【第6回】ゴールドETFで金投資 ETF
ETF [ コラム ]
【第6回】
ゴールドETFで金投資
ファンドの値動きが金の価格に連動する仕組みのETFを一般にゴールドETFと呼びます。少額で機動的な金投資を可能にした商品として注目されています。2010年2月5日現在、次の3本のゴールドETFが国内の証券取引所に上場しています。
ファンド名 | 銘柄コード | 上場市場 | 上場日 |
---|---|---|---|
金価格連動型上場投資信託 | 1328 | 大阪証券取引所 | 2007/8/10 |
SPDR ゴールド・シェア受益証券 | 1326 | 東京証券取引所 | 2008/6/30 |
ETFS 金上場投資信託 | 1672 | 東京証券取引所 | 2009/8/24 |
3本のファンドとも、金価格に連動する投資成果を目指すというファンドの目的は共通していますが、目的を達成するための投資対象は異なります。「金価格連動型上場投資信託」は、金の現物には直接投資せず、1グラム当たりの円表示の金価格に連動する投資成果を目的とした有価証券に投資を行います。この有価証券のことを一般に金価格連動債券と呼びます。
「SPDR ゴールド・シェア受益証券」と「ETFS 金上場投資信託」は、直接、金の現物に投資します。ファンドが購入した金は各ファンドのカストディアンと呼ばれる保管業務や運用資産の受け渡し決済を行なう会社が保管しています。かつて投資信託は金などの商品に直接投資することはできませんでしたが、2008年3月に信託法が改正されたことで、商品に直接投資するETFの設定が可能になり実現した形態のETFです。
また、「SPDR ゴールド・シェア」と「ETFS 金上場投資信託」は、日本で上場される前に、海外の取引所に上場し、売買されていた外国籍のETFを日本でも上場させたものです。「SPDR ゴールド・シェア」は、最初に2004年11月12日に米国で設定され、2004年11月18日にニューヨーク証券取引所に上場しました。2007年12月13日にニューヨーク証券取引所からニューヨーク証券取引所アーカ取引所に上場移転し、その後、2006年8月10日にメキシコ証券取引所、2006年10月11日にシンガポール証券取引所に上場しています。同様に、「ETFS 金上場投資信託」は、2007年4月にロンドン証券取引所に上場後、ユーロネクスト・アムステルダムなど複数の市場に上場しています。
各ファンドを比較すると次のようになります。
ファンド名 | 金価格連動型上場投資信託 | SPDR ゴールド・シェア受益証券 | ETFS 金上場投資信託 |
---|---|---|---|
連動対象 | 1グラム当りの円表示の金価格(ロンドン金値決め) | 金地金価格(ロンドン金値決め) | 金地金価格(ロンドン金値決め) |
投資資産 | 金価格連動債券 | 金 | 金 |
管理会社 | 野村アセットマネジメント | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー | イーティーエフ・セキュリティーズ・リミテッド |
上場市場 | 大阪証券取引所 | 東京証券取引所 NYSEアーカ取引所 メキシコ証券取引所 シンガポール証券取引所 |
東京証券取引所 ロンドンン証券取引所 ユーロネクスト・アムステルダム フランクフルト証券取引所 ユーロネクストSA イタリア証券取引所 |
分配 | 年1回 | 行なわない | 行なわない |
投資単位 | 10株 | 1株 | 1株 |
(1株当たり3,179円 2009年1月5日現在) | (1株当たり10,110円 2009年1月5日現在) | (1株当たり10,200円 2009年1月5日現在) | |
信託報酬 | 0.5%(税抜) | 0.4%(税抜) | 0.39%(税抜) |
金融商品取引法上の区分 | 内国投資信託証券(内国投資信託受益証券) | 外国投資信託証券(外国投資信託受益証券) | 外国投資信託証券(外国投資証券) |
税法上 | 上場株式等 | 上場株式等 | 外国債券 |
ETFを利用した金投資のメリットとしては、少額で金投資を行なえる、リアルタイムで売買できる、信託報酬が安いといったものが挙げられます。一方で、ETFの価格は市場における需要と供給で決まるため、ETFの取引所での価格と実際の金の資産価値から算出される1口当たりの価格にかい離が生じるリスクやETFの価格がベンチマークからかい離するリスクもあります。また、ゴールドETFの価格は基本的にはロンドン市場でドル建てで決定される金価格への連動を目指しますが、ゴールドETFの国内での取引所価格は円建てですので、為替市場の影響を受けます。ドル安円高になればゴールドETFの価格はマイナスの影響を受け、ドル高円安になればゴールドETFの価格はプラスの影響を受けます。
また、一般の金投資や金の積立商品とは異なり、ゴールドETFでは個人投資家が保有するゴールドETFと金の現物との交換は行なわれません。受け渡しに伴う手続きや金の保管に煩わされることなく金の値上がりの恩恵を享受できるのもゴールドETFのメリットであると言えますが、一方で、ゴールドETFは毎年信託報酬がかかりますので、長期保有を検討しているのであれば、金の現物を購入し、保管料のかからない方法で保有した方が購入後のコストを回避することができます。現物の金に投資するタイプのゴールドETFは株式ETFや債券ETFが分配金や利息といった収益を定期的に獲得するのとは異なり金の値上がり以外の収益はありません。したがって、金価格が値上がりしなければ、ETFの資産価値は信託報酬分だけ確実に目減ることになります。例えば、100万円でETFを購入して、年間のコストが0.5%であったとすると、金の価格が変わらなくても、資産は10年後には995,000円、20年後には990,000円に確実に目減るわけです。
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