株式投資型クラウドファンディングおすすめ比較!注意点も合わせて紹介

投稿日:2023/10/25 最終更新日:2023/11/29
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株式投資型クラウドファンディングは、未公開企業の株を売買できるサービスです。上場株のように柔軟に売買はできませんが、M&AやIPOなどのイグジットの際に譲渡・売却すれば大きな収益を産み出します。一方で、投資先は収益基盤が不安定なスタートアップ企業が中心です。将来倒産などにより大損を出すリスクも大きいといえます。投資する際には将来性に期待できる企業を自分なりに厳選することが大切です。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

クラウドファンディングは、Web上で不特定多数の個人から資金を集めるファンド形式です。今回紹介する株式投資型のほか、不動産投資型や貸付型のように投資商品のクラウドファンディングが複数ある一方で、寄付型や購入型など投資リターンの獲得を意図したものではないファンドもあります。

株式投資型クラウドファンディングは、文字通り株式に少額投資できるサービスで、利用すれば個人でも非上場の株式へ簡単に投資できます。

株式投資型クラウドファンディングとは?

株式投資型クラウドファンディングは、未公開株へ投資が可能なクラウドファンディングです。未公開株は、東証など取引所で売買ができないため、個人が柔軟に売買できる株式ではありません。株式投資型クラウドファンディングは、個人が未公開株に投資する数少ない手段の一つです。

株式投資型クラウドファンディングとは?

株式投資型クラウドファンディングは、その名の通り株式に投資するものですが、なかでも東証などに上場していない未公開株への出資を中心としたものです。2015年5月に創設されたスキームで、非上場企業が個人から円滑に資金調達する手段の一つとして活用されています。

個人投資家の立場からすれば、日本においては非上場の株式を有価証券の運用手段として売買する手段がきわめて限られています。株式投資型クラウドファンディングを活用することで、ファンドを通じた資金調達を行う企業の株式を少額から気軽に購入可能です。

なお、株式投資型クラウドファンディングは金融商品取引法の規制対象であり、指定された業者しか取扱ができません。2023年10月時点で、この後紹介する5社のみが株式投資型クラウドファンディングの取り扱うために必要な登録を行っています。

株式投資型クラウドファンディングの収益獲得方法

株式投資型クラウドファンディングでの収益は、主に株主優待の獲得とIPOやM&Aにおける株式売却・譲渡によって実現します。上場株式なら、株の収益は配当収入と売買による値上がり益ですが、未公開株は流動性が低いため、一般に売却が困難です。 FUNDINNOのように売買プラットフォームの機能を有するサービスも一部ありますが、市場価格も不明確ななか短期で値上がり益を獲得するのは容易ではありません。

また、新興企業は配当を出さずに事業投資に回すケースが多いため、配当目当ての投資も困難です。 IPOやM&Aまで至りそうな将来性のある企業を選別して投資し、イグジット(M&AやIPOなど)を迎えるまで根気よく保有を続けるのが、株式投資型クラウドファンディングの基本的な投資方法です。 なお、着実に収益を獲得したいなら、賃料収入を土台とした定期的な分配収入が期待できる貸付型クラウドファンディングがおすすめです。詳しくはこちらの記事を読んでみてください。

【関連記事】貸付型クラウドファンディングおすすめ比較!メリットも合わせて紹介

株式投資型クラウドファンディングの成長性

株式投資型クラウドファンディングの市場動向をみると、年間で総額24億円あまりの資金調達が行われた2021年が最も活発に募集が行われた年です。 2022年は19.3億円で、2023年は9月末時点で9億円なので、このペースで1年間発行が継続すると12億円ペースとなります。2019年以前と比べれば、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達は活発に行われているものの、今後再び市場拡大に向かうかはやや不透明です。

投資型のクラウドファンディングの中では、不動産投資クラウドファンディングも多くの事業者がファンド組成を行っており、投資機会が豊富です。不動産投資クラウドファンディングの活用も検討したい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【関連記事】おすすめの不動産クラウドファンディングは?比較すべきポイントも合わせて紹介

