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投信フォーカス 投信市場の構造変化。「償還日=無期限」の新規設定が激減 - 注目の投信 - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:31

投資信託 [ 注目の投信 ]

投信フォーカス

投信市場の構造変化。「償還日=無期限」の新規設定が激減

——通貨選択型ファンドを筆頭に、2009年以降に設定されたファンドの償還日は5年後や10年後までが大半。これまで中核を占めてきた無期限ファンドの新規設定が大幅減少。今年設定の日本株投信も無期限はまだゼロ。

投信には信託期間(運用期限)を示す償還日が定まっている。この償還日を巡り、投信市場の構造変化とも言うべき異変が生じている。これまでは償還日の無い「無期限」のファンドとして設定されるのが大半であったが、リーマン・ショック後の2009年以降、無期限のファンド設定が大幅に減少している。

グラフはファンドの設定日から償還日までの期間を、(1)無期限、(2)10.5年以上無期限未満、(3)5.5年以上10.5年未満、(4)5.5年未満の4グループに区分し、設定年ごとに現在の純資産残高とファンド本数を集計したもの。そうすると、2008年までは無期限のファンドが大半だったのが、リーマン・ショック後の2009年からは無期限のファンドの設定が本数、特に純資産残高で激減。その一方で、信託期間が5年や10年程度のファンドが急増していることが分かる。

信託期間短縮化の主体となったのが米国のハイイールド債など低金利通貨の米ドル建て資産に投資しながら、実質運用通貨を高金利通貨のブラジル・レアルなどに切り替える「通貨選択型ファンド」。設定日から償還日までの年数は5年程度が多い。

日本株ファンドも例外ではない。今年新規設定されたファンド216本のうち、無期限のファンド数は28本(13%)にとどまる。一方、純資産残高でみると、全体の99%の信託期間が10年程度以内だ。今年設定された日本株ファンド16本(通貨選択型も含む)には無期限は1本もなく、信託期間は平均約6年程度となっている(データは2011年7月22日時点)。

ファンドの過半数は残高30億円未満。ファンドの大型化と小粒化が2極進行する中で、運用継続リスクを意識した動きか。償還日の延長は繰り上げ償還に比べ、手続きが容易。投資家は償還日の認識が一層重要。

信託期間短縮化の大きな背景には、一部のファンドの大型化が進行する一方で小規模のファンドがひしめきあい、運用会社にとっても運用資源の効率的活用という点で、残高の小さなファンドの運用継続リスクが無視できなくなってきたことが挙げられそうだ。

他にも、海外資産での運用が主流となってきたことから、自社運用ではなく海外の外部投信会社に運用委託したり、外国籍投信に投資する形態をとることが多くなり、運用期間を無期限とすることによる運用継続リスクを予め抑える意図があるとみられる。

現在の投信市場では、新規設定ファンドや毎月分配型を中心とする一部の大型ファンド以外は、運用成績が相対的に堅調であっても新たな資金が集まりにくい状況が続いている。その結果、全投信3454本のうち、純資産残高1000億円以上は91本と本数では3%未満にも関わらず、合計残高は約29兆円に達し、投信市場全体約50兆円の57%近くにのぼる。これに対し、純資産残高30億円未満のファンドは本数では2103本(約61%)と過半数を占めるが、残高を合わせても約1.9兆円と全体の3.7%にしかならない。無期限のファンドについては純資産残高30億円が1226本あり、全体の3分の1程度に達する(データは7月22日時点、集計対象はETFを除く国内籍の公募追加型株式投信)。

ファンドの信託約款(目論見書)には通常、ファンドの口数が5億口や10億口など一定以下になると繰り上げ償還手続きに入ることが明記されている。ただし、繰り上げ償還が無条件に可能という訳ではなく、ファンドの受益者(保有者)に対し、繰り上げ償還に異議ないかどうかの書面通知による確認(書面決議)が必要となっている。そのうえで通例では、保有者の過半数かつ口数で3分の2以上の賛成をもって繰り上げ償還となる。この書面決議の事務手続きは結構手間がかかるようだ。

これに対し、5年や10年など信託期間が定まっている場合の満期償還(定時償還)については、約款通りということで受益者の判断を仰ぐことなしに行える。さらに、信託期間の延長は“重大な約款変更”に該当しないことから、受益者への書面決議なしに運用会社の判断で実施できる。特別な理由がない限り、運用成績が悪くはなく、純資産残高が積み上がっているファンドでは、満期が近づくと信託期間を延長する可能性が高いとみられる。繰り上げ償還よりは償還日の延長の方がはるかに容易ということになる。

実際、通貨選択型ファンドでも信託期間の延長例が出始めた。みずほ投信投資顧問は6月末に、2009年10月に設定した通貨選択型の「米国ハイイールド債券ファンド」の信託終了日を約5年後の2014年10月から2019年10月へと5年間延長した。このうち「米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコース」の残高は設定当初の73億円から1274億円に拡大。分配金込み基準価額は設定来で約30%上昇した(データは2011年7月22日時点)。

もっとも、投資家自身も無期限のファンドを選好しているという状況にない。無期限の新規設定ファンドが減った影響があるかもしれないが、2011年上半期(1月〜6月)の投信市場への資金流入額計約2.8兆円のうち、その3分の2が信託期間10年程度以内のファンドに向かった(集計対象はETFを除く国内籍の公募追加型株式投信)。

こうした点を踏まえ投資家は、特に新規設定ファンドについては、これまで以上に償還日を認識したうえで売買することが重要になる。信託期間が短いファンドがいったん急落すると、元本割れのまま償還する可能性が高まってくる。


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2011年07月27日)

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