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−2− 映画ファンドの仕掛け人 ファンドを通じ、コンテンツを「成長産業」に 2006年度第80回キネマ旬報ベスト・テンで、日本映画1位に「フラガール」が選ばれた - 特集【映画ファンド】 - 経済トピックス - 話題とコラム

最終更新:2013/06/27 15:48

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特集・コラム [ 映画ファンド ]

映画ファンド-2- 映画ファンドの仕掛け人 ファンドを通じ、コンテンツを「成長産業」に

2006年度第80回キネマ旬報ベスト・テンで、日本映画1位に「フラガール」が選ばれた。この映画はジャパン・デジタル・コンテンツ信託の映画ファンド「シネマ信託TM〜シネカノン・ファンド第1号〜」の拠出を受けている。
写真1 土井氏とフラガール
 映画ファンド特集第2回目は、この業界のパイオニアである同社の土井宏文社長に、日本の映画ファンド業界を取り巻く環境について話を聞いた。土井氏は個人投資家に向けて「株式の投資信託のように、複数の映画を組み込んだ映画ファンドで慣れてもらった方が良いでしょう」とアドバイスする。その一方、投資商品としての魅力を高めることに努めながら「映画ファンドを通じ、製作者らに資金を提供して日本のコンテンツ業界を成長産業にしたい」との抱負も語っている。

▼ジャパン・デジタル・コンテンツ信託の主なあゆみ
  • 1998年3月 
  • 株式会社ジャパン・デジタル・コンテンツとして設立。
    東京マルチメディアファンド(TMF1)の運用を開始。
  • 2000年12月
  • 東京証券取引所マザーズに上場。
  • 2004年2月 
  • 個人投資家向け「新人グラビア☆アイドルファンド」を組成。
  • 2005年6月 
  • 商号をジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社に変更。

なぜ映画ファンドを始めたのですか?

土井氏

映画やアニメ、ゲームといったコンテンツ・ビジネスは、日本に向いています。日本のコンテンツ市場は13兆円、キャラクターなどを含めると15兆円規模と言われ、毎年2〜3%成長を続けています。アジア諸国でも韓国・中国を中心に毎年8%成長しているため、今後は国際競争力が求められる一方、成長のチャンスもある業界なのです。

国内にはもともと才能のある「ヒト」がいて、劇場・通信網といった「モノ」もある。しかし、資金が足りないため、才能があっても作品をつくることが難しい製作者が多いのも現状です。そんなチャレンジャー達に幅広く投資家から資金を集め、コンテンツ業界を「成長産業」にしたいと思い、様々なコンテンツファンドを作ってきました。

ファンドの投資先として、「映画」は適していますか?

土井氏

デジタル時代に入ったいまでも、「動画」の主力コンテンツは映画でしょう。また映画の良いところは、撮影から完成までが半年ほどの短期間でできるということです。近年、ゲームやアニメの製作には1〜2年かかり、製作コストも増加傾向にあります。その点、国内の映画は上り調子で、ゲームやアニメと比べても追い風が吹いています。我々はコンテンツ全体を扱っていますが、邦画ブームというトレンドも生かして、映画ファンドには引き続き力を入れています。

映画ファンドは組成してからの運用期間が5〜7年のものが多く、いわばクローズド型の投信と同じです。ただ映画は、公開直後にどれだけヒットするかによって、その後の人気・リターンも変わってきます。映画ファンドに投資する方は、途中経過の報告書をきちんと見て下さい。いまのところ、1つの作品より、複数の映画を組み込んでいるファンドの方が安定性も増しているでしょう。

これまでに手掛けた主な案件はなんですか?

土井氏

2006年3月に、「シネマ信託TM〜シネカノン・ファンド第1号〜」の募集を行いました【表参照】。これは2006〜2007年にシネカノン(※注1)が製作・買付を行う約20本の映画を運用対象とした映画ファンドです。最低申込金額は2000万円と大きいのですが、複数の映画に投資するポートフォリオ型にすることで、リスク分散を図っています。

2004年に信託業法が改正されたことによって、信託受益権の販売業者、信託契約の代理店制度ができました。これによって、我々のように著作権を専門とした信託会社ができる一方、販売に当たっては証券会社と信託代理店契約を結び、投資家から資金を集めやすくなっています。前出の2つのファンドは、販売する証券会社の意向で富裕層向け商品となりました。

その一方、シネカノン以外の中堅製作会社を支援するため、製作会社4社がつくる複数の劇場用映画を投資対象とした「シネマ信託TM〜製作者ファンド第1号〜」の申込を2006年7月に始めました。まだ映画業界のビジネス構造を変えるような動きにはなっていませんが、製作者が育っていけば、既存の商慣習にあわせる必要性も徐々に無くなっていくのではないでしょうか。


