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三機工業 Research Memo(7):2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円が目標
配信日時:2025/12/15 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST 三機工業 Research Memo(7):2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円が目標
■中期経営計画
1. 長期ビジョン:“MIRAI 2030”と「中期経営計画2027」
三機工業<1961>では、前経営ビジョン“Century 2025”が1年前倒しで達成されたことを受けて2025年春に新しい経営ビジョン“MIRAI 2030”を発表した。この計画では、2031年3月期のありたい姿を示すと同時に、最初の3年間を第1ステップとして中期経営計画として定めた。これらの計画の目標及び概要は以下のとおりである。
(1) “MIRAI 2030”:2030年のありたい姿
同社では、長期の目標である2031年3月期の「ありたい姿」(定量的目標)として、売上高3,500億円、ROE16.0%以上、従業員数3,000人を掲げている。さらにこの長期目標に達するための第1ステップ(2026年3月期~2028年3月期の3ヶ年)として、「中期経営計画2027」を発表した。
(2) 「中期経営計画2027」の戦略骨子
環境・社会価値の向上と企業価値(経済価値)の向上との両立を目指す経営ビジョン“MIRAI 2030”の実現に向けて、2027年度までの3年間を飛躍のための土台作り期間と位置づけ、「深化と共創」をテーマに、「事業戦略」「財務・資本戦略」「人財戦略」の3つの戦略を実行していく。
数値目標としては、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上、DOE5.0%以上(配当方針の見直し)、従業員数2,900人を目指す。
2. 各戦略の進捗
各戦略における進捗状況(トピック)は以下のとおりである。
(1) 事業戦略のトピック:コア事業の戦略的深化
(施策:成長・先端分野への事業拡大に向けた技術開発)
1) クリーンルーム向け広範囲対応温度成層型BroDOUPTM(ブロードアップ)を開発
産業用クリーンルーム向け省エネシステム「DOUP(R)」を大規模クリーンルームにも適用できるようバージョンアップ、半導体分野などにおけるクリーンルームの省エネ化ニーズに応える。
2) マイナス80℃露点クラスの極低湿度環境試験室を構築
全固体電池をはじめとした次世代電池開発に不可欠な極低湿度環境試験室を構築。本試験室の活用により新たな省エネ技術の開発を進め、次世代電池の開発・製造を進める自動車業界などの顧客に対する営業展開を強化する。
(2) 事業戦略のトピック:デジタル技術による事業進化
(施策:デジタル技術活用による技術開発)
1) 2D図面から3Dモデルを自動生成するソフトウェア「TRANDIM(トランディム)」TMを(株)WOGOと共同開発
従来2~7時間要していたボイラーや冷凍機などの機器・器具の3Dモデル作成時間の最大90%削減が可能となる。2026年度に製品化・販売を予定している。
2) 小型ドローンによる画像データからの3Dモデリング技術を確立
レーザースキャナと小型点検用ドローンの併用による既存設備のデジタル化手法を確立、狭小・閉鎖空間でも3Dモデルを効率的に作成できる。
(施策:「DX戦略2030」を策定)
DX推進の指針「SANKI DXビジョン」と、経営ビジョン“MIRAI 2030”を整合し、重要成功要因(Key Success Factor)の設定や具体的なロードマップを策定。
小規模だが事業戦略に沿ってM&Aを実行
(3) 事業戦略のトピック:戦略的アライアンスによる共創と事業拡大
(施策:拡大する廃棄物処理設備工事のニーズに応えるリソースを確保)
