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最高値更新ならずも楽観論が優勢に (3) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2025/12/12 11:41
配信元:MINKABU
●株式以外の市場
○米国10年国債利回りは10月末の4.09%から4.02%に低下して月を終えました(2024年末は4.58%、2023年末は3.88%、2022年末は3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは10月末の4.66%から4.67%に上昇して取引を終えました(同4.78%、同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。
○英ポンドは10月末の1ポンド=1.3139ドルから1.3234ドルに上昇し(2024年末は1.2520ドル、2023年末は1.2742ドル、2022年末は1.2099ドル)、ユーロは10月末の1ユーロ=1.1530ドルから1.1602ドルに上昇しました(同1.0360ドル、同1.0838ドル、同1.0703ドル)。円(対米ドル)は10月末の1ドル=154.09円から156.16円に下落し(同157.32円、同141.02円、同132.21円)、人民元は10月末の1ドル=7.1174元から7.073元に上昇しました(同7.2770元、同7.1132元、同6.9683元)。
○11月の原油価格は2.6%下落し、10月末の1バレル=60.78ドルから同59.23ドルとなりました(2024年末は同71.75ドル、2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は11月に0.8%上昇し、1ガロン=3.190ドルとなりました(10月末は3.164ドル、2024年末は同3.128ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル)。2020年末から原油価格は22.3%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は36.9%上昇しました(1ガロン=同2.330ドル)。2025年9月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、48%が原油(ディーゼルは41%)、18%(同19%)が配送・販売費、18%(同24%)が精製コスト、16%(同16%)が税金となっています。
○EIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、48%が原油(ディーゼルは41%)、18%(同19%)が配送・販売費、18%(同24%)が精製コスト、16%(同16%)が税金となっています。
○金価格は10月末の1トロイオンス=4011.50ドルから上昇し、4256.00ドルで11月の取引を終えました(2024年末は2638.40ドル、2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル)。
○VIX恐怖指数は10月末の17.44から16.35に低下して11月を終えました。月中の最高は28.47、最低は15.78でした(2024年末は17.35、2023年末は21.67、2022年末は17.22)。2024年の最高は75.73、最低は10.62、2023年の最高は30.81、最低は11.81、2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。
●注目点
○米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合は12月9~10日に開催されます(当日の朝に、延期されていたCPI(消費者物価指数)が公表される予定です)。市場では86%の確率で3会合連続となる0.25%の利下げが見込まれており(2025年10月29日、2025年9月17日に続くもので、それ以前の利下げは2024年12月18日)、政策金利が3.50~3.75%になると予想されています。また、量的引き締め(QT)政策を2025年12月1日から停止するとの先月の決定は、0.25%の利下げと同等の効果をもたらすとみなされており、市場では2026年1月にも市場の流動性が増加し始めるとみられています。
○発表が遅れていた経済指標の集計・公表が始まっています。9月の雇用統計では非農業部門雇用者数が5万人増のはるかに低い予想に対して、11万9000人増と力強い伸びとなりました。増加分のうち9万7000人は民間部門によるもので、医療、娯楽、接客業における雇用増が追い風となりました。8月分は当初発表の2万2000人増から4000人減に下方修正されました。失業率は4.3%の前月比横ばいの予想に対して、4.4%(4.5%を付けた2021年10月以降で最高)に上昇しました。賃金上昇率は8月と同様に前年同月比+3.7%との予想に対して、同+3.8%に加速しました。全体として、こうした古い期間のデータは許容範囲にあり、対象期間が古いこともあって、市場はほとんど反応を示しませんでした。10月、11月分の雇用統計は、12月9~10日のFOMC後の12月16日(火曜日)に発表されます。週間新規失業保険申請件数(毎水曜日発表)の発表も再開されており、過去2週間はそれぞれ22万人と21万6000人と許容範囲の水準となりました。
