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投信ニューフェース 『プラチナ先物ETF』『金先物連動ETF』が大証に上場 - 注目の投信 - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:35

投資信託 [ 注目の投信 ]

【第142回】

投信ニューフェース

『プラチナ先物ETF』『金先物連動ETF』が大証に上場

————国内の円建て商品先物市場(TOCOM)に直接投資する初のETF。『金先物連動』は金先物の期先限月(約1年後)への連動を目指して運用。『プラチナ先物』は白金先物の期先限月の動きを指数化した“日経・東工取白金指数”への連動を目指す。

国内商品先物市場の金先物と白金先物に投資する円建てのETFとして、商品先物の取引時間とほぼ同時間帯にリアルタイムでの売買が可能。先物投資による運用だが、基準価額は先物価格と同程度(1倍程度)の連動率となる。商品先物と異なりETFのため、税制は上場株や国内公募株式投信と同じ。特定口座の中で損益通算も可能。ただし、ETFから金現物や白金現物への交換はできない。

野村アセットマネジメント(以下、野村AM)が運用する『プラチナ先物ETF(1682) 』<正式名称:「NEXT FUNDS 日経・東工取白金指数連動型上場投信」>および、みずほ投信投資顧問(以下、みずほ投信)が運用する『金先物連動ETF(1683)』<正式名称:「国内金先物価格連動型上場投信」>のETF2本が揃って2010年2月15日に大証に上場する。信託報酬は両ETFともに年率0.4725%(税込み)。既に東証や大証に上場している金、白金価格を連動対象にするETFの信託報酬(0.3%台〜0.5%台)の間に入る水準となる。両ETFは共に信用取引による売り・買いが可能。上場当初の最低売買価格は『プラチナ先物ETF(1682) 』が2万6千円程度(100口)、『金先物連動ETF(1683) 』が3万千円程度(10口)となる見込み。

野村AMのETFサイト:
http://nextfunds.jp/

みずほ投信のETFサイト:
http://www.mizuho-am.co.jp/static/fund/fundLineUp27.html

既に上場している金や白金関連ETFは、世界の現物マーケットのメッカであるロンドン市場の“現物価格”(円換算値)が連動対象なのに対し、今回の両ETFは国内最大の商品先物市場である東京工業品取引所(通称TOCOM、TOkyo COMmodity exchange)の先物に投資する点が大きな特色だ。個人投資家にも投資がしやすい金融商品のETFを通じて、国内商品先物を手軽に売買することが可能になる。2008年12月に投信法が改正され、国内公募投信の運用先として商品先物への直接投資が可能になった流れを受けたものだが、国内の証券取引所と商品先物取引所での金融商品融合化の最初の大きな一歩となる可能性を秘めている。

野村AMの田畑邦一・商品企画部シニア・マネージャーは『プラチナ先物ETF(1682) 』の立ち上げに当たり、「取引所・投資先・運用会社・信託銀行などETFの関係者すべてが“All Japan”で取り組むことを意識した。日本(Japan)とのつながりという点では、白金の場合、宝飾品としての投資需要のほかに、自動車の排気ガス処理の浄化触媒として利用され、自動車産業を中心とした工業品需要が高いことにも注目した」と話す。

みずほ投信の武内護・営業企画部長は『金先物連動ETF(1683) 』をETF第一号としてETFビジネスに参入した背景をこう説明する。「2006年くらいから商品先物で運用するファンドや商品先物に連動する債券への投資などにより商品関連ファンドの運用実績を積んできた。さらに、商品先物へ直接投資する運用の金融庁承認が下りてからただちに、為替ヘッジを行いながら海外商品先物に直接投資するファンド(注1)の自社運用を2009年9月から開始した。以前よりETFビジネスへの参入プランを温めてきたが、提供商品の幅を広げると同時に、『金先物連動ETF(1683)』を足掛かりにしてETFビジネスを拡大して行きたい」(武内氏)。

(注1)「MHAM金先物ファンド(ロング型)」や「MHAM原油先物ファンド(ロング型)」など。信託報酬は両ファンドともに年1.2075%(税込み)、この内運用会社取り分:0.525%。

先物取引には投機性が高いというイメージがつきまとう。これは先物価格そのものの変動性よりは、むしろ先物の売買では投資額の数倍以上となる想定元本の売買を行うこと(通常レバレッジと呼ぶ)に起因する。今回のETFも先物で運用する以上、レバレッジをかける。ただし、レバレッジをかけた投資金額(想定元本)がETFの純資産に等しくなるような運用を行う。結果的に、ETFの基準価額の変動自体にはレバレッジはかからず、基準価額は先物価格の変動に追随するような動きをとるのが基本型となる。

