家計の資産構成について見てみよう
正しく資産運用するためには、現在の家計の資産構成について把握しておくことは必要不可欠です。そこでまずは、日本の家計の資産構成の事実について確認していきましょう。
日本の投資比率は海外より低い
2021年に日本銀行調査統計局が発表した「資金循環の日米欧比較」から、日本における家計の金融資産構成のうち、株式など投資に回す金額の比率は海外より低いということがわかっています。具体的には、2021年3月末時点の日本の家計の金融資産構成を見ると、日本の株式等が占める割合は10.0%であるのに対し、米国は37.8%、ユーロエリアは18.2%でした。
投資信託や債務証券を見ても米国やユーロエリアの比率を下回っており、日本の投資比率は海外より低いことがわかっています。日本・米国・ユーロエリアを比較すると、特に米国の投資比率が圧倒的に高いため、ここからは、米国の投資比率が高い理由を解説します。
米国は「お金に働いてもらう」という考え
米国の投資比率が高い理由は、「お金に働いてもらう」という資産運用の基本的な考え方が米国では浸透しているからです。そのため、米国人は積極的に投資活動をしており、日本に比べると投資比率が圧倒的に高い結果となっています。
しかし最適なバランスは人それぞれ
ここまで、日本と欧米国の投資比率を比較しました。平均的な投資比率については今まで見てきた通りですが、結局のところ資産構成の最適なバランスは人それぞれです。そのため、「周りが投資活動を積極的にしているから自分も投資活動しなければ」などと焦る必要はなく、周りに流されずに自分の最適なバランスで資産構成することが最も大切です。
貯蓄・投資・保険のメリット・デメリット
資産を構成する主な要素は貯蓄・投資・保険です。そこでここからは、貯蓄・投資・保険それぞれのメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。それぞれのメリットとデメリットを把握し、最適な資産構成づくりの参考にしましょう。
貯蓄のメリット・デメリット
まずは、ほとんどの人が行っている貯蓄のメリットとデメリットについてご紹介します。着実に資産を増やせる貯蓄のメリットとデメリットは以下の通りです。
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メリットとデメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
まず、貯蓄には元本割れのリスクがほとんどないという大きなメリットがあります。特に、積立定期預金であれば元本が保証されているため元本割れによる損失の心配はなく、着実に資産を増やせます。また、必要なときにすぐに使える点もメリットです。
長い人生では、怪我や病気で急にお金が必要になるという場面に見舞われることも少なくありません。投資は損失が発生しているタイミングや売却期間が設けられている場合は、急にお金が必要になっても投資資金を使うことはできません。
一方で、貯蓄は必要なときにすぐに使えるという安心感があります。
さらに、誰でも簡単にできる点も貯蓄のメリットです。さまざまな貯蓄の方法があるため、自分に合った方法が見つけやすく簡単に始めることができます。
ただし、銀行の定期預金の平均年利率は0.006%(2022年3月末時点)と低金利であるため、100万円を預けても60円の利息しかつかず、貯蓄は増え方が小さいというデメリットがあります。貯蓄は投資のように大きなリターンはあまり期待できません。
また、必要なときに使えるという気軽さは、無駄遣いしやすいというデメリットにもつながります。貯蓄する際には、無駄遣いしないように強い意志を持って行わなければなりません。
貯蓄の注意点
貯蓄をする際には複数の注意点があります。貯蓄の主な注意点は以下の通りです。
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まず、貯蓄はリスクが全くなく安心して資産形成できると思われがちですが、リスクが全くないというわけではありません。貯蓄には、信用リスクや天災リスク、盗難リスクなど、複数のリスクがあることを覚えておきましょう。
また、インフレによる資産の目減りにも注意が必要です。インフレとは物価が高くなる情勢のことですが、同時にお金の価値も目減りします。インフレ時に現金で貯蓄していると、物価が高くなっても現金は増えないため、資産価値が減って損する可能性があります。貯蓄する際は、経済状況にも目を向け、インフレ傾向にある場合は特に注意が必要です。
投資のメリット・デメリット
次に、投資のメリットとデメリットについてご紹介します。投資のメリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。
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まず、投資にはリターンが大きいというメリットがあります。投資には複数の種類がありますが、投資の方法や投資額によっては大きなリターンが期待できます。資産を一気に増やしたい場合は、投資が最も効率的と言えるでしょう。
また、不労所得を得られる点もメリットです。例えば、不動産投資をしてアパートの一室を貸せば、家賃を毎月受け取れます。このように、安定的にリターンが得られる場合は不労所得も夢ではありません。