○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は、化学大手デュポン・ド・ヌムールからスピンオフされた半導体素材メーカーのキューニティ・エレクトロニクスとテクノロジー銘柄のサンディスクをS&P500指数 に追加し、特殊化学品メーカーのイーストマン・ケミカルをS&P500 指数から除外してS&P小型株600指数に追加し、広告大手オムニコム・グループに買収された広告企業のインターパブリック・グループをS&P500指数から除外しました。
●S&Pリサーチ:11月の投稿、メーリングとリサーチ(spglobal.comを参照)
S&P500指数構成企業の自社株買い額は2025年第1四半期に2930億ドルで四半期としての過去最高を更新した後、第2四半期は2470億ドルに20.1%減少しました。背景には2025年4月2日(解放の日)に関税が打ち出され、不透明感がもたらされた結果、企業が後ろ向きになったことがあります。第3四半期に関しては、関税問題が徐々に解消され、金利低下が見込まれる中で、当初は2600億ドル~2650億ドルのレンジに2桁台の増加が予想されていました。第3四半期の自社株買いデータの95%超が発表された段階で、S&P500指数構成企業の自社株買い額はこの当初予想に達していないようです。企業の自社株買いは僅かな増加であり、現時点で、第3四半期は前期比5.4%増、前年同期比9.1%増の2470億ドルが見込まれています。
自社株買いへの支出減少で、(これまでのところ)EPSへの影響は鈍っており、第3四半期に株式数の大幅な減少(前年比4%減)によりEPSが大きく押し上げられた銘柄の割合は15.6%と、第2四半期の17.1%を下回りました(ただし、前年同期の13.6%は依然として上回る。spglobal.com/spdjiのS&P 500 Buybacksを参照)。支出の減少は、経済、政策面の不確実性が続く中で、企業が現金の使途へのコミットメントに消極的になっていることを示しています。不透明感が続く中で、2025年第4四半期の自社株買い額予想は引き下げられており、現在では2600億ドル台前半が予想されています。予想に基づくと、2025年通年では過去最高を記録した2024年の9430億ドルから10%増の1兆370億ドルが見込まれ、過去最高を更新する見通しです。
パフォーマンスが最高のセクターと最低のセクターの騰落率の差で見た年初来のセクターのリターン格差は31.32%(コミュニケーションサービスは年初来で33.83%上昇、不動産は同2.51%上昇)に縮小しました。このリターン格差は2022年に99.46%に達した後(エネルギーが59.05%上昇、コミュニケーションサービスが40.42%下落)、3年連続で縮小しています。長期平均は45.18%です。
S&P500指数の1928年以降の月間の平均騰落率を見ると、12月は平均で1.28%上昇と騰落率が最も高い月となっています。最低は9月で、平均で1.08%下落しています。
S&P500指数の96%に相当する企業が2025年第3四半期決算を発表しました。485銘柄が決算を終えた段階で、485銘柄中394銘柄(81.2%、過去10年の平均は75.0%)で営業利益が予想を上回りました。営業利益は過去最高を記録した2025年第2四半期から13.1%増、前年同期比では22.4%増が見込まれており、四半期としての過去最高を更新する見通しです。2025年第3四半期は483銘柄中366銘柄(75.8%)で売上高が予想を上回りました。売上高も過去最高を更新する見通しで、過去最高を記録した2025年第2四半期から3.5%増、前年同期比では6.0%増が見込まれています。第3四半期の営業利益率は13.632%と、第2四半期の12.46%から上昇が予想されており、過去最高を更新する可能性があります。1993年以降の平均は8.74%で、過去最高は2021年第2四半期の13.54%です。
個別銘柄レベルでの株式数の減少によるEPSへの影響を見ると、2025年第3四半期に株式数の減少によりEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は15.6%となっています。この割合は、2025年第2四半期は17.3%、2024年第3四半期は13.6%でした。2025年通年の利益は前年比13.1%増が見込まれており、これに基づく2025年予想株価収益率(PER)は26.0倍です。2026年通年の利益は前年比16.9%増が見込まれており、予想PERは22.2倍です。
S&P500指数の2025年11月の配当支払額は前年同月比で1.7%減少しました。10月は同1.5%減、9月は同17.2%増でした。11月の配当支払い金は1株当たり7.72ドルと、前年同月の7.85ドルを下回りました。年初来では1株当たり71.14ドルと、前年同期の67.71ドルを上回っています。11月までの過去12ヵ月間は1株当たり78.27ドルで、2024年11月までの12ヵ月間の73.10ドルを上回りました。2025年11月は、増配が31件、配当開始が1件、減配が2件、配当停止が0件でした。対して、2024年11月は増配が27件、配当開始が0件、減配が2件、配当停止が0件でした。年初来では、増配が324件、配当開始が6件、減配が9件、配当停止が1件となっています。
市場が11月に反落の局面を迎える中でも、アナリストは強気を維持しています。S&P500指数のボトムアップの1年後の目標株価は10月の7686から7896に上昇し、アナリストは15.3%の上昇を見込んでいます。ダウ平均の目標株価も10月の5万2396ドルから5万2950ドルに上昇し、向こう1年間で11.0%の上昇が見込まれています。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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