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シュッピン Research Memo(2):プラットフォーム型の事業モデルに強み
配信日時:2025/12/08 11:32
配信元:FISCO
*11:32JST シュッピン Research Memo(2):プラットフォーム型の事業モデルに強み
■企業特長
1. 成長モデル
シュッピン<3179>の売上高は、Web会員数の拡大とともに成長してきた。効果的なECマーケティングを通じて新規顧客を会員として囲い込み、継続購入を促すことで売上高の伸びにつながるストック型ビジネスと言える。したがって新規会員獲得数や総会員数に加え、Web購入会員数及びアクティブ率※が重要なKPIとなっている。現在のWeb会員数(累計)は75.6万人に上るが、今後も独自の事業モデルを通じて若年層や女性会員の増強、関東圏以外でのシェア拡大など、新規会員獲得(及び会員数拡大)の余地は大きい。アクティブ率の維持・向上によるWeb購入会員数の拡大についても、業績の底上げやコスト面でのメリットが期待できる。さらに、商品(中古品在庫)の積み上げも将来の売上増につながる重要なKPIである。類似業種(リユース、リサイクルなど)は多額の広告宣伝費を使って幅広く中古品を集めているが、同社は1) 独自のEC買取の仕組み、2) 専門店としてのブランド力や目利き、3) AIの活用などにより同社のコアバリュー「価値ある財庫」を集めることにより、新規会員獲得や継続購入に結び付けてきた。商品在庫の充実が広告宣伝効果につながるという好循環も作用している。
※ 同社では、各四半期開始時のWeb会員数に対するその四半期の自社サイトでの購入会員数(Web会員のモール購入数は除く)をアクティブ率と定義している。
2. 同社の特長(強み)
(1) 独自のEC特化型モデル
同社は、創業以来「価値あるもの」に限定したEC特化型モデルにこだわり続けている。高付加価値商材に対する専門性とECによる利便性を追求することで、独自のポジションを確立した。固定費を抱えないことで景気変動に柔軟に対応できるうえ、規模拡大に向けてボトルネックが少ないこと、売上高の伸びとともに高い収益性が実現できるというメリットを享受している。また同業他社が他社モールへの依存度が高い傾向にあるなか、同社は独自サービスの提供により自社サイト比率を87.6%(2025年9月末)まで高めてきた点も強みである。これにより、手数料負担の軽減やプラットフォーム型の事業モデルの構築が可能となった。一方、店舗は、近年はインバウンド需要(免税売上)などの追い風を受け、一定の業績貢献や情報発信基地としての役割を担っている。同社は、今後もEC(特にプラットフォームとしての自社サイト)を軸とした事業を展開する方針である。
(2) 新品と中古品による相乗効果
同社は、売上高全体に占める「新品」「中古品」の比率はおおむね1:1で推移しており、それぞれに重要な役割があり、相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びに貢献していると認識している。「中古品」は一品ものが多く、利益率が高い傾向にある一方、「新品」は競争が厳しい。同社が「新品」を取り扱うことの重要性は、業績への貢献に加えて、新規会員の獲得(新たな顧客の囲い込み)や「中古品」を下取りする機会の創出にある。特に新製品の発売時は業績インパクトが大きく、新規会員獲得の好機となっている。したがって、「中古品」の販売拡大において「新品」の取り扱いが触媒として機能する一方で、「新品」の販売においても「中古品」の下取り(納得のいく買取金額の提示)により差別化を図ることで、相乗効果を生み出している。
(3) 「価値ある財庫」を集める仕組み
同社の成長は、いかに「価値ある財庫」(中古品)を集めるかにかかっている。良質な在庫を取りそろえることは、同社のブランド価値を高め、買い手を引きつけるほか、売り手の信頼にもつながり、良質な在庫を集める正の循環を生み出す。同社は、1) 細かい査定基準により商品価値に見合った納得の買取金額を提示していること、2) 新品を取り扱うことで下取りニーズに対応していること、3) ネット上で手軽に買取目安金額が検索できること、といった機能の充実を図ることで他社との差別化を実現してきた。またワンプライス買取や先取交換※1など、独自のEC買取の仕組みを導入し売り手の利便性を高めることで、EC買取額の拡大に結び付けている。AI活用にも積極的であり、AI顔認証によるオンライン本人確認※2やAIMDの導入による効率化(機会損失の削減)にも取り組んでいる。最近では、「時計事業」においてもAIやデータを活用した仕入判断、価格決定の仕組みを導入し運用を開始した。
