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藤商事 Research Memo(5):ホール数の減少率は縮小傾向、ヒット機種の登場が市場活性化のカギを握る
配信日時:2025/12/17 12:05
配信元:FISCO
*12:05JST 藤商事 Research Memo(5):ホール数の減少率は縮小傾向、ヒット機種の登場が市場活性化のカギを握る
■藤商事<6257>の今後の見通し
1. 業界動向と販売シェア
(1) 業界動向
レジャーの多様化や人口減少とともに、遊技機市場は緩やかな縮小傾向をたどってきた。特に2020年以降、コロナ禍による逆風が吹き、外部環境が一段と厳しくなるなかで経営体力のない企業の淘汰が進んでいる。警察庁発表の資料によると2024年末のホール軒数は6,706軒、前年末比で5.3%減と減少率は前年の7.6%減から縮小傾向にあるものの、依然下げ止まりの兆しが見えない状況にある。パチンコホールの減少に伴い遊技機の設置台数も減少傾向にあり、2024年末でパチンコ・パチスロ遊技機全体では2.9%減の3,324千台であった。1ホール当たりの設置台数は緩やかに上昇しており、中小ホールの淘汰が進んでいることが窺える。
設置台数の内訳は、パチンコ遊技機が同5.2%減の1,969千台であった一方で、パチスロ遊技機は同0.6%増の1,355千台と若干ながら8年ぶりに増加に転じた。これはスマスロでヒット機種が相次いだことにより、スマスロの設置台数を増やす動きが広がったことが背景にある。スマート遊技機は2022年秋から導入が開始されたが、2025年3月末時点でスマスロの普及率が50%弱まで上昇したのに対して、スマパチは10%台前半の水準にとどまっていた。スマスロでは顧客支持を集める魅力的な機種が開発され、市場に投入されたのに対して、スマパチは従来機種との差異化が図れず、魅力的な機種を開発できなかったことが普及率の差となって表れた。
こうした状況を打破するため、スマパチに関しては2025年7月7日からゲーム性の大幅な向上を可能とする「LT3.0プラス」が解禁され、各社から「LT3.0プラス」搭載機の投入が始まった。「LT3.0プラス」の特徴は、当たりとなるバリエーションが広がったことと、大当たり後のゲーム性が緩和され、幅広いゲームシナリオを組み込むことができるようになるなど(=ゲーム性の向上)商品設計の自由度が増したことで、同じ「LT3.0プラス」搭載機でも様々なタイプの機種を開発できるようになった点が挙げられる。この結果、2025年10月時点でスマパチの普及率は2割程度にまで上昇したと見られる。業界団体ではスマート遊技機の普及拡大を目指しており、今後もスマパチについては普及率が上昇するものと予想される。
同社では2025年度の市場見通しについて、業界団体の予測や市場動向をもとにパチンコ遊技機で前年度比横ばいの850千台、パチスロ遊技機で同14%減の650千台と期初想定(パチンコ遊技機900千台、パチスロ遊技機750千台)からそれぞれ引き下げた。同業大手3社も含めた4社の平均値で見ても、パチンコ遊技機は同横ばいの850千台、パチスロ遊技機は同6%減の650千台となっており、スマート遊技機の普及が必ずしも市場の活性化につながっていないのが現状である。ホール数の減少が続いていることや、新機種への買い替えを積極的に行うことが難しい経営環境にあること、またスマスロに関しては販売前に実施する検定試験の適合率が低く、新機種の投入が進まないことも一因となっている。こうした状況を打破し、市場を活性化するにはメーカーがホールの経営状況を好転させるヒット機種を数多く開発し、市場に投入することが必須と弊社では考えている。
(2) スマート遊技機(スマートパチンコ/スマートパチスロ)について
スマート遊技機と従来の遊技機との大きな違いは、スマパチについては玉が封入され循環式となったこと、スマスロはメダルレスとなったことが挙げられる。ともに遊技に必要な玉やメダルの貸出がなく、電子情報をもとに遊技ができるため、感染防止対策になるほかプレイがしやすく不正防止対策にもなるなどメリットが多い。ホール運営側にとっては初期導入コストが掛かるものの、出玉やメダルの持ち運び、計数管理など店舗スタッフの業務が減少することで人件費の抑制につながる。また玉やメダルの補給装置が不要となるため省スペース化が図れるほか、店舗レイアウトの自由度が増すといったメリットがある。メーカー側にとっては、スマート遊技機で魅力的な新機種を開発し販売シェアを拡大する好機となる。
