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藤商事 Research Memo(7):独創的な企画開発力を強みに販売シェアを拡大し、収益成長を目指す
配信日時:2025/12/17 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST 藤商事 Research Memo(7):独創的な企画開発力を強みに販売シェアを拡大し、収益成長を目指す
■藤商事<6257>の今後の見通し
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、開発戦略、商品戦略、原価低減施策、人材戦略の4つのテーマに分けて、それぞれ取り組みを推進している。
(1) 開発戦略
開発戦略として、トレンドの先端を行く独創的な新機種や、顧客視点で魅力的な新機種を開発し続けることでブランド力の向上と販売シェア拡大を目指している。前期からパチンコ遊技機で導入した「BIGスタート」は、競合メーカーでも採用が広がるなど新たなスタイルとなっている。また、「LT3.0プラス」で開発の自由度が増したことは、企画開発力を強みとする同社にとって販売シェア拡大の好機になると弊社では見ている。一方、パチスロ遊技機は、開発ラインを増強しており、将来的には年間4機種以上の投入を目指している。検定合格率の改善が今後の課題ではあるが、スマスロ機でもヒット機種を生み出すなど着実に実績をあげており、今後は開発人員の増員も行いながら年間投入機種数を増やし販売シェア拡大を図る。パチンコ遊技機では10%超、パチスロ遊技機では5%超を当面の目標に掲げている。
(2) 商品戦略
商品戦略としては「アニメ」ジャンルの育成に注力しており、IPの取得も積極的に進めている。「アニメ」ジャンルについては原作ファンや声優ファンなどファン層が幅広く、ゲーム性を高めやすいコンテンツでもあるだけに、若年層だけでなく中高年の客層も取り込みやすいという利点があるためだ。2026年3月期の新規タイトルも4機種中3機種が「アニメ」ジャンルで、若年層中心に幅広い顧客層を取り込んでいく戦略である。パチスロ遊技機も含めて当面は「アニメ」ジャンルを中心とした機種開発を進めるものと予想される。
(3) 原価低減施策
原価低減施策として、開発段階からの原価低減活動を進めている。具体的には設計の見直しによって、部材の共通化を可能な限り進め部材コスト低減を推進しているほか、ソフトウェアの開発効率向上にも取り組んでいる。また、リユース品比率の向上による材料費低減にも注力している。従来は、高価な半導体デバイスがリユースの中心であったが、最近では電源回路などユニット品も含めてすべての品目に対象を広げ、再利用が可能か検討を進めている。
(4) 人材戦略
同社は人材が企業の成長の源泉であるとの考えの下、役職者の世代交代の推進により社内の活性化を図るとともに、若手社員が安心・わくわくして仕事に打ち込める環境を整備している。また長期的なキャリア形成意識の醸成により生涯現役で活躍し続ける人材の育成と多様な人生プランに合わせた働き方を支援すべく、2024年4月より新人事制度を導入した。
具体的には、専門職を軸とした等級制度やポストオフ制度(55歳役職定年)を導入したほか、自発的・挑戦的な取り組みに加え人材育成に対する取り組みも評価する、人を育てる評価制度を導入した。報酬制度については、給与のベースアップを行ったほか、キャリアプラス制度(社内兼業)やキャリア研修、セカンドライフ・キャリアなど各種支援制度を導入した。これら新人事制度の導入により、人的資本が強化され社内が活性化することで収益成長につながるものと期待される。
2030年3月期の目標としてPBR1.0倍、ROE8.0%を掲げる
4. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
同社の株価はPBRで0.5倍前後と1.0倍を下回る水準が長らく続いている。PBRが1倍を下回っている要因として、1) 遊技機メーカーのビジネスモデルが開発先行型であり、継続した新機種開発のためには潤沢な内部留保とキャッシュを保持しておく必要があるためROEが低くなる傾向にあること、2) 新機種の投入タイトル数が年間でも10タイトル以下と業界大手と比べると少ないため、ヒット機種の有無によって業績が大きく変動し、時には損失を計上するケースもあるなど業績変動リスクの大きいことが影響していると弊社では見ている。特にROEに関しては2025年3月期で5.7%と同社が認識している株主資本コスト(約5%)とほとんど変わらない水準であり、投資魅力が乏しいと思われる一因ともなっている。
こうした状況に対して、同社は資本コストや株価を意識した経営に取り組むことで企業価値を高める方針だ。具体的な目標として、2030年3月期にROEを8.0%の水準まで引き上ることで、PBR1.0倍の達成を目指す。ROEは売上高純利益率と総資産回転率、財務レバレッジの3要素に分解できるが、同社は無借金経営のため、売上高純利益率と総資産回転率の向上がROE上昇の要件となってくる。売上高純利益率の向上については、パチンコ、パチスロ遊技機ともに市場ニーズに沿った新機種を投入し、売上規模の拡大により固定費比率を引き下げるほか、原価低減施策に取り組むことで実現する考えだ。また、総資産回転率の向上については、積極的な成長投資(パチスロ遊技機の開発ライン増強、アニメ版権の育成、人材確保)による売上規模の拡大に加えて、遊休資産の効率化による資産のスリム化により実現を図る。
