【第1回】ETFを活用した信用取引 - ETFの応用 - ETF

投稿日:2013/06/27 最終更新日:2022/08/01
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ETF [ ETFの応用 ]

【第1回】

ETFを活用した信用取引

ETFの特徴の一つは、通常の株式などと同様に、信用取引が可能なことです。したがって、一般の投資信託と違い、ETFは、「買い」だけでなく、「売り」のポジションから収益を狙うことも可能です。

一般の投資信託では、「ベア型」とよばれるデリバティブを活用して、市場が値下がりする時に利益が得られるタイプのものがありますが、このような従来型の投資信託では、1日に1度決められる基準価額によってしか取引することができません。また、手数料も比較的高いものが多いことから、短期間での値動きから収益を狙うことは難しい面があります。

一方、「ETF」の信用取引を使った「売り」取引は、「株式と同様の手数料体系」で、「市場を通じて、タイムリーに取引できる」という特徴を生かしながら、「ベア型」ファンドと同様に、値下がりによる投資成果を狙うことができます。したがって、場中の日計り商いを含めた、短期での「売り」取引に対しては、ETFは有力な投資手法の一つになります。

また、現物株式への投資と組み合わせて、ETFの信用取引を活用する手法もあります。いわゆる「ロング・ショート」といわれる、複数の「買い」と「売り」のポジションを組み合わせて、全体の市場動向に対しては「中立」的でありながら、銘柄の選択による超過リターンを狙うという運用手法においてETFを活用する方法です。

例えば、A自動車会社を相対的に高く評価し、B自動車会社を相対的に低く評価した場合に、A自動車株を「買い」、同時にB自動車株を「売る」というのが典型的な「ロング・ショート」の一例です。しかしながら、この場合、B社に個別の材料が出て大きく値上がりした場合、思いがけない大きな損失を被る可能性があります。(通常の「買い」は、購入金額が損失可能性額の限度になる一方、信用取引の「売り」ポジションは、理論上損失が限定されていません。)

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株式市場においては、個別の銘柄は、金利や為替、景気動向といった「マクロ要因」とよばれる市場全体に対する変動要因とそれぞれの企業の売上や製品開発などの「ミクロ要因」の両方が作用していると考えられています。したがって、「マクロ要因」が存在している以上、上記の例でいうと、(1)、(2)のように両者ともに上昇する、もしくは、(5)、(6)のように両者ともに下落するという可能性が高いということになります。

そして、そのような考え方に立ち、相対的に値上がりすると思うものを買い、値下がりすると思われるものを売るのが「ロング・ショート」なのです。このとき、投資成功の条件は、「Bよりも“相対的”にAが上昇する」ということです。したがって、A株が上昇しているシナリオ(1)はもちろん、AもBも値下がりしていても、Aのほうが値下がり幅の小さいシナリオ(5)でも、利益が得られます。

一方、注意しなければならないのは、シナリオ(4)のケースです。たとえば、B社の大幅業績好転のニュースが伝えられて、株価が3倍に急上昇してしまった場合、投資額を大幅に上回るような大損失を被ることになります。これが「ロング・ショート」における「最悪のシナリオ」です。

そこで、このリスクを抑える方法として、考えられるのが「ETF」を活用した「ロング・ショート」取引です。ETFは、多数の銘柄に分散されたポートフォリオで構成されているため、個別の企業の株式の値動きに比べると、動きが緩やかであるという特徴があります。その特徴を生かして、個別の企業の株式を「買い」+市場や業種の平均に連動するETFの「売り」ポジションという形で投資することで、市場に対しての「売り」ポジションをとると同時に、個別銘柄の高いボラティリティを避けるという戦略が可能になるのです。

たとえば、具体的には、A社株を「買い」、一方で、B社株ではなく、「自動車セクター(輸送用機械セクター)の業種別ETF」を「売る」という取引です。

ETFを利用したロング&ショート戦略:

⇒A自動車株を購入 + 輸送用機器セクターETFを信用売り

この場合、自動車セクター全体が10%値下がりする一方、A社株が5%しか値下がりしないとすれば、そこで両方のポジションを解消することで、理論上5%の利益が挙げられる計算になります。(単純化のため、税金・手数料等については考慮外とします。)

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このように、ETFの信用取引を活用した投資法は、単純な「買い持ち」の戦略に比べて、様々な市場環境において積極的に利益を狙う取引が可能だというメリットがあります。

但し、このような投資ポジションは、あくまでも理論上「市場全体の動きに中立」で、「個別銘柄の選択」だけをリターンとして狙う取引であり、絶対的にリスクが低減するわけではありません。(目論見とは逆に、業種全体が大きく上昇する一方、個別のA社株が下落すると、やはり、大きな損失を招く恐れはあります。)

したがって、「ETFを活用した信用取引」はあくまでも、十分な事前の情報収集を含めて、大きな労力を払う用意のある投資家にとってのみ、はじめて考慮に値する投資手法であると言えるでしょう。

 
執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク(掲載日:2010年07月02日)

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