※1 所有するカメラを下取り(交換)に出して、新たに商品を購入する際に、先に顧客が商品を受け取ることができるサービス(2014年9月より開始)。
※2 従来、本人確認には利用者の本人確認書類(住民票写しの原本)を郵送する必要があったが、利用者の顔と身分証の画像確認の一致が可能なシステムの導入により、オンライン上で本人確認が完結する(2回目以降の買取については、IDとパスワードだけで本人確認手続きが完了)。
(4) プラットフォーム型の事業モデル
「購入前→購入時→購入後」の各段階で価値ある情報を提供し、継続購入を促すプラットフォーム型の事業モデルを構築している。これは、「カメラを楽しむ情報(購入前)→購入しやすいサービス(購入時)→購入後に楽しめるサービス(購入後)」という循環を生み出し、その輪を大きくすることで会員基盤の拡大と活性化、さらに業績の伸びに結び付ける戦略である。特に購入時のサービスでは、ECサイトのパーソナライズ化(欲しいリスト、入荷お知らせメール、パーソナルレコメンドなど)により、One to Oneマーケティングを実践している。また情報の充実やファンの醸成などを目的に、CGMの活用やWebマガジン※の配信にも取り組んでおり、日本最大級のカメラ専門のポータルサイトを目指している。この数年では、AIMDやAIコンテンツレコメンドといったAI活用による独自機能の導入及びコンテンツクリエイティブ機能の充実により、独自の進化を続けている。YouTubeコンテンツやLINE配信の強化を進めており、2023年4月に専門部署を新設すると、2025年1月には自社内に3つのスタジオを新設し、EC事業販促力を強化した。LINEについては、配信強化実施後配信数を28倍に拡大させており、顧客との接点を広げブランド認知を向上するとともに、売上成長を促進している。
※ 月間100万PV以上の4つのコンテンツを集約したWebマガジン「StockShot」(ストックショット)を配信している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 成長モデル
シュッピン<3179>の売上高は、Web会員数の拡大とともに成長してきた。効果的なECマーケティングを通じて新規顧客を会員として囲い込み、継続購入を促すことで売上高の伸びにつながるストック型ビジネスと言える。したがって新規会員獲得数や総会員数に加え、Web購入会員数及びアクティブ率※が重要なKPIとなっている。現在のWeb会員数(累計)は75.6万人に上るが、今後も独自の事業モデルを通じて若年層や女性会員の増強、関東圏以外でのシェア拡大など、新規会員獲得(及び会員数拡大)の余地は大きい。アクティブ率の維持・向上によるWeb購入会員数の拡大についても、業績の底上げやコスト面でのメリットが期待できる。さらに、商品(中古品在庫)の積み上げも将来の売上増につながる重要なKPIである。類似業種(リユース、リサイクルなど)は多額の広告宣伝費を使って幅広く中古品を集めているが、同社は1) 独自のEC買取の仕組み、2) 専門店としてのブランド力や目利き、3) AIの活用などにより同社のコアバリュー「価値ある財庫」を集めることにより、新規会員獲得や継続購入に結び付けてきた。商品在庫の充実が広告宣伝効果につながるという好循環も作用している。
※ 同社では、各四半期開始時のWeb会員数に対するその四半期の自社サイトでの購入会員数(Web会員のモール購入数は除く)をアクティブ率と定義している。
2. 同社の特長(強み)
(1) 独自のEC特化型モデル
