60歳は新しい人生へのスタートであり、新しい仕事を求めて求職活動をする人や、退職後はしばらくのんびりしようと考えている人も多いでしょう。ただし、しばらく働かない人も、雇用保険の失業給付の手続きだけは早めに取りかかることをお勧めします。
退職後すぐに手続きする
失業給付の手続きは、自分の住所地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で行います。その際、会社からもらう必要書類は「離職票」と「雇用保険被保険者証」。「離職票」は通常、退職から10日以内に発行されます。印字されている内容に誤りがないか、目を通しておきましょう。特に失業給付の基礎となる賃金額は重要ですので、正しいかどうか確認してください。残業代が含まれているか、諸手当が含まれているかなどがチェックポイントです。
この2つの書類が会社から送られてきたら、印鑑、運転免許証、写真2枚、本人名義の通帳を用意して、すぐに失業給付の手続きを開始しましょう。失業給付を受け取れる期間は、原則として退職日の翌日から1年間です。手続きが遅すぎると失業給付が途中で打ち切られるおそれがありますので、注意しましょう。
求職の申込みと説明会に参加する
失業給付を受けるためには、「就職の意思と能力があるにもかかわらず失業中」であることが必要です。つまり、働く意思がなければ失業給付はもらえません。そこで、申込の際には、離職票などとともに、求職票を提出することが必要です。ハローワークの窓口に備え付けられているので、その場で記入します。提出した書類をもとに簡単な面接が行われ、働く意思が確認されます。
受給資格があると認められると、「受給資格者証」が交付されます。10日〜2週間後に雇用保険受給説明会が実施されますので、必ず出席しましょう。
認定日を受ける
失業給付を受給するには、4週間に1度、本人がハローワークに行って、「認定」を受けなければなりません。その日を「認定日」と言いますが、初めてハローワークに行った曜日で認定日の曜日が決まるので、自分に都合のよい曜日を吟味してから手続きに行くとよいでしょう。 認定日には、求職活動の実績などを記した「失業認定申請書」を提出します。働く意思と能力があるにもかかわらず、失業中であるということを認定されれば、給付金が受け取れます。この認定日は、急病や就職に必要な検定、受験といった特別な事情ができた場合以外は変更ができませんので、予定を入れないようにしましょう(※1)。
受給期間を延長する
失業給付の受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間ですが、受給期間が終了すると、仮に失業給付の所定給付日数が残っていたとしても、途中で打ち切られてしまいます。ただし、60歳以上の定年退職、または勤務延長が終了して退職する場合は、退職日の翌日から2カ月以内にハローワークに申請すれば、受給期間を延長できます。延長期間は最長1年です。
1日あたりの失業給付(基本手当)金額
1日当たりの失業給付(基本手当)の額は、退職前6カ月間の賃金から計算されます。6カ月間に支給された賃金の合計額を180で割って、まず賃金日額を求めます(※2)。失業給付の日額は、求められた賃金の45%〜80%の額で、最高と最低の限度額が決められています。また賃金が高かった人は給付率が低く、賃金が低かった人は給付率が高くなります(※3)。
定年退職後に支給される失業給付は、最大で150日分、一般的に60歳前賃金の約4割程度と言われています。失業給付と年金はどちらか一方を選択しなければいけませんが、失業給付の方が高額なのであまり悩む必要はないでしょう。心配であれば、ハローワークで受給資格者証(そこに基本手当日額が書いてあります)もらってから年金事務所で裁定請求をして下さい。そうすれば、どちらが多いか簡単に比較することができます。
- ※1 失業給付手続きの流れ
退 職
通常10日以内離職票を入手
できるだけ早めに求職の申込
申込手続きの約10日〜2週間後雇用保険受給説明会
説明会から約2週間後第1回認定日
認定日の約1週間後失業給付金振込
第1回認定日から約4週間後第2回認定日
※2 失業給付(基本手当)の計算方法失業給付の日額=
退職した日の直前6カ月に毎月決まって支払われた賃金の合計額/180×給付率※3 失業給付の額(60歳以上65歳未満)
(平成平成25年8月1日〜平成26年7月31日の下限、上限額使用)賃金日額 給付率 失業給付の日額 2,310円以上4,610円未満 8割 1,848円以上3,687円未満 4,610円以上10,510円以下 8割〜4.5割 3,688円以上4,729円以下 10,510円超14,940円以下 4.5割 4,729円超6,723円