年間にわたり非課税となるので、2023年に投資した分は2027年末まで非課税で運用が可能です。新NISAへの移行は不可能になっています。

加えて、従来の一般NISAでは年間の投資枠が120万円まででしたが、新NISAでは「成長投資枠」の名称で年間240万円までに拡大しました。

また、新NISAの大きな特徴が、非課税投資枠が簿価ベースで管理されていることです。従来の一般NISAでは年間の投資額が120万円までと定められていました。そのため、120万円の内50万円を使い、その後商品を売却しても、50万円分の投資額は復活しませんでした。しかし、新NISAでは投資枠を簿価ベースで管理することで、売却時に枠を再利用することが可能になりました。

また、これまで残りの102万円が該当する2階部分は現行のNISAと同じ商品、すなわち上場株式やREIT、つみたて部分より幅広い投資信託やETFに投資が可能と言われていました。しかし、2022年12月16日の税制改正大綱では、2階建ての案はなくなりました。


非課税投資枠の2階建て構造を説明する図
非課税投資枠の2階建て構造を説明する図

最後に投資中のロールオーバーについて手続きが不要になりました。これまで非課税保有期間が定まっていたため、期間を経過した場合、ロールオーバーの手続きが必要でした。しかし、新NISAでは制度の恒久化により、ロールオーバーの手続きはなくなりました。

つみたてNISA

つみたてNISAでは投資できる期間が2022年10月時点では2037年までとなっていますが、新制度の元では2042年まで延長になりました。これまで以上に長い期間にわたって継続投資をしやすい制度となるため、特に若い人など、投資できる期間がまだ長い人のニーズをふまえた変更といえます。

また、「つみたて投資枠」という名称で、年間投資枠の上限が40万円から120万円と3倍になりました。

ジュニアNISA

ジュニアNISAについては2023年12月をもって廃止となります。ジュニアNISAについては口座名義者が18歳まで引き出せないというルールがあり、不便な面もありました。2024年以降はNISAに切り替えて子供の資産形成などを進めていけばよいでしょう。

なお、2023年末時点でジュニアNISAに入れてしまっている資産については、口座名義者が18歳になるまで非課税で運用が可能です。一方で、ジュニアNISAとして保有している資産の売却もできるようになります。

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新NISAにおけるロールオーバー制度とは?

新NISAの大きな変更点として「ロールオーバー制度」の変更があります。ロールオーバーをうまく活用すれば、保有銘柄の非課税期間をさらに延長して運用を続けることが可能に。制度について詳しくみていきましょう。

ロールオーバー制度とは?

NISAにおいて、一つの投資資産が非課税となる期間は5年間です。しかし、ロールオーバーによって、非課税期間が終了した資産に、その時点からもう一度NISA枠を充当することで非課税のまま継続投資が可能です。この制度自体は従来のNISAにもあり、長期で一つの銘柄を保有したい人に活用されていました。

新NISAにおいてはこのロールオーバーを異なるNISA間で行えるなど、より便利な形でルールが変更されています。詳しくみていきましょう。

一般NISAから新NISAにロールオーバー

一般NISAで運用している資産は、新NISAにロールオーバーができるように制度の検討がなされていました。しかし、現行の一般NISAから新NISAへのロールオーバーは不可という事が金融庁から公表されています。

ロールオーバーの手順を説明した図

ロールオーバーの手順を説明した図

つみたてNISAから新NISAにロールオーバー

つみたてNISAから新NISAへのロールオーバーも検討されていましたが、結局不可となりました。現行制度から新NISAへのロールオーバーはつみたてNISAでも不可と金融庁が公表しています。

新NISAからつみたてNISAへのロールオーバー

新NISAからつみたてNISAへのロールオーバー

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新NISAとつみたてNISAのどっちがおすすめ?

非課税での運用を考えるときに、新NISAとつみたてNISAのどちらがよいのか悩んでしまう人も少なくありません。これまでは、一般NISAとつみたてNISAの併用ができないため、必ずどちらかを選択しなければなりませんでした。しかし、新NISAでは、併用が可能になり、より柔軟に資産形成ができるようになりました。

新NISAと旧NISAの違い

新NISAと旧NISAの違いは大きく次の4つです。

  • 一般とつみたての併用が可能に
  • 投資期間の無制限化
  • 上限金額が増加
  • 枠の再利用が可能に


新NISAの大きな特徴として、一般とつみたての併用が可能なことです。これまでは一般NISAとつみたてNISAはどちらか1つしか開設できませんでした。しかし、併用が可能になったことで、自分のライフプランに合わせた資産形成ができるようになりました。

投資期間は新NISAについては無制限になりました。つみたてNISAは最大で20年、一般NISAは最大で5年と決まっていましたが、新NISAでは投資可能期間が無制限になり、自分のタイミングに合わせてNISAを使って投資ができるようになります。

