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東邦ガス Research Memo(6):自己株式取得(年間300億円規模)等の施策を加速
配信日時:2025/12/09 12:36
配信元:FISCO
*12:36JST 東邦ガス Research Memo(6):自己株式取得(年間300億円規模)等の施策を加速
■成長戦略・トピック
1. 中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)で経常利益300億円を目指す
東邦ガス<9533>は、2026年3月期を初年度、2028年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を遂行している。グループビジョンでは、「地域におけるゆるぎないエネルギー事業者」として多様なエネルギーの提供者であることとともに、「エネルギーの枠を超えた、くらし・ビジネスのパートナー」とうたっており、課題解決型ビジネスの深耕と、他分野との連携による事業領域の拡大を目指す。基本戦略としては、経営資源配分の見直しを加速し、事業構造の変革を推進する。コア事業の収益力を強化しつつ、そこで得たキャッシュを戦略事業に積極投資し成長する計画である。
新中期経営計画の利益目標は、連結経常利益で300億円(2028年3月期)である。足元の経常利益の実力値を250億円と想定し、そこから50億円伸ばす計画である。中期経営計画期間においては様々な費用の上昇(物価、賃金、利払い等)が想定されるなか、コア事業の効率化、収益力強化を継続しつつ、戦略事業(電気、海外、地域を基点とした課題解決型ビジネス)の成長による収益向上を目指す。
2. コア事業及び戦略事業における進捗状況
同社のコア事業は、都市ガス事業及びLPG事業であり、安定的なキャッシュフローの創出を目指し、サプライチェーンの各段階での取り組みを推進する。2026年3月期中間期は、都市ガス・LPGともに顧客数が増加し、順調に顧客基盤が拡大した。また、先行投資としてスマートメーターの設置に注力しており、短期的にはコスト増となるものの、中期的には検針の効率化などによるメリットが大きい。
戦略事業として、電気事業、海外事業、地域を基点とした課題解決型ビジネス群を挙げている。特にガス事業で培った強み(基盤・技術・知見)を存分に生かせる電気事業、海外事業は次世代の利益成長の原動力として有力である。電気事業は既に売上規模で1,000億円に達しており、2025年3月期に黒字化も達成し好調に推移している。中期経営計画期間には、競争力のある電源の構築、再エネ開発の推進、営業ソリューション多様化などに取り組む。自前の大規模電源の開発に関しては、2029年稼働に向けて準備が進んでいる。海外事業では、これまでに天然ガスや再エネの普及拡大を通じて、各地域の低・脱炭素化に貢献しており、2026年3月期は東南アジアを中心とした投資を進めている。
地域を基点とした課題解決型ビジネス群は、同社のセグメントでは、主に「その他」に分類される。くらし・行政サポート、エンジニアリング、まちづくり・不動産開発、情報サービス、アグリ・フードの5分野において、エネルギー事業での強みを生かして、地域のくらしやビジネス、自治体等とのWin-Winの関係・共生につながる課題解決型ビジネスの深耕を図る。実績の一例としては、アグリ・フードにおけるサーモンの陸上養殖やシャインマスカット育成・販売などが挙げられる。
3. 中期的に自己資本4,000億円を目安に、自己株式取得(年間300億円規模)等の施策を加速
同社は2024年4月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、PBR(株価純資産倍率)の向上のために、資産効率の向上や適切な資本構成を目指している。資産効率の向上においては、各事業の収益性を高めるほか、政策保有株式の売却スピードを加速する。具体的には、保有意義の薄れたものを中心に、当面は2024年3月末の残高に対し、評価額ベースで約1/3程度の売却を進める。適切な資本構成としては、自己資本の目安とする水準を4,000億円とし、2028年3月期末に達成を目指している。直近の自己資本は、2025年3月期末で4,483億円、2025年9月末で4,567億円と4,500億円前後で推移している。中期的に約500億円の低下を計画しているが、そのドライバーとなるのが、自己株式の取得である。2025年3月期には300億円の自己株式を取得した実績があり、2026年3月期も同額を計画する(上期150億円取得済)。2026年3月期中間期で言えば、配当総額39億円に対して、150億円の自己株式取得が行われており、その規模の大きさがわかる。高水準の自己株式の取得が中期的に続くと予想されるため、株主にとっては充実した株主還元が期待できる。
■株主還元策
2026年3月期は前期比10円増の年90円の配当を予想
同社は、経営基盤の強化と安定配当を利益配分に関する基本方針としている。中期経営計画の計画期間(2026年3月期~2028年3月期)においては、利益成長とともに累進的な増配を計画している。また、自己株式の取得を進め、2028年3月期末の自己資本4,000億円を目安に最適化を図る(2026年3月期中間期末の自己資本は4,567億円)。2026年3月期は、配当金90円(前期比10円増配、中間45円済、期末45円予想)、配当性向31.4%を予想する。2026年3月期も上期150億円(取得済)、下期150億円(2025年9月公表)の自己株式の取得が進行しており、総還元性向は100%超に高まる想定となっている。
同社の株主優待は、3月末に6ヶ月以上継続して100株以上保有している株主に対して、保有株式数・保有期間に応じて「株主優待ポイント」を進呈する制度である。株主優待ポイントを利用して、同社とつながりのある地域の名産品との交換や、同社のガス・電気料金の支払いに充当できる。2年連続で株主優待制度を拡充しており、2025年3月期に関しては、進呈される株主優待ポイントが3,000~6,000ポイント増加された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)で経常利益300億円を目指す
