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投信ニューフェイス 日興AMの新ETF「パンダ」 - 注目の投信(第59回) - 投資信託

最終更新:2013/06/27 16:31

投資信託 [ 注目の投信 ]

【第59回】

投信ニューフェイス

日興AMの新ETF「パンダ」−国外に持ち出せないA株のETF化に一工夫

中国本土のA株市場を代表する株価指数「CSI300(円換算)」への連動を目指すETF(株価指数連動型上場投信)が、2008年4月11日に東京証券取引所に新規上場した。新ETF『上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300』(証券コード:1322)は、20億円強の資産規模で日興アセットマネジメントが運用を開始。取引初日の終値は5120円(1口)となり、当日の基準価額4924円に対し4%あまりのプレミアムが付いた。初日の売買代金は9千万円だった。
 日本の個人投資家が直接投資することができない中国A株市場を対象にしたETFの上場は、野村アセットマネジメントが運用する『上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(上証50連動ETF)』(証券コード:1309)が、2007年10月に大阪証券取引所に上場して以来となる。
 「上証50連動ETF」の連動指数は、上海A株市場の主力50銘柄で構成される「上海50指数(円換算)」。これに対し、「パンダ」の連動指数は上海A株に深センA株を加えた300銘柄で構成する「CSI300(円換算)」。A株は人民元建てで取引されるので、「パンダ」の値動きは人民元・円相場の変動の影響を受ける。
 「パンダ」の運用は、その基準価額の変動率を「CSI300(円換算)」の変動率に一致させることを目指す。
 「パンダ」の売買単位は10口で、最低購入額は現在5万円程度が目安となる。中国A株市場では外国人取引に一定の制約が残り、例えば、「日興AM中国A株ファンド(黄河)」の購入・換金は月1回に限定されている。これに対しETFの「パンダ」は、投資家が日々リアルタイムで売買できるという利便性がある。空売りなどの信用取引も可能だ。
 「CSI300」指数(人民元ベース)は、2006年に121%上昇(2.2倍)。翌2007年の上昇率が161.5%上昇(2.6倍)となり、2年間で5.8倍とうなぎのぼりに値を上げた。2008年に入り3月末までの3ヵ月では29%下落している(表−1は、QBRによる『CSI300』指数のリスク・リターン分析結果)。
 「パンダ」の設計・開発にあたった今井幸英、日興アセットマネジメント・商品企画部シニアマネジャーに、「CSI300」指数の特徴と外国株ETFを設計する際のポイントを聞いた。
 中国本土A株を日本に持ち込むことができないなどの制限から、ETF実現の仕組みを一工夫している。「パンダ」の信託報酬は、実質で0.9975%(税込み)程度であり、国内株価指数に連動するETFよりは高めなものの、「上証50連動ETF」とほぼ同水準で、香港に上場しているA株ETFの1%強に比べても決して高くないという。適格国外機関投資家(QFII)として認可されている投資限度枠の関係で、資産規模は現在100億円程度までの拡大が可能となっている。

(注)QBR調べ。直近は2008年3月末。月末値。

「CSI300」指数の特徴は。

CSI(China Securities Index、中証指数有限公司)は、上海証券取引所と深セン証券取引所が2005年に合弁で設立した指数算出会社名を意味する。『CSI300』指数は、両取引所に上場している全銘柄(約1550銘柄、2007年末時点)のうち、時価総額が大きく、流動性の高い300銘柄で構成。この300銘柄の時価総額を合計すると、A株市場全体の時価総額430兆円(2007年末時点)のざっと4分の3を占めている。上海株と深セン株の採用銘柄数の比率は3対1程度だ。

『CSI300』はTOPIX(東証株価指数)と同じく、採用銘柄の浮動株比率を調整した時価総額合計を指数化している。中国株は政府が保有する非流通株の比重がかなり高いので、浮動株比率の調整は実際に取引が可能な指数とするうえで重要となる。定期的な銘柄の入れ替えを年2回行い、浮動株比率の変更は随時行う。指数の基準値は2004年末時点の1000(ポイント)となっている。当社のホームページ(ETFサイトの『日々のファンドデータ』)では、前日の『CSI300(円換算)』および『パンダ』の基準価額を更新し、お互いの連動性をチェックできるようにしている。『パンダ』の組み入れ銘柄と比率もサイトで公開し、月1回更新する予定だ。

業種別組み入れ比率を『上海50指数』と比較すると、『CSI300』は金融セクターの比重が10%以上低いのが大きな特徴だ。最近のA株市場の大幅下落は金融株主導で下げた面があり、『CSI300』の下落率はその分やや和らいだようだ。

『CSI300』指数の先物取引開始も計画されており、今後、A株市場を代表する指数としての認知度がより高まってくることが期待できる。

『パンダ』の基準価額と『CSI300(円換算)』、『パンダ』の市場価格の関係は。

『パンダ』を設定した4月7日時点の『CSI300(人民元ベース)』の指数値は3800ポイント程度。人民元・円相場は1人民元=14円強。これを掛け合わせると53000円強となり、これが『パンダ』の10口に相当する。『パンダ』の投信としての基準価額は1口単位で公表するので、上記の10分の1程度が基準価額のおおよその目安となる。

ただし、『パンダ』を4月7日に設定した時の基準価額は5000円(1口)でスタートしたうえ、上場前日の4月10日まで、外国人投資家特有の制約から『パンダ』のマザーファンドへの株式組み入れ比率が100%ではなかった。このため、基準価額が『CSI300(円換算値)』の10分の1に一致する訳ではない。