一方で、投資にリスクはつきものです。例えば、投資した株式が購入した際の株価よりも下がれば、投資額が大きくなるほど損失も大きくなります。投資は一気に資産を増やせる可能性もありますが、損失も出やすいというデメリットを覚えておきましょう。
また、投資はすぐに利益が出るわけではありません。投資には複数の種類があるため短期投資であればすぐに利益が得られる場合もあります。しかし、ほとんどのケースで利益が出るまでには一定の時間がかかります。
投資の注意点
投資には、以下のような注意点があることを把握しておきましょう。
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まず、リスクを小さくする方法として長期投資や分散投資を選択肢に入れましょう。投資は貯蓄や保険に比べてリスクが大きく、損失が出やすいという特徴があります。そのため、投資で失敗しないためにはリスクをなるべく小さくすることが重要です。
また、知識を身に付けずに無闇に投資を始めることは避けてください。投資には専門的な知識が必要で、なんとなくで始めると大きな損失になる危険があるからです。投資を始める際は、基礎知識を身につけることもリスクを小さくする上で必要不可欠です。
最後に、投資している間は定期的にニュースを確認するよう意識しましょう。投資は経済状況に大きく左右されるからです。経済状況が悪化して投資しているものに影響を与える可能性がある場合は、早めに売却して損失を小さくしましょう。
保険のメリット・デメリット
最後に、保険のメリットとデメリットについてご紹介します。
保険は万が一に備えるために加入するものですが、資産運用が可能な商品もあります「貯蓄型保険」という保険です。「貯蓄型保険」には解約返戻金や満期保険金商品によっては払い込み保険料以上の額を解約返戻金や満期保険金として受け取ることが可能です。
保険の主なメリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。
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保険は万が一のために備えるために加入するものですが、資産運用が可能な商品もあります。「貯蓄型保険」という保険です。「貯蓄型保険」には解約返戻金や満期保険金があります。解約返戻金や満期保険金商品によっては払込保険料以上の金額を解約返戻金や満期保険金として受け取ることが可能です。
保険には預金よりもリターンが大きいというメリットがあります。現在、日本は低金利が続いており、預金の定期預金の金利は0.006%程度とごく僅かです。しかし、ある保険会社からは積立利率が3%のドル建終身保険が販売されていたりするため、預金に比べると保険の方が多くのリターンが期待できます。ただしリターンは保険内容や保険会社によって異なるため、預金とほぼ変わらないというケースもあります。
無駄遣いの心配がない点も保険のメリットです。保険に加入すると、保険料が自動的に引き落とされ、積み立てたお金を引き出すためには手続きが必要となるため、無駄遣いを防止できます。さらに、病気や怪我などの万が一の時に保険として機能できる点もメリットです。病気や怪我の治療、事故を起こした場合には多額の費用がかかります。
しかし、保険に加入していればこれらの費用の全額または一部を保証してくれるため、万が一の時の負担が大幅に軽減できます。資産形成としてだけではなく、万が一の備えにもなることは保険ならではのメリットです。
一方で、保険には期待できるリターンが小さいというデメリットもあります。前述の通り、預金に比べると大きなリターンが期待できます。しかし、投資に比べるとリターンは小さいため、大きく資産を増やしたい人には不向きです。
また、早期解約すると元本割れする点も保険のデメリットです。あくまでも保険商品の本質は、万が一の時の保障であるため、月々の保険料が全て資産運用に使われるわけではありません。保険料のうち数割が保障部分、残りが運用部分に使われるため、運用部分が払い込んだ保険料の総額よりも増える前に解約してしまうと元本割れが発生してしまいます。
保険の注意点
保険の加入を検討する場合は、以下のような注意点があることを覚えておきましょう。
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まず、保険には医療保険や死亡保険などさまざまな種類があり、保障内容を手厚くしすぎてしまうと月々の保険料が高額になり、生活を圧迫してしまう場合があります。今後のための資産運用が現在の生活を圧迫してしまうと、ケガや入院以外の急な出費に対応できなくなってしまうので、保険料や保障内容から、最適な保険を選びましょう。
また、さまざまな種類がある保険の特徴から、全ての保険が貯蓄用として機能するわけではないという注意点もあります。多くの場合、ケガや入院を保障する医療保険(掛け捨て型)は、貯蓄機能が備わっていないため、貯蓄用には不向きです。保険を貯蓄用として機能させるためにも、最適な保険を選ぶことが重要です。
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資産バランスを決めるためにすべきこと
資産運用を効率良くするためには、資産バランスを良くすることが大切です。そこで、資産バランスを決めるためにまずは以下の4点を行いましょう。
