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投信フォーカス 豪州・アジアの高配当株投信への注目度、じわり高まる - 注目の投信 - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:32

投資信託 [ 注目の投信 ]

投信フォーカス

豪州・アジアの高配当株投信への注目度、じわり高まる

——「ニッセイオーストラリア高配当株ファンド」の予想配当利回りは約7%(現地源泉税徴収前)。6月に設定されたばかりだが純資産残高は440億円超に成長。設定来3ヵ月あまりの分配金込み基準価額騰落率は9%と堅調。

オーストラリア(豪州)やアジア地域の高配当利回り株で運用する投信への注目度が高まってきたようだ。表はこのタイプのファンドを一覧にしたもの。今年に入り10本程度の新規設定があったが、このうち8本が6月以降に集中している。関心の的となるキーワードは「高配当利回り株」であり、表の大半が毎月分配型投信となっている。


ニッセイアセットマネジメントが6月8日に新規設定した「ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)」を例にとると、当初設定額は101億円だったが、9月14日時点の純資産残高は444億円まで増大。この間の資金流入が活発だったことを示している。設定以降の運用成績も堅調。上下に振れながらも、分配金込み基準価額の上昇率は設定来の約3ヵ月間で9%程度。6月から毎月100円の分配金(1万口あたり、税引前)を払い出している。主な運用経費の信託報酬(税込年率)は約1.743%。みずほ証券が販売し、販売手数料(税込)は購入口数により0.525%〜3.675%。

注目ポイントになる配当利回りをみると、「ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」の組入銘柄の平均予想配当利回りは7.1%(出所:8月末のマンスリーレポート、注1)。豪州を代表する株価指数とREIT指数の平均予想配当利回り(出所:同)はそれぞれ5%、6%とかなり高い水準にあるが、ファンドはそれを上回っている。豪州REITにも投資しており、豪州REITの組入比率は14%(8月末時点)。高配当株投信と銘打つこのタイプのファンドでは株以外にREITを投資対象に含む場合が少なくない。

(注1)日本からファンドを通じて、豪州株や豪州REITに投資する場合、現在その配当金に対しては豪州で10%(将来的な変更の可能性はある)の税率で源泉課税徴収され、この課税額をファンドが取り戻すことはできない。アジア地域の株式やREITで運用するファンドでも同様の「取り戻せない」源泉徴収税額が発生する(税率は国によって異なる)。なお、日本からではなくケイマンなどの外国籍投信を通じて、豪州株や豪州REITに投資する場合の源泉徴収課税率は30%程度に跳ね上がる。

高配当利回りによるパフォーマンス向上とリスク低減効果

「高配当利回り」によるパフォーマンス向上効果もあったようだ。「ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」の販売用資料のデータを見ると、2002年7月末から2012年3月末までの約9年半で、豪州株式指数(配当を含まず、豪ドルベース)はリーマンショック時の大幅下落から急回復する形で1.4倍に上昇。この間日経平均は2%の上昇にとどまっている。

これに対し、配当を含む豪州株式指数は2.15倍、さらに高配当利回りの豪州株式指数(配当込み)はそれを上回る2.43倍に上昇しており、高配当利回りのパフォーマンス上乗せ効果が現れている。上昇率を年率に換算すると、豪州株式指数(配当を含まず)、配当込み、高配当株はそれぞれ年2.9%、6.8%、7.9%上昇となる。つまり、配当を含まない指数に対し、配当利回りのパフォーマンス向上分が年約4%あったことになる。さらに、豪州高配当株に絞り込むと、このパフォーマンス差は5%に拡大したことが分かる。

ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」の実際の運用は米国系レッグ・メイソン・アセット・マネジメントが運用する国内籍ファンドに投資し、組入銘柄の内容はレッグ・メイソン・アセット・マネジメントが1年前の2011年9月に設定した「LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」(純資産残高は133億円、9月14日時点)とほぼ同じようだ。ただし、両ファンドの値動きは現金比率や資金流出入額の差異などにより微妙に一致しない。8月末時点の現金比率は「ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」が約10%で、「LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」は3.6%。

表をみると、6月末と比較した約3ヵ月で日経平均は1.7%上昇にとどまったのに対し、10%程度上昇したファンドが目に付く。「LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 」の分配金込み基準価額は10.2%上昇した。アジアの高配当株にも投資対象を広げるとファンド間の運用成績差が目立ってくることも分かる。

リスク階級指標の「QUICKファンド・リスク(QFR)」は日経平均と同水準の「4」が多い。これに対し、配当を含まない豪州株指数と豪州REIT指数は1段階高い「5」となっている。このように配当利回りには株価の値動きの荒さを少し緩和する効果もあるとみられる。

円換算した豪州株の価格変動リスクは日本株以上。投資タイミングによる収益差が広がりやすい

ただ、豪ドル・円相場の変動も加わり、配当金を含まない円換算した豪州株と豪州REITの価格変動リスクは小さくないことの認識は重要になる。グラフは代表的な株価指数(円換算値)の値動きについて、豪州株(配当を含まず)、豪州REIT(配当を含まず)とNYダウ、日経平均、ブラジル株を比較したもの。豪州株はブラジル株ほど値動きが派手ではないが、日本株以上に上下へのブレが大きいことが分かる。


価格変動リスクの大きさを別の角度から分析したのが次のグラフ。2004年以降、約9年間の期間で、1ヵ月ごとずらして計測した1年間騰落率(計測基準日は月末)について、その最高と最低を集計してみる。リスク階級「5」の豪州株は最高(78%)と最低(マイナス63%)の差が141%、リスク階級「5」のブラジル株は最高(154%)と最低(マイナス65%)の差が219%、リスク階級「4」の日本株は最高(54%)と最低(マイナス49%)の差が102%。このように、リスク階級が大きくなるほど、1年騰落率の最高と最低の差が広がっている。価格変動リスクが大きくなると、投資タイミングの違いによって収益率の上下へのブレ幅が大きく変わってくることを意味する。


高配当株の値動きは配当金の増減に左右される傾向があることはもとより、豪州の株価動向に密接な関わりのある資源価格は、中国の景気変動の影響を受けやすいとされる。減速基調の中国の経済成長率を背景に、資源価格の先行き不透明感が増してきた点にも注意を払う必要がある。高騰した豪州の不動産・住宅価格の調整幅は今のところ小さく、日米欧が経験したような深刻な不動産バブル崩壊を例外的に免れている。こうした豪州の不動産市況動向がこのタイプのファンドの運用成績のリスク要因として顕在化する可能性もある。


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2012年09月19日)

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