最後に実は従来のつみたてNISA及び一般NISAそれぞれの年間の投資上限が増加しました。つみたてNISAは「つみたて投資枠」という名称で年間120万円まで、一般NISAは「成長投資枠」という名称で年間240万円までに増加しました。併用が可能になったことで、1年間で最大360万円までNISAで投資できるようになります。

10年単位の長期投資がしたい方はつみたて投資枠

10年単位の投資期間で一つの商品を継続的に運用したい場合はつみたて投資枠の方がおすすめです。長期にわたって投資を継続すると投資成績が大きく変わってくるでしょう。現行のNISAにも積み立て枠はあるものの、非課税の適用期間が決まっており、節税効果は新NISAと比較すると限定的です。               

まとまった資金で投資がしたい方は成長投資枠

すでに大きな投資資金があり、一気に運用を開始したい人は成長投資枠が適しています。新NISAの方が年間の非課税枠の上限が大きいため、より多くの投資元本部分を非課税にできるからです。

また、投資資金が大きい人は、複数の資産に分散投資するのが安定運用の上で有効になります。また、投資枠が簿価ベースになったことで再利用可能となり、その点でも旧NISAより優位といえるでしょう。

新NISAは改悪?メリットとデメリットまとめ                

新NISAでは事実上、一部商品が既存のNISAから投資対象から外れることになります。この部分にデメリットを感じて、新NISAを制度の改悪と考えている人も少なくありません。実際には新NISAにはメリットも複数あるので、メリット、デメリット双方を比較して、うまく活用することが大切です。                   

新NISAのメリット

新NISAのメリットは大きく分けて次の二つとなります。

  • 投資可能期間の恒久化
  • 非課税枠の増額
  • つみたてと一般の併用が可能


新NISAの大きな特徴として非課税の適用期間が無制限になることがあります。より長期間にわたり非課税で運用できるようになったことは、明らかにメリットといえるでしょう。また、年間の投資可能な枠がつみたてと一般それぞれ増加した点も大きいです。

最後につみたてと一般の併用可能により、年間の投資上限枠が事実上360万円まで拡大しました。ただし、最大利用可能額は1,800万円まで定められており、内数として成長投資枠(今の一般NISA)は1,200万円までと決まっています。つまり、新NISAでは最大で1,800万円まで利用できますが、その内成長投資枠に利用できるのは1,200万円までと決まっています。一方、つみたて投資枠には制限がないため、上限の1,800万円を全てつみたて投資に充てることもできます。      

新NISAのデメリット

新NISAのデメリットは次の二つです。

  • 投資対象外の商品が増える
  • 現行のNISAから新NISAへのロールオーバーができない


NISAから新NISAに移行する際、次のような商品が対象外になります。

  • 整理銘柄・管理銘柄となっている株式
  • レバレッジ型の投資信託・ETF


経営状態が急激に悪化していたり上場基準を満たせなくなったりした銘柄は、整理銘柄や管理銘柄に入れられます。状況が改善しなければ、その後上場廃止などの措置がとられる可能性もあるため、こうした銘柄は急激な価格変動のリスクが大きい傾向にあります。個人投資家が運用する商品として不適切であることから、新NISAでは購入ができません。

また、特定の市場の数倍の値動きを示すレバレッジ商品、及び市場と逆の動きをするインバース(もしくはベア)商品は、短期での売買に適したもので、個人の長期投資を促すNISA本来の目的にそぐわないため、除外される予定です。

そのほか、現行のNISAから2024年からスタートするNISAにロールオーバーできない点もデメリットと言えます。現行のNISAと新NISAは独立したものと見なした方がよく、現行のNISAで運用している商品には投資可能な期間が決まっているの注意しましょう。

まとめ

2024年からスタートする新NISAにより、非課税期間を延長させることが可能に。合わせてつみたてNISAでも、より長期の積み立てができるようになります。新NISAでは制度の併用が可能となり、さらに大きな金額を年間で運用できるように。制度の改変で、一見煩わしくも見えますが、長期にわたって少しずつ資金を投資に回すことで、着実な資産形成が図れる制度です。

新NISAと現行のNISAの制度を比較して、より自分の投資スタイルや資産運用方針にあった制度を利用してください。

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よくある質問

Q

新NISAの注意点は?

A

特に注意すべきは総額が1,800万円までNISAで運用できるようになりましたが、内数として成長投資枠(今の一般NISA)は1,200万円までと上限があります。

Q

非課税期間を満了した時に損失が出ていた場合はロールオーバーしない方がいい?

A

現行のNISAでは保有期間が終了した商品を一般口座にロールオーバーできます。損失が出ていてもロールオーバーをする意義がないわけではありません。下落した商品がその後反転して、利益獲得につながる可能性があるからです。ロールオーバーの要否は、非課税期間の満了時の損益ではなく、将来にわたってその資産が成長して価格上昇が期待できるかをふまえて決めましょう。

Q

つみたてNISAでもロールオーバーはできる?

A

つみたてNISAはロールオーバーができない仕組みになっています。また、現行のつみたてNISAで運用した商品を新NISAにロールオーバーすることもできません。 

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