注目トピックス 日本株
PBシステムズ Research Memo(10):30億円台回復に向け成長戦略を再構築・推進(2)
配信日時:2025/12/09 13:20
配信元:FISCO
*13:20JST PBシステムズ Research Memo(10):30億円台回復に向け成長戦略を再構築・推進(2)
■ピー・ビーシステムズ<4447>の今後の見通し
戦略3:スマートファクトリー
人手不足などを背景とした製造業のDX需要を睨み、工場のスマート化を推進する。ターゲットを中堅・中小企業に据え、まずは直面するネットワークの老朽化や複雑化という課題に対し、基礎インフラ刷新ニーズに対応する。2024年8月にはアライドテレシス(株)と協業し、拡張性を持つシンプルな構成のネットワーク環境を構築して全館フルWi-Fi化を実現した。同時にアライドテレシスの統合管理ツール導入で、ネットワーク全体の可視化と自動復旧機能を備え、運用を開始した。同社の構想では、基盤技術導入という意味で第1フェーズをWi-Fi環境整備やネットワーク刷新とし、第2フェーズでローカルLLM/SLMの活用による一部スマートファクトリー化、最終段階となる第3フェーズではデータ活用・AI連携によるIoT・動画/画像監視分析、ロボティクスによる無人工場領域まで幅広く対応するフルスマートファクトリー化の支援を目指す。2025年9月期中には、(株)ロキテクノの実績をもとに第1フェーズに絡んだ引合いが複数あり、足元で受注に向けて提案を進めているようだ。また、第3フェーズについても、設備センサー連携を含む工場IoTシステムを活用したシステムマイグレーション案件について、パートナー企業と連携し具体的な商談が進行中と明かされており、同社が描いているスマートファクトリー支援会社としての実績づくりが大きく進展する期となりそうだ。
2) エモーショナルシステム事業
戦略1:MetaWalkers
2025年7月に商業施設や文化施設の空間づくりを手掛ける丹青社<9743>と、MetaWalkersと丹青社の空間演出技術を融合した体験型コンテンツの可能性を探る実証実験を行った。4日間で丹青社関係者のMetaWalkers実体験を実施し、計約500名から意見やアイディアを募った。実証から小規模娯楽施設の全面VR化など実現可能性の高いアイディアも見られたようであり、今後新たな領域や用途が創出される可能性に期待したい。ほかにも、多様な領域の大手企業と連携し、各企業の専門性を生かしたMetaWalkersの活用法を探っている。現在、3Dシミュレーターやメタバースコンテンツの上映テストに着手しており、協業からの収益化を目指す。また、同技術の考案時より力を入れる防災領域では、2025年2月には(一社)AR防災と協業し「-災害を疑似体験-地震編」をリリースした。災害対策は国策となることから、まずは年間10件以上の防災イベント出展を目標として、イベント実績からの本体販売への進展を目指す考えである。
戦略2:MetaAnywhere
2セグメント3戦略のなかで、最も重要な戦略と見られるのが、この「MetaAnywhere」だ。従来のMetaWalkersには、箱型の強みがあった反面、プロジェクションの角度・距離制限、常設型で高コスト・大規模工事必須、天井構造や照明位置との干渉といった課題があったことで、顧客側からのニーズはあっても、実際には案件化できないこともあった。しかし、新たにリリースしたMetaAnywhereは、プロジェクションマッピングのアイディアに近く、180度・270度・壁面配置など柔軟な角度対応や簡易設置が可能なモジュール構造と高演出性を両立するなど、従来課題を解決する空間演出ソリューションとなっている。さらに特筆すべき点として、大規模なハード提供がなくほとんどがシステム構築となるため高い利益率が期待できる。
リリース間もない2025年5月にはつくばエキスポセンターからの受注が決まり、続けてイベントや大型アミューズメントアトラクション案件を獲得するなど、同社としても将来性に強い期待感を持っている。また、製品の提供のみならず空間演出や映像制作も組み合わせる構想を持つほか、コンパクトな資金で短期間に設置できることから、顧客のコンテンツ需要に合わせたシステム更改などリピート率向上で定期的に収益寄与する可能性もあるだろう。エモーショナルシステム事業の黒字化、そして一段の成長を促す強力なツールとなるか弊社でも注目している。
