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オイシックス:給食事業を中核に収益構造を再構築、BtoB主導の収益拡大フェーズへ
配信日時:2025/12/09 10:43
配信元:FISCO
*10:43JST オイシックス:給食事業を中核に収益構造を再構築、BtoB主導の収益拡大フェーズへ
オイシックス・ラ・大地<3182>は、食品宅配と給食を中心としたサブスクリプション型ビジネスを展開する企業であり、BtoC・BtoB双方のストック収益を組み合わせた独自の事業モデルを持つ。連結子会社には給食大手シダックス、移動スーパーのとくし丸等を抱え、食品宅配市場約3兆円、給食市場約5兆円という大規模市場を対象に事業領域を広げている。
売上の約4割をBtoC、3割をBtoBが占める構造で、両事業とも中期的な成長余地が大きい点が特徴である。主力のOisix会員数は36.1万人と約2年ぶりに前年同期比増加へ転じ、直近では時短ニーズの強まりを背景にミールキット、とりわけ包丁・まな板を使わずに仕上げることができる「超ラクKit」や電子レンジ中心の「デリOisix」が好調だ。シダックスの完全子会社化により、給食事業の収益貢献度が高まることも注目したい。
2026年3月期第2四半期の売上高は1,318億円(前年同期比4.9%増)、営業利益は30億円(同8.6%減)と増収減益だったものの、減益の主因はマーケティング費用の積極投下によるものであり、需要環境は好調だ。
BtoCでは、会員獲得の効率性が改善しており、CAC(顧客獲得コスト)は想定より低水準に抑制され、新規顧客の質も維持できた。会員数を(解約考慮後)1万人伸ばすには約20億円の投資が必要になるとされており、今後は「利益率を重視するか、会員数拡大に振るか」を下期の状況を見て判断していく方針だ。平均注文単価は底堅く、物価高にもかかわらず高付加価値食品の需要が維持されている。10月から開始した超ラクKitは開始直後に利用率30~40%を記録し、既存顧客の満足度向上に寄与している。一方、新規顧客への浸透が次の課題であり、同社のブランド力と開発力を生かした追加施策が見込まれる。カテゴリー別では、ミールキットが堅調で、青果・日配品は天候や価格変動の影響を受けやすい。一方で、レンチンするだけの商品など調理負荷を軽減するカテゴリーの成長速度が増している点は構造的な追い風といえる。
BtoBは中期成長の最重要領域であり、給食事業の利益率改善が進んでいる。シダックスでは価格適正化、食材管理・シフト管理などの標準化を進める取り組み「ちゃんと化」により、利益改善が実現している。2030年にかけて利益率を現状の3.2%(25/3期実績)から5%へ、将来的には10%を目標に引き上げる計画だ。法人向けミールキットの導入、省人化、労務費削減などの施策がカギとなる。さらに、人手不足の深刻化という社会的背景から、同社の省人化モデルは競争優位を発揮しやすい。給食市場は業界再編が進む局面にあり、同社はロールアップM&A戦略を加速させる方針。車両売却で資本が増加し、自己資本比率は30%程度となる見込みで、今後の大型M&A余力が増した点は大きな前進といえる。
2026年3月期通期は、売上高2,550億円(前年0.4%減)、営業利益73億円(同6.3%増)を見込む。減収は車両売却に伴う一過性要因であり、営業利益はシダックス完全子会社化と価格適正化の効果で増益を確保する見通し。親会社純利益は子会社再編の一時的影響及びシダックスの高い実効税率が影響し前期比で減少したが、10月以降はシダックスの持分が66%から100%になり実効税率も改善する見込みで、EBITDA・営業利益寄与が増加する見通し。市場環境として、食品宅配市場は年率3%成長、EC比率は約4%とまだ低いため、同社には十分な伸びしろがある。給食市場は約5兆円と規模が大きく、地域・領域ごとの差別化も可能で、M&Aによる成長の余地が大きい。
2030年に向けた中長期目標では、売上高3,000億円、Oisix会員数60.0万人、BtoB契約施設3,000施設を掲げる。達成に向けて過去5年間は、海老名冷蔵ステーションや厚木冷凍ステーションをはじめとした大型設備投資に加え、シダックスを含めた複数のM&Aを実施してきた。今後5年間は、BtoB(給食)領域のM&Aを中心とする規模拡大を進めると同時に、BtoCの超ラクKitやデリOisixなどの進化を継続する。
株主還元は安定配当を維持し、配当性向15%を目安に総還元性向は15〜30%を想定する。流動性への配慮から自己株取得より配当を優先する考えだ。また、投資家層拡大に向けて海外IRを強化し、海外機関投資家比率の上昇を目指す。既に、大株主の上位には海外投資家が多く含まれている。財務健全性が高まりつつある中、今後のM&Aと利益成長が株主還元余力をさらに引き上げる可能性もあろう。