さらに税制面では、国内商品先物取引は20%の申告分離課税、国内商品現物売買は譲渡所得としての総合課税(一定条件での控除枠あり)、通称“商品ファンド”と呼ばれる商品先物に投資するファンドの税制は20%の源泉分離課税や雑所得としての総合課税に従う。これに対しETFの税制は、商品先物に投資していても、上場株や国内公募株式投信と同じ税制に基づく。特定口座の中で納税手続きが完了し、上場株や国内公募株式投信の売却益や売却損、株式の配当金や投信の分配金の間で損益通算が可能となるという点で、一般に税制上の利便性が高い。

なお、両ETFともに、ETFの組成の際の拠出は現金で行い、解約の際も現金で戻す“現金拠出・現金償還(解約)”という仕組みを採用している。このため、ETFを市場で購入した投資家がETFを金や白金の現物に交換することはできない。

TOCOMの金先物・白金先物は、約1年後の期先限月の売買が最も活発。ETFの投資先も期先限月が中心となる。

先物投資には現物投資と異なる点がある。先物にはすべて限月と呼ぶ満期(最終決済日)があり、一度買ったらそのまま保持できるという現物投資と異なり、満期が来るごとに新しい限月に交代し乗り換えていくような運用を行う必要がある。商品先物の場合、海外市場では通常“期近”と呼ぶ満期までの日数が最も短い限月の売買が活発だ(流動性が高い)が、TOCOMの商品先物は歴史的に“期先”(満期までの日数が最も長い)限月の売買が活発だ。期先限月が売買の中心となっている理由は定かではないが「現物商品を持たない個人投資家が現物受け渡しでの決済を避けるため、より先の限月の先物売買を好んだため」という説もある。

TOCOMによると、金先物と白金先物の限月交代の仕組みは次のようになっている。「金先物、白金先物ともに2ヵ月おきに満期を迎える限月が6限月ある。偶数月の最終営業日が受け渡し日と呼ぶ最終決済日にあたる。この日を含む4営業日前が納会日と呼ぶ最終取引日となり、納会日の翌日に限月がシフトし新たな限月(新甫、6限月目)の取引を開始する仕組みを採用している。期先の6限月目は約1年後の価格を取引することになる。満期を迎えると先物価格は現物価格に一致するという点が先物取引の根幹を成す。このため、満期までの期間が短い期近の先物価格が現物価格に近い動きをとる」(TOCOM)。

みずほ投信の『金先物連動ETF(1683) 』運用責任者の三宅裕司・ストラクチャード運用部長は限月切り替えについて次のように説明する。「本ETFは、TOCOM金先物の期先限月を対象指標として連動する投資成果を目的とし、対象指標の切り替えは、金先物の新甫(新たな期先)上場日の翌月の最初の営業日としている。従って、新甫が上場した翌月、つまり奇数月の第一営業日のETF取引開始時点には期先の6限月目に連動することを目標にする」(三宅氏)

「このため、前営業日の偶数月末営業日に5限月目を売り、6限月目を買い建てるのが基本だが、実際の運用では流動性などを判断し、この日に一気に切り替えを行うとは限らない」(三宅氏)。

野村AMの『プラチナ先物ETF(1682) 』が連動対象とするのは白金先物価格そのものではなく、TOCOMと日本経済新聞社が共同開発した“日経・東工取白金指数”(注2)。この指数は期先(6限月目)を中心とした白金先物の動きを示す指数だが、実運用での指数連動化も考慮に入れ、白金先物の新甫(6限月目)が立つ偶数月末の翌月(奇数月)の第5営業日から第9営業日の5日間に分け、5限月目を6限月目に均等に切り替えていく方法を採用して、指数計算している。

この点に関し、野村AMの小野木修・インデックス運用部長は「5限月目や6限月目の流動性の状況を観察し、流動性の低い状態で売買することで先物価格の変動に影響を与えるような“マーケット・インパクト”をできるだけ回避しながら、限月切り替えを行う。このため、指数の計算通りに5日間に分け均等に限月切り替えするとは限らない」という。

先物価格は現物価格に一致しないものの、現物価格の上下動に沿うような投資成果が期待できる。ただし商品先物には特有の限月間の価格差構造(金先物は緩やかな期先高、白金先物は期先安が目立つ傾向)があるため、先物投資のパフォーマンスと現物価格の動きには乖離が生じてくる。この乖離は、限月切り替えを経るうちに『金先物連動ETF(1683)』では基準価額と金先物の期先価格に差が付く形で現れてくる。『プラチナ先物ETF(1682)』の基準価額は対象指標(指数値)にほぼ一致しながら推移するが、対象指標(指数値)のパフォーマンスと現物白金価格の動きの間には乖離が発生しやすい。

