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東邦ガス Research Memo(1):2026年3月期中間期は増収増益。エネルギー各事業で顧客数増加
配信日時:2025/12/09 12:31
配信元:FISCO
*12:31JST 東邦ガス Research Memo(1):2026年3月期中間期は増収増益。エネルギー各事業で顧客数増加
■要約
東邦ガス<9533>は、愛知県、岐阜県、三重県を地盤に、都市ガスからLPG、電気、周辺事業を展開する総合エネルギープロバイダーである。基本理念は「東邦ガスは、グループ各社とともに、人々との信頼のきずなを大切にし、うるおいと感動のあるくらしの創造と魅力にあふれ、いきいきとした社会の実現に寄与します。」であり、地域社会への貢献を実践している。2022年に100周年を迎えた歴史ある企業であり、時代とともにエネルギーの原料転換(石炭→石油→天然ガス)を経験し、脱皮を繰り返してきた。都市ガス事業においては、東京ガス<9531>、大阪ガス<9532>とともに業界トップ3社の1社であり、ものづくり産業が盛んな東海3県において、業務用の販売量が多いのが同社の特徴である。子会社32社及び関連会社40社、従業員数6,074名を擁し(2025年3月期末時点)、都市ガス、LPG、電気のトータルで地域の顧客約310万件(2025年9月末)にエネルギーを提供している。
1. 業績動向
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比4.7%増の307,161百万円、営業利益が同24.7%増の23,817百万円、経常利益が同17.1%増の26,734百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同12.5%増の20,236百万円となり、増収増益となった。売上高に関しては、主力のガス事業で前年同期比4.9%増の200,925百万円と堅調に推移した。LPG・その他エネルギー事業の売上高は、同2.4%減の43,168百万円となった。電気事業の売上高は、同8.5%増の50,211百万円と順調に増加した。都市ガス、LPG、電気の顧客数は順調に増加した。その他事業の売上高は、同9.2%増の26,915百万円と伸長した。利益に関しては、ガス事業でのスライドタイムラグ(原材料費と売上高の期ずれ差益、前年同期比で約50億円増)など原料関連の市況変動等の影響(原油価格、為替レートの影響含む)が前年同期比約35億円増となったことが、営業増益の主な要因である。
2026年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比4.0%減の630,000百万円、営業利益が同12.6%減の27,000百万円、経常利益が同1.8%増の33,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.1%増の27,000百万円と、減収及び経常増益を予想しており、中間期の好業績を反映して売上高・各利益ともに上方修正した。売上高に関しては、原材料費の低下に伴う都市ガス販売価格の低下などが予想されるため、前期比260億円の減収を見込む。各事業の顧客数は、都市ガスで前期末比7千件増の1,757千件、LPGで同2千件増の648千件、電気で同35千件増の727千件と順調に増加する見込みである。営業利益に関しては、ガス事業において、スライドタイムラグの影響(前期比で40億円増)、経費等の影響(同30億円増)などプラス要因があるものの、原材料在庫の受払差(同15億円減)、その他の原料関連の市況変動等のマイナスの影響が上回り、合計で前期比45億円の減益要因となる。2026年3月期の原油価格は前期比10.6ドル安の71.8ドル、為替レートは、同2.1円高の150.5円を予想している。経常利益に関しては、営業外収支が改善するため、前期比587百万円増(1.8%増)を見込む。同社の計画精度が高いこと、足元のエネルギー価格、気温の長期予想の動向が予想の範囲内で推移していることなどから、2026年3月期の業績予想は十分達成可能であると考えている。
2. 成長戦略