同社は、BtoC事業の再成長とBtoB事業の収益改善が同時に進展する局面に入りつつあり、2026年以降は利益成長軌道への回帰が期待される。食品宅配領域における高付加価値ブランドとしての強み、給食事業で進む標準化・省人化モデル、さらに大型M&Aに踏み切れる財務余力の拡大は、中長期的な競争力を支える主要なドライバーとなる。サブスクリプション基盤を持ちながら給食市場に対して拡大余地を残す企業として、同社の中長期的な成長には引き続き注目したい。
<NH>
売上の約4割をBtoC、3割をBtoBが占める構造で、両事業とも中期的な成長余地が大きい点が特徴である。主力のOisix会員数は36.1万人と約2年ぶりに前年同期比増加へ転じ、直近では時短ニーズの強まりを背景にミールキット、とりわけ包丁・まな板を使わずに仕上げることができる「超ラクKit」や電子レンジ中心の「デリOisix」が好調だ。シダックスの完全子会社化により、給食事業の収益貢献度が高まることも注目したい。
2026年3月期第2四半期の売上高は1,318億円(前年同期比4.9%増)、営業利益は30億円(同8.6%減)と増収減益だったものの、減益の主因はマーケティング費用の積極投下によるものであり、需要環境は好調だ。
BtoCでは、会員獲得の効率性が改善しており、CAC(顧客獲得コスト)は想定より低水準に抑制され、新規顧客の質も維持できた。会員数を(解約考慮後)1万人伸ばすには約20億円の投資が必要になるとされており、今後は「利益率を重視するか、会員数拡大に振るか」を下期の状況を見て判断していく方針だ。平均注文単価は底堅く、物価高にもかかわらず高付加価値食品の需要が維持されている。10月から開始した超ラクKitは開始直後に利用率30~40%を記録し、既存顧客の満足度向上に寄与している。一方、新規顧客への浸透が次の課題であり、同社のブランド力と開発力を生かした追加施策が見込まれる。カテゴリー別では、ミールキットが堅調で、青果・日配品は天候や価格変動の影響を受けやすい。一方で、レンチンするだけの商品など調理負荷を軽減するカテゴリーの成長速度が増している点は構造的な追い風といえる。
BtoBは中期成長の最重要領域であり、給食事業の利益率改善が進んでいる。シダックスでは価格適正化、食材管理・シフト管理などの標準化を進める取り組み「ちゃんと化」により、利益改善が実現している。2030年にかけて利益率を現状の3.2%(25/3期実績)から5%へ、将来的には10%を目標に引き上げる計画だ。法人向けミールキットの導入、省人化、労務費削減などの施策がカギとなる。さらに、人手不足の深刻化という社会的背景から、同社の省人化モデルは競争優位を発揮しやすい。給食市場は業界再編が進む局面にあり、同社はロールアップM&A戦略を加速させる方針。車両売却で資本が増加し、自己資本比率は30%程度となる見込みで、今後の大型M&A余力が増した点は大きな前進といえる。
2026年3月期通期は、売上高2,550億円(前年0.4%減)、営業利益73億円(同6.3%増)を見込む。減収は車両売却に伴う一過性要因であり、営業利益はシダックス完全子会社化と価格適正化の効果で増益を確保する見通し。親会社純利益は子会社再編の一時的影響及びシダックスの高い実効税率が影響し前期比で減少したが、10月以降はシダックスの持分が66%から100%になり実効税率も改善する見込みで、EBITDA・営業利益寄与が増加する見通し。市場環境として、食品宅配市場は年率3%成長、EC比率は約4%とまだ低いため、同社には十分な伸びしろがある。給食市場は約5兆円と規模が大きく、地域・領域ごとの差別化も可能で、M&Aによる成長の余地が大きい。
2030年に向けた中長期目標では、売上高3,000億円、Oisix会員数60.0万人、BtoB契約施設3,000施設を掲げる。達成に向けて過去5年間は、海老名冷蔵ステーションや厚木冷凍ステーションをはじめとした大型設備投資に加え、シダックスを含めた複数のM&Aを実施してきた。今後5年間は、BtoB(給食)領域のM&Aを中心とする規模拡大を進めると同時に、BtoCの超ラクKitやデリOisixなどの進化を継続する。
株主還元は安定配当を維持し、配当性向15%を目安に総還元性向は15〜30%を想定する。流動性への配慮から自己株取得より配当を優先する考えだ。また、投資家層拡大に向けて海外IRを強化し、海外機関投資家比率の上昇を目指す。既に、大株主の上位には海外投資家が多く含まれている。財務健全性が高まりつつある中、今後のM&Aと利益成長が株主還元余力をさらに引き上げる可能性もあろう。
同社は、BtoC事業の再成長とBtoB事業の収益改善が同時に進展する局面に入りつつあり、2026年以降は利益成長軌道への回帰が期待される。食品宅配領域における高付加価値ブランドとしての強み、給食事業で進む標準化・省人化モデル、さらに大型M&Aに踏み切れる財務余力の拡大は、中長期的な競争力を支える主要なドライバーとなる。サブスクリプション基盤を持ちながら給食市場に対して拡大余地を残す企業として、同社の中長期的な成長には引き続き注目したい。
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