権利落ち日前後には株価が急変する場合もあるため、配当金・株主優待目当てでない方もスケジュールをおさえておくとよいでしょう。
権利確定日とは?
権利確定日とは、株主が配当金や株主優待を受け取る権利が確定する日を指します。権利確定日に各企業の株主名簿に記載されていることが、配当金や株主優待など株主としての権利を受け取る条件となります。
配当金の権利確定日は、各企業の事業年度でみたときの半期および年度末の決算日です。たとえば3月決算の企業なら3月末・9月末がそれに該当します。 株主優待は、半期に一度支給される企業と年一度の企業があるため注意しましょう。
半期に一度支給される場合、権利確定日は配当金と同じ、年一度の場合は3月末のみが権利確定日となります。 権利確定日を基準に、権利落ち日や権利付き最終日も決まる仕組みです。権利確定日前後は配当金や株主優待の受け取り可否に影響を与えるほか、株価の値動きが荒く粗くなりがちです。
配当金や優待目当ての方はもちろん、全ての投資家が保有する株やこれから購入を検討する株の権利確定日や権利落ち日、権利付き最終日のスケジュールをおさえておく必要があります。おかなければなりません。
権利確定日と権利落ち日との違いは?
権利確定日、権利落ち日、権利付き最終日の関係性は次の図の通りです。
配当金や株主優待目当てで株を保有する方は、取りこぼすことのないよう権利確定日、権利落ち日、権利付き最終日の違いを理解したうえで適切なタイミングで取引してください。
権利落ち日とは
権利落ち日は、その日以降に株を購入しても株主の主要な権利である配当金や株主優待の権利を得られなくなる日です。
株式分割や株式無償交付などの権利を喪失する日も権利落ち日と言いますが、これらは頻繁に起こるものではないので、一般的に権利落ち日といえば、通常は次の配当金や株主優待の権利を喪失する日を指します。 配当金や株主優待の権利落ち日は、通常はそれぞれの権利確定日の前日となります。
証券取引所が開いている時間帯に株式を市場で取引する場合、受け渡し日は約定日の2営業日後となります。配当金や株主優待の権利を受け取るには、権利確定日に受渡が完了していなければならないため、権利確定日の前日は配当金や株主優待の権利を得られない日となるのです。
権利落ち日は、前日まで取得できた配当金や株主優待の権利が喪失する分、株の投資妙味が薄れてしまいます。そのため、権利落ち日には一般に株価が下落しやすい傾向にあるのです。特に配当利回りが高い株や株主優待が魅力的な株においては、この傾向がさらに強く見られます。
なお、配当金や株主優待は半年もしくは1年ごとに実施されるのが一般的です。権利落ち日より後に株を購入したとしても、次の権利確定日まで保有を継続すれば、次々回以降の配当金や株主優待を受け取る権利は発生します。
権利付き最終日とは
権利付き最終日とは、次回の配当金や株主優待を受ける権利が付与される最終営業日を指します。一般的には受渡日が権利確定日となる、権利確定日の2営業日前に当たる日です。
次回の配当金や株主優待を受けるためには、権利付き最終日の証券取引所の開設時間である15時までに約定しなければなりません。
なお、株式分割の適用や株式無償交付を受けられる最終日についても、同じく権利付き最終日と呼びます。高配当株や株主優待が魅力的な株を中心に、権利付き最終日にかけては株価に上昇圧力がかかりやすくなります。
配当金や株主優待はいつもらえる?
配当金や株主優待は、権利確定日にもらえるわけではありません。具体的な支給日は企業によって異なりますが、数か月後になるのが一般的です。配当金・株主優待目当てで取引する方は、投資する企業の支給時期をおさえておきましょう。
配当金について
配当金とは、企業が利益還元の一環として定期的に株主に配分するものです。ただし、支給の有無や配当金の水準は企業が提案したうえで株主総会で決められるため、必ずしも企業の利益水準に比例するとは限りません。
次の配当金の需給可否は、権利確定日に株を保有して株主名簿に登録されているかどうかで決まります。一方で、支給タイミングについてはある程度企業に裁量があり、少なくとも権利確定日当日および直後に支給されることは通常ありません。
具体的なスケジュールは企業によりますがまちまちですが、3月末決算の企業の場合は以下のようなスケジュールが一般的です。
3月末決算のスケジュール
- 3月31日:権利確定日
- 6月下旬:株主総会
- 6月下旬~7月上旬:配当金支払い
権利は3月末に確定する一方で、通常配当金の支給有無や水準はその後の6月下旬の株主総会での承認を経て確定します。なお、配当金は通常は証券口座に現金で自動的に振り込まれますが、毎月定額で株を買い付ける「るいとう」の場合は自動的に再投資されます。
また、権利確定した後配当金の支給日までに証券口座を解約した場合は、通常は自動で証券会社に登録している銀行など金融機関に振り込まれますが、念のため各証券会社に対応を確認することをおすすめします。
株主優待について
株主優待は、株を保有する投資家に支給される特典・プレゼントのようなものです。支給の有無は企業が決めることができ、かつ配当金と違って必ずしも株主総会で決められるものではありません。株主優待の支給日は権利確定日から3か月程度後ですが、具体的な支給日も企業の裁量で決められます。
たとえば、個人投資家を重視する企業は、株を継続保有するインセンティブを高めるために手厚い優待を支給する場合があります。逆に機関投資家にとっては株主優待よりも株価向上や配当金の方が魅力的に映るため、機関投資家を重視して、株主優待を実施しない企業もあります。
株主優待の内容は企業によってさまざまです。比較的多いケースとしては次の3パターンがあります。
株主優待のケース
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自社商品の詰め合わせやサービスの優待券・利用券
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一定金額分のカタログギフト
- QUOカードなどの金券
受け取り方も企業によってさまざまです。株主優待が1種類のみで個人投資家が選択する必要がない場合は、自動的に配布される場合もあります。
何パターンかの優待から好きなものを選ぶ場合には、権利確定日から数か月後に株主優待の案内と受け取る優待の希望を返送する用紙が届きます。6月下旬ごろに実施される、株主優待の案内に同封されるケースが多いです。
期日までに希望を返送しなければ、優待相当額が寄付されて優待が実質的に受け取れなくなる場合もあるので、必ず返送しましょう。最近は返送の代わりに、優待の案内に従ってWeb上で手続きができる銘柄もあります。
まとめ
権利確定日に株式を保有することで、次の配当金や株主優待を受け取る権利が発生します。配当金で中間配当金があるケースであれば、年度末と半期末が権利確定日にあたります。配当金や株主優待の権利を得られる最後の日である権利付き最終日が権利確定日の2営業日前です。権利を失う権利落ち日は権利確定日の前営業日です。
配当金も株主優待も権利確定後すぐに支給されるわけではありません。企業によって異なりますが、配当金が権利確定日から約3~4か月後、株主優待が3か月ほど後が支給タイミングの目安です。