さらに、基準価額を計算する際のA株の時価評価では、前日時点の株価を採用する点には注意が必要だ。毎営業日夕方以降一日一回の基準価額算出時にはまず、『パンダ』が組み入れているA株を前日の終値で値洗いする。それに算出日午前中の人民元・円相場(投資信託協会が公表)を掛け合わせる。

『パンダ』の日々の市場価格の動きは、基準価額の動きに沿って動くのが基本だが、中国A株市場は日本時間の午前10時半から取引が開始されるので、『パンダ』の日中の市場価格はA株市場の動きに加え、投資家の相場感を反映した需給も関係しながら変動すると想定される。これに刻々と変化する人民元・円相場の影響も加わる。

『パンダ』の決算は年1回、1月20日に行う。通常のETFと同様に組み入れ銘柄の配当額から運用コストを除いた全額を分配金に回す。

日興AMでは初の外国株ETFとなる。多くの外国株指数がある中で、中国A株ETFの投入を先行した背景は。

金融機関を中心とする機関投資家がETFを国内で組成する場合、ETFへの拠出時とETFからの返却時の中身の違いに応じ、ETFの仕組みは大きく次の2種類に分かれる。(1)投資家がETFに現金を拠出し、ETFに組み入れられた有価証券を返却するタイプ。この有価証券は株式の場合もあれば、株式に連動する仕組み債などのケースもある。東証上場の「日経300連動型投信(証券コード:1319)」や大証上場の「金連動投信(証券コード:1328)」、「上証50連動ETF」がこのタイプを採用している。もう一つは、(2)ETFに株券を拠出し、株券を返却する仕組みだ。日経平均、TOPIXや業種別指数連動型など、国内株価指数に連動するETFの大半がこのタイプに該当する。

(2)の仕組みを採用する場合は、機関投資家がETFへ株券を拠出する際に生じる譲渡益課税が非課税にならなければ、ETFとして実用化しない。非課税の株価指数を金融庁が指定指数として認定する。代表的な外国株指数の多くは採用銘柄にREIT(不動産投資信託)を含むことが多く、REITに対する譲渡益課税の扱いの点で、外国株指数は非課税の指定指数として認定されにくい面があると聞いている。

外国人は中国A株の売買を原則できないが、当社はA株の売買を一定範囲で行うことが可能となる適格国外機関投資家(QFII)の認定を中国政府から受けている。以上のような背景の下、このアドバンテージを活かす形で、(1)の現金拠出の方法でのA株ETFの開発を1年近く前から進めてきた。(1)の仕組みを採用せざるを得ないのは、中国A株の株券は中国国内の証券保管銀行で管理しておくことが義務づけられ、日本に持ち出すことができないためでもある。

A株に連動する仕組み債を利用する場合には、債券の発行体の信用リスクや債券の償還リスクをETFとして抱えることになる。香港に上場しているA株ETFは、A株に連動するワラントを組み入れているが、この仕組みは国内のETFでは使用できない。当社としては別の仕組みを検討した。

その結果、(1)マザーファンドがA株市場に直接投資、(2)私募投信(インデックスファンド)がこのマザーファンドに投資、(3)ETF自体は私募投信とほんの一部を短期金融商品に投資するファンド・オブ・ファンズ形式とする——という3段階の組み合わせにより『パンダ』の仕組みを実現した。機関投資家がETFの返却を申し込んできても、投資しているA株を返すことはできないので、A株の裏付けのある私募投信の受益権を返却することになる。結果的に『パンダ』の運用はすべてファンド(上記のマザーファンドや私募投信など)を介している。どのファンドも会計監査を受ける必要があるため第三者チェックが働き、運用内容の透明性確保の点でも仕組みとして優れていると判断した。

実はこの仕組みを使用すると、理論的にはほとんどの指数に連動するETFが開発可能だ。ただ、(2)の株券を直接組み入れる方式の方がコスト面やシンプル性で優れており、今後ニーズなどを踏まえた情勢判断をしながら、新たな外国株ETFを開発・設定していく予定だ。

留意点は。

人民元は米ドルに対して、緩やかに切り上がってきているが、米ドルに対する円相場がそれ以上に円高となる場合もあり、『人民元高=円安』の関係になるとは限らない。過去1年では7%近く円高・人民元安が進んだ。

人民元高は長期的には中国の経済力拡大を反映するものだろうが、人民元高は『CSI300』指数の採用銘柄の企業収益に対し、短期的にはプラス・マイナス両面で作用する可能性がある。株価に対しても同様の可能性を有する。

『パンダ』のマザーファンドが資金を増減しA株の組み入れを調整できる頻度は、外国人投資家への制約から『黄河』同様に月1回に限定される。このため、『パンダ』の市場での需給関係も関係するが、『パンダ』の日々の市場価格の変動率と『CSI300(円換算値)』の変動率との間のかい離幅は、日経平均やTOPIXなど国内株価指数に連動するETFに比べ、大きめに推移する可能性が高い。かい離は投資家の収益に対しプラス・マイナスどちらにもなり得る。

(表−1)CSI300指数のリスク・リターン特性−主な中国株指数と比較

(注)QBR調べ。データは2008年3月末時点。現地通貨ベース。2005年・2006年・2007年・2008年はそれぞれ05年4月末〜06年末・06年末〜07年末・07年末〜08年末・07年末〜08年3月末の期間。3ヵ月の最高・最低騰落率は、05年4月末〜08年3月末の期間での任意の3ヵ月間(月末比較)での最高と最低。▲はマイナス。リスクは05年4月末〜08年3月末の月次騰落率を基に計算した標準偏差を年換算、大きいほど値動きのブレ幅が大きい。

インタビュー2008年4月 聞き手:QBR 高瀬浩(掲載日:2008年4月16日)

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