注目トピックス 日本株
PBシステムズ Research Memo(9):30億円台回復に向け成長戦略を再構築・推進(1)
配信日時:2025/12/09 13:19
配信元:FISCO
*13:19JST PBシステムズ Research Memo(9):30億円台回復に向け成長戦略を再構築・推進(1)
■ピー・ビーシステムズ<4447>の今後の見通し
1. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の業績は、売上高が前期比13.9%増の3,000百万円、営業利益が同96.3%増の245百万円、経常利益が同97.8%増の251百万円、当期純利益が同93.0%増の165百万円を計画する。今期は「成長への再スタートの年」と位置付け、引き続き2事業それぞれ3本の柱からなる成長戦略を進める(戦略詳細は後述)。市場環境及び自社の持続的な成長、人財強化などの観点から、新規顧客数の増加を第1目標に据え、売上高拡大を目指す。下準備は2025年9月期に粛々と進めており、首都圏の新規顧客数は前年比で約1.5倍まで増加させているもよう。狙いとしては、需要の見込める有力なターゲット市場や大手企業との取引でさらに実績を積み上げること、若手エンジニアの多種多様な実務経験の積み上げによる、稼働率及び技術力の向上などが挙げられる。当然ながら、若手人財を積極的に登用する組織拡大の動きも継続し、OJTによりベテランの技術力を伝達して一段の戦力化を図る。また、前期課題への対処という意味で、営業強化策としてセールスエンジニアを純増させるほか、エンジニアからセールスエンジニアへの配置転換を進め、技術力を顧客に100%訴求できる体制の構築を目指す。
ハイブリッドクラウド構築技術を強みに持つ同社にとって、ハードウェア販売高は業績を大きく左右する。2025年9月期は前期比33.7%増の1,116百万円と過去最高で推移しており、「2025年の崖」関連需要の表面化に伴い、2026年9月期も増加が予想される。一方、シトリックス製品を含む高付加価値製商品に関しては、外部要因として、仮想基盤ベンダーによるライセンス体系や価格の変更などに伴う顧客での導入見送りなど、不透明な要素も意識される。こちらについては、中堅・中小企業向けを中心にシトリックス製品の国内販売を展開するCXJとの連携強化を筆頭に、ベンダー各社との関係進化も追い風としながら、案件を継続して受注していく考えである。
各現場で人財の充実に伴い外注活用を減らしていく方針で、徐々に内製化率も高まりつつある。インフラ関連の基盤構築を手掛けるプラットフォーム部門では、システム構築において人財の経験値が重要となるが、実際にベテランから若手への技術伝達の仕組みが整いつつあり、外注は減少傾向にある。まだ人財の成長や先行投資の継続含め、企業改革の途上ではあるが、売上高及び利益面双方で着実な業績回復を見せられるか注目したい。
1) セキュアクラウドシステム事業
戦略1:基幹システムのハイブリッドクラウド化
総務省の令和7年版情報通信白書によれば、国内民間企業の設備投資に占める情報化投資比率は、「2025年の壁」が指摘された2018年の15.2%から2020年のピーク18.1%を経て、2023年には17.5%と減少傾向を見せている。円安やインフレ進行に伴う価格高騰の市場環境を鑑みると、企業における「2025年の崖」対応には遅れが予想され、システムのモダン化需要はまだ多く残ると予想できるだろう。CXJとの協業を重点に置き、新パートナー契約を通じて連携を本格化させている。
また、AI活用による既存システムの効率的なモダン化も推進している。通常、顧客社内でも解明できないレガシーシステム(アプリ)の刷新では、構築時のロジック保有者は不在のことが多く、詳細を読み解く難易度が高いためロジック解析に手間取り案件の初動を鈍らせる。その解決策として、2025年9月期に受注した食品製造業向け基幹システム案件ではAIを活用している。ロジック解明が高速化することで生産性が向上し開発期間が短縮され、高い顧客満足度と開発コスト削減を同時実現している。同案件が完工すれば、AI解析による基幹システムのモダン化の実績として、今後の開発案件に横展開していく方向でいる。さらに、同案件では顧客同意の上でパブリックAIを利用したが、情報セキュリティの観点からローカルLLM/SLM※の活用を目指し、現在ロジック解析に向けた実証実験を進めている。ローカルLLM/SLMでセキュリティ担保と短期間システム構築を実現すれば、顧客利益は最大化し、強い営業訴求力となるだろう。さらに、需要を囲い込み複数案件の開発を同時進行するなど新たな道も開ける可能性がありそうだ。