2025年8月1日に国内グループ会社である三機グリーンテック(株)が廃棄物処理施設の設計・施工・メンテナンスなどを行う邦英商興(株)の全株式を取得した。老朽化した処理施設の更新需要やDBO※等の拡大が見込まれるなか、今回のM&Aによりグループ内でのシナジーを最大限発揮し、事業拡大を図る。これにより、下図のようなグループ体制を構築する。
※ Design Build Operateの略で、設計・建設と運営・維持管理を民間事業者に一括発注するPPP(官民連携)の手法のひとつ。
(4) 財務・資本戦略のトピック:成長投資と株主還元の両立
(施策:2025年9月末までに政策保有株式6銘柄※(約21億円)を縮減)
2028年3月末までに政策保有株式を連結純資産の20%未満とすることを目指し売却を進める。創出したキャッシュはキャッシュ・アロケーション戦略に基づき、成長投資とステークホルダーへの還元に配分していく。
※ うち5銘柄は上場株式。
(施策:取引先への支払条件改善)
ステークホルダーへの還元の一環として、2025年10月支払分から支払条件を以下のとおり変更する。
・取引先のうち、すべての協力会社(工事取引先)に対する支払を全額現金振込
・すべての取引先に対する振込手数料を全額同社が負担する。国内連結子会社からの支払についても振込手数料は全額同社グループが負担する。
これにより、協力会社とのパートナーシップ強化を図る。
(5) 人財戦略のトピック:人的資本経営の推進
(施策:新卒・キャリア採用の強化)
2027年度末までに従業員2,900名(連結)体制を目指す。初任給引き上げ(2024年4月~)やインターンシップの拡充に加え、採用チャネルの拡大を図り、三機の未来を創っていく多様な人財の獲得を進める。
(施策:教育・研修制度の抜本的な見直し)
スキル・経験の獲得を重視する教育・研修制度体系を構築する。目指す人財像から必要なスキルを特定し、ビジネススキル・技術スキルの両面から従業員一人ひとりの主体的な能力開発を支える。
(施策:働き続けたい・貢献したいという職場環境整備)
2026年3月期におけるエンゲージメントスコア※の前期比2.9ポイント向上を図る。従業員エンゲージメントの継続的なモニタリングを通して今後取り組むべき課題を抽出し、スコアの低い部署への個別フォローも実施する。
※ 会社の目指す姿や方向性に対する、従業員の理解・共感の度合いを測る偏差値(標準スコア50.0)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
1. 長期ビジョン:“MIRAI 2030”と「中期経営計画2027」
三機工業<1961>では、前経営ビジョン“Century 2025”が1年前倒しで達成されたことを受けて2025年春に新しい経営ビジョン“MIRAI 2030”を発表した。この計画では、2031年3月期のありたい姿を示すと同時に、最初の3年間を第1ステップとして中期経営計画として定めた。これらの計画の目標及び概要は以下のとおりである。
(1) “MIRAI 2030”:2030年のありたい姿
同社では、長期の目標である2031年3月期の「ありたい姿」(定量的目標)として、売上高3,500億円、ROE16.0%以上、従業員数3,000人を掲げている。さらにこの長期目標に達するための第1ステップ(2026年3月期~2028年3月期の3ヶ年)として、「中期経営計画2027」を発表した。
(2) 「中期経営計画2027」の戦略骨子
環境・社会価値の向上と企業価値(経済価値)の向上との両立を目指す経営ビジョン“MIRAI 2030”の実現に向けて、2027年度までの3年間を飛躍のための土台作り期間と位置づけ、「深化と共創」をテーマに、「事業戦略」「財務・資本戦略」「人財戦略」の3つの戦略を実行していく。
数値目標としては、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上、DOE5.0%以上(配当方針の見直し)、従業員数2,900人を目指す。
2. 各戦略の進捗
各戦略における進捗状況(トピック)は以下のとおりである。
(1) 事業戦略のトピック:コア事業の戦略的深化
(施策:成長・先端分野への事業拡大に向けた技術開発)
1) クリーンルーム向け広範囲対応温度成層型BroDOUPTM(ブロードアップ)を開発
