株式を学ぶ (実践編)

【第4回】FXレートを一目均衡表で分析

最終更新:2013/06/27 16:05

FX・CFD [FXテクニカル分析入門編]

【第4回】

FXレートを一目均衡表で分析

前回の第3回では「FXレートをMACDで分析」を説明しました。移動平均線の売買信号が遅れがちになるという弱点について、MACDは指数平滑移動平均(直近の価格に重みをつける手法)を利用して、その遅れを解消するチャートであると解説しました。

さて、今回解説する「一目均衡表」は、「変化日」という時間分析が行え、「構成要素」をもとに3通りの売買信号が発信できるチャートです。

それでは、第4回「FXレートを一目均衡表で分析」について説明します。

(1)一目均衡表とは

一目均衡表の開発者は一目山人(いちもくさんじん)こと故細田悟一氏。1898年(明治31年)山口県豊田町西市に生まれ、1924年(大正13年)、都新聞(現在の東京新聞)に入社、ペンネーム相模太郎で活躍。商況部部長を務め、1941年に退社。戦後、日証新聞などに記事を掲載、1969年(昭和44年)に一目均衡表の第一巻を発刊、1981年まで計7冊を発表、1982年(昭和57年)に亡くなっている。相場は売り手と買い手の両者の均衡が破れた方へ大きく動き、「相場の帰趨は一目瞭然である」との意味合いから「一目均衡表」と名づけたとのことである。現在、直系の令孫である細田哲生氏(株式会社経済変動総研取締役)は毎週初、QUICKの情報サービスに一目均衡表の株式コメントを提供している。

一目均衡表は、「ローソク足」、「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行スパン」、「抵抗帯」の構成要素で作られている。また、分析技法として三論がある。具体的には、「波動論」(株価変動のパターン化)、「水準論」(値幅観測)、「時間論」(一目均衡表の特徴である変化日の分析)の3つである。

(2)一目均衡表の構成要素

一目均衡表の構成要素は、ローソク足(日足)、転換線、基準線、先行スパン1(当日を含む26日先に描画)と先行スパン2(当日を含む26日先に描画)、遅行スパン(当日を含む26日前に描画)である(図表4-1参照)。

構成要素から、当日の終値の位置が、過去9日、過去26日、過去52日の高安平均値と比較して、上にある(強い)か下にある(弱い)かを見定めることができる(図表4-2参照)。

 
 

(3)一目均衡表の三論

一目均衡表の三論は奥が深い分析技法である。(1)「波動論」は株価の動きを大きく5つにまとめたもの。(2)「水準論」は上値や下値の値幅観測(予測計算)をするもの。(3)「時間論」は一目均衡表の特徴である時間分析をおこなうもので「変化日」を分析する(図表4-3参照)。

 

(4)一目均衡表の構成要素の見方

第2回の「FXレートを移動平均で分析」で説明した「下降局面で株価が移動平均線を上回ってくれば、当該期間の平均的な損益はマイナスであったものがプラスに変わる。市場心理は強気となって売りものは薄れがちになり、さらに株価は上昇する」と同じように構成要素は対象期間から、(1)最初に、転換線(9日高安平均)>基準線(26日高安平均)となればFXレートは上昇、(2)次に、転換線>先行スパン1又は先行スパン2で上昇確認、(3)さらに、FXレート>先行スパン1かつFXレート>先行スパン2、そして26日前の遅行スパンがその日の相場を上回ることで上昇トレンドを確定したと言える(図表4-4参照)。 

この3回の機会のどこで買いを入れるかがポイントである。まさに市場心理を突いた、明解なチャートであると言える。

 

(5)一目均衡表の時間論の見方

一目均衡表の特徴は「時間論」であるといわれている。時間の均衡をもとに変化日はいつかを探ることができる。3つの単純基本数値と7つの基本数値からなる(図表4-5参照)。ベースの数値は9とその2倍マイナス1の17、そして、3倍マイナス1の26である。

単純基本数値と基本数値の中で、特に重要な数値は、9(ベース値)、26(上げ相場の一期)、33(下げ相場の第一波動)、42(転換期)、51(上げ相場の二期)である。

例えば、最近の米ドル/円レートで時間論を見てみる。2009年の安値(円高)は11/27の84.82円であった。ここから、今年の円高トレンドの直前高値(円安)の2010/06/04の92.87円の間の変化日(転換日)を調べた(図表4-6参照)。期間日数1は高安の期間、期間日数2は期間日数1を長く見たトレンドである。多少のずれはあるが、9日、26日、42日に近い数字が出ていると思う(図表4-6、図表4-7参照)。

価格データを40年以上見てきた経験則から、「9」、「26」、「33」、「42」、「51」の数値は、フィボナッチ数列の数値の一つである「21」と同様に覚えておくと良いと思う。

 
 
 