また、スマート遊技機導入の目的の1つとして業界の健全化が挙げられる。各遊技機の出玉情報等を新設した第三者機関「遊技機情報センター」で一元管理することにより、のめり込み対策や不正防止対策を行う体制を構築している。業界の健全化が進めば、客層の広がりも期待できる。当初は2~4年で大半がスマート遊技機に置き換わると想定していたが、パチンコホール事業者の経営状況が厳しく投資余力が限られるなかで、当初の想定よりも緩やかなペースで導入が進んでいる。
(3) 商品戦略と販売シェアの動向
同社は商品戦略として、ユーザーを年齢層別に分け、各ターゲットに合わせてジャンルを強化している。また、主力タイトルの開発・育成によりラインナップを拡充し、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェア拡大を図る方針だ。特に、最近は若年層を中心に人気のある「アニメ」のIPを活用した新機種の開発に注力し成果に結び付けており、今後もこうした戦略を継続する。
同社の販売シェアは人気機種の販売時期によって変動はあるものの、パチンコ遊技機はメインスペックの新機種を年間4〜6機種のペースで投入しており(他シリーズ機種を投入)、ここ数年は7%前後の水準で推移している(2025年3月期は8.5%)。2021年3月期以降は「とある」シリーズが高い人気を継続しており、主力機種としてのブランドを確立している。今後も「ホラー」や「萌え」で継続的な機種開発を進めるほか、「アニメ」ジャンルのラインナップを拡充することで、販売シェア10%以上を目指す。
一方、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機で販売実績のあるタイトルを中心に年間1〜4機種のペースで新機種を投入してきた。2023年3月期以降はパチンコ遊技機と同様に「アニメ」ジャンルを中心に新機種を投入し、一定の稼働実績を残している。特に、2023年3月に発売したスマスロ遊技機「L ゴブリンスレイヤー」がヒットしたことで、パチンコホールからの評価も高まっている。同社はパチスロのシェア拡大を図るべく開発ラインを年間4機種以上の投入が可能となるよう増強し、現在3%前後にとどまっている販売シェアを5%以上に引き上げる方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 業界動向と販売シェア
(1) 業界動向
レジャーの多様化や人口減少とともに、遊技機市場は緩やかな縮小傾向をたどってきた。特に2020年以降、コロナ禍による逆風が吹き、外部環境が一段と厳しくなるなかで経営体力のない企業の淘汰が進んでいる。警察庁発表の資料によると2024年末のホール軒数は6,706軒、前年末比で5.3%減と減少率は前年の7.6%減から縮小傾向にあるものの、依然下げ止まりの兆しが見えない状況にある。パチンコホールの減少に伴い遊技機の設置台数も減少傾向にあり、2024年末でパチンコ・パチスロ遊技機全体では2.9%減の3,324千台であった。1ホール当たりの設置台数は緩やかに上昇しており、中小ホールの淘汰が進んでいることが窺える。
設置台数の内訳は、パチンコ遊技機が同5.2%減の1,969千台であった一方で、パチスロ遊技機は同0.6%増の1,355千台と若干ながら8年ぶりに増加に転じた。これはスマスロでヒット機種が相次いだことにより、スマスロの設置台数を増やす動きが広がったことが背景にある。スマート遊技機は2022年秋から導入が開始されたが、2025年3月末時点でスマスロの普及率が50%弱まで上昇したのに対して、スマパチは10%台前半の水準にとどまっていた。スマスロでは顧客支持を集める魅力的な機種が開発され、市場に投入されたのに対して、スマパチは従来機種との差異化が図れず、魅力的な機種を開発できなかったことが普及率の差となって表れた。
こうした状況を打破するため、スマパチに関しては2025年7月7日からゲーム性の大幅な向上を可能とする「LT3.0プラス」が解禁され、各社から「LT3.0プラス」搭載機の投入が始まった。「LT3.0プラス」の特徴は、当たりとなるバリエーションが広がったことと、大当たり後のゲーム性が緩和され、幅広いゲームシナリオを組み込むことができるようになるなど(=ゲーム性の向上)商品設計の自由度が増したことで、同じ「LT3.0プラス」搭載機でも様々なタイプの機種を開発できるようになった点が挙げられる。この結果、2025年10月時点でスマパチの普及率は2割程度にまで上昇したと見られる。業界団体ではスマート遊技機の普及拡大を目指しており、今後もスマパチについては普及率が上昇するものと予想される。
