株式を学ぶ (実践編)

【第8回】年金?一時金?〜トクするもらい方と税金の関係 - 退職・年金ナビ

最終更新:2013/06/27 15:44

退職・年金ナビ [ 退職金・企業年金の基礎知識 ]

【第8回】

年金?一時金?〜トクするもらい方と税金の関係

ポイント
  • 一時金でもらうと大きな税制優遇がありほとんど非課税
  • 企業年金受け取りは特別な控除枠があるものの課税対象になる
  • 税制的損得は今のところ一時金に分があるので上手に活用する
  • 選択肢がある場合は税制優遇とライフプランのバランスで考える
今回は、退職金(一時金)と企業年金の受け取りについて、税金面から見てみたいと思います。長年の働きにもとづく受け取りであることが考慮され、どちらも税制優遇が認められているのですが、上手な活用を考えてみたいところです。
 

■退職一時金は大きな税制優遇枠がある

 
まず、退職一時金について考えてみます。退職時に一括で受け取るお金については、長年の働きにもとづく受け取りであり、また老後の貴重な財産になりうることが考慮され、大きな税制優遇枠が設けられています。非課税枠は以下の計算式のとおりです。
 
退職金控除額の計算式
 
簡単にいえば、勤続20年までの期間は年間40万円、それ以降は年間70万円ずつの退職金の控除枠が増えていくということです。大卒60歳定年退職(勤続38年)なら、2060万円までの退職金は非課税で受け取れます。
また、オーバーした分についても課税対象となるのは2分の1となっており、税金の負担がかなり軽減されている仕組みとなっています。
制度としては退職一時金制度(いわゆる退職金制度)がこれに該当しますが、企業年金の一部ないし全部を一括で受け取る場合、中小企業退職金共済から退職金(一時金)を受け取る場合なども、退職所得控除の税制優遇を利用することになります。
また、個人型の確定拠出年金、企業型の確定拠出年金にマッチング拠出した分(自分で追加入金した額とその運用益)、小規模企業共済の受け取りも退職所得控除の対象となります。この場合は掛金を納めていた加入期間を勤続期間とみなします。
 

■企業年金受け取りは

 
企業年金を年金払いで受け取った場合には、その所得を雑所得として公的年金と合算して税金の計算をします。公的年金や企業年金については以下の控除枠があり、これを超えた分が課税対象となります。
 
退職金控除額の計算式
年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が70万円以下の場合、所得税は非課税)
70万1円以上130万円未満 100% 70万円
130万円以上410万円未満 75% 37.5万円
410万円以上770万円未満 85% 78.5万円
770万円以上 95% 155.5万円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が120万円以下の場合、所得税は非課税)
120万1円以上330万円未満 100% 120万円
330万円以上410万円未満 75% 37.5万円
410万円以上770万円未満 85% 78.5万円
770万円以上 95% 155.5万円
 
そのまま普通に課税されるわけではなく、所得が低くみなされる扱いはありますが、一般的な会社員であれば厚生年金の受取額の段階で課税対象となっていることが多く、企業年金の受取額も課税対象となります。
一般的には7.5%の源泉徴収を予め行い、翌年の確定申告で還付金を受け取る(もらえる場合)方法が取られています。
なお、自営業者等が利用する国民年金基金、個人型の確定拠出年金、小規模企業共済を分割受取(年金受取)する場合も公的年金等控除の対象となります。
 

■税制的に見れば一時金受取は有利だが...