もう1つの課題である収益の安定性向上については、スマート遊技機の開発を強化し稼働力の高い新機種を開発し続けることで一定の販売シェアを獲得することが重要と考えており、30億円以上の経常利益を安定的に創出できる経営基盤の構築を目指す。さらに資本政策の充実により市場評価を高める方針であり、安定的な株主還元(配当性向30%以上かつ下限は1株当たり50円を継続方針)に加えて、流通株式比率を現在の約30%から35%以上へ引き上げる考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、開発戦略、商品戦略、原価低減施策、人材戦略の4つのテーマに分けて、それぞれ取り組みを推進している。
(1) 開発戦略
開発戦略として、トレンドの先端を行く独創的な新機種や、顧客視点で魅力的な新機種を開発し続けることでブランド力の向上と販売シェア拡大を目指している。前期からパチンコ遊技機で導入した「BIGスタート」は、競合メーカーでも採用が広がるなど新たなスタイルとなっている。また、「LT3.0プラス」で開発の自由度が増したことは、企画開発力を強みとする同社にとって販売シェア拡大の好機になると弊社では見ている。一方、パチスロ遊技機は、開発ラインを増強しており、将来的には年間4機種以上の投入を目指している。検定合格率の改善が今後の課題ではあるが、スマスロ機でもヒット機種を生み出すなど着実に実績をあげており、今後は開発人員の増員も行いながら年間投入機種数を増やし販売シェア拡大を図る。パチンコ遊技機では10%超、パチスロ遊技機では5%超を当面の目標に掲げている。
(2) 商品戦略
商品戦略としては「アニメ」ジャンルの育成に注力しており、IPの取得も積極的に進めている。「アニメ」ジャンルについては原作ファンや声優ファンなどファン層が幅広く、ゲーム性を高めやすいコンテンツでもあるだけに、若年層だけでなく中高年の客層も取り込みやすいという利点があるためだ。2026年3月期の新規タイトルも4機種中3機種が「アニメ」ジャンルで、若年層中心に幅広い顧客層を取り込んでいく戦略である。パチスロ遊技機も含めて当面は「アニメ」ジャンルを中心とした機種開発を進めるものと予想される。
(3) 原価低減施策
原価低減施策として、開発段階からの原価低減活動を進めている。具体的には設計の見直しによって、部材の共通化を可能な限り進め部材コスト低減を推進しているほか、ソフトウェアの開発効率向上にも取り組んでいる。また、リユース品比率の向上による材料費低減にも注力している。従来は、高価な半導体デバイスがリユースの中心であったが、最近では電源回路などユニット品も含めてすべての品目に対象を広げ、再利用が可能か検討を進めている。
(4) 人材戦略
同社は人材が企業の成長の源泉であるとの考えの下、役職者の世代交代の推進により社内の活性化を図るとともに、若手社員が安心・わくわくして仕事に打ち込める環境を整備している。また長期的なキャリア形成意識の醸成により生涯現役で活躍し続ける人材の育成と多様な人生プランに合わせた働き方を支援すべく、2024年4月より新人事制度を導入した。
具体的には、専門職を軸とした等級制度やポストオフ制度(55歳役職定年)を導入したほか、自発的・挑戦的な取り組みに加え人材育成に対する取り組みも評価する、人を育てる評価制度を導入した。報酬制度については、給与のベースアップを行ったほか、キャリアプラス制度(社内兼業)やキャリア研修、セカンドライフ・キャリアなど各種支援制度を導入した。これら新人事制度の導入により、人的資本が強化され社内が活性化することで収益成長につながるものと期待される。
2030年3月期の目標としてPBR1.0倍、ROE8.0%を掲げる
4. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
同社の株価はPBRで0.5倍前後と1.0倍を下回る水準が長らく続いている。PBRが1倍を下回っている要因として、1) 遊技機メーカーのビジネスモデルが開発先行型であり、継続した新機種開発のためには潤沢な内部留保とキャッシュを保持しておく必要があるためROEが低くなる傾向にあること、2) 新機種の投入タイトル数が年間でも10タイトル以下と業界大手と比べると少ないため、ヒット機種の有無によって業績が大きく変動し、時には損失を計上するケースもあるなど業績変動リスクの大きいことが影響していると弊社では見ている。特にROEに関しては2025年3月期で5.7%と同社が認識している株主資本コスト(約5%)とほとんど変わらない水準であり、投資魅力が乏しいと思われる一因ともなっている。
こうした状況に対して、同社は資本コストや株価を意識した経営に取り組むことで企業価値を高める方針だ。具体的な目標として、2030年3月期にROEを8.0%の水準まで引き上ることで、PBR1.0倍の達成を目指す。ROEは売上高純利益率と総資産回転率、財務レバレッジの3要素に分解できるが、同社は無借金経営のため、売上高純利益率と総資産回転率の向上がROE上昇の要件となってくる。売上高純利益率の向上については、パチンコ、パチスロ遊技機ともに市場ニーズに沿った新機種を投入し、売上規模の拡大により固定費比率を引き下げるほか、原価低減施策に取り組むことで実現する考えだ。また、総資産回転率の向上については、積極的な成長投資(パチスロ遊技機の開発ライン増強、アニメ版権の育成、人材確保)による売上規模の拡大に加えて、遊休資産の効率化による資産のスリム化により実現を図る。
もう1つの課題である収益の安定性向上については、スマート遊技機の開発を強化し稼働力の高い新機種を開発し続けることで一定の販売シェアを獲得することが重要と考えており、30億円以上の経常利益を安定的に創出できる経営基盤の構築を目指す。さらに資本政策の充実により市場評価を高める方針であり、安定的な株主還元(配当性向30%以上かつ下限は1株当たり50円を継続方針)に加えて、流通株式比率を現在の約30%から35%以上へ引き上げる考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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