産業用クリーンルーム向け省エネシステム「DOUP(R)」を大規模クリーンルームにも適用できるようバージョンアップ、半導体分野などにおけるクリーンルームの省エネ化ニーズに応える。
2) マイナス80℃露点クラスの極低湿度環境試験室を構築
全固体電池をはじめとした次世代電池開発に不可欠な極低湿度環境試験室を構築。本試験室の活用により新たな省エネ技術の開発を進め、次世代電池の開発・製造を進める自動車業界などの顧客に対する営業展開を強化する。
(2) 事業戦略のトピック:デジタル技術による事業進化
(施策:デジタル技術活用による技術開発)
1) 2D図面から3Dモデルを自動生成するソフトウェア「TRANDIM(トランディム)」TMを(株)WOGOと共同開発
従来2~7時間要していたボイラーや冷凍機などの機器・器具の3Dモデル作成時間の最大90%削減が可能となる。2026年度に製品化・販売を予定している。
2) 小型ドローンによる画像データからの3Dモデリング技術を確立
レーザースキャナと小型点検用ドローンの併用による既存設備のデジタル化手法を確立、狭小・閉鎖空間でも3Dモデルを効率的に作成できる。
(施策:「DX戦略2030」を策定)
DX推進の指針「SANKI DXビジョン」と、経営ビジョン“MIRAI 2030”を整合し、重要成功要因(Key Success Factor)の設定や具体的なロードマップを策定。
小規模だが事業戦略に沿ってM&Aを実行
(3) 事業戦略のトピック:戦略的アライアンスによる共創と事業拡大
(施策:拡大する廃棄物処理設備工事のニーズに応えるリソースを確保)
2025年8月1日に国内グループ会社である三機グリーンテック(株)が廃棄物処理施設の設計・施工・メンテナンスなどを行う邦英商興(株)の全株式を取得した。老朽化した処理施設の更新需要やDBO※等の拡大が見込まれるなか、今回のM&Aによりグループ内でのシナジーを最大限発揮し、事業拡大を図る。これにより、下図のようなグループ体制を構築する。
※ Design Build Operateの略で、設計・建設と運営・維持管理を民間事業者に一括発注するPPP(官民連携)の手法のひとつ。
(4) 財務・資本戦略のトピック:成長投資と株主還元の両立
(施策:2025年9月末までに政策保有株式6銘柄※(約21億円)を縮減)
2028年3月末までに政策保有株式を連結純資産の20%未満とすることを目指し売却を進める。創出したキャッシュはキャッシュ・アロケーション戦略に基づき、成長投資とステークホルダーへの還元に配分していく。
※ うち5銘柄は上場株式。
(施策:取引先への支払条件改善)
ステークホルダーへの還元の一環として、2025年10月支払分から支払条件を以下のとおり変更する。
・取引先のうち、すべての協力会社(工事取引先)に対する支払を全額現金振込
・すべての取引先に対する振込手数料を全額同社が負担する。国内連結子会社からの支払についても振込手数料は全額同社グループが負担する。
これにより、協力会社とのパートナーシップ強化を図る。
(5) 人財戦略のトピック:人的資本経営の推進
(施策:新卒・キャリア採用の強化)
2027年度末までに従業員2,900名(連結)体制を目指す。初任給引き上げ(2024年4月~)やインターンシップの拡充に加え、採用チャネルの拡大を図り、三機の未来を創っていく多様な人財の獲得を進める。
(施策:教育・研修制度の抜本的な見直し)
スキル・経験の獲得を重視する教育・研修制度体系を構築する。目指す人財像から必要なスキルを特定し、ビジネススキル・技術スキルの両面から従業員一人ひとりの主体的な能力開発を支える。
(施策:働き続けたい・貢献したいという職場環境整備)
2026年3月期におけるエンゲージメントスコア※の前期比2.9ポイント向上を図る。従業員エンゲージメントの継続的なモニタリングを通して今後取り組むべき課題を抽出し、スコアの低い部署への個別フォローも実施する。
※ 会社の目指す姿や方向性に対する、従業員の理解・共感の度合いを測る偏差値(標準スコア50.0)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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