 
比べてみますと、一時金受取のほうが無条件で勤続年数に従って非課税枠が増えていくうえ、非課税枠は高額です。課税対象となる金額も半分になるため、有利に見えると思います。というのも、税制改正の流れとして先行して公的年金等の課税強化が行われた関係で、企業年金受取より一時金受取が有利になっている状態です。
おそらくいつかは、退職一時金の税制について課税強化が実施されると思われます。しかし、政治的な問題もありそのタイミングは分かりません。退職直前には、必ず最新の税制を確認するようにしてください(一般に12月に改正大綱が示され、翌年の4月から反映されることが多い)。
 

■選択肢がある場合はバランスを考えて選択する

 
企業年金については、年金受取と一時金受取のどちらかを自分で選べる仕組みがあります。この場合はどちらが得をする選択肢か、自ら選ぶことができます。ライフプラン等も考慮しながら検討してみたいところです。
このとき、退職金で受け取ると1000万円非課税で丸ごと受けられるものが、企業年金で受け取ると1000万円から税金が引かれると判断するのは早計です。実際には年金受取をすると利息も上積みされ、1200万円前後受け取ることになるのが一般的です(利率や受取年数による)。受け取りの条件によっては、税金を差し引いてもそれほど損得がないことがあります。
また、終身年金の選択肢がある場合には長生きする限り、何年でも支給が受けられるため、寿命が延びているご時世において明らかに有利な選択肢です(逆に早くに亡くなった場合は一定額の受け取りが保証されている)。
一時金で受け取ってしまうより、定期的に振り込まれる(隔月振込が一般的)年金受取のほうが生活の安定収入としてやりくりがしやすい、という人もいることでしょう。
選択肢についても「一時金100%か年金100%」の二者択一だけでなく「一時金50:年金50」「一時金25:年金75」「一時金75:年金25」のように細かく刻むことができる場合があります。
企業年金については、受取条件等を総合的に勘案しながら検討するといいでしょう。
 
退職金控除額の計算式
 
※1、※2 : 税制上の見直しが検討されている項目であり、国税庁ホームページ等で最新の情報の確認をお願いします。
執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔
掲載日:2011年月04月22日
更新日:2014年月04月25日
 

この特集のバックナンバー

退職・年金ナビ 記事一覧


その他の記事を見る

株式初心者入門

something
株式初心者入門
老後資金は平均いくら必要?年金だけでは足りない?いまからでも間に合う資産形成について徹底解説!
2022/04/28 10:13
something
株式初心者入門
【資産運用】資産を効率的に増やすなら貯金・節約・資産運用どの方法がいい?
2022/03/16 16:14
something
株式初心者入門
【資産運用】初心者向け!資産運用を始める時のポイントについて解説 - ゼロから始める資産運用
2022/03/10 17:32
something
株式初心者入門
【資産運用】初心者におすすめの少額投資!ミニ株や積立投資について徹底解説!
2022/03/10 17:18
something
株式初心者入門
【資産運用】今すぐ始めるべき理由とは?初心者におすすめの運用方法をご紹介!
2022/02/25 16:41
something
株式初心者入門
初心者向け!基本的な株の取引方法まとめ -ゼロからはじめる株式投資-
2022/01/10 17:39
株式初心者入門の記事一覧へ

株式を学ぶ (基礎編)

something
株式を学ぶ (基礎編)
日経平均を見て一喜一憂するなかれ
2022/05/09 16:19
something
株式を学ぶ (基礎編)
【第7回】株価はどんな要因で形成されるのか - 株式投資に必要な財務データの読み方
2022/05/09 16:06
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−1−「インフレヘッジになる株」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第4回) - 株式
2022/05/09 16:02
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−2−「インフレとデフレ」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第5回) - 株式
2022/05/09 16:01
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−3−「株価と地価の相関関係」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第6回) - 株式
2022/05/09 16:01
something
株式を学ぶ (基礎編)
外人買いとか外人売りとか。それってナニ?
2022/05/09 15:05
something
株式を学ぶ (基礎編)
テーマ株の特徴は?投資戦略はどう考える?
2022/05/09 14:08
something
株式を学ぶ (基礎編)
マイナス金利、あなたの生活は?そして株価は?
2022/05/09 12:19
something
株式を学ぶ (基礎編)
株にもイロイロありまして
2022/05/09 03:28
something
株式を学ぶ (基礎編)
これから初めて株を買います!必要な心構えや行動は?
2022/05/09 01:45
something
株式を学ぶ (基礎編)
グロース株・バリュー株とは?どちらに投資すればいい?違い・特徴について徹底解説!
2022/02/25 16:38
something
株式を学ぶ (基礎編)
【株式投資】株価の割高・割安ってどう見極めればいい?判断する指標を噛み砕いて解説!
2022/02/01 15:08
株式を学ぶ (基礎編)の記事一覧へ