戦略3:企業・自治体向けメタバース
同社は、仮想空間の最も有効な活用法として、現実に存在しない状況を体験できる場の提供が、顧客満足度の向上につながると予測している。それに呼応するように、最近では企業工場での安全教育でのメタバース活用の要望が見られている。例えば、机上の空論になりがちな再現不可能な事故の疑似体験や、それへの対応策の研修など、より実践的で臨場感のある環境の構築が想定される。近年の国内製造業では外国人財が従事するケースも多く、口頭でのコミュニケーションに困難を要する場面も想像され、このような実践的な安全対策活動は効果的になっていくかもしれない。さらに労働人口の高齢化も始まっており、厚生労働省が2026年4月に改正労働安全衛生法を施行し、高齢労働者の労災防止策を企業の努力義務とする流れも、企業向けメタバースの利用機会拡大につながる可能性もある。ほかにも、住宅販売でのメタバース活用の相談もあるようだ。
2. 中長期の成長戦略
同社は、足元で活発な議論が進んでいる東証グロース市場改革案や株式市場の環境変化に対応し、なおかつ一段の成長意欲を対外的に示すべく、従来のKGI(Key Goal Indicator)「2028年9月期までにセキュアクラウドシステム事業の営業利益率16%を達成」を改め、「2030年9月期までにROE30%を達成、維持継続」を新たなKGIとして採用した。「稼ぐ力の増強」と「株式価値向上」を念頭に置いた変更であり、新KGI達成のため「資本政策の強化と株主還元の向上」「成長戦略への積極投資」の2施策を展開していくことで、持続的な成長を実現する方針である。なお、同社の2025年9月期のROEは6.6%(前期比12.4ポイント減)、参考までに2025年3月期の東京証券取引所の情報・通信業のROE平均値は、プライム市場が10.6%(同2.3ポイント増)、スタンダード市場が10.8%(同0.7ポイント増)、グロース市場が5.8%(同1.5ポイント減)(日本取引所グループ)となる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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戦略3:スマートファクトリー
人手不足などを背景とした製造業のDX需要を睨み、工場のスマート化を推進する。ターゲットを中堅・中小企業に据え、まずは直面するネットワークの老朽化や複雑化という課題に対し、基礎インフラ刷新ニーズに対応する。2024年8月にはアライドテレシス(株)と協業し、拡張性を持つシンプルな構成のネットワーク環境を構築して全館フルWi-Fi化を実現した。同時にアライドテレシスの統合管理ツール導入で、ネットワーク全体の可視化と自動復旧機能を備え、運用を開始した。同社の構想では、基盤技術導入という意味で第1フェーズをWi-Fi環境整備やネットワーク刷新とし、第2フェーズでローカルLLM/SLMの活用による一部スマートファクトリー化、最終段階となる第3フェーズではデータ活用・AI連携によるIoT・動画/画像監視分析、ロボティクスによる無人工場領域まで幅広く対応するフルスマートファクトリー化の支援を目指す。2025年9月期中には、(株)ロキテクノの実績をもとに第1フェーズに絡んだ引合いが複数あり、足元で受注に向けて提案を進めているようだ。また、第3フェーズについても、設備センサー連携を含む工場IoTシステムを活用したシステムマイグレーション案件について、パートナー企業と連携し具体的な商談が進行中と明かされており、同社が描いているスマートファクトリー支援会社としての実績づくりが大きく進展する期となりそうだ。
2) エモーショナルシステム事業
戦略1:MetaWalkers
