【第2回】先物を利用したETFとは - ETFの応用 - ETF
ETF [ ETFの応用 ]
【第2回】
先物を利用したETFとは
商品に投資するタイプのETFでは、商品の現物の価格への連動を目指すものと、先物価格への連動を目指すものがあります。たとえば、ゴールドのケースでは、金の現物価格への連動を目指すETFと金の先物価格への連動を目指すETFがあります。ここでは、便宜上、前者を現物ETF、後者を先物ETFと呼びます。なお、商品ETFには、現物にも先物にも投資せずに、スワップ契約に基づき商品価格に連動する債券に投資することでETFの基準価額を商品価格に連動させるタイプも存在しています。
現物ETFでは、投資家から集めた資金で金の現物を購入します。購入した金はカストディアンという専門の金融機関の金庫に実際に保管されています。一方、先物ETFでは一般に、信託財産の一部を金の先物取引の証拠金として差し入れ、純資産総額に相当する金先物取引の建玉を買い建てます。残りの信託財産は短期公社債などで運用します。
この違いを、実際のファンド(SPDRゴールド・シェア受益証券・国内金先物価格連動型上場投信)で比較してみましょう。
SPDRゴールド・シェア受益証券は、ファンドの値動きが金地金価格に連動するように設計・運用されているETFで、現物の金に直接投資する現物ETFです。
一方、国内金先物価格連動型上場投信は、ファンドの値動きが東京工業品取引所での金先物の期先限月の清算値に連動するように設計・運用されるETFで、ファンドの財産を使って金先物投資を行なう先物ETFです。
両者の違いを比較すると次の表のようになります。
税法上は、両者とも上場株式等の扱いとなり、分配金については配当所得として、10%(所得税7%と地方税3%)の税率による源泉徴収が行なわれ、原則として確定申告の必要はありません。一部解約や償還時の差益は譲渡益として課税対象(譲渡所得等)となり、10%(所得税7%と地方税3%)の税率による申告分離課税が適用されます。また、一部解約や償還時に損失が生じた場合には、確定申告することで、他の上場株式等の譲渡益および上場株式等の配当所得の金額との損益通算ならびに3年間の繰り越し控除の対象とすることが可能です。
株式ETFや債券ETFが分配金や利息といった収益を定期的に獲得するのとは異なり、現物の金に投資するタイプのゴールドETFは、金の値上がり以外の収益はありません。したがって、分配金の支払いは行なわれません。一方、先物ETFにおいては、証拠金を差し入れた残りの信託財産は短期公社債などで運用し、ここからの収益が配当金の原資になります。
なお、上記の2本のETFについては、金との交換は行なえませんが、金と交換可能なETF「純金上場信託(現物国内保管型(銘柄コード:1540))」が2010年7月2日に東京証券取引所に上場しています。