株式を学ぶ (実践編)

something
株式を学ぶ (実践編)
【第8回】株価の推移の確認の仕方と株価の分析指標の本当の意味 - 株式投資に必要な財務データの読み方
2022/05/09 16:06
something
株式を学ぶ (実践編)
【第2回】公的年金が破綻しない理由と破綻しなくても安心できない理由(後編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
something
株式を学ぶ (実践編)
【第1回】公的年金が破綻しない理由と破綻しなくても安心できない理由(前編) - 退職・年金ナビ
2022/05/08 15:45
something
株式を学ぶ (実践編)
40代から家を買う?ずっと借りる?(1) 〜コストの比較〜【第6回】 - 退職・年金ナビ
2022/03/27 15:44
something
株式を学ぶ (実践編)
会社四季報の活用方法と読み方のポイント
2022/03/25 09:32
something
株式を学ぶ (実践編)
2022年コロナ変異株の日本株式市場への影響は?後半には大きく巻き返せるのか?
2022/03/18 13:28
something
株式を学ぶ (実践編)
株主優待と配当金との違いって?いつまでに買えばもらえるのか?権利取得までわかりやすく解説!
2022/03/16 15:04
something
株式を学ぶ (実践編)
株にかかる税金は高い?株の税金について徹底解説
2022/03/16 13:07
something
株式を学ぶ (実践編)
インカムゲインとキャピタルゲインの違いとは?運用方法や選び方について分かりやすく解説!
2022/03/10 17:31
something
株式を学ぶ (実践編)
日経平均株価とTOPIXの違いは?各指数の特徴とチャートの見方について分かりやすく解説!
2022/03/10 17:30
something
株式を学ぶ (実践編)
自社株買いとは?株価が上がる本当の理由とメリット・デメリットについてわかりやすく解説
2022/03/10 13:27
something
株式を学ぶ (実践編)
投資リスクを減らす「分散投資」と「長期投資」について徹底解説!
2022/02/25 16:39
株式を学ぶ (実践編)の記事一覧へ

資産運用

something
資産運用
65歳以上の具体的なアセット・アロケーションとは - 退職・年金ナビ
2022/06/27 15:45
something
資産運用
【資産運用】資産運用に失敗する人の特徴とは?失敗しないためのコツや注意点について徹底解説!
2022/05/10 15:52
something
資産運用
【資産運用】初心者が投資を始めやすい資産運用「つみたてNISA」とは?
2022/05/10 12:40
something
資産運用
60代のNISA活用のポイント 〜年金生活に入っても無理なくNISAを活用しよう! - 世代別NISA活用術
2022/05/10 12:34
something
資産運用
NISAを使って老後のお金を貯める方法〜ロールオーバーがポイント!
2022/05/10 11:28
something
資産運用
NISA×DC〜おろせない仕組みとおろせる仕組みをうまく組み合わせる
2022/05/10 08:41
something
資産運用
NISAの概要1(NISAの仕組みと買い方) - NISAの基本のキホン
2022/05/10 08:39
something
資産運用
NISAと税金、手続き - NISAの基本のキホン
2022/05/09 20:56
something
資産運用
【第6回】年金の請求手続き
2022/05/09 16:57
something
資産運用
結婚したら考えるべきライフイベントとお金のやりくり - ライフプラン別資産運用活用術
2022/05/09 16:08
something
資産運用
【第23回】気になる今後の年金改正をチェックするポイント(前編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
something
資産運用
【第24回】気になる今後の年金改正をチェックするポイント(後編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
資産運用の記事一覧へ