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投信ニューフェース 三菱UFJ投信の『eMAXIS(イーマクシス)』 - 注目の投信 - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:45

投資信託 [ 注目の投信 ]

【第133回】

投信ニューフェース

三菱UFJ投信の『eMAXIS(イーマクシス)』

——ネット取引向けに格安運用コストでノーロード(無手数料)の内外インデックスファンド8本を投入し、コストコンシャスな投資家に訴求。積み立て投資の利便性も向上。

三菱UFJ投信は『eMAXIS(イーマクシス)』と名付けたブランド名の下、ネット投資家向けの指数連動型インデックスファンド8本を2009年10月28日に設定した。『eMAXIS』の“e”はeメールやeコマースの“e”と同様にインターネットを意味し、“MAXIS”はMAX(最高の品質)とAXIS(投資家の投資中心軸)を掛け合わせた言葉。当初の販売会社はSBI証券、カブドットコム証券と楽天証券のネット証券3社で、10月30日から販売を開始する予定。

コストコンシャスなネット投資家に訴求——格安運用コストとノーロード

最大の特徴は、類似インデックスファンドの中でも運用コスト(信託報酬)を格安水準まで下げたことと、販売手数料が無料のノーロードファンドという点だ。コスト意識が高いコストコンシャスな(Cost-Conscious)投資家への訴求力が高まった。信託報酬(税込み)は国内資産で運用するタイプ4本が0.42%、海外資産型4本が0.63%。同じ指数への連動を目指すETF(上場投資信託)よりはやや高く、ラップ口座専用や401k(DC、確定拠出年金)専用を除く一般のインデックスファンドよりも総じて安い水準に設定されている。例えば、三菱UFJ投信が運用するTOPIX連動型ETFの「MAXISトピックス上場投信(銘柄コード: 1348)」の信託報酬は0.0819%、日経平均連動型ETF「MAXIS日経225上場投信(銘柄コード: 1346)」の信託報酬は0.1785%。同社が以前から運用しているTOPIX連動型インデックスファンド「三菱UFJトピックスインデックスオープン」の信託報酬は0.6825%、日経平均連動型「三菱UFJインデックス225オープン」の信託報酬は0.651%となっている。

eMAXISの投資対象資産は株式・債券・リート(不動産投資信託)の3種類で、投資対象地域は国内・先進国(日本を除く)・新興国の3地域。掛け合わせて8本のファンドラインアップを提供する。連動を目指す指数は世界の投資家の間で知名度が高く、“市場平均”を代表する内外の指数。今回のeMAXIS第一陣では新興国債券指数や商品指数に連動するタイプは投入しないが「今後どのようなファンドを追加していくか、マーケットニーズなどをみながら検討していく」(三菱UFJ投信)ようだ。

分配金は多くても組み入れ銘柄の配当金程度が目安として想定される

決算は年1回(1月)行う。インデックスファンドとして指数への連動性を高める(国内株、先進国株や新興国株の連動指数は配当を含まない株価指数)ことや、積み立て投資など長期間の投資効率を下げないよう、分配金額は多くても組み入れ銘柄の配当金程度が目安となることが今のところ想定される。

連動指数の採用銘柄数は多数に上る。例えば先進国株価指数「MSCIコクサイ・インデックス」の構成銘柄数は1300以上(09年9月末時点)、新興国株価指数「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」は700以上といった具合だ。ただeMAXISは指数への連動運用を目指すものの、指数採用銘柄をすべて同じような比重で組み入れるとは限らない。

8本のファンドは、投資対象と地域順に:

(1)株式・国内 eMAXIS 日経 225 インデックス
(2)株式・国内 eMAXIS TOPIX インデックス
(3)株式・先進国 eMAXIS 先進国株式インデックス
(4)株式・新興国 eMAXIS 新興国株式インデックス
(5)債券・国内 eMAXIS 国内債券インデックス
(6)債券・先進国 eMAXIS 先進国債券インデックス
(7)リート・国内 eMAXIS 国内リートインデックス
(8)リート・先進国 eMAXIS 先進国リートインデックス
eMAXISの投資対象資産と投資対象地域