東邦ガス<9533>は、2026年3月期を初年度、2028年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を遂行している。グループビジョンでは、「地域におけるゆるぎないエネルギー事業者」として多様なエネルギーの提供者であることとともに、「エネルギーの枠を超えた、くらし・ビジネスのパートナー」とうたっており、課題解決型ビジネスの深耕と、他分野との連携による事業領域の拡大を目指す。基本戦略としては、経営資源配分の見直しを加速し、事業構造の変革を推進する。コア事業の収益力を強化しつつ、そこで得たキャッシュを戦略事業に積極投資し成長する計画である。
新中期経営計画の利益目標は、連結経常利益で300億円(2028年3月期)である。足元の経常利益の実力値を250億円と想定し、そこから50億円伸ばす計画である。中期経営計画期間においては様々な費用の上昇(物価、賃金、利払い等)が想定されるなか、コア事業の効率化、収益力強化を継続しつつ、戦略事業(電気、海外、地域を基点とした課題解決型ビジネス)の成長による収益向上を目指す。
2. コア事業及び戦略事業における進捗状況
同社のコア事業は、都市ガス事業及びLPG事業であり、安定的なキャッシュフローの創出を目指し、サプライチェーンの各段階での取り組みを推進する。2026年3月期中間期は、都市ガス・LPGともに顧客数が増加し、順調に顧客基盤が拡大した。また、先行投資としてスマートメーターの設置に注力しており、短期的にはコスト増となるものの、中期的には検針の効率化などによるメリットが大きい。
戦略事業として、電気事業、海外事業、地域を基点とした課題解決型ビジネス群を挙げている。特にガス事業で培った強み(基盤・技術・知見)を存分に生かせる電気事業、海外事業は次世代の利益成長の原動力として有力である。電気事業は既に売上規模で1,000億円に達しており、2025年3月期に黒字化も達成し好調に推移している。中期経営計画期間には、競争力のある電源の構築、再エネ開発の推進、営業ソリューション多様化などに取り組む。自前の大規模電源の開発に関しては、2029年稼働に向けて準備が進んでいる。海外事業では、これまでに天然ガスや再エネの普及拡大を通じて、各地域の低・脱炭素化に貢献しており、2026年3月期は東南アジアを中心とした投資を進めている。
地域を基点とした課題解決型ビジネス群は、同社のセグメントでは、主に「その他」に分類される。くらし・行政サポート、エンジニアリング、まちづくり・不動産開発、情報サービス、アグリ・フードの5分野において、エネルギー事業での強みを生かして、地域のくらしやビジネス、自治体等とのWin-Winの関係・共生につながる課題解決型ビジネスの深耕を図る。実績の一例としては、アグリ・フードにおけるサーモンの陸上養殖やシャインマスカット育成・販売などが挙げられる。
3. 中期的に自己資本4,000億円を目安に、自己株式取得(年間300億円規模)等の施策を加速
同社は2024年4月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、PBR(株価純資産倍率)の向上のために、資産効率の向上や適切な資本構成を目指している。資産効率の向上においては、各事業の収益性を高めるほか、政策保有株式の売却スピードを加速する。具体的には、保有意義の薄れたものを中心に、当面は2024年3月末の残高に対し、評価額ベースで約1/3程度の売却を進める。適切な資本構成としては、自己資本の目安とする水準を4,000億円とし、2028年3月期末に達成を目指している。直近の自己資本は、2025年3月期末で4,483億円、2025年9月末で4,567億円と4,500億円前後で推移している。中期的に約500億円の低下を計画しているが、そのドライバーとなるのが、自己株式の取得である。2025年3月期には300億円の自己株式を取得した実績があり、2026年3月期も同額を計画する(上期150億円取得済)。2026年3月期中間期で言えば、配当総額39億円に対して、150億円の自己株式取得が行われており、その規模の大きさがわかる。高水準の自己株式の取得が中期的に続くと予想されるため、株主にとっては充実した株主還元が期待できる。
■株主還元策
2026年3月期は前期比10円増の年90円の配当を予想
同社は、経営基盤の強化と安定配当を利益配分に関する基本方針としている。中期経営計画の計画期間(2026年3月期~2028年3月期)においては、利益成長とともに累進的な増配を計画している。また、自己株式の取得を進め、2028年3月期末の自己資本4,000億円を目安に最適化を図る(2026年3月期中間期末の自己資本は4,567億円)。2026年3月期は、配当金90円(前期比10円増配、中間45円済、期末45円予想)、配当性向31.4%を予想する。2026年3月期も上期150億円(取得済)、下期150億円(2025年9月公表)の自己株式の取得が進行しており、総還元性向は100%超に高まる想定となっている。
同社の株主優待は、3月末に6ヶ月以上継続して100株以上保有している株主に対して、保有株式数・保有期間に応じて「株主優待ポイント」を進呈する制度である。株主優待ポイントを利用して、同社とつながりのある地域の名産品との交換や、同社のガス・電気料金の支払いに充当できる。2年連続で株主優待制度を拡充しており、2025年3月期に関しては、進呈される株主優待ポイントが3,000~6,000ポイント増加された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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