同社は2024年4月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、PBR(株価純資産倍率)の向上のために、資産効率の向上や適切な資本構成を目指している。資産効率の向上においては、各事業の収益性を高めるほか、政策保有株式の売却スピードを加速する。具体的には、保有意義の薄れたものを中心に、当面は2024年3月末の残高に対し、評価額ベースで約1/3程度の売却を進める。適切な資本構成としては、自己資本の目安とする水準を4,000億円とし、2028年3月期末に達成を目指している。直近の自己資本は、2025年3月期末で4,483億円、2025年9月末で4,567億円と4,500億円前後で推移している。中期的に約500億円の低下を計画しているが、そのドライバーとなるのが、自己株式の取得である。2025年3月期には300億円の自己株式を取得した実績があり、2026年3月期も同額を計画する(上期150億円取得済)。2026年3月期中間期で言えば、配当総額39億円に対して、150億円の自己株式取得が行われており、その規模の大きさがわかる。自己株式の取得が中期的に続くと予想されるため、株主にとっては充実した株主還元が期待できる。
3. 株主還元策
同社は、経営基盤の強化と安定配当を利益配分に関する基本方針としている。中期経営計画の計画期間(2026年3月期〜2028年3月期)においては、利益成長とともに累進的な増配を計画している。また、自己株式の取得を進め、2028年3月期末の自己資本4,000億円を目安に最適化を図る(2026年3月期中間期末の自己資本は4,567億円)。2026年3月期は、配当金90円(前期比10円増配、中間45円済、期末45円予想)、配当性向31.4%を予想する。2026年3月期も上期150億円(取得済)、下期150億円(2025年9月公表)の自己株式の取得が進行しており、総還元性向は100%超に高まる想定となっている。同社の株主優待は、3月末に6ヶ月以上継続して100株以上保有している株主に対して、保有株式数・保有期間に応じて「株主優待ポイント」を進呈する制度である。株主優待ポイントを利用して、同社とつながりのある地域の名産品との交換や、同社のガス・電気料金の支払いに充当できる。2年連続で株主優待制度を拡充しており、2025年3月期に関しては、進呈される株主優待ポイントが3,000〜6,000ポイント増加された。
■Key Points
・東海3県を地盤に、都市ガス、LPG、電気、周辺事業を展開する総合エネルギープロバイダー。大黒柱のガス事業とLPG関連事業が中核。強みはソリューション提案力
・2026年3月期中間期は増収・経常増益。主力の都市ガス事業で原料市況変動等のプラス影響が主要因。エネルギー各事業で顧客数増加
・2026年3月期の配当金は前期比10円増の年90円(中間45円済、期末45円予想)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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東邦ガス<9533>は、愛知県、岐阜県、三重県を地盤に、都市ガスからLPG、電気、周辺事業を展開する総合エネルギープロバイダーである。基本理念は「東邦ガスは、グループ各社とともに、人々との信頼のきずなを大切にし、うるおいと感動のあるくらしの創造と魅力にあふれ、いきいきとした社会の実現に寄与します。」であり、地域社会への貢献を実践している。2022年に100周年を迎えた歴史ある企業であり、時代とともにエネルギーの原料転換(石炭→石油→天然ガス)を経験し、脱皮を繰り返してきた。都市ガス事業においては、東京ガス<9531>、大阪ガス<9532>とともに業界トップ3社の1社であり、ものづくり産業が盛んな東海3県において、業務用の販売量が多いのが同社の特徴である。子会社32社及び関連会社40社、従業員数6,074名を擁し(2025年3月期末時点)、都市ガス、LPG、電気のトータルで地域の顧客約310万件(2025年9月末)にエネルギーを提供している。
1. 業績動向
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比4.7%増の307,161百万円、営業利益が同24.7%増の23,817百万円、経常利益が同17.1%増の26,734百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同12.5%増の20,236百万円となり、増収増益となった。売上高に関しては、主力のガス事業で前年同期比4.9%増の200,925百万円と堅調に推移した。LPG・その他エネルギー事業の売上高は、同2.4%減の43,168百万円となった。電気事業の売上高は、同8.5%増の50,211百万円と順調に増加した。都市ガス、LPG、電気の顧客数は順調に増加した。その他事業の売上高は、同9.2%増の26,915百万円と伸長した。利益に関しては、ガス事業でのスライドタイムラグ(原材料費と売上高の期ずれ差益、前年同期比で約50億円増)など原料関連の市況変動等の影響(原油価格、為替レートの影響含む)が前年同期比約35億円増となったことが、営業増益の主な要因である。