(出所)三菱UFJ投信 eMAXISの運用会社サイト:アドレス http://maxis.muam.jp/e/

eMAXISマザーファンドの運用成績を比較、「国内債券」がじわり上昇

8本ともに、インデックス運用するマザーファンドに投資し、海外資産型については原則為替ヘッジしない。各マザーファンドについて、2006年3月末以降の運用成績をみると、直近09年10月16日までの約3年半の運用成績がプラスとなったのは「新興国株式」「国内債券」「先進国債券」の3本。「国内債券」がじわり上昇してきたのが目立つ。他は昨年の金融危機で大きな痛手を受けたが、今年に入ってからはリバウンド傾向となり「新興国株式」と「先進国債券」の2本が3年半前の水準を回復した。「国内債券」については、需要不足で供給過多体質の日本経済はデフレ圧力が弱まらない状態から抜け出せず、低金利政策が続いていることが日本国債価格を下支えしてきた。その一方で、財政赤字の拡大や国債増発によるマイナス要因を天秤にかけながら、足元は上げ下げを繰り返す神経質な展開が続いている。

eMAXISの価格変動リスクは過去の平均的な水準まで低下

値動きの変動の荒さを示す価格変動リスクを測ると「国内債券」が最小で、次に「先進国債券」が小さく、他は大きい。2008年にかけ増幅してきた価格変動リスクは縮小傾向にあり、8本とも価格変動リスクは3年半の平均水準まで下がってきた。将来の期待収益は過去の騰落率の延長線上にはないというのが金融市場の常だ。その一方で将来の価格変動リスクについては過去の値が、過去の騰落率以上に参考となる。価格変動リスクも時間とともに上下に変動し、昨年のように大半の金融資産の価格変動リスクが異常値といえるほどまで増大した局面もあったが、一般に価格変動リスクは過去の平均的な水準に回帰するように変動していく傾向にある。

「国内債券」の弱い逆相関が目立つ、連動性も市場環境で変動

2資産間の値動きの連動性を示す統計値の相関係数を計測すると、「国内債券」と他資産との相関係数はすべてマイナスの弱い逆相関が目立つが、他の組み合わせ(ペア)は連動性が高い状況が続いてきた。ただ、連動性が高まってきたのは2007年頃から。それ以前には「先進国債券」と「国内株式」の連動性や、「先進国債券」と「先進国株式」、「先進国債券」と「新興国株式」、「国内リート」および「先進国リート」とほかの資産との間では、連動性が低い時期もあった。連動性も市場環境に左右され変動するが、価格変動リスク同様に過去の平均的な水準に落ち着いていくような傾向がみられる。複数資産を組み合わせて分散投資する際には、相関係数が低い組み合せを選ぶのがリスクを低減するうえで効果的だが、価格変動リスクが高いファンドとペアを組むと、ペアの価格変動リスクが元々の低い方よりも下がるとは限らない。

積み立て投資の利便性増す。昨年の急落で「新興国株式」と「国内債券」以外は含み損

eMAXISは販売手数料が無手数料のノーロードファンドのため、毎月少額の資金での投資を継続する投資手法のドル・コスト平均法に基づく“積み立て投資”の利便性も増す。仮にこの3年半、毎月末の基準価額で積み立て投資を継続したとすると直近で含み益が出ているのは「新興国株式」と「国内債券」の2本のみで、累計投資額に対する保有時価の収益率は3−4%台。積み立て投資での平均購入単価は基準価額に比べなだらかに変動する。これに対し、昨年の金融危機で基準価額が平均購入単価を割り込むように急落したのが含み損を招いた。積み立て投資では、基準価額が平均購入単価を上抜くと含み益が出るが、反対に下抜くと含み損状態になる。このため積み立て投資でも、下げ局面が長引いたり突然の急落に遭遇すると無力と化する。ただ「日経225」の例のように、昨年は一時含み損が40%を超していたのが、最近は20%弱まで縮小。今後、日経平均が上昇してくると、含み益状態に変わる可能性はある。積み立て投資の基本は、将来の値上がりを期待して、途中で中断する必要性の低い無理のない範囲での投資を気長に継続することにある。実際に月末積み立てが可能かどうかなど、買付日や約定日など積み立て投資の諸条件は販売会社による。

「国内債券」と他の2本を組み合わせて積み立て投資すると、よりなだらかな変動に

積み立て投資でも複数ファンドを組み合わせるのも選択肢の一つだ。何本組み合わせるか、その配分はどうするかで、様々な組み合わせパターンが存在する。投資家自身のリスク許容度や将来の値上がり期待度、過去の連動性などを参考に判断するしかないが、ここでは、弱い逆相関だった「国内債券」と他1本を等金額で2本組み合わせるパターンについて、一括投資した基準価額と積み立て投資での平均購入単価および積み立ての収益率を計測してみた。加えて8本すべてを等金額で組み合せたパターンについても計測してみた。

