金銭信託でこれは知っておこう!利益がもらえる時の信託受益権とは?

投稿日:2022/01/24 最終更新日:2023/10/31
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信託には、委託者・受託者・受益者という3つの関係者が登場します。 信託銀行が運用して生み出した利益を受け取る仕組みとなっていますが、この権利のことを「信託受益権」と呼びます。 本記事では、金銭信託における3者の役割をはじめ、信託の仕組み、不動産信託や投資信託における信託受益権の取扱いについて解説します。
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信託受益権とは? 

信託受益権とは、信託した財産をもとに得られた利益を受け取る権利のことで、信託の「受益者」が保有しています。

信託の仕組みってどうなってる?

信託とは、財産を信託銀行や信託会社に託して、管理・運用する制度です。信託には3つの関係者が登場します。

・委託者
・受託者
・受益者

「委託者」とは、信託する財産の所有者です。委託者は、信託する財産をどのように運用するか、誰のために使うか、受益者を誰にするかを決めることが可能です。個人だけでなく、法人も委託者となることが可能です。信託は、委託者が自身の財産を託すことから始まります。

「受託者」とは、委託者から託された財産の運用・管理を行う人物です。受託者には「善管注意義務(※)」と呼ばれる責任が課せられており、財産の管理や利益の交付を正しく行うことが義務付けられています。信託会社や信託銀行などが受託者となることが一般的です。「受益者」は、委託者が信託した財産から生じた利益を受け取ることが可能です。「信託受益権」を保有しており、委託者によって受益者が決定されます。一般的な銀行の預金では、預けられた金額の資産に利息の支払いを約束した上で、銀行が自由に運用することが許されています。

一方、信託では、信託された資産を信託銀行などの金融機関が所有して、委託者の設定した目的に沿う形で管理・運用が行われます。信託では、信託法や信託業法などの法律に基づいて厳しい義務が受託者に課せられており、信託された財産は安全に管理されます。また、信託は誰が「受益者」になるかによって「他益信託」と「自益信託」の2種類に分けられます。
以下では、その2つの信託について解説します。
※善管注意義務とは、民法400条に記載のある「善良なる管理者の注意義務」のことです。注意義務を怠った結果、債務不履行といった状態に陥った場合、民法上過失があると見なされ損害賠償の請求や契約の解除などが可能です。

他益信託とは?

他益信託とは?

他益信託とは?

委託者・受託者・受益者の3者がそれぞれ異なる場合を「他益信託」と呼びます。
信託受益権を持つ受益者が、利益を得るまでの流れは以下の通りです。

①委託者が所有する財産を受託者に信託(移転)する
 このとき、委託者は信託の目的と受益者を決定する
②受託者は信託された財産の運用・管理を行う
③運用によって得られた利益を受託者は受益者に給付する

自益信託とは?

自益信託とは?

自益信託とは?

委託者と受益者が同一の場合の信託を「自益信託」と呼びます。
自益信託における登場人物は、委託者・受益者となる人物と、受託者の合計2者になります。信託受益権は、受益者・委託者になる同じ人物が保有しています。

利益を得るまでの流れについては、他益信託と変わりません。

信託受益権が活用されている場面とは?

ここからは、どのような場面において信託受益権が活用されるかについて解説します。

不動産信託

不動産信託

不動産信託

不動産信託とは、委託者が所有する不動産の管理を信託銀行等に信託して、その利益を委託者本人、あるいは委託者が定めた受益者に渡すことをいいます。

不動産投資では、不動産管理を信託してから、利益を得るための「信託受益権」を売却することによって運用する方法が活用されています。不動産を信託受益権として売買することで、運用負荷や手数料・税金を押さえることが可能です。

また、信託受益権は担保として取り扱うこともできます。これによって、資金調達を行ったり、質権を設定したりすることも可能です。なお、質権の設定とは、債権の担保として物品や権利を債権者から譲り受け、債権者の返済が滞った場合にはそれらについて売却する権利を設定することです。

投資信託

投資信託

投資信託

投資信託とは、投資信託委託会社を委託者とし、投資家(受益者)から預かった金銭を受託者に信託して、投資信託委託会社が行う運用によって得られた利益を信託受益権(受益証券)を保有する投資家(受益者)に渡す仕組みを指します。
運用の専門家である投資信託委託会社の指図に基づき、多くの人から集めた金銭を株式・債券などに投資することで、受益者が利益を得ることが可能です。

信託によるメリット3点

信託によるメリット3点

信託によるメリット3点

信託によって得られるメリットは、以下の3点があります。

財産の管理・運用を専門家に任せることができる

信託の仕組みを利用することで、知識や経験が豊富な専門家に財産の運用・管理を任せることができます。受託者である彼らは信託法や信託業務法などで厳しい義務が課せられているため、安全に財産が管理・運用されます。

管理・売買など事務手続きを引き受けてもらえる

不動産のように、管理にあたって事務手続きが煩雑となる資産であっても、信託を行えば受託者がそれらの業務を引き受けてくれます。そのため、委託者は、不動産の管理事務手続きの負担を軽減できます。また、現物の不動産の売買では手間や時間がかかりますが、信託受益権を売買することで、手続きの負荷や各種税金・仲介手数料などの負担を抑えられます。

投資家にも販売できる

信託を行うと、財産は信託受益権へ転換されます。この信託受益権は投資家にも販売できるため、財産の運用・管理をさまざまな方法で行うことができます。

信託における注意点

信託をする上で、気を付けるべき点を解説します。

不動産信託における注意点

信託の開始時には不動産取得税の支払いは不要です。しかし、信託受益権を現物の不動産に戻す際には、税金(不動産取得税や登録免許税)がかかります。

また、受託者が信託銀行の場合、信託報酬を支払う必要があります。信託受益権の買い手が見つからない場合についても想定しておかなければなりません。

投資信託における注意点

投資信託における注意点

投資信託における注意点

投資信託では元本保証がされないため、購入時よりも価値が下がる「元本割れ」を起こす可能性があります。換金時には手数料の支払が発生するほか、投資信託で得た利益については課税対象であるため、定められた額の税金を納める必要があります。

また、投資信託は株式のような自由な取引ができません。投資信託では複数の銘柄を合算しているため、各銘柄の評価をもとに1日に1つ基準価額を算出し、公表されます。取引についても基準価額が公表される前に締め切られる方式を採用しているため、株式のようなリアルタイムの売買はできません。

まとめ

信託の仕組みから不動産信託や投資信託について、また、どのように信託受益権が扱われているかについて解説しました。

信託には他にも「金銭信託」と呼ばれる仕組みもあり、これは委託者からお金を集めた信託銀行が運用・管理を行う信託です。不動産投資や投資信託よりも少額から始められ、リスクの低い商品のため、安定を重視したい人に向いています。

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