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不妊治療で公的医療保険が使えて公的助成金も支給される?

最終更新:2022/04/08 14:18

 

 

不妊治療は公的保険適用?

近年、女性の目まぐるしい社会進出やライフスタイルの変化などから晩婚化が進んでいることを背景に、不妊症に悩む夫婦が増加しています。そこで行われているのが不妊治療です。

不妊治療とは、出産を望むカップルや夫婦において、自然妊娠が困難な際に行う治療のことです。不妊治療は年間約45万件実施されており、その数は年々増加しています。

厚生労働省によると、およそ5.5組に1組の夫婦が不妊治療を行っているといわれています。体外受精によって誕生した赤ちゃんは全国でおよそ5万7,000人にも上り、およそ17人に1人が体外受精によって誕生しています。

さらに、実際に不妊治療を受けているわけではないものの、「不妊に関して不安を抱いている」という夫婦は35%もいると報告されています。不妊治療は、子どもを望む夫婦にとってとても関心の高いテーマのひとつといえるでしょう。

なお、不妊治療は「一般不妊治療」と「特定不妊治療」の2つに大別されます。

ここでは、

・不妊治療についてどのようなものがあるか
・公的保険が適用されるのかどうか

について紹介します。

出典:厚生労働省「不妊治療と仕事の 両立サポートハンドブック

一般不妊治療については適用対象

一般不妊治療では、基本的に公的保険が適用されます。
一般不妊治療に分類される治療については、以下の2つがあります。

タイミング法

自然妊娠しにくい夫婦が初めに行うことの多い不妊治療で、身体に負担のかかりにくい方法です。

医師が超音波診察により排卵日を予測して、性交渉でもっとも妊娠しやすいタイミングを指示します。また、尿検査でホルモンの値を調べて、排卵のタイミングを予測する方法もあります。

タイミング法は、不妊治療においてもっとも身体的・金銭的な負担が少ない治療のひとつで、比較的気軽にできるところが魅力です。ただし、タイミング法で妊娠しやすい夫婦には、以下のような条件があります。

・排卵がある
・子宮、膣が正常
・少なくとも片方の卵管がつながっている
・精子検査結果に問題がない

タイミング法で妊娠を成功させるためには、上記の条件が揃っていることが必要です。また、半年から1年を目安に行うことが推奨されています。

なお、女性と比べて男性は不妊検査を受けることに抵抗を示す方もいます。しかし、不妊治療は女性にとって心身ともに大きな負担がかかる治療となるため、治療を開始する前には女性だけでなく、男性も不妊検査を受けることが望ましいとされています。

 排卵誘発法(薬物療法)

排卵誘発法とは、排卵誘発剤を用いて排卵を促す薬物療法です。排卵障害のある場合だけでなく、排卵周期が正常な場合にも、妊娠率を高めるために排卵誘発法を取り入れることもあります。

前述のタイミング法と併せて行うこともあるほか、後述する公的保険適用外の人工授精や体外受精、顕微授精でも排卵誘発法を併用することがあり、不妊治療で広く行われている治療法です。

最大のメリットは妊娠率が高まることですが、排卵誘発剤の投与によるリスクもあります。 排卵誘発剤の投与による一般的なリスクには、以下が挙げられます。

・多胎
多胎とは、双子以上の妊娠を指します。基本的に自然排卵での排卵数は1つですが、排卵誘発剤を使うと2つ以上の排卵が多くみられ、多胎率が高くなります。
自然妊娠での多胎率はおよそ1%ですが、排卵誘発剤を使用した場合、最大20%とも言われています。多胎は早産や周産期のリスクが高いだけでなく、出産後の負担も大きいことが特徴です。多胎を避けたい場合は、体外受精で1つの受精卵だけを選択し、体内に戻す方法が取り入れられています。