一般に商品先物の理論価格と現物価格は、満期までの短期金利や保管コスト(リースコスト)などが関係し密接に関連し合うが、商品先物の場合、限月間での価格の高低に差が出やすい特性を持つ。つまり、ある時点で期先限月と期近限月の価格を比べると、期先が期近よりも高い状態(順ざや=コンタンゴと呼ぶ)、反対に、期先の方が期近よりも安い状態(逆ざや=バックワーデーションと呼ぶ)のどちらかに振れやすい。このため、限月切り替え時には投資先の先物価格自体は期先と期近で不連続になっているため、ETFの価値自体は変わらないものの、ETFの基準価額と投資先の先物価格の水準との間で乖離が発生することになる。限月間の価格差が大きいほど、この乖離も目立つことになる。

「金先物は緩やかな期先高で限月間の価格差もごくわずかな状態が長く続いている。金は保管コストも安いうえ、世界の先物市場での流動性が高い。TOCOMの金先物売買代金は現在、NY先物市場(COMEX)に次いで世界2位。これに対し、白金先物は期先安が目立つことが多い。これは白金の現物供給量が限られており、目先の現物需給がタイトな時に起こりやすい。TOCOMの白金先物売買代金は世界第1位で流動性は十分あるが、それでも金に比べた市場規模は小さい。TOCOMの2009年の年間約定総代金は金先物が35.4兆円で全体の62.4%、白金先物が6.6兆円で全体の11.7%を占めた。金先物と白金先物あわせて全体の74%に達し、TOCOMの主力商品になっている」(TOCOM)。

金先物の高い流動性について、みずほ投信の三宅氏はこう補足する。「貴金属は元素であり、造り出すことができない。埋蔵量に限りがある以上、需給に影響を及ぼす個別の商品特有の要因で値動きする。そうした中でも、金は古代より準通貨、代替通貨としての側面があるため代表的資産として全世界で広く売買されており、流動性に富む。最近は世界各国の外貨準備に占める割合も増加傾向にあるようだ」(三宅氏)。

みずほ投信の『金先物連動ETF(1683) 』は、金先物価格の変動率への連動を目指して運用する。金先物価格の限月間にわずかながらも差があると、先物の限月切り替えを行っていくにつれて、基準価額と金先物の期先価格との間には乖離が生じてくる(これ以外に、信託報酬や利息収入、売買コストなどによっても乖離は生じる)。ただし、これでETFの価値そのものが不連続になる訳ではない。

これに対し、野村AMの『プラチナ先物ETF(1682) 』はこうした白金先物の限月間価格差構造を指数値に織り込んで計算する“日経・東工取白金指数”を連動対象とするために、投資先の白金先物の限月切り替えを行っても指数値自体は不連続にならない。このため、『プラチナ先物ETF(1682) 』の基準価額は“日経・東工取白金指数”の指数にほぼ一致するような動きをとることが想定される。

金先物価格や白金先物価格(5分間隔更新)、日経・東工取白金指数(1日1回清算値段ベース)は、その最新値をTOCOMのサイトで参照することが可能。現在、金先物期先(6限月目、2010年12月)が1グラムあたり3千百円程度。白金先物期先(6限月目、2010年12月)が1グラムあたり4千3百円程度。日経・東工取白金指数は260ポイント程度。

先物投資のしくみを利用し、信託財産(純資産)から先物証拠金を差し入れ、先物を買い建てることで基準価額の変動と先物価格の変動の連動性を維持。証拠金以外は安全資産の短期国債運用に回せる。現在の短期金利水準ではETF分配金は出ないか、かなり少額となる見込み。限月切り替え時の先物売買のコスト(手数料)は限定的。

実際の先物運用ではETF純資産の一部に相当する証拠金をTOCOMに預託し、先物を買い建てる。この時、証拠金の数十倍の金額(想定元本と呼ぶ)の先物を買い建てることができる。証拠金の比率は「純資産総額に相当する想定元本の5%程度」(TOCOM)となる。

このため、仮に証拠金比率を5%とすると、残りの95%は短期国債など安全資産の運用に回すことができる。ただ、残り95%すべてを短期国債の運用に回すのではなく、ある程度の現金を保持しておく必要がある。「ETFは証券投資信託としての投信法上、純資産全体の50%以上を有価証券に投資する必要があり、有価証券として短期国債を組み入れる。ほかに、信託報酬や売買執行コストの支払い、先物価格が急落した場合の“追い証”と呼ぶ証拠金の積み増しなどに備え、ある程度の現金を保持しておく必要がある」(みずほ投信の三宅氏)。