2026年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比4.0%減の630,000百万円、営業利益が同12.6%減の27,000百万円、経常利益が同1.8%増の33,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.1%増の27,000百万円と、減収及び経常増益を予想しており、中間期の好業績を反映して売上高・各利益ともに上方修正した。売上高に関しては、原材料費の低下に伴う都市ガス販売価格の低下などが予想されるため、前期比260億円の減収を見込む。各事業の顧客数は、都市ガスで前期末比7千件増の1,757千件、LPGで同2千件増の648千件、電気で同35千件増の727千件と順調に増加する見込みである。営業利益に関しては、ガス事業において、スライドタイムラグの影響(前期比で40億円増)、経費等の影響(同30億円増)などプラス要因があるものの、原材料在庫の受払差(同15億円減)、その他の原料関連の市況変動等のマイナスの影響が上回り、合計で前期比45億円の減益要因となる。2026年3月期の原油価格は前期比10.6ドル安の71.8ドル、為替レートは、同2.1円高の150.5円を予想している。経常利益に関しては、営業外収支が改善するため、前期比587百万円増(1.8%増)を見込む。同社の計画精度が高いこと、足元のエネルギー価格、気温の長期予想の動向が予想の範囲内で推移していることなどから、2026年3月期の業績予想は十分達成可能であると考えている。
2. 成長戦略
同社は2024年4月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、PBR(株価純資産倍率)の向上のために、資産効率の向上や適切な資本構成を目指している。資産効率の向上においては、各事業の収益性を高めるほか、政策保有株式の売却スピードを加速する。具体的には、保有意義の薄れたものを中心に、当面は2024年3月末の残高に対し、評価額ベースで約1/3程度の売却を進める。適切な資本構成としては、自己資本の目安とする水準を4,000億円とし、2028年3月期末に達成を目指している。直近の自己資本は、2025年3月期末で4,483億円、2025年9月末で4,567億円と4,500億円前後で推移している。中期的に約500億円の低下を計画しているが、そのドライバーとなるのが、自己株式の取得である。2025年3月期には300億円の自己株式を取得した実績があり、2026年3月期も同額を計画する(上期150億円取得済)。2026年3月期中間期で言えば、配当総額39億円に対して、150億円の自己株式取得が行われており、その規模の大きさがわかる。自己株式の取得が中期的に続くと予想されるため、株主にとっては充実した株主還元が期待できる。
3. 株主還元策
同社は、経営基盤の強化と安定配当を利益配分に関する基本方針としている。中期経営計画の計画期間(2026年3月期〜2028年3月期)においては、利益成長とともに累進的な増配を計画している。また、自己株式の取得を進め、2028年3月期末の自己資本4,000億円を目安に最適化を図る(2026年3月期中間期末の自己資本は4,567億円)。2026年3月期は、配当金90円(前期比10円増配、中間45円済、期末45円予想)、配当性向31.4%を予想する。2026年3月期も上期150億円(取得済)、下期150億円(2025年9月公表)の自己株式の取得が進行しており、総還元性向は100%超に高まる想定となっている。同社の株主優待は、3月末に6ヶ月以上継続して100株以上保有している株主に対して、保有株式数・保有期間に応じて「株主優待ポイント」を進呈する制度である。株主優待ポイントを利用して、同社とつながりのある地域の名産品との交換や、同社のガス・電気料金の支払いに充当できる。2年連続で株主優待制度を拡充しており、2025年3月期に関しては、進呈される株主優待ポイントが3,000〜6,000ポイント増加された。
■Key Points
・東海3県を地盤に、都市ガス、LPG、電気、周辺事業を展開する総合エネルギープロバイダー。大黒柱のガス事業とLPG関連事業が中核。強みはソリューション提案力
・2026年3月期中間期は増収・経常増益。主力の都市ガス事業で原料市況変動等のプラス影響が主要因。エネルギー各事業で顧客数増加
・2026年3月期の配当金は前期比10円増の年90円(中間45円済、期末45円予想)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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