・卵巣過剰刺激症候群
使用する薬剤によって、卵巣過剰刺激症候群を引き起こすことがあります。とくに、若年や痩せ型、多嚢胞性卵巣症候群の患者ではリスクが高いといわれています。体外受精の場合、排卵誘発剤を大量投与する必要があるため注意が必要です。
さらに、卵巣過剰刺激症候群では血栓ができやすくなり、まれに肺梗塞や脳梗塞など重篤な症状につながるリスクがあります。症状によっては、その周期の不妊治療を諦めなければならないケースもあります。

・アレルギー反応
排卵誘発剤の投与により、アレルギー反応が起こる可能性があります。アレルギー反応については、一般的な薬剤を使った場合と同程度の確率とされていますが、知識として持っておくことが重要です。

参考:厚生労働省「不妊治療の保険適用について

特定不妊治療については適用外(2021年11月時点)

不妊治療には、公的保険が適用される一般不妊治療以外にも、公的保険が適用されない「特定不妊治療」があります。特定不妊治療には、以下が挙げられます。

人工授精

人工授精とは、排卵に合わせて精液を子宮内へ直接注入する方法です。比較的自然妊娠に近い不妊治療の方法となり、タイミング法で妊娠が成功しない場合、次の段階として実施されることが一般的です。

自然妊娠やタイミング法では子宮頸管がバリアになって、子宮の入り口までしか精液は入りません。しかし、人工授精の場合は管で人工的に子宮の内部まで精液を注入するため、卵子と精子が受精しやすくなります。受精自体は子宮内部で自然に起こるため、赤ちゃんへの影響がなく副作用もほとんどありません。

一方、人工授精のリスクとして腹膜炎があります。通常、性器や膣内に存在する細菌は、子宮頸管で阻まれるため、基本的に子宮の内部へ入ることはありません。

ところが人工授精では、精液を直接子宮内部に注入するため、細菌が精液と一緒に子宮内部へ入り込んでしまう可能性があります。子宮に細菌が入り込むと、つながった卵管から腹腔内部へ細菌が入り込み、腹膜炎をおこす可能性があります。通常は予防的に抗生剤を服用しますが、腹膜炎のリスクがあることは事前に理解しておきましょう。

また、人工授精では妊娠率の飛躍的な向上は期待できず、人工授精で妊娠する確率は5%〜10%程度といわれています。一度の人工授精では妊娠に成功しないことも多く、複数回の治療が必要になります。厚生労働省では、「6回以内に妊娠が成功しなければ、人工授精で妊娠することは難しい」という調査結果も出されています。人工授精で妊娠に成功できない場合は、不妊治療の方法を体外受精へと切り換えることを検討します。

体外受精

体外受精とは、排卵手術によって卵子を排卵前に体内から取り出し、顕微鏡下で卵子と精子を受精させる方法です。通常、体外受精では卵子に精子を出会わせて受精させ、顕微鏡で観察し、順調に細胞分裂が進んでいる発育良好な胚を子宮内に移植します。自然周期を用いて体外受精をすることもできますが、排卵誘発法と併せて行うことが一般的です。

体外受精では、若いうちに複数の良好な卵子を凍結保存しておき、ライフスタイルに合わせて妊娠・出産に臨むことができるという特長があります。

ただし、体外受精では排卵促進剤の過量投与が行われるため、「卵巣過剰刺激症候群」を引き起こすリスクがあります。メリット、デメリットをよく確認した上で、体外受精に臨むのかどうかパートナーとよく相談して意思決定することが重要です。

顕微授精

顕微授精とは、体外受精における方法のひとつで、運動能力が良好な精子を1つ選別し、細いガラス管を用いて卵子に注入する方法です。精子の数が極端に少ない場合や、精子の運動能力が弱く、通常の体外受精では受精が成立しないと見込まれる場合に行われます。

顕微授精はさらに歴史が浅く、1992年に世界で初めて成功が報告されました。当初は受精障害などに行われていた方法でしたが、近年では通常の体外受精を上回る勢いで適応が広がっています。
ただし、リスクが不透明な部分も多く、今後も検証が必要な治療方法とされています。

2022年4月から公的保険が適用!

