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株を買い持ちしている時の不安やダメージを、「かぶオプ」を使って和らげる方法 - 先物・オプション

最終更新:2013/06/27 16:01

先物・オプション [ 「かぶオプ」買い方・売り方 ]

シンプレクス・インスティテュート取締役 塙麻紀子の「かぶオプ」個人投資家向け週刊コラム

株を買い持ちしている時の不安やダメージを、「かぶオプ」を使って和らげる方法

2011年8月10日の水曜日、帰りの電車で隣に座った老紳士が、冴えない表情で携帯電話の画面を眺めていました。どうやら手持ちの株価をチェックしているようです。決して覗いたわけではないのですが「みずほFG 単価136円 終値114円」という大きな文字が見えてしまいました。おそらく、7月の初旬かそれ以前に購入したものでしょう。単位まではわかりませんでしたが、仮に10,000株保有していたとしたら、株価136円が114円まで値下がりしているので220,000円の損失です。 

(114円−136円)×10,000株=−220,000円(−16.2%)

株を買い持ちすることの問題点は、株式市場が暴落する場面では、たとえ優良企業であっても殆どの銘柄が値下がりし、大きな損失が発生することです。もちろん、株価が上がれば利益が発生しますし、それを期待して株を買っているので文句は言えません。しかし、この2、3年は、リーマンショック、ギリシャ危機、大地震、原発問題、そして欧州不安に米国債の格下げと、株価暴落を引き起こす様々な出来事がありました。しかも、暴落が起きる頻度が上がっており、値上がりを期待して安心して株を保有できる環境からは程遠かったのではないでしょうか。

そこで今回は、株を買い持ちしている時の不安やダメージを、「かぶオプ」を使って和らげる方法を紹介します。いわゆる、「プロテクティブ・プット」の戦略です。「プロテクティブ」とは、英語で「保護する」とか「守る」という意味です。あなたの資産を、「かぶオプ」を使って「守る」のです!

では、冒頭に登場した老紳士の保有株を例に出して考えてみましょう。

<プロテクティブ・プットの取引例>(注)売買の例であり、実際の取引ではありません。

あなたは、2011年7月7日に株価の上昇を期待し、みずほFGの株を136円で10,000株購入しました。

株価の値上がりを期待してはいるものの、何かあった時に急落するのも怖いので、同時にみずほFGの8月限権利行使価格125円のプットを100枚購入しました。

みずほFG株式の購入金額     136円×10,000株=1,360,000円

みずほFG8月限125Pの購入金額  1.5円×100枚=15,000円 (注:清算値)

その後、みずほFGの株価は、値上がりどころか値下がりし、8月10日には114円になってしまいました。

みずほFG株式からの評価損益 (114円−136円)×10,000株=−220,000円

さて、8月11日は8月限の「かぶオプ」の権利行使日です。プット・オプションの買い手は、権利行使日に権利行使をすれば、株を権利行使価格で売ることができます。みずほFGの8月11日の終値は113円でしたので、8月限の125Pを100枚保有しているあなたは、権利行使をした方がお得です。なぜなら、直近で113円の値が付いているみずほFGの株を、市場価格を上回る125円という値段で売ることができるからです。

では、購入しておいたプットの権利行使をして、みずほFG株を125円で100単位、つまり10,000株売却したら損益はどうなるでしょうか。

(125円−136円)×10,000=−110,000円

プットの購入代金15,000円も忘れてはいけません。みずほFG株からの損失110,000円とプット代金15,000円を合わせて計125,000円の損失(−9.2%)になりました。何もしないで株を持っているだけでしたら220,000円の損失(−16.2%)なので、随分損失を減らすことができました。

ここでのポイントは、権利行使日の株価がどんなに安くなっていても、損失は125,000円に抑えられたということです。「プロテクティブ・プット」は安心感を得るための手段でもあります。

逆に、株価が当初の期待通りに値上がりした場合は、支払ったプットの代金分、利益が少なくなります。株価が136円の時に10,000株を購入したのですから、株価が1円でも上がって137円になれば10,000円の利益になるはずです。しかし、最初に1.5円のプットを100枚購入して15,000円を支払っていますので、株価が1円上がっただけでは、全体では5,000円のマイナスです。株価が138円以上になって初めて利益となり、株価が上がれば上がるほど利益が増大します。

このように、「プロテクティブ・プット」は、何かあった時のダメージを軽減し、何もなければ掛け捨てになってしまう「保険」のような戦略です。これから株を買う、あるいは既に保有している株が心配・・・・という方は、是非プロテクティブ・プットの戦略も検討してはいかがでしょうか。

(注)取引例中に出てくる「清算値」とは、1日の取引終了時におけるオプションの理論価格です。

 

プロフィール :塙 麻紀子(はなわ まきこ)
株式会社シンプレクス・インスティテュート取締役
 
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会AFP認定者
慶応義塾大学法学部法律学科卒。学生時代より、ベンチャー企業での新事業の立ち上げ等に関わり、2001年よりシンプレクス・インスティテュートに勤務。本業の傍ら、個人投資家として、主に日経平均先物・オプション、日経225miniの売買を行っている。セミナーや講演会にて、デリバティブの啓蒙・教育活動も行っている。
 
 

Fanet MoneyLife(掲載日:2011年08月19日)