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【第2回】FXレートを移動平均線で分析

最終更新:2013/06/27 16:05

FX・CFD [FXテクニカル分析入門編]

【第2回】

FXレートを移動平均線で分析

前回の第1回では「FXレートのトレンドを知る」について説明しました。その冒頭、「転換点の確認」について触れました。「安値の転換点を確認して買いを入れ、高値の転換点を確認して売る」(または、高値の転換点を確認して売り、安値の転換点を確認して買う)がパフォーマンスを高めるための基本的な考えであると記述しました。

さて、FX投資で成功するには、2つの基本的な意思決定が必要です。(1)何を売買するか(ペア通貨の選定)、(2)いつ売買するか(タイミング)です。そして、大事なのはいくら利益をあげるかではなく、損失をいかに最小限に抑えるかなのです。例えば、100万円の資産が75万円に下がったら資産価値は25%失ったことになります。これを元に戻すには33%の利益を上げる必要があります。同様に50%の損失なら元に戻すには100%の利益を得る必要があるのです。さらに、75%の損失なら300%の利益を上げないと損を取り戻せません。「利益は大きく、損失は小さく」が投資を成功させる秘訣なのです。

それでは、第2回「FXレートを移動平均線で分析」について説明します。

(1)ペア通貨の選定

最初に、投資するペア通貨を選定する必要がある。FX取引の流動性と価格変動率を主要11通貨で見てみる(図表2-1参照)。流動性では、米ドル/円、豪ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円の順に高く、この4通貨で取引量の95%を占める。また、価格変動率を大きい順(大きな利益を得る機会が大)に見ると、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円、南アフリカランド/円、ノルウェークローネ/円、逆に小さい順(大きな損失を被る機会が小)に見ると、香港ドル/円、米ドル/円、スイスフラン/円、ユーロ/円となる。本資料では、流動性リスクを重んじ、米ドル/円、豪ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円を中心に解説していく。

(2)移動平均線とは

移動平均線とは何か。「過去のFXレートの一定期間の平均を、採用期間 (日中足、日足、週足、月足) 別に折れ線グラフで表したもので、1〜3本の期間の異なった移動平均線を描画して、各線の動きから売買信号を得る」である。

一般的に、下降局面でFXレートが移動平均線を上回ってくれば、当該期間の平均的な損益はマイナスであったものがプラスに変わる。市場心理は強気となって売りものは薄れがちになり、さらにFXレートは上昇するといわれている。また、FXレートが天井近くになると、移動平均線の上昇トレンドは鈍り、その後、FXレートが下がると移動平均線の上昇トレンドは更に鈍化して下降に転じる。このようなときにFXレートが移動平均線を下回れば、平均的な損益はそれまでのプラスからマイナスに変わり、市場心理は弱気となり買いが引っ込み売り方が強くなり、さらにFXレートは下がることになる。この考えに基づいて分析する手法が移動平均線である。

下記(図表2-2参照)は、最近(2010/8/23現在)の米ドル/円の日足チャートである。FXレートと移動平均線の5日線と25日線の3本の線が描画されている。

(3)採用期間の取り方

移動平均線は、採用期間の取り方で分析結果が異なってくる。期間を長くすると売買判断が遅れるケースが多くなり、逆に期間を短くすると売買判断の誤るケースが増えてくる。一般的には、1週間の取引日数(土・日を除く日数)である5日とその倍数である20日、25日が利用される。また、フィボナッチ数列(1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377・・・、連続する2つの数字の和、1+2=3、2+3=5、黄金比で知られる)のなかの数値の、5日、21日を利用する投資家もいる。さらに、中・長期のトレンドを見るために週足、月足を利用することも多い。1年を52週として、その半分の26週、さらにその半分の13週が、また、12カ月とその倍数である24カ月、60カ月が利用される(図2-3参照)。

FX取引で何銭・何円の値幅を取るかという戦略によっても、採用期間は異なってくる。デイトレーダー(秒・分単位で日中取引する投資家)は1-5銭という値幅で利益を得ようとする。そのような取引には日単位ではなく秒・分単位の移動平均線が必要になる。

ここでは、凡そ1円以上の値幅を取ることを前提とした一般的な投資家が利用する、日足、週足、月足の移動平均線について説明を進める。

(4)移動平均線の見方

移動平均線をどのように見たらよいのか。[1]移動平均線とFXレートの交差をどう見るか、[2]2本の期間の異なった移動平均線の交差の見方、[3]3本の期間の異なった移動平均線をどう見たらよいかを解説する。

[1]移動平均線とFXレートの交差の見方

「(2)移動平均線とは」に記したが、移動平均線がFXレートの下位を推移していれば、採用期間内の平均的な損益はプラスであるので、市場心理は強気が維持されていると判断でき、逆に、移動平均線がFXレートの上位を推移していれば、市場心理は弱気が継続されていると判断できる。

