投信/ETF
【第34回】東証に新しいETNが上場。ハンセン指数(香港)と韓国総合株価指数200(KOSPI200)を対象指標にしたブル・ベア型ETNとは。 東証ETF
投稿日:2022/05/09
最終更新日:2022/07/28
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目次 [
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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]
【第34回】
野村證券・清水久未氏に聞く【前編】香港、韓国株式を対象にしたブル・ベア型ETN。
商品設計の特長を生かして新たな収益機会を
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- 東証に新しいETN(Exchange Traded Note=上場投資証券または指標連動証券)が上場した。ハンセン指数(香港)と韓国総合株価指数200(KOSPI200)などを対象指数とした野村グループのブル・ベア型ETNだ。投信ではなく債券(Note)として組成されることから、ETF(上場投資信託)とは違った特徴やメリットをもつ。その内容について、野村證券ETFマーケティング・グループのNEXT NOTESマーケティング・ヘッドである清水久未氏が2回にわたって解説する。
- いつも証券会社で日本株と同じ感覚で売買
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野村證券ETFマーケティング・グループ
NEXT NOTESマーケティング・ヘッド 清水 久未氏 - この2月に野村グループが提供を始めたETNは4本ある。
- ハンセン指数の前日比変動率の2倍になるように設計されたハンセン指数・レバレッジインデックスに連動する「NEXT NOTES 香港ハンセン・ダブル・ブル ETN」(2031)と、ハンセン指数の前日比変動率の-1倍になるように設計されたハンセン指数・ショートインデックスに連動する「NEXT NOTES 香港ハンセン・ベア ETN」(2032)。
- そして、韓国総合株価指数200の前日比変動率の2倍になるように設計された韓国総合株価指数200・レバレッジインデックスに連動する「NEXT NOTES 韓国KOSPI・ダブル・ブル ETN」(2033)と、韓国総合株価指数200(先物)の前日比変動率の-1倍になるように設計された韓国総合株価指数200(先物)・インバースインデックス「NEXT NOTES韓国KOSPI・ベア ETN」(2034)の4本である。
- 「いずれも、JDR(信託受益証券)形式で東証に上場しているので、一般の株式のように全国の証券会社やネット証券で売買できます。外国証券取引口座は不要で、特定口座が利用できます。取引方法や手数料、税制なども同様で、いつもの証券会社を通じて日本円で日本株式と同じ感覚で取引できます」。
- 野村證券の清水久未氏は、4本のETNの概要をこのように解説してくれた。
- 「NEXT NOTES」とは、野村グループが新しく立ち上げたETNのブランド名だ。今回の4本について、ETNの発行者はノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイ(オランダ籍)、保証者は野村ホールディングスとなっている。すなわち野村グループとしてETNの組成に関わっているわけである。「ETNは、欧州や米国では既にポピュラーな商品で、ETFと同様に売買されている金融商品です(清水氏)。
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(いずれも出典は野村證券) - ETNでは理論上、トラッキングエラーが発生しない
- これら4本のETNに関して、個人投資家が押さえておくべきポイントは大きく3つあると思われる。
- 1つめは当然のことながら、投資対象となる国・地域。香港と韓国の株式市場が対象となる。
2つめは前述の通り、「ETNである」ということ。その商品設計上、ETFとは違った特徴やメリットをもつ。
3つめが、ブル・ベア型指数に連動するものであるということだ。「レバレッジ型・インバース型」などと呼ばれることもあるが、対象指数の値動きの2倍になったり、まったく逆の値動きをしたりする。投資対象については後編で詳しく解説するが、ここではまずETNの特性とブル・ベア型の活用について考えてみたい。 - 「ETNはETFと違って、個別銘柄などの現物資産の保有を、ETNの発行体が必ずしも行うわけではありません。これら4本に関しては、発行者・保証者になっている野村グループの信用力のもと、対象指数に連動するように設計・組成された債券を発行します。そのため、トラッキングエラーを極力小さくすることと運用コストの低減というメリットが生まれます。また、現物資産への投資では難しかったさまざまな投資対象へのアクセス、つまり幅広い商品ラインナップへの可能性も広がります」(清水氏)。
- トラッキングエラーとは、対象指数とそれへの連動をめざす金融商品との騰落率のばらつきを標準偏差で示したもの。たとえば「NEXT NOTES 香港ハンセン・ダブル・ブル ETN」では、同ETNの基準価格とハンセン指数・レバレッジインデックスの値との変動率の差の標準偏差を意味する。裏付け資産が必ずしも必要とされないETNの場合、管理費用(ETFの信託報酬に該当)を除いて理論上は両者の変動率は乖離しない。また、対象指数の銘柄変更や配分比率の変更などにともなう取引コストの上昇要因も低減できるのだ。ちなみに、4本のETNの管理費用-はそれぞれ年率0.80%である。
- 大きな収益をねらいながらヘッジ目的にも
- 「ETNには一般に、3つの価格が存在します。
ひとつは投資信託の基準価額と同じように1日に1回算出される『償還価額』。1口当たりの基準価格です。
2つめが、株価のように取引所における売買の結果成立した『市場価格』。取引所が示す現在値で、始値や高値、安値、終値などで表示されます。
3つめが、基準価格の推定値である推定純資産価額(インディカブNAV=iNAV)で、市場価格がいま割安なのか割高なのか確認することができます」(清水氏)。 - 投資関連のポータルサイトなどで見られるETN/ETFの「乖離率」は、償還価額(ETFの場合は基準価額)と市場価格(当日の終値)との差を示しているので、厳密には「トラッキングエラー」とは異なる。参考にする場合は注意したい。なお、iNAVは東京証券取引所のホームページで確認することが可能だ。
- 東京証券取引所ホームページ インディカティブNAV(iNAV)
- 「4本のETNは特定の株価指数(対象指数)の値動きの2倍もしくは-1倍に連動することをめざすブル・ベア型なので、やや高いリスクを取りながら大きな収益をねらうことができる金融商品です。比較的短期間で値動きを見ながら積極的に売買する投資に向いているといえるでしょう。-1倍の動きをめざす2本のベア型ETNなら、ハンセン指数やKOSPI200を対象とするインデックス型投信を保有している場合に、その価格変動リスクを抑える目的で活用することも考えられます」(清水氏)
- 後編では、4本の投資対象であるアジア株式市場の動向を踏まえながら、ETNで投資するメリットなどを解説する。