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それぞれについて詳しく見ていきましょう。
目的をはっきりさせる
まず、何のために資産を残しておくのかを明確にしましょう。資産を残す目的に応じて資産バランスの割合が大きく変わります。資産を残す目的は、養育費、結婚費用、老後資金、お小遣いなどさまざまです。
資産運用を始めたい場合は、初めに資産を残す目的を明確に決めておきましょう。
目標金額を決める
資産を残しておく目的を明確化したら、自分が決めた「目的」のためにはいくらが必要なのか、いくらを目指したいのかといった目標金額を決めましょう。目標金額が決まれば、投資する方法や投資期間、利益を受け取るタイミングなど、今後の投資活動を明確化できます。
資産を増やす目的とともに、目標金額も明確に決めておきましょう。
投資期間を決める
次に、その目的・目標のためには、どのくらいの投資期間が必要なのかを決めます。投資期間を明確にすれば、必要以上に利益を増やそうとして損失につながるリスクを軽減できます。
投資には短期投資と長期投資があります。投資初心者は、損失のリスクを少なくするために、長期投資でコツコツと利益を増やすことをおすすめします。資産運用する目的や目標金額から、投資期間も明確に決めておきましょう。
リスクをどのくらい受け入れられるか決める
最後に、リスクの許容度を明確にします。資産運用の前提として、資産を増やしたいのであればそれに応じたリスクが伴ってくるということを念頭に置いておかなければなりません。自分の決めた目的や目標金額を踏まえた上で、どのくらいまでリスクを許容できるか決めておくことも重要です。
ここからは、資産運用に伴うリスクの種類や許容度の決め方をご紹介します。
リスクの種類
投資にはさまざまなリスクが伴いますが、主なリスクは以下の通りです。
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リスクの種類と概要を知り、資産バランスの決め方に役立てましょう。
ライフスタイルによって許容度は異なる
リスク許容度は、自分のライフスタイルによって異なります。例えば、既婚・子供持ちで働き盛りの人より未婚の若い人の方が家族に使う支出が少なく、損失が出た際もカバーする時間があるため、リスク許容度は高く設定しやすいです。
また、資産が十分にあって資産運用に使える資産が多くある場合は、その分とれるリスクも大きくなります。このように、ライフスタイルや現在の資産状況を冷静に判断した上で、リスク許容度を決めましょう。
資産バランスを決める際のポイント
資産バランスを適切に決めるために、以下のポイントを意識しましょう。
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それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
安全資産(貯金)もきちんと組み込んでおく
まず、投資により資産が減る可能性も踏まえて、安全資産として預貯金もきちんと残しておくようにしましょう。資産運用は、将来のための資産を増やすことを目的に行います。
しかし、将来のための資産運用によって現在の資産がなくなっては元も子もありません。現在の生活がままならなくなることを防ぐためにも預貯金は残しておき、資産運用で損失が出た場合もその預貯金は使わないように徹底してください。
最適なバランスは人によって異なる
繰り返しにはなりますが、最適な資産バランスは人によって異なります。そのため、資産バランスは自分のライフスタイルに合わせて決めることが最も重要です。
最適な資産バランスを決めるためにも、まずは自分のライフスタイルを客観的に見てみましょう。自分のライフスタイルを正確に把握することで、最適な資産バランスが決められます。
積極的に国の制度も活用
資産バランスを決める際には、NISAやiDeCoなど国の制度も活用しましょう。現在、日本では資産運用に活用できる制度が多数登場しています。
NISAとは投資による運用益や株式投資の配当金などが非課税になる制度のこと、iDeCoとは毎月一定の掛金を支払うことで将来の年金を作る制度のことです。資産運用による税金の負担は意外と大きいため、非課税になるNISAは税金の負担を軽減するために有効に活用できます。
また、iDeCoも自動的に毎月一定額を支払うことで、将来年金を受け取れるため資産運用に最適な制度です。これらの国の制度を積極的に活用し、効率良く資産運用をしましょう。
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まとめ
将来を見据えて若いうちから資産運用をすれば、年を取っても安心して過ごすための準備ができます。しかし、資産運用はリスクが伴うため、闇雲に資産運用を始めると現在の生活も脅かす可能性があります。そのため、資産運用を最適に行うための方法や事前に決めておくべきことを明確化し、着実に資産を増やせるようにしましょう。
資産バランスはそれぞれのライフスタイルで異なります。資産運用を始めたい場合は、まずは自分のライフスタイルを正確に把握した上で資産バランスを決め、最適な資産運用の方法を選びましょう。
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