株式投資型クラウドファンディング比較

株式投資型クラウドファンディングの取引ができる業者は、2023年10月時点で次の5社です。

株式投資型クラウドファンディングの取引ができる業者

  1. イークラウド
  2. エンジェルナビ
  3. CFスタートアップス(CFエンジェルス)  
  4. FUNDINNO  
  5. ユニコーン

 株式投資型クラウドファンディングを始める方は以上5社それぞれの特徴を踏まえたうえで、自分に合った業者で投資を始めてください。

イークラウド

イークラウドの特徴

  1. 大和証券やベンチャーキャピタル出身の経営層がファンド出資先を厳選
  2. 株主間契約の締結により経営やイグジットの円滑化を図る
  3. 食品・IT・機械やホテルと多様な産業のファンド組成実績
  4. 最低投資資金は10万円~

イークラウドの経営陣は、大和証券出身者やベンチャーキャピタル、コーポレートベンチャーキャピタルの運営実績がある方々です。

大手証券と投資ファンド双方の知見をもとに、魅力的で将来性ある投資案件を厳選しているのが特徴です。また、大和証券との提携関係にあり、安心してサービスを利用できます。 イークラウドでは株主間契約を義務付けています。これは必要性が認められたときに、出資先の企業より株式の売却請求などが可能な契約です。

投資家の権利が制限される一方で、IPOやM&Aを実行する際などに、企業の意思決定のもとスムーズに進められるなどのメリットがあります。IPOやM&Aをスムーズに実行してもらうことを重視するなら、イークラウドを利用してください。 2023年10月時点で、25社の新興企業の資金調達を成約させています。多様な業態の資本調達をサポートしてきたのが特徴です。なお、最低投資資金は企業によって異なりますが、10万円程度から投資できるファンドが散見されます。

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エンジェルナビ

エンジェルナビの特徴

  1. 募集実績は6件とまだ少ない
  2. 直近3案件は全て株主優待付き・銀行の融資実績あり
  3. 継続的な事業者支援により成長をサポート
  4. 最低投資金額は5万円~25万円

エンジェルナビは、初めてのファンド組成が2020年で組成実績が6件とまだ新しい株式投資型クラウドファンディングです。

ただし、直近3案件はいずれも株主優待付きとなっていて、保有している間にわたり実質的な利益獲得が期待できます。 また、銀行融資を受けた実績のある企業への出資が続いています。銀行審査を通過した企業という意味なので、新興企業としては事業モデルが安定していると期待できます。

エンジェルナビは、ファンド組成後も企業の成長に向けて継続的にサポートし、イグジットの実現を目指してくれるサービスです。投資先の安全性が気になるという方は、エンジェルナビを利用しましょう。 また、情報の透明性や正しい情報提供にも特に留意してファンド組成を行う企業のため、ファンド情報を信頼して投資の意思決定ができます。これまでの最低投資金額は5万円~25万円ですが、初回の25万円がやや突出しており、それ以外は5万円~12.5万円に収まっています。

CFスタートアップス(CFエンジェルス)

CFスタートアップス(CFエンジェルス)の特徴

  1. 上場企業並みの情報開示量を目指してい
  2. 既に28件のファンドを募集も2023年は1件にとどまる
  3. ITやテクノロジー関係のサービスの出資が多い        
  4. 最低投資金額は10万円~だがファンドによって異なる

CFスタートアップスは「CFエンジェルス」というサービス名で株式投資型クラウドファンディングの組成や募集を行っています。

情報開示の透明性にこだわりがあり、上場企業並みの開示ルールを資金調達企業に求めています。 審査も厳正で、成長性や将来性が期待できる企業を厳選してファンドを組成しているのが特徴です。2020年までは積極的にファンド組成を行っていましたが、2023年は10月時点までで2月の1件のみとスローダウンしています。

株式投資型クラウドファンディングはファンド募集がなければ投資できないため、投資家登録してもなかなか投資機会が発生しない可能性には注意しましょう。 過去の案件を見ると、ECやアプリ開発、バイオテックなどITやテクノロジー技術を活用したスタートアップの案件が多く見られます。先進技術に出資したい方は、CFスタートアップス(CFエンジェルス)がおすすめです。なお、最低投資金額はファンドによって異なるものの、10万円前後のファンドが多いです。