同社では2025年度の市場見通しについて、業界団体の予測や市場動向をもとにパチンコ遊技機で前年度比横ばいの850千台、パチスロ遊技機で同14%減の650千台と期初想定(パチンコ遊技機900千台、パチスロ遊技機750千台)からそれぞれ引き下げた。同業大手3社も含めた4社の平均値で見ても、パチンコ遊技機は同横ばいの850千台、パチスロ遊技機は同6%減の650千台となっており、スマート遊技機の普及が必ずしも市場の活性化につながっていないのが現状である。ホール数の減少が続いていることや、新機種への買い替えを積極的に行うことが難しい経営環境にあること、またスマスロに関しては販売前に実施する検定試験の適合率が低く、新機種の投入が進まないことも一因となっている。こうした状況を打破し、市場を活性化するにはメーカーがホールの経営状況を好転させるヒット機種を数多く開発し、市場に投入することが必須と弊社では考えている。
(2) スマート遊技機(スマートパチンコ/スマートパチスロ)について
スマート遊技機と従来の遊技機との大きな違いは、スマパチについては玉が封入され循環式となったこと、スマスロはメダルレスとなったことが挙げられる。ともに遊技に必要な玉やメダルの貸出がなく、電子情報をもとに遊技ができるため、感染防止対策になるほかプレイがしやすく不正防止対策にもなるなどメリットが多い。ホール運営側にとっては初期導入コストが掛かるものの、出玉やメダルの持ち運び、計数管理など店舗スタッフの業務が減少することで人件費の抑制につながる。また玉やメダルの補給装置が不要となるため省スペース化が図れるほか、店舗レイアウトの自由度が増すといったメリットがある。メーカー側にとっては、スマート遊技機で魅力的な新機種を開発し販売シェアを拡大する好機となる。
また、スマート遊技機導入の目的の1つとして業界の健全化が挙げられる。各遊技機の出玉情報等を新設した第三者機関「遊技機情報センター」で一元管理することにより、のめり込み対策や不正防止対策を行う体制を構築している。業界の健全化が進めば、客層の広がりも期待できる。当初は2~4年で大半がスマート遊技機に置き換わると想定していたが、パチンコホール事業者の経営状況が厳しく投資余力が限られるなかで、当初の想定よりも緩やかなペースで導入が進んでいる。
(3) 商品戦略と販売シェアの動向
同社は商品戦略として、ユーザーを年齢層別に分け、各ターゲットに合わせてジャンルを強化している。また、主力タイトルの開発・育成によりラインナップを拡充し、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェア拡大を図る方針だ。特に、最近は若年層を中心に人気のある「アニメ」のIPを活用した新機種の開発に注力し成果に結び付けており、今後もこうした戦略を継続する。
同社の販売シェアは人気機種の販売時期によって変動はあるものの、パチンコ遊技機はメインスペックの新機種を年間4〜6機種のペースで投入しており(他シリーズ機種を投入)、ここ数年は7%前後の水準で推移している(2025年3月期は8.5%)。2021年3月期以降は「とある」シリーズが高い人気を継続しており、主力機種としてのブランドを確立している。今後も「ホラー」や「萌え」で継続的な機種開発を進めるほか、「アニメ」ジャンルのラインナップを拡充することで、販売シェア10%以上を目指す。
一方、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機で販売実績のあるタイトルを中心に年間1〜4機種のペースで新機種を投入してきた。2023年3月期以降はパチンコ遊技機と同様に「アニメ」ジャンルを中心に新機種を投入し、一定の稼働実績を残している。特に、2023年3月に発売したスマスロ遊技機「L ゴブリンスレイヤー」がヒットしたことで、パチンコホールからの評価も高まっている。同社はパチスロのシェア拡大を図るべく開発ラインを年間4機種以上の投入が可能となるよう増強し、現在3%前後にとどまっている販売シェアを5%以上に引き上げる方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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