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酒井重 Research Memo(5):重要戦略として「事業の成長戦略」「効率的な資本戦略」を掲げる
配信日時:2025/12/09 11:35
配信元:FISCO
*11:35JST 酒井重 Research Memo(5):重要戦略として「事業の成長戦略」「効率的な資本戦略」を掲げる
■中期の成長戦略
酒井重工業<6358>は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進している。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8.0%を掲げていたが、売上高・営業利益ともに既に2024年3月期に目標を上回った。しかしその後、2025年3月期に減収減益となり、2026年3月期も減収減益予想であることから、現時点でこれらの数値目標は据え置いている。一方で、以下の戦略は粛々と進めている。
1. 事業戦略
(1) 国内市場:安定化及び次世代事業開発による付加価値創造
ロードローラの国内市場は既に成熟期にあることに加えて同社のシェアも高いことから、既存製品に新たな付加価値(高機能等)を付けること、つまり次世代事業開発による成長を目指す。
(2) 海外市場:シェア拡大と事業領域の拡大
海外市場においては、需要が拡大している地域(国)が多いこと、また同社のシェアも低いことから成長の余地は大きい。このため、既存市場の深耕と事業領域の拡大の2つの戦略により成長を目指す。
2. 資本戦略
資本政策の基本方針はROE8.0%を目標としている。そのために、株主還元の実施による株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。
一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、事業利益向上のために既述の事業戦略を推進しているが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3~6%の場合はDOE3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行している。
自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式取得の実施を検討するとしている(2022年3月期に340百万円実施)。また、投資有価証券についても、事業戦略の観点から見直しを進める方針。なお、成長投資については投下資本利益率(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。
3. 新中期経営計画の策定
既述のとおり、現在の中期経営計画の目標値は既に2024年3月期に達成したが、最終年度である2026年3月期はこれを下回る見込みである。同社は現在、2027年3月期以降に向けた新しい中期経営計画を策定中であり、どのような内容になるのか注目したい。
4. ESGに関する取り組み
同社は、ESGに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足元では、以下の施策を進めている。
(1) 建設機械のCO2排出量削減
千葉県の圏央道工事案件において、電動コンバインドローラと電動ハンドガイドローラの初の有償貸出が決定。電動ローラの事業化を促進するため、国土交通省に「GX建機」(環境省補助金対象)認定取得に向け対応中。新技術によるカーボンニュートラルへの取り組みと付加価値提供の両立を目指している。
(2) アフリカの道路インフラ整備への貢献と海外事業領域の拡大
2025年8月に横浜で開催された第9回アフリカ会議(TICAD9)に参加、同社は、2016年にケニアで開催されたTICAD6以降、すべての会議に継続して参加している。同社の道路補修技術であるCAE工法を活用し、アフリカ諸国の交通インフラ整備に貢献するとともに、同工法に使用される道路維持機械スタビライザの販売拡大を目指している。
(3) 人的資本強化の取り組み
道路機械分野に知見を持つ経験豊富な人材こそが同社の最大の強みであり、100年を超える歴史の中で磨き続けてきた同社技術の伝承に不可欠な存在である。同社では、技術を未来へ伝承するために、雇用の安定化と現場技能者の増強に向け、人的資本強化の取り組みを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
酒井重工業<6358>は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進している。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8.0%を掲げていたが、売上高・営業利益ともに既に2024年3月期に目標を上回った。しかしその後、2025年3月期に減収減益となり、2026年3月期も減収減益予想であることから、現時点でこれらの数値目標は据え置いている。一方で、以下の戦略は粛々と進めている。
1. 事業戦略
(1) 国内市場:安定化及び次世代事業開発による付加価値創造
ロードローラの国内市場は既に成熟期にあることに加えて同社のシェアも高いことから、既存製品に新たな付加価値(高機能等)を付けること、つまり次世代事業開発による成長を目指す。
(2) 海外市場:シェア拡大と事業領域の拡大
海外市場においては、需要が拡大している地域(国)が多いこと、また同社のシェアも低いことから成長の余地は大きい。このため、既存市場の深耕と事業領域の拡大の2つの戦略により成長を目指す。
2. 資本戦略
資本政策の基本方針はROE8.0%を目標としている。そのために、株主還元の実施による株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。
一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、事業利益向上のために既述の事業戦略を推進しているが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3~6%の場合はDOE3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行している。
自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式取得の実施を検討するとしている(2022年3月期に340百万円実施)。また、投資有価証券についても、事業戦略の観点から見直しを進める方針。なお、成長投資については投下資本利益率(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。
3. 新中期経営計画の策定
既述のとおり、現在の中期経営計画の目標値は既に2024年3月期に達成したが、最終年度である2026年3月期はこれを下回る見込みである。同社は現在、2027年3月期以降に向けた新しい中期経営計画を策定中であり、どのような内容になるのか注目したい。
4. ESGに関する取り組み
同社は、ESGに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足元では、以下の施策を進めている。
(1) 建設機械のCO2排出量削減
千葉県の圏央道工事案件において、電動コンバインドローラと電動ハンドガイドローラの初の有償貸出が決定。電動ローラの事業化を促進するため、国土交通省に「GX建機」(環境省補助金対象)認定取得に向け対応中。新技術によるカーボンニュートラルへの取り組みと付加価値提供の両立を目指している。
(2) アフリカの道路インフラ整備への貢献と海外事業領域の拡大
2025年8月に横浜で開催された第9回アフリカ会議(TICAD9)に参加、同社は、2016年にケニアで開催されたTICAD6以降、すべての会議に継続して参加している。同社の道路補修技術であるCAE工法を活用し、アフリカ諸国の交通インフラ整備に貢献するとともに、同工法に使用される道路維持機械スタビライザの販売拡大を目指している。
(3) 人的資本強化の取り組み
道路機械分野に知見を持つ経験豊富な人材こそが同社の最大の強みであり、100年を超える歴史の中で磨き続けてきた同社技術の伝承に不可欠な存在である。同社では、技術を未来へ伝承するために、雇用の安定化と現場技能者の増強に向け、人的資本強化の取り組みを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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