FUNDINNO

FUNDINNOの特徴

  1. 国内シェアNo1で、累計成約数100億円を突破
  2. 独自の売買プラットフォームを展開しており、途中売却ができる可能性
  3. 成約件数342件で多岐にわたる業種の資金調達を支援
  4. 最低投資金額は10万円前後の案件が多いが、ファンドによって異なる

FUNDINNOは、未公開株クラウドファンディングとしては国内シェア1位となっています。

累計成約数は100億円を超えているなど実績豊富なクラウドファンディングプラットフォームです。これまでの豊富な出資実績を活かして、FUNDINNOでは未公開株の売買プラットフォームを形成しています。 この仕組みにより、上場株よりは流動性が落ちるものの未公開株の途中売却が可能です。

途中売却も視野に入れながら未公開株取引をしたい方は、FUNDINNOを利用しましょう。 FUNDINNOは成約件数がすでに342件に達しており、群を抜いてこれまでのファンド組成実績が豊富なサービスです。直近の募集を見ても医療、FinTech、観光など多岐にわたる業種に出資するファンドを組成しています。ファンドにより最低投資金額は異なるものの、概ね10万円前後から投資が可能です。

\FINDINNOに登録する/


ユニコーン

ユニコーンの特徴

  1. イグジットを円滑化するため株主間契約を締結
  2. 「企業成長丸ごとサポート」で中長期的に支援
  3. 39件の組成実績で、足元はテクノロジーや医療系の企業が多い
  4. 最低投資金額はファンドによって異なる

ユニコーンは、株主間契約を締結したうえでファンド組成を行う株式投資型クラウドファンディングです。そのため、IPOやM&Aを企業の意思に従ってスムーズに実行できます。イグジットの確実性を重視する方は、ユニコーンを利用するとよいでしょう。

ユニコーンでは、出資した企業に対して継続的な成長サポートを実施します。企業経営者を定期的に訪問して課題解決を目指す本格的なコンサルティングサービスを行うのが特徴です。ユニコーンの支援を通じて、新興企業の成長が一段と加速すると期待されます。なお、これまで39件の組成実績があります。 ファンド組成する企業の業種に特段の縛りや制限はないものの、ここまではIoTなど先端技術を活用したテクノロジー企業や、医療分野の企業が多いのが特徴です。

最低投資金額は10万円前後ですが、案件によって異なります。また、各ファンドの最低投資金額は投資家登録をしないと見られないので留意しましょう。

株式投資型クラウドファンディングのメリット・特徴

株式投資型クラウドファンディングの最大のメリットは、成長性のある未上場企業に投資して、大きな利益を得るチャンスがあることです。また、投資先によっては株主優待がもらえる、エンジェル税制が適用できるなどのメリットもあります。

未上場の成長性のある企業に投資できる

株式投資型クラウドファンディングは、今後高成長が期待できるベンチャーなどの未上場株式に投資できるサービスです。個人投資家が未上場株に直接投資をする機会がきわめて限られているため、未上場株投資ができる点は、株式投資型クラウドファンディングの最大の特徴・メリットといえます。

IPOやM&Aなどのイグジットにより大きな収益が期待できる

未上場企業が成長すると、多くの場合IPOやM&Aを行い、投資家が株を売却する機会が提供されます。売買価格は市場の評価にもよるので一概には言えないものの、しばしば大きな売買差益が実現します。 未公開株を購入してIPOやM&Aを通じてイグジットする手法は、PEファンドなどで取られるものです。株式投資型クラウドファンディングでは、PEファンドのような投資手法を個人投資家が少額からできるのが特徴です。

株主優待をもううことができる

株式投資型クラウドファンディングは、投資先によっては株主優待が付与されます。未公開株式をイグジットするまでには長い期間がかかるケースもありますが、株主優待がつく投資先なら、保有期間中も実質的な収益を獲得可能です。ただし、全てのファンドが株主優待を用意しているわけではありません。優待目的で投資する場合には、付与の有無を確認して投資先を選んでください。