(6)一目均衡表の売買シミュレーション

一目均衡表の構成要素の売買信号をもとに、米ドル/円レートを対象として売買シミュレーションを行った。

対象期間は1995年1月〜2010年9月末の約16年間(日足終値)とする。売買信号は図表4-4を論理的に書き改めた図表4-8を用いる。シミュレーション方式は、ケース1、ケース2、ケース3とする。

模擬売買の方法は「ドテン方式」(最初の売買後、清算と新規売買を繰り返し、最後は強制の清算売買で終了、売買執行は翌日の始値で行う、手数料・税金除く)とし、元金は10,000円とする。

 

その結果、ケース1では、2010年8月末の元金合計は15,771円(年平均利回り+3.6%)になった。売買回数は175回あり、利益回数は76回、損失回数は98回であった(図表4-9参照)。また、ケース2では、同じく13,737円(年平均利回り+2.3%)、売買回数は65回あり、利益回数は24回、損失回数は40回であった(図表4-10参照)。また、ケース3では、同じく15,051円(年平均利回り+3.1%)、売買回数は76回あり、利益回数は26回、損失回数は49回であった(図表4-11参照)。

なお、第2回の移動平均線の売買シミュレーション(5日と25日の移動平均線を対象、元金10,000円、1995年1月〜2010年8月25日)の結果は、元金合計16,909円、年平均利回り+4.3%、利益回数88回、損失回数117回)。第3回のMACDの売買シミュレーション(EMA1=5日、EMA2=25日、シグナルライン=9日、改善策後の売買信号ルール、元金10,000円、1995年1月〜2010年8月末)の結果は、元金合計は40,013円、年平均利回り+18.7%、利益回数64回、損失回数27回であった。

一目均衡表は他のチャートと比較して、長期間、大きな損は無く安定した売買信号が発せられていることがわかる。

2009年12月18日以降の売買信号を日足チャート上で示す(図表4-12参照)。

 
 
 
 

(7)まとめ

まとめ:第4回「FXレートを一目均衡表で分析」
一目山人氏は、多くの格言を残している。例えば「高すぎるものは下がり、安すぎるものは上がる」、「天底を狙うことは決して容易なことではなく、また狙うべきではない」、「一目均衡表の決定に従うことで一本調子の相場における中の無駄な商いを防ぎ、焦りをしずめるものである」などがある。さらに、一目均衡表の特徴である時間論では、「時間は相場に影響を及ぼし、相場は時間に支配される」と言っている。時間がものごとを解決するに通じるものがある。
 
◎一目均衡表とは
・ 開発者は一目山人(いちもくさんじん)こと故細田悟一氏。
・ 相場は売り手と買い手の両者の均衡が破れた方へ大きく動き、「相場の帰趨は一目瞭然である」との意味合いから「一目均衡表」と名づける。
・ 一目均衡表は、ローソク足の日足と「転換線」、「基準線」、「先行スパン1」、「先行スパン2」、「遅行スパン」、「抵抗帯」の構成要素と、「三論」が骨格。
・ 「変化日はいつか」という時間論にウェイトが置かれている。
 
◎一目均衡表の構成要素と三論
[1]一目均衡表「構成要素」
 「構成要素」は、ローソク足、転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン、抵抗帯からなる。
 構成要素は、当日の終値の位置が、過去9日、過去26日、過去52日の高安平均値と比較して、上にある(強い)か下にある(弱い)かを見定めて分析するものである。
 
[2]一目均衡表「三論」概略
 「三論」は「波動論」(株価の動きを大きく5つにまとめたもの)、「水準論」(上値や下値の値幅観測をするもの)、「時間論」(一目均衡表の特徴である時間分析をおこなうもの)からなる。
 一目均衡表の特徴である「時間論」は、時間の均衡をもとに変化日は何時かを探ることができる。3つの単純基本数値と7つの基本数値からなる。ベースの数値は9、17、26である。単純基本数値と基本数値の中で、特に重要な数値は、9(ベース値)、26(上げ相場の一期)、33(下げ相場の第一波動)、42(転換期)、51(上げ相場の二期)である。
 
※「一目均衡表」は株式会社経済変動総研がその著作権を有します。
 
 
執筆:QUICK 小沢文雄(執筆日:2010年10月14日 掲載日:2010年10月29日)


《筆者紹介》
1952年東京生まれ。1975年(株)市況情報センター(現QUICK)入社。2001年情報本部長、2003年役員待遇情報開発室長などを経て、現在、役員待遇フェロー(新規企画担当)。
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会元副理事長。国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。
主な著書に、『投資家の予想形成と相場動向』(2001年、共著、日経BP企画)、『日本テクニカル分析大全』(2004年、共著、日本経済新聞社)、『株式相場のテクニカル分析【第3版】』(2006年、共著、日本経済新聞社)などがある。


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