2本組み合わせて一括投資した場合は、「国内債券」の緩やかな動きがもう一方の荒い動きを和らげた。積み立て時の平均購入単価はそれよりもさらになだらかな動きとなった。ただ、いくら逆相関の「国内債券」と組み合わせたからと言っても昨年の急落の影響は免れず、直近で含み益が出たのは「新興国株式」と「先進国債券」との組み合わせのみだった。なだらかに上昇してきた「国内債券」にしても、今後長期金利が上昇傾向に転ずると収益の圧迫要因になる。

こうした分析で注意しなければならないのは、投資開始時点により、グラフの形状や収益率は様変わりする点だ。事実、今年に入ってからこれまでの収益率は8本ともプラスであり。どのファンドを何本どのように組み合わせようとも、組み合わせて一括投資した収益率はプラスになった。

組み合わせ投資する場合、値上がりしたファンドを一部解約し、その資金を下落したファンドの買い増しに充てながら、配分比率を所定の値に戻すリバランスを定期的に行うと、運用成績がさらに改善する可能性はある。ただこれは部分的なスイッチングに相当し、スイッチングを即日行うことはできない。解約した資金が入金されるまで(換金代金受取日は換金請求日から4〜6営業日後)まで待って、別のファンドの買い増しを行う必要があるうえ、海外資産型の購入価格は翌営業日の基準価額を適用する。スイッチング時に解約と購入の基準価額を同じ日のものに揃えることができないのは、一般の投信と同じ扱いになる。

インデックスファンド全般の運用成績——信託報酬以外の要因でばらつくことも

インデックス運用は変動率を指数に合わせる受け身のパッシブ運用を行い、運用益(もしくは損)は市場平均並みとなる。同じ指数に連動するのであれば、投資家収益の点で運用コスト(信託報酬)は安いに越したことはなく、安い方が指数との連動性も高まりやすい。ただインデックス運用といっても銘柄の流動性などの関係で指数採用銘柄をすべて指数通りに組み入れるとは限らず、同じ指数に連動するインデックスファンドでも、組み入れ手法の違いなど信託報酬以外の点で運用成績に微妙な差が付く場合がある。

アクティブファンドの信託報酬の多寡と運用成績の良し悪しは様々

これに対し、アクティブ運用は基本的に市場平均以上の運用成績を目指し、信託報酬の水準はインデックスファンドに比べ高く、その水準は投資対象や投資地域などによってまちまちだ。アクティブ型ファンドの運用成績は市場環境に大きく左右され、信託報酬の高安と運用成績の優劣との間の関係は、比較する時期の市場状況や計測期間により必ずしも明確にならず、“信託報酬が安いほど運用成績が良かった”という単純な関係にはない。だが運用益が出ようが損失が出まいが、運用期間に比例して信託報酬が運用成績を押し下げる“ハンディキャップ”である点に変わりはない。

日本株アクティブファンドの多くは1年間でTOPIXに勝ち越したが、日経平均には劣後

インデックス運用とアクティブ運用の勝ち負けの関係も、信託報酬の差だけでは決まらず、比較する期間の相場状況に大きく依存し、アクティブ運用の方がインデックス運用を平均的に上回った局面は過去にも存在した。例えば、過去1年間(09年10月16日まで)の日本株アクティブファンド(純資産残高30億円以上)約200本の運用成績をみると、日経平均連動型インデックスファンドの上昇率(19%前後)を上回ったのは30本程度(約15%)のみだったのに対し、TOPIX連動型の上昇率(2%前後)を凌いだのは約80%の160本程度に上った。アクティブファンドが平均してインデックスファンドに常に勝てないという訳ではない。アクティブファンドは上げ相場では市場平均に対し優位になり、下げ局面では劣後する全般的な傾向がある。ただ、どのアクティブファンドが市場平均を上回るのかどうか、事前に知ることはできない。

さらに同じ日本を代表する株価指数でも、日経平均とTOPIXで1年間騰落率に15%以上もの差がつく結果となった。採用銘柄数(TOPIXの1700程度に対し、日経平均は225)が多ければ多いほど、銘柄分散効果が収益面で有利に働くとは限らないし、価格変動リスクが低減し続けることはない。どんなに銘柄数を増やしても市場リスクは排除できず、価格変動リスクはある一定値以下には下がらないというのが証券投資理論の基本的な教えの一つだ。


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2009年10月28日)

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