資産運用

NISA×DC〜おろせない仕組みとおろせる仕組みをうまく組み合わせる

最終更新:2022/05/10 08:41

 さて、税制優遇が活かせるなら活かしたいことや、若い人も積極的にお金を貯め・増やす意識を持ちたいことが分かったところで、制度の違いや組み合わせのヒントを整理してみたいと思います。というのも、制度それぞれの目的や法成立の経緯によって、様々な制限を課していることがあるからです。

お金を簡単におろせない仕組みとおろせる仕組みがある

 まず、お金を「おろせるか」は確認しておきたい重要なポイントです。もちろん、絶対におろせないのでは困りますが、解約をしたときペナルティを科せられたり、一定の年齢になるまで解約・受け取りができないことがあるからです。
 最後に早見表をまとめていますが、もっとも解約要件が緩いのはNISAです。株式市場が開いており売却したり、投資信託の解約の受付がされれば、所定の期間(数日程度)で売却・解約されたお金を受け取ることができます。
 財形制度(住宅・年金)については、5年以上の積立が必要ですが、さらに目的外利用についてはペナルティが科せられます。全額の解約しかできないうえ、5年さかのぼって利息について20%の税金(つまり通常の課税)をしなければならないのです。なお、税制優遇がない一般財形は1年以上の積立を行えば、解約の制限はありません。

 もっとも解約要件が厳しいのは確定拠出年金になります。原則として60歳以降の年金受け取りをしなければならない制度なので、ペナルティ以前に解約が制限されているからです。結婚退職して専業主婦(国民年金音第3号被保険者)になったうえ、資産額が50万円以下であるなどの限定された条件でのみ解約がゆるされ、この場合は一時所得として税金が引かれます。ただし、解約ができない一方で担保等にもできないため、確実に老後の財産として残すこともできる仕組みになっています。

 

制度の違いを賢く利用し、使い分ける
制度の違いを賢く利用し、使い分ける

利用できる金額、購入できる商品の種類にもいろいろ違いがある

今度は利用できる金額、購入できる商品について見てみましょう。

 ・利用できる金額
 利用できる金額を知らずに積立計画を立てることはできません。まずNISAは毎年100万円が投資可能上限額となっています。入金のタイミングは1月から12月のあいだで自由に決めることができます。また、毎年100万円の投資を5年目の年末まで期限として行う仕組みなので、最大で元本500万円と運用益しか保有できません。
 住宅財形・年金財形貯蓄は2つの財形で合計550万円が上限です。さらに元利合計で550万円を超えてはいけないので、ギリギリまで貯めすぎてオーバーしないような積立計画が必要になります。毎月の積立額については最低でも年1回は積み立てる必要がありますが、毎月の積立額、ボーナスごとの積立額を指定することができますし、積立額を事前に変更したり中断することもできます(各社のルールによる)。

 確定拠出年金については、利用者の立場によって4つの限度額があります。個人型DCを利用する場合、自営業者は月額6.8万円まで(国民年金基金に入っている場合は合計で6.8万円以内)、会社員が個人型DCを利用する場合は、月額2.3万円が上限です。会社が実施する企業型DCの場合は5.1万円までで、確定給付企業年金および厚生年金基金を併用すると2.55万円に半減します(なお、2014年度に5.1万円から5.5万円に引き上げが予定されている)。
 毎月の限度額は厳格に管理されていますが、積立の上限がないのが確定拠出年金のユニークなところで、1,000万円でも2,000万円でも積立を継続することができます。

 ・購入できる商品
 財形については、提携する金融機関が提示しますが定期預金がほとんどです。ごく一部の金融機関では投資信託の積立にも対応しています。

 NISAについては逆で、安全性資産は購入できません。リスク性資産についても、個人向け国債やMMFなどは対象から外されており、株式を組み入れている投資信託、株式、REIT(不動産投信)などの価格変動がある金融商品が対象になります。金融機関ごとに自社のNISAでラインナップされる商品を提示しています。

 確定拠出年金は、財形とNISAの商品性をあわせもっており、預貯金も投資信託も選べます。一般的に「DCは自己責任で厳しい」と思われていますが、実際には全額を定期預金にして堅実な資産形成を行うことも可能です(ただし増えるペースは遅くなる)。ただし金融機関が商品群を予め提示するため、好みの商品が含まれているか確認することが必要です。

ひとつの制度だけでお金を貯める必要はない

 ここまで、特徴の違う3つの制度を整理してみました。積み立てられる金額も違えば、購入できる商品も違うことがよく分かると思います。ちょっと複雑に感じるかもしれません。
 しかし、ひとつの制度だけでお金を貯めるというよりは複線化をはかったほうが有効です。というのも、商品の選択肢を考えても、受け取ることの時期を考えても、効率的な資産形成はひとつの制度だけでは実行不可能であるからです。むしろ複数の制度を上手に併用していくほうがいいのです。

単に「NISA + 財形」という組み合わせでも、「リスク資産 + 安全性資産」という組み合わせが成立します。「財形住宅 +DC」であれば「住宅資金準備 + 老後資金準備」ということになるわけです。
 税制、使い道の制限、購入できる商品の種類を理解すれば、あなたにとって、どんな組み合わせが考えられるか、活用パターンは見えてきます。次回以降は個別の制度の解説をしていきますので、上手な組み合わせ・活用方法を考えていきましょう。

執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔

 

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