投信フォーカス - 日本株のバブル後安値(2003年4月)と現在を比較 - 注目の投信(第98回) - 投資信託
投資信託 [ 注目の投信 ]
【第98回】
投信フォーカス
日本株のバブル後安値(2003年4月)と現在を比較
世界的な金融市場の混乱や景気悪化を背景に日経平均株価は急落し、バブル経済崩壊後の安値7607円(2003年4月28日。以下、バブル後安値)を割り込み、08年10月27日には7162円を付けました。
バブル後安値をつけた03年時点は、地価の下落から金融機関の不良債権問題が深刻化したことで金融不安が強まり景気が悪化、多くの企業が負債を抱え大規模な倒産が相次ぎました。
当時と現在を東証1部全体のPBR(株価純資産倍率)で比較すると、08年11月末時点では0.94倍と、バブル後安値時の1.20倍を下回っています。PBRが1倍以下とは、その企業の株価が会計帳簿上の価値を下回ることを意味し、仮にその株価で企業を買収して全保有資産を帳簿価格で売却できれば利益が出るということを示しています。
さらに、今後の企業収益から株価水準を判断する予想PER(株価収益率)で見てみると、11月末時点の東証1部全体は15.46倍と、バブル後安値時の53.69倍を下回っています。ただ、バブル後安値当時は赤字決算となった企業が多く、市場全体の利益水準がこれらの赤字企業決算に大きく引き下げられたため、2つの局面を単純には比較できません。バブル後安値から徐々に企業の業績が回復し始めた5年間の予想PERは10倍から30倍(平均値は20倍)で推移しており、その時点に比べても現在の予想PER水準は低い(投資家にとっては、企業の予想利益との比較で株価水準が割安になっている)状態です。
また、予想配当利回り(現在の株価で投資し、配当を得た場合の利回りを年率表示)は年2.72%で、バブル後安値時の年1.25%を上回っています。株式の配当利回りが日本国債(10年物=年1.395%、11月末時点)の利回りを上回る状態は過去においても稀なケースです。
このように、PBR、予想PER、予想配当利回り等の株価指標でみると現時点の株価は過去と比較して割安な水準であるといえます。
ただ、世界的な景気悪化とその影響範囲の拡大が懸念され、国内企業の業績がさらに悪化することも危惧されます。また、金融機関を中心に資本増強(株式数の増大)も進めており、一株あたりの利益水準が低下することも考えられます。
下表をみると、企業業績が悪化すると予想EPS(1株あたり利益、54.01円)が下がるため、PER(15.46倍)が上昇し、TOPIX(834.82ポイント)の割安感が薄れます。また、配当が減配される可能性もあります。
過去の環境と現時点を比較し、株価にとってプラスとマイナスの材料を整理した上で、その材料が織り込まれる株価水準をイメージすることが、投資判断において重要です。
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