2022年4月から一部の不妊治療に公的保険が適応されることが決まっています。公的保険が適用されると、今まで全額負担だった高額治療の自己負担額が1/3になり、不妊治療を受ける夫婦の金銭的負担が軽減すると期待されています。

不妊治療の適用について

出典:厚生労働省「不妊治療の保険適用について

適用対象なる治療法

2021年11月現在、適応となる不妊治療は正式には決定していません。
とはいえ、2021年1月から助成金との対象となる「体外受精」や「顕微授精」のほか、男性の不妊治療や広く治療が行われている「人工授精」についても公的保険の適用になると予想されています。

助成金拡充の内容

2021年1月以降、不妊治療の高額医療に対する助成金として、2020年12月までの助成金予算から約2.5倍となる370億円の予算が組み込まれています。

主に以下のような変更が行われています。

・所得制限の撤廃
・助成金額の倍増
・助成回数の見直し

助成金額は、1回15万円から2倍の「30万円」に増額しており、助成金の支給回数は生涯で通算6回までだったのが「子ども1人あたり6回へ」と見直されています。

また、男性の不妊治療に対しても1回あたり30万円が支給されるようになりました。さらに、法律上の夫婦のほか、事実婚のカップルに対しても助成適用の対象に加えられています。

令和2年12月末までの不妊治療の支援制度と令和3年1月からの不妊治療の支援制度の図
令和2年12月末までの支援制度と令和3年1月からの支援制度の図

助成金の対象となる治療

助成金の対象となるのは、2021年1月1日以降に治療が終了した「体外受精」「顕微授精」です。また、対象者となる条件は以下のとおりです。

・体外受精および顕微授精以外の治療法では妊娠の見込みがない
・極めて見込みが少ない
いずれかを医師に診断されてかつ
・治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満であること

不妊治療を対象とした医療保険

行政による不妊治療の助成金や保険適用が拡大され、以前と比べてさまざまな夫婦・カップルが不妊治療を受けることが可能になりました。

しかし、行政の助成金だけでは自己負担が高く、金銭的な負担から治療を断念せざるを得ないケースも考えられます。そこで、行政の助成金と併せて活用を検討したいのが、民間の生命保険会社が提供している医療保険です。

現在、医療保険のなかには不妊治療を対象としている保険商品もあります。 公的保険適用外の体外受精や顕微授精では、治療費用が60万~70万と高額になる場合もありますが、民間の医療保険に加入することで、助成金と併せて35万~40万の自己負担額を減らすことができます。 また、男性が不妊治療を受けた場合にも、給付金の対象となる医療保険もあります。

ご自身が将来受ける可能性のある不妊治療が適用されている、保険商品を検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、下記に当てはまる場合、民間の医療保険でも給付金の適用外となる可能性があるため注意が必要です。

・保険の保障開始日から2年未満の間に治療を受けた場合
・戸籍上の夫婦間以外との妊娠を目的とする場合
・第三者への提供を目的とした採卵・採精をする場合
・第三者から精子・卵子・胚の提供を受ける場合
・凍結保存を目的とした採卵・採精で、体外受精または顕微授精の予定がない場合

民間の医療保険に加入する場合は、保障内容をよく精査し、計画的に保険へ加入することが重要です。不妊治療にはさまざまな治療方法がありますが、体外受精や顕微授精は公的保険が適用されず、治療にかかる費用は高額になります。このような「特定不妊治療」を検討されているご夫婦には、民間の医療保険への加入をおすすめします。

まとめ

近年の晩婚化に伴う出生率の低下や、不妊に悩む夫婦の増大により、不妊治療の公的保険適用は拡大されています。また、近い将来には公的保険が適用される不妊治療もさらに拡大されることが見込まれています。しかし、公的保険だけでは金銭的な負担が大きいことも確かです。不妊治療を視野に入れた上で妊娠・出産を望むのであれば、民間保険の加入も検討されてはいかがでしょうか。

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