よって、移動平均線とFXレートが接近又は交差するときは、市場心理が強気から弱気へ、又は、弱気から強気に変化する局面になるといえる。また、移動平均線が上昇方向を継続していれば強気が維持され、下降方向を継続していれば弱気が維持される傾向が高い、といわれている。

最近の豪ドル/円レートと25日移動平均線で見てみると(図表2-4参照)、2010年3月1日〜4月15日は移動平均線がFXレートの下位を推移しているので強気((1))、5月4日〜6月10日は移動平均線がFXレートの上位を推移しているので弱気((2))と見ることが出来る。また、4/16に移動平均線がFXレートと交差したが移動平均線は上方方向に継続しているので強気((3))と見ることが出来る。

[2]2本の期間の異なった移動平均線の交差の見方

次に、2本の期間の異なる移動平均線を用いて分析するゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)について説明する。

レートが下降を続けた後、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回ったとき、両線の交差地点をGCと呼び、上昇相場入りが確認されるというものである。また、レートの上昇が鈍り下降に転じ下落が続くと短期の移動平均線が長期の移動平均線を下回る。この両線の交差地点をDCと呼び、下降相場入りが確認されるといわれている。GCとDCは、NPO法人日本テクニカルアナリト協会第3代会長の吉見俊彦氏が30年以上前に株価分析をされてマーケットに広めたものである。

 

<GCとDCのパターン>

GC、DCには、レートの位置、移動平均線の交差の仕方にいくつかのパターンがある。最も重要なものは下記(図2-5参照)の2つのパターンとされている。

上記の典型的な例を見てみる。英ポンド/円の5日短期移動平均線と25日長期移動平均線で見ると、2010年3月25日がGCでその後上昇している。同様に5月5日にDCとなりその後下落している(図2-6参照)。

[3]3本の期間の異なった移動平均線の交差の見方

上記の典型的な例を見てみる。ユーロ/円の日足と移動平均線13日線・21日線・34日線(フィボナッチ数値)で見ると(図表2-8参照)、2009年2月25日〜4月20日は上昇トレンドになっていることがわかる。

(5)移動平均線の売買シミュレーション

移動平均線の売買信号をもとに、米ドル/円レートを対象として売買シミュレーションを行った。今回は、売買ルールを判りやすくするため、2本の移動平均線の単純交差時にGCならば買い信号、DCならば売り信号をもとにした模擬売買(ドテン方式:最初の売買後、清算と新規売買を繰り返し、最後は強制の清算売買で終了、売買執行は翌日の始値で行う、手数料・税金除く)をすることにした。

5日移動平均線と25日移動平均線を対象に、10,000円を元金に約16年間(1995年1月〜2010年8月25日)について模擬売買をおこなった。その結果、2010年8月25日の元金合計は16,909円(年平均利回り+4.3%)になった。売買回数は206回あり、うち利益回数は88回、損失回数は117回であった(図表2-9参照)。結果的に、損切りも行われ、損失回数が利益回数を上回ったが全体では利益が出たことで、「利益は大きく損失は小さく」が実現されている。2009年12月9日以降の売買信号を日足チャート上で示す(図表2-10参照)。

(5)まとめ

まとめ:【第2回】FXレートを移動平均線で分析
◎移動平均線とは
→過去の一定期間の投資家の平均買いコスト(移動平均値)を示す。「下降局面でFXレートが移動平均線を上回れば、当該期間の平均的な損益はマイナスからプラスに変わり、市場心理は強気となり、さらにFXレートは上昇する。また、上昇局面でFXレートが移動平均線を下回れば、平均的な損益はそれまでのプラスからマイナスに変わり、市場心理は弱気となり、さらにFXレートは下がる」とみる分析手法。
◎移動平均線の採用期間とは
→日足で最も多く使われているのは、5日、25日(ヒボナッチ数値は5日、21日)の移動平均線。
◎ゴールデンクロスとデッドクロスとは
→(1)ゴールデンクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を下から上回ったときに、終値が移動平均線の上位にあれば上昇相場入りの信憑性大。
→(2)デッドクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を上から下回ったときに、終値が移動平均線の下位にあれば下降相場入りの信憑性大。

執筆:QUICK 小沢文雄(執筆日:2010年08月26日 掲載日:2010年09月27日)


《筆者紹介》
1952年東京生まれ。1975年(株)市況情報センター(現QUICK)入社。2001年情報本部長、2003年役員待遇情報開発室長などを経て、現在、役員待遇フェロー(新規企画担当)。
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会元副理事長。国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。
主な著書に、『投資家の予想形成と相場動向』(2001年、共著、日経BP企画)、『日本テクニカル分析大全』(2004年、共著、日本経済新聞社)、『株式相場のテクニカル分析【第3版】』(2006年、共著、日本経済新聞社)などがある。


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