児童手当は中学生までの子どもがいる世帯に対して支給される子ども手当です。1月25日の衆議院本会議では児童手当の所得制限撤廃についての質問があり、自民党の茂木敏充幹事長が「所得制限を撤廃すべき」と発言したことが大きな話題となりました。 児童手当は今後も大きな動きがありそうですので、中学生までのお子さんがいる世帯は要注目です。
児童手当とは?
児童手当とは、中学生(15歳の誕生日後の最初の3月31日)までの子どもがいる世帯に子育て支援として現金手当を受け取れる制度です。以前は「子ども手当」と呼ばれていました。
子どもの年齢と人数に応じて、10,000円から15,000円が給付されます。児童手当は所得制限があり、一定の所得を超えると給付金額が特例給付(減額)の対象となります。 2022年10月までは世帯主の年収が960万円程度を目安としてそれを上回る場合、子ども1人当たり5,000円が支給されていました。2020年12月に児童手当の見直しが行われ、2022年10月以降は世帯主の年収が1,200万円を超える場合、特例給付も廃止となりました。
※共働きの場合は世帯収入ではなく、年収が多いほうが基準となります。
世帯主の年収の目安 | 2022年10月以前 | 2022年10月以後 |
960万円程度以下 | 10,000~15,000円 | 10,000~15,000円 |
960万円程度~1200万円程度 | 5,000円 | 5,000円 |
1200万円程度以上 | 5,000円 | 給付対象外(変更対象) |
※所得制限の詳細は、以下リンクの「児童手当Q/A」Q2をご確認ください
参考:内閣府「児童手当Q&A」
支給対象
支給対象は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方」です。ただし、原則として同居して子どもを育てている前提ですので、以下のルールが適用されます。
- 原則として、児童が日本国内に住んでいる場合に支給します(留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象になります)。
- 父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給します。
- 父母が海外に住んでいる場合、その父母が、日本国内で児童を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に支給します。
- 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給します。
- 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給します。
引用:内閣府「児童手当制度のご案内」
支給額
児童手当の給付額は以下の通りです。ただし、上で説明した通り、世帯主の所得によっても変わります。
子どもの年齢 | 児童手当の給付額(子供1人当たりの月額) |
3歳未満 | 15,000円 |
3歳以上~小学校修了前 | 10,000円 ※第3子以降は15,000円 |
中学生 | 10,000円 |
※所得が960万円程度〜1,200万円程度の場合、一律5,000円。1,200万円以上の場合、給付対象外となります。
参考:内閣府「児童手当制度のご案内 2. 支給額」
支給時期
原則として、毎年6月、10月、2月の年3回給付されます。それぞれの前月分まで(まとめて4か月分)の手当が支給されます。
例)6月の支給日には、2~5月分の4か月分の手当が支給されます。
実際の支給日は市町村によって異なりますので、お住いの市町村のHPをご確認ください。「児童手当 支給日 xx市(お住いの市町村)」などで検索すればお住いの市町村の児童手当支給日がわかります。
児童手当と児童扶養手当の違い
児童扶養手当とは、離婚等により父又は母と生計を同じくしていない児童(ひとり親の子ども)に支給される手当です。扶養親族の数によって支給額が変わります。 支給対象は前述の条件を満たす18歳に達する日以後最初の3月31日までの児童(政令で定める程度の障害がある児童の場合は20歳未満)を養育している父や母です。
参考:厚生労働省「児童扶養手当について」
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2023年直近の児童手当について
2023年1月25日には自民党の茂木敏充幹事長が児童手当の所得制限の撤廃を提起しました。今まで自民党は一律給付には否定的でしたが、岸田政権の異次元の少子化対策を巡り所得制限の撤廃は今後の焦点になりそうです。 ただし、児童手当の所得制限の撤廃は、実質手当の増額となり財源の問題も解決しておらず、課題も多く残されています。
児童手当の使用用途
児童手当は現金給付される為、使用用途は限定されていません。内閣府の調査によれば児童手当の使用用途(予定含む、複数回答)は以下の項目が上位になっています。
- 子どもの将来のための貯蓄・保険料(57.9%)
- 子どもの教育費等(27.5%)
- 子どもの生活費(22.0%)
- 子どもに限定しない家庭の日常生活費(14.9%)
- 子どものためとは限定しない貯蓄・保険料
これをみてわかる通り、子どもに限定しない用途でも利用している人もいます。子どもに限定利用できない理由として最も多いのは「家計に余裕がないため(66.4%)」という結果でした。
参考:内閣府「児童手当等の使途に関する意識調査 報告書」
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児童手当の手続き・申請方法
児童手当は子どもが生まれたり、引っ越し(他の市区町村から転入)した時に、お住いの市区町村に「認定請求書」を提出して自分で申請しなければなりません。
公務員の方の場合は勤務先から児童手当が支給されるので、勤務先に申請します。市区町村で認定をうければ、申請の翌月分の手当てから支給されます。 毎年6月分以降の児童手当等を受けるには現況届(児童手当を受け取る要件を満たしているかの確認)の提出が必要でしたが、令和4年6月分以降から提出が不要になりました。
※市区町村の判断で現況届は引き続き提出を求めることもできるので、詳細はお住いの市区町村に確認してください。
児童手当を受給する際の注意点
児童手当の受給にはいくつか注意点があります。
1.所得制限について
記事内でも紹介しましたが、現在児童手当には所得制限が設けられています。児童手当等が支給されなくなったあとに所得が制限の金額を再度下回った場合、改めて認定請求書の提出が必要になります。
2.15日特例申請について
自動申請は申請の翌月から支給されますが、出生日や転入した日が月末に近い場合、その翌日から15日以内に申請すれば、申請が翌月になっても申請付きから支給してもらえます。申請が遅れれば遅れた月は支給してもらえません。
3.特定の事由による市区町村への届け出について
以下の場合、市区町村への届出が必要になります。
- 児童を養育しなくなったことなどにより、支給対象となる児童がいなくなったとき
- 受給者や配偶者、児童の住所が変わったとき、(他の市区町村や海外への転出を含む)
- 受給者や配偶者、児童の氏名が変わったとき
- 一緒に児童を養育する配偶者を有するに至ったとき、または児童を養育していた配偶者がいなくなったとき
- 受給者の加入する年金が変わったとき(受給者が公務員になったときを含む)
- 国内で児童を養育している者として、海外に住んでいる父母から「父母指定者」の指定を受けるとき
参考:内閣府「児童手当制度のご案内 お住まいの市区町村に届出が必要になる場合」
まとめ
児童手当は中学生までの子どもがいる世帯に支給される子ども手当で、自分でお住いの市区町村へ申請する必要があります。 現在は所得制限がありますが、撤廃に向けて議論が進んでいます。岸田政権下では少子化対策が大きく動きそうですので、今後も注目です。
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よくある質問
Q | 児童手当をもらえるのはどんな人ですか? |
A | 中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方が対象です。 詳しくは「支給対象」を参照。 |
Q | 児童手当をもらうための所得制限はありますか? |
A | 現在は年収(所得ではありません)が960万円程度(一律5,000円になる金額)と、1,200万円程度(給付対象外になる金額)が制限の対象となっています。所得制限については撤廃の議論もされています。 【関連記事】児童手当の所得制限における計算方法 |
Q | 母子手当はいくら稼いだらもらえなくなりますか? |
A | 母子手当(児童扶養手当)は前年の所得に応じて全部支給と一部支給に分かれます。扶養する人数によって所得制限の額が変わります。子ども1人の場合は以下の通りです。(前年の収入ベース) 全部支給:160万円 一部支給:365万円 |