NISAで恩恵を受けそうな日本株銘柄選択の評価軸とリスト - NISAで株式投資をはじめてみよう!
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NISAで一番恩恵受けるパターンはどのようなものか
NISAの制度がスタートしました。NISAでは株式や投資信託などの金融商品に投資をすることができます。100万円の非課税枠内でどのような金融商品に投資をしようかと迷っている方も多いと思いますが、NISAで非課税の恩恵を受けるパターン自体は極めてシンプルです。
NISA活用のメリットを最大化できるのは「投資した資産価格が非課税期間の終了する5年後に高値となり、かつその間に配当が毎年出ている」という投資対象に投資できたときです。恩恵を受けるパターン自体は極めてシンプルで、簡単そうにも見えるのですが、投資家が実際にこの条件を満たすのは非常に難しいと考えています。今回は、こうした条件をクリアーできそうな銘柄に出会える確率を高めていく視点を考えていきたいと思います。
投資タイミングをとることの難しさ
個別株を高値でつかんでしまうと、NISAの非課税期間である5年後までに一度も買値を超えないという状況も起こりえます。これではNISAの恩恵は配当以外にうけることができません。配当が出ていない銘柄であればその恩恵すらないことになります。
また、NISAの非課税期間の途中に、投資した小型株の資産価格が何倍にもなり、そこでいったん売却して利益を確定するというケースもあるでしょう。しかし、ひとたび売却してしまった部分については非課税期間であっても残りの期間は非課税の恩恵を受けることができません。非課税期間の間に売却してしまった部分については、非課税制度の残りの期間は機会損失をしているともいえます。
このようにNISAの恩恵を受けるためには、非課税期間5年を考慮し、投資タイミングが非常に重要となります。しかし、実際の運用で投資タイミングを計るのはプロフェッショナルの運用者でも難しいとされています。2012年から2013年にかけてアベノミクスで株式相場は大きく上昇しましたが、現在の株価水準を考え、適切なタイミングかどうかも考えなければなりません。これは個別株であっても日本株のインデックスファンドでも同じことです。外国株式の場合には、株価水準に加えて為替レートの水準も考慮しなければなりません。さらに難易度が上がるといえます。
一度投資したら変えられない条件の扱いにくさ
NISAでは、一度投資してしまうと銘柄のスイッチ(乗り換え)ができない制約条件があります。このルールがあるために、NISAを活用する際に、どの銘柄、どの金融商品に投資するかが非常に重要になります。つまり、非課税の恩恵を受けるためには、投資対象の選択の失敗が許されないという厳しい条件です。
プロの運用者でも5年間に運用ポートフォリオをまったく変えないということはかなりまれなケースです。プロの運用者ではアセットアロケーションという作業ですが、株式、債券、不動産などをその時々の経済見通しに基づいて入れ替えます。情報収集力や分析力があるといわれているプロでも、運用ポートフォリオを時折入れ替えているのですからNISAで個人投資家に5年後を見据えて投資をしなさいと要求してもハードルが高いように思います。
日本人には高配当の金融資産が好まれるが...
高配当の銘柄、投資信託であっても5年後原資産が大きく値下がりしているケースでは、非課税効果は意味を成しません。最終的には、配当ばかりに注目するだけでは十分ではなく、原資産(株価、投資信託の基準価格)の価値が上昇しているかどうかが重要です。
NISAに向く日本株の銘柄選択の評価軸とは
さて、ここでは原資産の価値が上昇する可能性の高い銘柄をどのような「評価軸」で考えれば良いのかをお話したいと思います。私が注目している評価軸の一つは、「一株当り純資産(BPS)の継続的な拡大」です。「継続的なBPSの積み上げが重要」と言われると、指標としてあまりにもシンプルなため、「もっと何か無いのか?」と思う方もおられるかもしれません。しかし、「継続的なBPSの積み上げ」という評価軸は、実は極めて「複眼的」な評価を可能にするものなのです。
経営者がBPSを継続的に積み上げるのは、実は極めて骨の折れる仕事です。BPSの変動要因となる、諸要因(毎期の利益、配当支払い、保有資産の評価額の変化、発行済株式数)がしっかりコントロールされて初めて、継続的なBPSの積み上げが達成できるためです。過大な設備投資リスクが回避されているか、配当と内部留保のバランスは取れているか、保有資産の評価次第でバランスシートに大きな影響が出る構造になっていないかなど、様々なハードルを乗り越えて得られる勲章なのです。
図表1はTOPIXの時価総額上位50社の中から2009年3月期から2013年3月期までの過去5年間にBPSが拡大した順に並べ替えたものです。加えて、5年間の株価変化率とBPSが過去5年間に継続してBPSが拡大している企業については「Yes」と記入しています。どんなに業績が安定している企業の株価も株式市場全体の動向で株価は変動しますが、継続的にBPSを拡大している企業は、株価の下値が切り上がる効果を期待できるため、注目しています。この過去5年間に増資などをしている企業もありますが、安定的に保有する株主としては、そうした発行体による資本政策の変更などを踏まえても継続的にBPSを拡大してほしいところです。
出所:SPEEDAをもとに筆者作成
続いて、リーマンショック前、つまり過去6年にさかのぼって図表1と同じ条件で図表2を作成してみました。注目すべきは、BPSを積み上げている企業でも株価の絶対値が下落している銘柄がある点です。TOPIXが▲15%下落しているという市場環境でもありますが、BPSを積み上げている企業でも半分の企業が株価の絶対値が下落しています。
出所:SPEEDAをもとに筆者作成
BPSが積み上がっているのに、株価が6年前よりも低い銘柄を買うべきか?ここから先は、業界・企業の専門家であるアナリストの出番です。これまではBPSを継続的に積み上げてきたが、この先はそのトレンドが崩れるリスクがあるのか、あるいは、市場の評価が低すぎるのか、アナリストの判断が重要になります。
執筆:株式会社ナビゲータープラットフォーム取締役 アナリスト兼Longine編集委員長

泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)氏
個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、https://www.longine.jp/)」編集委員長
慶應義塾大学商学部卒。日本生命保険、フィデリティ投信で日本株式の証券アナリストや外国株式のポートフォリオマネージャーとして従事。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォームを設立し、Longine(ロンジン)を運営。著書に「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」(日本経済新聞出版社)
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