両ETFとも年1回、みずほ投信の『金先物連動ETF(1683) 』は1月、野村AMの『プラチナ先物ETF(1682) 』は2月に決算を行う。分配金については、組み入れの短期国債などの利息収入から運用経費を引いた差額を全額分配することになるが、現在の国内短期金利水準(0.1%〜0.2%程度)が続く限り、両ETFともに分配金は出ないか、かなり少額にとどまることが想定される。

商品先物売買に要する売買コストは限定的とみなしてよいようだ。「限月切り替えに要する売買コストは概算で、1回あたり純資産総額全体に対し数ベーシス(1ベーシスは1%の百分の一)程度の水準。年6回全額切り替えるとすると、この6倍程度が目安となる」(野村AMの小野木氏)。

野村AMの『プラチナ先物ETF(1682) 』の運用は、他のETFやインデックスファンドと同じく同社インデックス運用部が行い、商品先物取引に精通した運用担当者もいるとのこと。「商品先物ゆえの特徴やリスクを十分理解していれば、株式や債券運用と特段際立った運用上の違いはない」(野村AMの小野木氏)。「むしろこれまで培ってきた、指数への連動性を維持するパッシブ型のインデックス運用やETF運用のノウハウが最大源に生かせる」(野村AMの田畑氏)という。

商品先物の高い流動性を背景に、基準価額の変動と対象指標の先物や指数変動との連動性は高くなる可能性。大証のETF取引は15時10分まで。TOCOMの日中取引は15時半まで。基準価額の評価は15時半のTOCOM清算値を基準とするため、ETF市場終値と基準価額の乖離が生じる可能性も。

流動性の高い商品先物に投資するため、ETFの市場価格と基準価額との間の乖離は中長期的に限定的となる可能性がある。乖離があると、サヤ取り収益を狙う裁定取引機会が生まれるが、先物の売買が容易だと裁定取引を機動的に行いやすいためだ。ただし、日々の大証ETF終値と夕方以降に公表される基準価額の間では、ETFの需給関係以外の要因で乖離が生じる可能性はある。

大証の取引時間は午前9時〜11時と午後12時30分〜15時10分まで。一方、TOCOMの日中取引は昼の中断無しに9時〜15時30分まで。ETFの基準価額は15時30分を最終取引時刻とするTOCOMの清算値(帳入値段)を基に時価評価する。このため、大証のETF市場価格が基準価格に完全に連動しようにも、当日15時10分以降のTOCOM先物価格の動きは、それを事前に織り込む以外には反映する術がない。なお、TOCOMでは17時〜23時までの夜間取引も行われており、翌日の大証ETF市場価格はTOCOMの前日夜間取引価格も反映しながら変動することになる。

バブル崩壊後、日本株と同じように下げた金先物と白金先物だが、この10年の間に輝きを取り戻した。

日本経済のバブル崩壊後の20年間について、金先物価格および白金先物価格の動きを日経平均株価と比較してみる。最初の10年(1990年代)は、金先物も白金先物も日経平均同様に低迷。両者ともに半値を割り込む場面があった。ところが2000年以降の10年間、日経平均とは逆行するように、輝きを取り戻し始めた。先進国や新興国での需要増を追い風に国際金融商品としての真価を発揮した。ただ金融危機に直面した時の白金先物価格はつるべ落とし状態に。日経平均が年間で42%下落した2008年の白金先物価格は半値まで下落。この時の金先物の年間下落率は16.5%だった。

金先物と白金先物は他の金融資産との値動きの連動性が低め。金先物と白金先物との連動性も低め。先物の価格変動リスクは日経平均より小さく、白金先物はエマージング株の平均程度(過去10年)。

過去10年について、金先物価格および白金先物価格と、代表的な金融資産の値動きの連動性を相関係数と呼ぶ統計値で測定してみる。金先物価格と白金先物価格ともに、他資産の間の連動性はおしなべて低め。価格変動リスクをみると、金先物は日経平均より小さい程度。白金先物はエマージング(新興国)株ファンドの平均的値動きに比べやや小さい程度。過去の値動きや他資産との間の連動性の傾向が今後も大きく変わらないという前提を置くと、金先物と白金先物を“分散投資”の選択肢に加えることで、運用資産全体のリスクを軽減しながらより高いリターンを狙う分散効果が期待できるということになる。