※ クラウドを利用せず自社内で生成AIを運用する仕組みでセキュリティや応答速度に優れている。
戦略2:サイバーセキュリティ
サイバー攻撃の多様化・高度化の加速が止まらないなか、同社では「一気通貫レジリエンス」を特徴とする総合セキュリティ対策サービス「サイバー忍法帖」の提案を推進している。顧客の規模や業種に応じ、コンサルティング提案から導入、保守まで要望に合わせてカスタマイズし、一貫対応する。サイバー攻撃の入り口で防御の仕組みを構築し、24時間365日体制で監視を続け、感染の際にはバックアップによるリストアで早期復元・回復を図る。2025年11月にはアクトとの連携強化を発表しており、「サイバー忍法帖」を中心としたセキュリティ対策の信頼性を高めるため、AI型EDR「Sentinel One」とアクトが運営するセキュリティオペレーションセンターを統合し、セキュリティ対策の強化、拡大を推進する計画である。実際、「Sentinel One」で既存顧客向けに中規模案件を受注しており、昨今の大企業の相次ぐサイバー被害増加という状況も追い風となることで、需要の取り込みが進むか注目したい。また、EDRの次の段階としてNDR※の需要も当然見据えていると見られ、「サイバー忍法帖」のポートフォリオ拡充について開示を待ちたいところだ。
※ Network Detection and Responseの略で、ネットワーク全体を流れるトラフィックを監視・分析することで、脅威を検知・対応し、組織のネットワーク全体を俯瞰的に監視する。
詳細は現段階で開示されていないものの、過去にレジリエンスソリューションにおける重要な戦略製品と位置付けていたDELLの「DP4400(※製造中止)」の後継ないし代替製品を選定中であるほか、効果的なオフラインバックアップに関しても、費用対効果が最大化する手法を検討している。なお、警察庁では、ランサムウェア被害で復旧期間が長引くほど費用が増加するというデータも公表しており、サイバー攻撃を想定したBCP(業務継続計画)の一環として、オフラインバックアップを推奨している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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1. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の業績は、売上高が前期比13.9%増の3,000百万円、営業利益が同96.3%増の245百万円、経常利益が同97.8%増の251百万円、当期純利益が同93.0%増の165百万円を計画する。今期は「成長への再スタートの年」と位置付け、引き続き2事業それぞれ3本の柱からなる成長戦略を進める(戦略詳細は後述)。市場環境及び自社の持続的な成長、人財強化などの観点から、新規顧客数の増加を第1目標に据え、売上高拡大を目指す。下準備は2025年9月期に粛々と進めており、首都圏の新規顧客数は前年比で約1.5倍まで増加させているもよう。狙いとしては、需要の見込める有力なターゲット市場や大手企業との取引でさらに実績を積み上げること、若手エンジニアの多種多様な実務経験の積み上げによる、稼働率及び技術力の向上などが挙げられる。当然ながら、若手人財を積極的に登用する組織拡大の動きも継続し、OJTによりベテランの技術力を伝達して一段の戦力化を図る。また、前期課題への対処という意味で、営業強化策としてセールスエンジニアを純増させるほか、エンジニアからセールスエンジニアへの配置転換を進め、技術力を顧客に100%訴求できる体制の構築を目指す。
ハイブリッドクラウド構築技術を強みに持つ同社にとって、ハードウェア販売高は業績を大きく左右する。2025年9月期は前期比33.7%増の1,116百万円と過去最高で推移しており、「2025年の崖」関連需要の表面化に伴い、2026年9月期も増加が予想される。一方、シトリックス製品を含む高付加価値製商品に関しては、外部要因として、仮想基盤ベンダーによるライセンス体系や価格の変更などに伴う顧客での導入見送りなど、不透明な要素も意識される。こちらについては、中堅・中小企業向けを中心にシトリックス製品の国内販売を展開するCXJとの連携強化を筆頭に、ベンダー各社との関係進化も追い風としながら、案件を継続して受注していく考えである。