エンジェル税制が適用される場合がある

株式投資型クラウドファンディングで投資する企業が、創業10年未満のスタートアップ・ベンチャー企業の場合は、エンジェル税制が適用されます。これは個人によるエンジェル投資を促進するための制度で、購入時と売却時に優遇措置が受けられます。 まず、購入時の優遇措置は次の通りです。 設立5年未満の企業 ・「投資額-2,000円」をその年の総所得金額から控除 ・控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%か800万円のいずれか低い方 設立10年未満の企業であること。 ・投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除 ・控除対象の上限はなし

また、未上場株式の売却時に損失が発生する場合は、その年の他の株式譲渡益に加えて、翌年以降3年先までの株式譲渡益と通算(相殺)が可能です。エンジェル税制が適用できれば、所得額の圧縮を通じて節税につながります。

株式投資型クラウドファンディングをする上での注意点

株式投資型クラウドファンディングにチャレンジする場合、長期投資となることを理解したうえで投資をはじめてください。また、資格がある株式投資型クラウドファンディングを必ず利用しましょう。投資のリスクを正しく理解したうえで、積極的に情報収集して信頼できる企業に投資するのも大切です。

長期投資になる可能性が高いことを理解する

未公開株は、ほとんどの場合途中売却する手段がきわめて限定されています。一度投資したら、IPOやM&Aを実行するまで換金できないリスクが高いことを理解しておきましょう。運用期間中の換金が難しいのは他のクラウドファンディングにも当てはまる特徴ですが、運用期間が数年~10年以上になる可能性もあるので特に注意が必要です。

たとえば、貸付型クラウドファンディングなら、より運用期間が短い案件が多くさらに融資先が貸倒れしない限りは分配金による収益が得られます。貸付型クラウドファンディングの方が自分に合っているという方は、以下の記事も参考にしてください。

「貸付型クラウドファンディングおすすめ比較!メリットも合わせて紹介」へ内部リンク

資格をよく確認する

株式投資型クラウドファンディングのサービスを提供するためには、日本証券業協会の定める「株式投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者」に指定されていなければなりません。2023年10月時点で指定を受けている業者は今回紹介した5社のみです。無許可営業のサービスを利用すると、法令違反となり突如業務停止となるなどの危険性があるので、必ず日本証券業協会に登録されているサービスを利用してください。

投資のリスクを把握する

株式投資型クラウドファンディングは、成長が見込まれるものの不安定なベンチャー企業に投資するサービスです。一般に上場株式と比較して、リスクが高い投資であることを理解しましょう。もし事業がうまくいかず倒産となった際には、大きな損失を被る恐れもあります。

また、株式投資型クラウドファンディングの多くは目標額が設定されていて、目標額に届かないとファンド組成が中止となる案件が少なくありません。申し込んだ企業に必ず投資できるわけではないという点にも留意しましょう。

情報収集を積極的に行う

株式投資型クラウドファンディングで投資する未上場企業は、上場企業と比べて情報開示の規制が緩やかです。そのため、企業の財務状況や業績情報の開示が乏しかったり、分かりづらかったりする企業も少なくありません。 投資するうえでは自分なりに企業について情報収集を行い、信頼できる企業に投資してください。情報収集に自信がない場合は、情報の透明性を重視して投資先を選んでいるサービスを利用するのも一案です。

まとめ

株式投資型クラウドファンディングは、未公開株式に個人投資家が投資できるサービスです。上場株のように柔軟に売買できない一方で、投資先がM&AやIPOに至れば大きな利益を獲得できる可能性があります。 また、保有期間中に株主優待がある、エンジェル税制が受けられる場合もあるなどのメリットもあります。ファンドの紹介情報などを参考に、自分なりに将来性を感じる企業を見つけて、投資してみましょう。

2023年10月時点では、株式投資型クラウドファンディングのサービスを提供できる業者は今回紹介した5社のみです。誤って無許可営業の業者や悪徳業者を利用しないように注意してください。

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