「人生のほとんどは、お金の問題である」
なんて言ったら、若い読者は怒るかもしれません。「友情や信頼関係のほうが大事!」とか「愛情だったり彼女の幸せのほうが大事では?」と思う人も多いはずです。
しかし、これからの人生を楽しく幸せに乗り切っていくためには、お金の問題を避けては通れません。少なくとも、自分自身が困らない程度の食べ物を得て、雨風をしのげる場所を持たなければ、落ち着いて暮らしていくことはできません。そのためにはお金が必ず必要になります。友人や交際相手と連絡を取るために携帯電話やスマホを持ちたければ、これも維持費がかかります。
もしパートナーを見つけて結婚したり、子どもが生まれれば、家族を守っていくためにお金が必要になります。家を買うならこれまたお金が必要です。生きていくということは程度の違いこそあれ、やはりお金の問題なのです。
しかし、日本人のほとんどが、お金について体系的な教育を受けてきていません。お金のことを考えるのはよくないことである、といった風潮も根強く、きちんとお金と向き合わずに社会人になって30歳や40歳になる人も多いのが現状です。ぜひ、このシリーズを通して、ライフプランとお金について考えてみてください。
さて、人生においてお金はどれくらい必要になるでしょうか?
シリーズの最初は、 これからの人生で必要となるお金について考えてみるところからスタートします。
まず、日常生活費そのものも、長い目で見ると大きな金額の出費です。20代は毎月手取り15万円くらいでやりくりしている世帯も多いと思いますが、このまま60歳まで暮らしただけでも、6,840万円もかかってしまうほどです。実際には40歳代や50歳代ではもっとお金がかかる生活になるでしょうから、私たちは生きていくだけで1億円以上使うことになります。この費用については個人差が大きいのも特徴で、2億円以上使う人もいます。少なくともいえることは、自分が必要とする生活費に見合う程度は、自分たちでしっかり稼がなければいけないということです。
家を買う場合、全額をキャッシュで払うことはほぼ不可能です。頭金を用意して足りない分を住宅ローンにするのが一般的です。賃貸暮らしの場合は家賃を支払います。仮に3,000万円の住宅ローンを組むと、返済までに4,500万円くらい返済します(35年ローン、年2.5%として)。もちろん利息が乗ってくるからです。賃貸暮らしをずっと続けるとすれば、仮に8万円の家賃であっても、22歳から85歳まで払い続ければ6,048万円の出費です。「衣食住」のうち「住む」というのも人生において大きな出費といえます。
結婚して子どもが生まれた場合、子育てのお金が大きな問題となります。子どものための出費は毎日の生活費の中でやりくりしますが、未就学児(保育園等通園)は年間120万円、小学生は年間115万円、中学生は年間155万円かかるという国の調査もあります(平成21年度「インターネットによる子育て費用に関する調査」内閣府)。年間100万円としても15年育て上げるだけで1500万円の費用になります。子どもが2人いればほぼ2倍です(実際にはやや少なくなる)。
子どもが大きくなると、高等教育にかかる費用が大きな負担となって顕在化します。高校の入学から大学の卒業まで、1031万円もかかるという調査があるほどです(平成24年度「教育費負担の実態調査結果」日本政策金融公庫)。特に高校と大学の学費については計画的に準備しておく必要があります。
最後に忘れてはいけないのは、「老後のお金」です。現在でも公的年金だけでは毎月4〜5万円ほど不足しており、預貯金などを取り崩しているのが日本人の老後です。公的年金は長生きする限り何年でも受け続けられるメリットがあるものの、老後を豊かにしてくれるほどの水準ではありません。
ところが、老後はどんどん長くなっており、65歳リタイアとしても男性で19年、女性で24年は平均して老後があります。女性では90歳以上まで長生きされることは珍しくありません。仮に25年のあいだ、毎月5万円足りないとすれば、なんと1500万円もお金が必要、ということになるほどです。実際にはもっと必要になるかもしれません。
これから必要になるお金の金額を考えてみよう
人生の多くのイベントは、お金の問題であり、やりくりの問題でもあります。お金のことをまったく考えずに家を選んだり、子育てしたり、老後を送ることはできません。また、お金がかかるイベントが近づいてからはじめてお金のことを考えるのでは遅すぎます。
どれくらいお金がかかるか、将来を意識し、できれば計画的に備えておくことが重要になってきています。また、何でも無制限に予算は立てられるものではないので、自分にちょうどいい費用はどれくらいか考えることも重要です。
お金の問題はなんとなくやりくりできるものではなくなりました。意識的に資産形成に取り組み、利用できる選択肢は有効活用していく姿勢が必要です。特に預貯金以外の選択肢として投資信託や株式等のリスク資産の活用と、税制優遇を受けられる口座の活用が、ポイントになってきます。
このシリーズではいろんなライフステージに焦点を合わせ、お金の問題について考えていきたいと思います。
執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔
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