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株式ファンドの運用実績 - 目論見書読みこなしガイド【第19回】 - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:49

投資信託 [ 目論見書読みこなしガイド ]

【第19回】

株式ファンドの運用実績

投資信託には決算期があり、決算期ごとの運用実績が目論見書に掲載されます。決算時期と決算頻度はファンドごとに異なります。運用実績にはファンドの基準価額と純資産総額の推移、分配の推移、年間の収益率などが含まれています。

基準価額の推移について

投資信託の1口当たりの価格のことを基準価額と呼びます。投資信託は、通常、1口1万円で設定されるので、設定当初の元本は1万円になります。基準価額の推移のセクションでは、その1万円が設定以降どのように変動してきたかが示されています。通常、「課税前分配金込み基準価額」の推移が、ベンチマークとしている株価指数と共にグラフ化されています。例えば、日本の株式市場に投資するファンドであれば、東証株価指数や日経平均株価のグラフがファンドの基準価額のグラフと共に描かれています。アクティブ運用のファンドは、ベンチマークを上回ることを目的としていますので、ベンチマークを下回る運用が長期間続いているファンドは、運用が目的通りには行なわれていないことを意味します。また、インデックス運用のファンドはベンチマークからの乖離が大きければ意図した運用が行なわれていないことになります。

目論見書では、基準価額の推移は、グラフだけでなく次のような表でも記載されています。この場合には、過去の各期末時点での「分配落基準価額」と「分配付基準価額」が掲載されます。純資産総額についても分配落と分配付で掲載されます。

「分配落」基準価額とは分配金を支払った後の基準価額のことで、「分配付」基準価額とはその分配金を分配落基準価額に加えた値です。グラフの場合と同様に、単純に過去の純資産総額や基準価額を見るだけでは、本当の運用実績はわかりません。ファンドが保有している株式などの価格が上昇しても、解約があれば純資産総額は減少し得ますし、ファンドが分配金を支払えば払った分だけ基準価額は下落するからです。こうした問題を解決するために、決算期日における「分配落」の基準価額と「分配付」の基準価額が記載されています。なお、分配を行なわなかった決算期末においては、分配落と分配付の数字は同じになります。

純資産総額の推移について

投資信託の純資産総額は、ファンドの運用が上手くいくことで投資している銘柄の株価が上昇するか、新しい資金がファンドに入ってきた場合に増加します。一方、株価の下落、解約、分配の支払いはファンドの純資産総額の減少要因となります。したがって、純資産総額の推移だけで、ファンドの運用が上手くいっているかどうかを確定することはできませんが、純資産総額が小さいままのファンドや減少し続けているファンドは注意が必要です。純資産総額が数十億円程度で増加しないファンドでは、資産を広く分散させるという目的が達成できないこともあります。また、多くのファンドは純資産総額が30億円を下回った場合に、ファンドを繰上償還できる約款になっており、期待していたい運用期間を待たずに資金を現金化せざるをえないことになる場合があります。また、外国の株式に投資するタイプの株式ファンドでは、円高により円換算した場合の資産価値が減少するため、円高も純資産総額減少の要因になります。

分配の推移について

投資信託は通常、少なくとも1年に1度の決算を行ない、投資家に分配金を支払います。分配の頻度はあらかじめ決められています。分配の推移の欄では、ファンドが設定されてから、1口当たりいくらの分配(課税前)を支払ってきたかが表やグラフなどで掲載されています。ただそ。運用成績によっては分配が行なわれないことがあります。実際に、過去数年の株式ファンドの分配状況を見ると、分配が実施されなかったり、分配額が減少しているファンドも見られます。安定した分配の獲得を期待してファンドを購入したいと考えている場合には、分配の推移をきちんと調べましょう。

年間収益率について

年間収益率は基準価額の1年ごとの収益率のことです。課税前分配金を再投資したと仮定した基準価額を基に運用会社が算出します。2010年から投資信託は年間収益率をグラフで記載することがルール化され、次のようなグラフが表示されています。

この表では、青い棒がファンドで赤い棒がベンチマークです。ファンンドの収益率がベンチマークを上回っている年は、ファンドの方がベンチマークよりも上昇した、つまり目的であるベンチマークを上回る運用ができた年だということがわかります。また、この例では、2008年と2010年にはファンドもベンチマークも下落していますが、下落率がファンドの方が大きく、下落相場に弱いファンドであることもわかります。

主な銘柄別投資比率

株式ファンドでは、組入比率の大きな銘柄について、上位10位程度までの銘柄名と投資比率が記載されています。このセクションを見ることで、どのような銘柄に投資しているかが具体的にわかります。また、前期のリストと比較することで、どの銘柄の組み入れを減らしているか増やしているかを大まかに知ることができます。なお、投資銘柄全てのリスクとは運用報告書に掲載されています。

業種別投資比率

株式ファンドでは、業種別の投資比率が次のようなグラフや表などで掲載されています。グラフを見ることで、ファンドがどの業種に重点を置いているか、それによってどのような場合に下落する傾向があるかを推測することが可能です。例えば、このグラフであれば、上位を占めるのは電気機器、輸送用機器、機械など円高による業績に大きな影響がでる可能性の高い業種であり、円高がファンドにとってマイナス要因になる可能性があると予想することができます。また、銀行やその他金融業の占める割合の多いファンドでは、リーマン・ショックのような金融危機に大きな影響がでると予想できます。


執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク(掲載日:2011年10月07日)

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