2025年7月に商業施設や文化施設の空間づくりを手掛ける丹青社<9743>と、MetaWalkersと丹青社の空間演出技術を融合した体験型コンテンツの可能性を探る実証実験を行った。4日間で丹青社関係者のMetaWalkers実体験を実施し、計約500名から意見やアイディアを募った。実証から小規模娯楽施設の全面VR化など実現可能性の高いアイディアも見られたようであり、今後新たな領域や用途が創出される可能性に期待したい。ほかにも、多様な領域の大手企業と連携し、各企業の専門性を生かしたMetaWalkersの活用法を探っている。現在、3Dシミュレーターやメタバースコンテンツの上映テストに着手しており、協業からの収益化を目指す。また、同技術の考案時より力を入れる防災領域では、2025年2月には(一社)AR防災と協業し「-災害を疑似体験-地震編」をリリースした。災害対策は国策となることから、まずは年間10件以上の防災イベント出展を目標として、イベント実績からの本体販売への進展を目指す考えである。
戦略2:MetaAnywhere
2セグメント3戦略のなかで、最も重要な戦略と見られるのが、この「MetaAnywhere」だ。従来のMetaWalkersには、箱型の強みがあった反面、プロジェクションの角度・距離制限、常設型で高コスト・大規模工事必須、天井構造や照明位置との干渉といった課題があったことで、顧客側からのニーズはあっても、実際には案件化できないこともあった。しかし、新たにリリースしたMetaAnywhereは、プロジェクションマッピングのアイディアに近く、180度・270度・壁面配置など柔軟な角度対応や簡易設置が可能なモジュール構造と高演出性を両立するなど、従来課題を解決する空間演出ソリューションとなっている。さらに特筆すべき点として、大規模なハード提供がなくほとんどがシステム構築となるため高い利益率が期待できる。
リリース間もない2025年5月にはつくばエキスポセンターからの受注が決まり、続けてイベントや大型アミューズメントアトラクション案件を獲得するなど、同社としても将来性に強い期待感を持っている。また、製品の提供のみならず空間演出や映像制作も組み合わせる構想を持つほか、コンパクトな資金で短期間に設置できることから、顧客のコンテンツ需要に合わせたシステム更改などリピート率向上で定期的に収益寄与する可能性もあるだろう。エモーショナルシステム事業の黒字化、そして一段の成長を促す強力なツールとなるか弊社でも注目している。
戦略3:企業・自治体向けメタバース
同社は、仮想空間の最も有効な活用法として、現実に存在しない状況を体験できる場の提供が、顧客満足度の向上につながると予測している。それに呼応するように、最近では企業工場での安全教育でのメタバース活用の要望が見られている。例えば、机上の空論になりがちな再現不可能な事故の疑似体験や、それへの対応策の研修など、より実践的で臨場感のある環境の構築が想定される。近年の国内製造業では外国人財が従事するケースも多く、口頭でのコミュニケーションに困難を要する場面も想像され、このような実践的な安全対策活動は効果的になっていくかもしれない。さらに労働人口の高齢化も始まっており、厚生労働省が2026年4月に改正労働安全衛生法を施行し、高齢労働者の労災防止策を企業の努力義務とする流れも、企業向けメタバースの利用機会拡大につながる可能性もある。ほかにも、住宅販売でのメタバース活用の相談もあるようだ。
2. 中長期の成長戦略
同社は、足元で活発な議論が進んでいる東証グロース市場改革案や株式市場の環境変化に対応し、なおかつ一段の成長意欲を対外的に示すべく、従来のKGI(Key Goal Indicator)「2028年9月期までにセキュアクラウドシステム事業の営業利益率16%を達成」を改め、「2030年9月期までにROE30%を達成、維持継続」を新たなKGIとして採用した。「稼ぐ力の増強」と「株式価値向上」を念頭に置いた変更であり、新KGI達成のため「資本政策の強化と株主還元の向上」「成長戦略への積極投資」の2施策を展開していくことで、持続的な成長を実現する方針である。なお、同社の2025年9月期のROEは6.6%(前期比12.4ポイント減)、参考までに2025年3月期の東京証券取引所の情報・通信業のROE平均値は、プライム市場が10.6%(同2.3ポイント増)、スタンダード市場が10.8%(同0.7ポイント増)、グロース市場が5.8%(同1.5ポイント減)(日本取引所グループ)となる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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