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【第24回】気になる今後の年金改正をチェックするポイント(後編) - 退職・年金ナビ

最終更新:2022/05/09 15:45

退職・年金ナビ [ 備えよ!老後のお金 20〜30代の公的年金入門 ]

【第24回】

気になる今後の年金改正をチェックするポイント(後編)

若い世代向けの年金制度理解のシリーズ最後は、公的年金改正の今後の動向を考えています。「改正」というには痛みの伴う項目が多いものの、制度の破綻のほうが国民の痛みが大きく、制度を守り、最小限の痛みでとどめる対策がいくつも講じられているのが年金改正です。
今回は、ほぼ確実に近い将来実現すると思われ、若い世代は織り込んでおくべき改正項目を考えてみたいと思います。

将来の改正がほぼ確実と思われる項目

主に政治的判断により先送りされることが多いものの、いつかは避けては通れない年金改正の項目があります。今回は若い世代のライフプランに織り込んでおくべき年金改正の方向性をピックアップしてみます。
●物価下落時の年金引き下げ
物価上昇時に年金額もアップさせることは、国の年金の重要な役割のひとつです。100円のパンが150円になったとき、年金額も同程度アップしなければ実質的なカットになってしまうからです。将来的インフレになったとき、2%アップしたら、年金は1.1%アップするようにして少しずつ年金をカットする予定(マクロ経済スライド)があるのですが、デフレは想定しておらず、デフレ時に年金額は据え置きとしていました。
ところが、デフレが続き物価下落が続いてしまったため、すでに累積7兆円の「払いすぎ」が生じてしまいました。2012年10月からこれを調整する予定でしたが、政治的な問題で解決していません。ただし、この点はほぼ間違いなく解消されることになるでしょう。約2.5%の年金カットが、すでに年金受給をしている世代に対して行われます。
すでに年金をもらっている世代からすればカットかもしれませんが、現役世代からすれば負担増に歯止めがかかる一歩ということになります。
●年金受給開始年齢引き上げ
次にほぼ確実といっていいのは、年金受給開始年齢の引き上げです。かつて某大臣が90歳からでもいい(実際にはそう言っていないようだが)と発言して物議を醸しましたが、現在の65歳支給開始も、世界的には早すぎる状態です。日本の平均寿命等を考えれば20年ほど年金を国が支給する状態にあり、これは異常な長期に及びます。1970年代までは、おおむね10年ほどの年金給付であったので、2倍国は老後のために年金を支払っているのが現状です。年金を長期に払いすぎるのが年金財政悪化の一因といってもいいくらいです。
現在議論されているのは67〜68歳に引き上げる案でした。2011年の年金部会の議論では反対論が多く先送りとなりましたが、改正を遅らせれば遅らせるほど問題は深刻化しますし、次の議論の際にはいきなり「70歳」支給開始になる可能性もあります。
方向性として言えば、年齢の引き上げはもう避けられません。むしろさっさと年金改正を行い、「老後の準備を自分で行う時間を長く取らせてもらう」ことが重要です。仮に法律改正時に45歳の人から対象なら20年は準備期間がとれますが、55歳の人から対象とすれば自己防衛すらできません。
また当然のことながら「70歳まで元気な人は働ける社会を実現する」ことが必要でこれも時間と労力を必要とします。雇用確保の準備に国のリソースを早く集中することが重要です。
●高所得者の年金給付の制限
あまり指摘されませんが、私が今後改正の選択肢として有力と考えるのは、高所得者の年金カットです。といっても現役の高所得者という意味ではなく、年金生活者となったが平均的な会社員より多くの年収を得ている場合です。例えば家賃や駐車場の収入が年間1,000万円あるのに、年金は100%もらっていたり、会社の相談役等で70歳になっても1,000万円もらっているような場合、公的年金の額を減らす、というものです
現在でも在職老齢年金という仕組みがあり、65歳以上の人は国民年金分(老齢基礎年金)は100%支給し、給与と厚生年金の合計が月額46万円以上になった場合には年金を段階的にカットする制度となっています。しかし年金と給与の合計で600万円以上の収入があるというのは現役の平均所得以上ということです。また、会社員でない場合カットの対象とならない、という制度的矛盾もあります。
確定申告ベースで年収を判断し、現役世代の平均を上回る層については、年金をカットするのが必要な時期に来ています。このとき「払った分、もらう」という議論は不要です。本来の年金の趣旨は「働けなくなったときの所得の保障」なのですから、現役以上に稼げている場合は聖域無くカットしてもいいはずです。
もちろん、収入がなくなれば年金は支給開始すればいいのです。2012年の年金改正からは先送りされましたが、今後必ず議論の俎上に上る項目になるでしょう。

年金水準は下げ止まるか

現行の年金改正は、保険料の徴収を18.3%までにし(本人負担はその半分)、年金給付水準を下げることで調整する、という考え方にしています。つまり支払いできずに破綻することはなく、払える範囲で年金額を下げるという方法です。
しかし、無条件で年金額が下がるかというとそういうわけではありません。国は現役世代との調整において、所得代替率が50%を切ることは避けたいとしており、大きく年金額が低下する場合には税財源を足すなどして調整を図るのではないかと思います。ただし税負担も現役世代の負担であることには変わりありません。
年金水準はおそらくすでに実行された法改正で下げ止まるのではないかと個人的には考えています。その代わり、年金は支払うものの他の形式で負担を高齢者に求める方法を採るのではないでしょうか。
例えば、消費税の増税は年金生活者にもかかってきます。国内で買い物をすれば、買い物をする範囲で誰もが(子どもも会社もお年寄りも!)、税金を納めるのが消費税です。年金額が据え置かれれば実質的な負担増です。
あるいは、所得税の課税最低限を引き下げる方法もあります。今まで税金を払わずにすんだ年金生活者について税金を取るようになれば、1人あたり数万円であっても3,000万人以上の年金生活者から大きな納税額が集まります。
介護保険や医療保険の自己負担を増やす、という方法も有力です。お年寄りがほとんど無料でサービスを受けられたのは過去の話であり、これからは徐々に引き上げが進むことでしょう。これも実質的年金カットです。
今後の年金に関するニュースは「年金以外」についてもチェックが必要でしょう。

公的年金は、疑いすぎるのも信じすぎるのも禁物

公的年金制度について理解を深めるいろいろな記事を掲載してきましたが今回が最終回になります。
公的年金については、疑いすぎてもうまくいきませんし、過信もまた禁物です。「老後の最低限は支えてくれそう。でも老後のゆとりは国には頼れないから自分で準備」というような現実的な住み分けが必要になります。
そのためには基礎的な年金知識が必要になってきます。このシリーズを参考に、年金の基本的な知識を若いうちから知って欲しいと思います。安心を強調しすぎる国の説明と、不信をあおりすぎるメディアの情報をバランスよく取り入れ、自分なりの「年金理解」をしてほしいと思います。
老後の自由な時間は、現役世代の週末や仕事上がりの自由時間の合計を上回ります。せっかくの時間を楽しく過ごせるよう、がんばって毎日を過ごしてきましょう。
きちんと制度を知って、ちゃんと備えていければ、楽しく充実した老後が待っているはずです。



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