表 ジャパン・デジタル・コンテンツ信託が手掛けた主な映画ファンド一覧

開始年月 ファンド名 対象映画名 資金調達額 申込単位 販売会社 備考
2006/03 「シネマ信託TM〜シネカノン・ファンド第1号〜」 フラガールなど 46億円 2000万円 日興コーディアル証券 「魂萌え!」など、シネカノンが製作・買い付ける約20本の映画を対象。
2006/07 「シネマ信託TM〜製作者ファンド第1号〜」 蟲師など 20億円 1000万円 三菱UFJウェルスマネジメント証券 「やじきた道中てれすこ(仮題)」など、製作会社4社が手掛ける映画を対象。
ジャパン・デジタル・コンテンツ信託資料よりQUICK作成
※注1 シネカノン=1991年3月に設立された映画制作・配給などを手掛ける会社(代表取締役は李鳳宇氏)。
2001年の「シュリ」、2002年の「JSA」などの韓国映画の配給を手掛け、韓国映画ブームの火付け役となる。
また2005年の「パッチギ」のように、通好みの作品にも定評がある。6つの直営映画館のほか、飲食事業も運営。

1つのファンドが、複数の映画に分散投資しているのですね

土井氏

我々がつくっているのは、株式ではなく、いわば映画に投資する「著作権投信」です。今後は1つの方向性として、映画と相関性の異なる商品を組み込み、リスク分散を図ることも考えられます。

その一方、2006年の臨時国会で信託法の改正案が通ったため、今後は信託受益権の有価証券化も可能となります。これまでにも店頭での取引は指名債権譲渡(※注2)でできたのですが、有価証券になることで「市場」もでき得ることになります。つまり、単体の映画を対象とした映画ファンドをつくり、それを証券化したものをマーケットに出すことができるのです。個別の映画ファンドに投資する人もいれば、それを組み込んで新しい投信をつくることもできます。

今までの投資ファンドは基本的に持ち切りが中心でしたが、自由に取引できる流通市場が整備されれば、「この映画はハイリスク・ハイリターンだ」、「こちらは安定的な収益が見込める」といった具合に、投資家側の選択の自由度も増えます。ただ最初のうちは、個別の映画に投資するより、株式の投資信託のように複数の映画を組み込んだ映画ファンドで慣れていただいた方が良いでしょうね。


※注2 指名債権譲渡=民法では債務者を保護するため、「指名債権」として債権の譲渡に一定の制限をかけている。
この指名債権を譲渡するには、債権者が債務者に対して譲渡する旨を通知し、債務者がその譲渡を承諾する必要がある。
そのための通知には内容証明郵便が使われるため、売買手続きは株式などの有価証券と比べて非常にはん雑なものとなる。

著作権をめぐる市場は、投資先として有望ですか?

土井氏

日本のコンテンツ業界は、毎年の資金調達額が全体で2兆円、映画業界だけでも3000億円規模あると言われています。コンテンツ産業という認知度が進んだのはここ数年のことで、これまではレコード業界・放送業界という縦割りで縛られていました。しかし、デジタル化されたことでその垣根はなくなり、市場にも広がりが出ています。

そもそも映画は著作権上も扱いやすいのです。テレビ番組には「放送権」が認められているものの、「著作権」が認められていませんので、二次利用などの調整が難しいのです。しかし著作権法第29条第I項では、映画の著作権者を特例的に定めています。ややこしいのですが「著作者」と「著作権者」が違うこともあるのです。原作者や作曲家には別にリターンを配分しながら、「映画という著作物」として保護されますので、ファンドを作る上では著作権の管理がしやすいのです。

なお、当社の信託財産額は2007年3月末で約470億円(予想値、うち映画は約250億円)ですが、2〜3年後には2000億円規模になると見込んでいます。実績を考えれば、映画の信託財産額も500〜600億円規模になるでしょう。映画以外にもアニメ、ゲームなどを信託しており、製作費でいえばオンライン・ゲームの規模が大きくなる傾向にあります。

JDC信託が目指す映画ファンドとは?

土井氏

製作者・コンセプトを出してくれる人たちが育ってくれなければ、映画業界は育ちません。いまよりも製作者に収益が還元される仕組み・資金供給ルートを作ることで、日本の映画業界の発展をサポートしたいですね。将来的には米国などの海外展開も視野に入れた企画・製作体制をつくっていければと思います。

これまでの映画ファンドは小口の映画を集め、ファンドを大型化しながら、投資対象を分散した機関投資家・富裕層向けの商品が主流となっていました。しかし法律・制度が整えば、大型化したものを小口に分けることは簡単にできます。ゆくゆくは個人投資家が投資しやすい環境も整うでしょう。

【インタビュー:2007年1月 聞き手:MoneyLife 片平正二】
(掲載日:2007年2月21日)

●映画ファンド特集第3回目は、映画ファンドの過去の運用実績についてレポートします。

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