興味深いのは、金先物価格と白金先物価格の連動性(相関係数)も0.5程度とそれほど高くないこと。貴金属の値動きは個別要因が支配するということの証左なのかもしれない。

現物価格と金先物および白金先物の期先価格を比較。金先物(期先)と現物との価格乖離は小さい。対照的に白金先物(日経・東工取白金指数)は現物価格を上回って推移。

今度は、金および白金の現物価格(円建て)の値動きを先物価格(期先)と比べてみる。金の比較期間は過去10年間。白金先物は“日経・東工取白金指数”を採用し、比較期間は指数起算日の2002年5月末以降とした。

金は現物と先物価格の間に大きなズレがない。現物、期先の先物ともに約10年間で約3.3倍に上昇(年率複利換算で年12.6%の上昇率)。この間、金先物価格の限月間価格差があまりなく、緩やかな期先高(順ざや)状態が続いてきたためだ。一方、白金先物の方は現物価格を上回るようにして推移、7年半で60%の差が付いた(指数は約2.6倍に上昇、白金現物は約2倍に上昇。年率複利換算でそれぞれ年13.3%、年9.5%の上昇率。年間上昇率の差は3.8%)。この差の主な要因として白金先物では期先安(逆ざや)状態が目立ったことが挙げられる。

”期先高”だと先物よりも現物投資の方が有利で、”期先安”だと現物よりも先物投資の方が有利に働くことが多いと言い換えることができる。この理由は一般に次のように説明される。”期先高”の状態で限月切り替えを行うと、同じ投資金額を元手にして”期近”の先物を安く売り、”期先”を高く買うことになるので、切り替え前に比べ所有枚数(口数)が減る。この日以降に”期近”と”期先”が仮に同じ”幅”で値上がりしたとすると、価格が高い”期先”の上昇”率”の方が安い”期近”の上昇”率”よりも小さくなる。所有枚数が減ったうえで上昇”率”も減るため、投資金額の上昇”率”は限月切り替え前に比べ鈍ることになる。”期先”の上昇”率”を”期近”の上昇”率”以上にするには、”期先”の上昇”幅”の方がより大きい状態が続く必要があるが、これは一般には起こりにくい。

反対に、期先安の状態で限月を切り替えていくと、投資収益が増大しやすいことになる。

実際に、過去20年間の月末営業日において、金先物の期先(6限月目)と直前の5限月目(注3)の価格差を比較すると、平均でプラス3円弱、乖離率の平均はプラス0.1%強。これに対し、白金先物の方は価格差の平均がマイナス8円強、乖離率の平均はマイナス0.4%だった。過去20年間を平均すると、金先物は緩やかな期先高、白金先物は期先安となることが多かったことを、データが裏付ける。

ただし、こうした金先物の緩やかな期先高、白金先物の期先安状態はいずれも過去の事例であり、しかも毎日こうした状態だったという訳ではない。今後、特に、白金先物の売買がETF投資を通じてより活発化すると、白金先物の期先安状態が解消に向かうなど、限月間の価格差構造に変化が起こる可能性もある。

(注2)日経・東工取白金指数

TOCOMで扱う8品目全体の平均的値動きを示す“日経・東工取商品指数”について、品目毎にサブインデックス化した指数の一つ。TOCOMでは農産物などの食糧品先物は取り扱っていない。“日経・東工取商品指数”は国内商品先物市場全体の平均的値動きを表すと同時に、指数連動型の実運用を行いやすいように考慮した指数計算方法(各商品の配分比率や期先限月への切り替えルールなど)を定めている。早ければ3月下旬にも“日経・東工取商品指数”の先物取引がTOCOMに上場する予定。先物でありながらも満期の無い“限日取引”を特色とし、この指数先物を一度買い建てると、証拠金のコントロールは必要になるものの、ほぼ自動的に指数連動運用が可能となる特色を持つ。指数の詳細はTOCOMのサイトに詳しい。

http://www.tocom.or.jp/jp/souba/tocom_index/index.html

(注3)1990年以降2010年1月末まで約20年間の月末営業日の清算値を集計。1999年8月以前は7限月目と6限月目の比較。限月間価格差=6限月目の清算値−5限月目の清算値。乖離率=価格差÷5限月目の清算値。金先物の限月間価格差の最大値は26円、最小値はマイナス10円。乖離率の最大値は1.4%、最小はマイナス0.6%。白金先物の限月間価格差の最大は25円、最小はマイナス43円。乖離率の最大は1.4%、最小はマイナス2.6%。

関連記事:注目の投信(ニューフェース&フォーカス)よりETF関連を抜粋!!


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2010年02月12日)

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