各現場で人財の充実に伴い外注活用を減らしていく方針で、徐々に内製化率も高まりつつある。インフラ関連の基盤構築を手掛けるプラットフォーム部門では、システム構築において人財の経験値が重要となるが、実際にベテランから若手への技術伝達の仕組みが整いつつあり、外注は減少傾向にある。まだ人財の成長や先行投資の継続含め、企業改革の途上ではあるが、売上高及び利益面双方で着実な業績回復を見せられるか注目したい。
1) セキュアクラウドシステム事業
戦略1:基幹システムのハイブリッドクラウド化
総務省の令和7年版情報通信白書によれば、国内民間企業の設備投資に占める情報化投資比率は、「2025年の壁」が指摘された2018年の15.2%から2020年のピーク18.1%を経て、2023年には17.5%と減少傾向を見せている。円安やインフレ進行に伴う価格高騰の市場環境を鑑みると、企業における「2025年の崖」対応には遅れが予想され、システムのモダン化需要はまだ多く残ると予想できるだろう。CXJとの協業を重点に置き、新パートナー契約を通じて連携を本格化させている。
また、AI活用による既存システムの効率的なモダン化も推進している。通常、顧客社内でも解明できないレガシーシステム(アプリ)の刷新では、構築時のロジック保有者は不在のことが多く、詳細を読み解く難易度が高いためロジック解析に手間取り案件の初動を鈍らせる。その解決策として、2025年9月期に受注した食品製造業向け基幹システム案件ではAIを活用している。ロジック解明が高速化することで生産性が向上し開発期間が短縮され、高い顧客満足度と開発コスト削減を同時実現している。同案件が完工すれば、AI解析による基幹システムのモダン化の実績として、今後の開発案件に横展開していく方向でいる。さらに、同案件では顧客同意の上でパブリックAIを利用したが、情報セキュリティの観点からローカルLLM/SLM※の活用を目指し、現在ロジック解析に向けた実証実験を進めている。ローカルLLM/SLMでセキュリティ担保と短期間システム構築を実現すれば、顧客利益は最大化し、強い営業訴求力となるだろう。さらに、需要を囲い込み複数案件の開発を同時進行するなど新たな道も開ける可能性がありそうだ。
※ クラウドを利用せず自社内で生成AIを運用する仕組みでセキュリティや応答速度に優れている。
戦略2:サイバーセキュリティ
サイバー攻撃の多様化・高度化の加速が止まらないなか、同社では「一気通貫レジリエンス」を特徴とする総合セキュリティ対策サービス「サイバー忍法帖」の提案を推進している。顧客の規模や業種に応じ、コンサルティング提案から導入、保守まで要望に合わせてカスタマイズし、一貫対応する。サイバー攻撃の入り口で防御の仕組みを構築し、24時間365日体制で監視を続け、感染の際にはバックアップによるリストアで早期復元・回復を図る。2025年11月にはアクトとの連携強化を発表しており、「サイバー忍法帖」を中心としたセキュリティ対策の信頼性を高めるため、AI型EDR「Sentinel One」とアクトが運営するセキュリティオペレーションセンターを統合し、セキュリティ対策の強化、拡大を推進する計画である。実際、「Sentinel One」で既存顧客向けに中規模案件を受注しており、昨今の大企業の相次ぐサイバー被害増加という状況も追い風となることで、需要の取り込みが進むか注目したい。また、EDRの次の段階としてNDR※の需要も当然見据えていると見られ、「サイバー忍法帖」のポートフォリオ拡充について開示を待ちたいところだ。
※ Network Detection and Responseの略で、ネットワーク全体を流れるトラフィックを監視・分析することで、脅威を検知・対応し、組織のネットワーク全体を俯瞰的に監視する。
詳細は現段階で開示されていないものの、過去にレジリエンスソリューションにおける重要な戦略製品と位置付けていたDELLの「DP4400(※製造中止)」の後継ないし代替製品を選定中であるほか、効果的なオフラインバックアップに関しても、費用対効果が最大化する手法を検討している。なお、警察庁では、ランサムウェア被害で復旧期間が長引くほど費用が増加するというデータも公表しており、サイバー攻撃を想定したBCP(業務継続計画)の一環として、オフラインバックアップを推奨している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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