同社は、創業以来「価値あるもの」に限定したEC特化型モデルにこだわり続けている。高付加価値商材に対する専門性とECによる利便性を追求することで、独自のポジションを確立した。固定費を抱えないことで景気変動に柔軟に対応できるうえ、規模拡大に向けてボトルネックが少ないこと、売上高の伸びとともに高い収益性が実現できるというメリットを享受している。また同業他社が他社モールへの依存度が高い傾向にあるなか、同社は独自サービスの提供により自社サイト比率を87.6%(2025年9月末)まで高めてきた点も強みである。これにより、手数料負担の軽減やプラットフォーム型の事業モデルの構築が可能となった。一方、店舗は、近年はインバウンド需要(免税売上)などの追い風を受け、一定の業績貢献や情報発信基地としての役割を担っている。同社は、今後もEC(特にプラットフォームとしての自社サイト)を軸とした事業を展開する方針である。
(2) 新品と中古品による相乗効果
同社は、売上高全体に占める「新品」「中古品」の比率はおおむね1:1で推移しており、それぞれに重要な役割があり、相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びに貢献していると認識している。「中古品」は一品ものが多く、利益率が高い傾向にある一方、「新品」は競争が厳しい。同社が「新品」を取り扱うことの重要性は、業績への貢献に加えて、新規会員の獲得(新たな顧客の囲い込み)や「中古品」を下取りする機会の創出にある。特に新製品の発売時は業績インパクトが大きく、新規会員獲得の好機となっている。したがって、「中古品」の販売拡大において「新品」の取り扱いが触媒として機能する一方で、「新品」の販売においても「中古品」の下取り(納得のいく買取金額の提示)により差別化を図ることで、相乗効果を生み出している。
(3) 「価値ある財庫」を集める仕組み
同社の成長は、いかに「価値ある財庫」(中古品)を集めるかにかかっている。良質な在庫を取りそろえることは、同社のブランド価値を高め、買い手を引きつけるほか、売り手の信頼にもつながり、良質な在庫を集める正の循環を生み出す。同社は、1) 細かい査定基準により商品価値に見合った納得の買取金額を提示していること、2) 新品を取り扱うことで下取りニーズに対応していること、3) ネット上で手軽に買取目安金額が検索できること、といった機能の充実を図ることで他社との差別化を実現してきた。またワンプライス買取や先取交換※1など、独自のEC買取の仕組みを導入し売り手の利便性を高めることで、EC買取額の拡大に結び付けている。AI活用にも積極的であり、AI顔認証によるオンライン本人確認※2やAIMDの導入による効率化(機会損失の削減)にも取り組んでいる。最近では、「時計事業」においてもAIやデータを活用した仕入判断、価格決定の仕組みを導入し運用を開始した。
※1 所有するカメラを下取り(交換)に出して、新たに商品を購入する際に、先に顧客が商品を受け取ることができるサービス(2014年9月より開始)。
※2 従来、本人確認には利用者の本人確認書類(住民票写しの原本)を郵送する必要があったが、利用者の顔と身分証の画像確認の一致が可能なシステムの導入により、オンライン上で本人確認が完結する(2回目以降の買取については、IDとパスワードだけで本人確認手続きが完了)。
(4) プラットフォーム型の事業モデル
「購入前→購入時→購入後」の各段階で価値ある情報を提供し、継続購入を促すプラットフォーム型の事業モデルを構築している。これは、「カメラを楽しむ情報(購入前)→購入しやすいサービス(購入時)→購入後に楽しめるサービス(購入後)」という循環を生み出し、その輪を大きくすることで会員基盤の拡大と活性化、さらに業績の伸びに結び付ける戦略である。特に購入時のサービスでは、ECサイトのパーソナライズ化(欲しいリスト、入荷お知らせメール、パーソナルレコメンドなど)により、One to Oneマーケティングを実践している。また情報の充実やファンの醸成などを目的に、CGMの活用やWebマガジン※の配信にも取り組んでおり、日本最大級のカメラ専門のポータルサイトを目指している。この数年では、AIMDやAIコンテンツレコメンドといったAI活用による独自機能の導入及びコンテンツクリエイティブ機能の充実により、独自の進化を続けている。YouTubeコンテンツやLINE配信の強化を進めており、2023年4月に専門部署を新設すると、2025年1月には自社内に3つのスタジオを新設し、EC事業販促力を強化した。LINEについては、配信強化実施後配信数を28倍に拡大させており、顧客との接点を広げブランド認知を向上するとともに、売上成長を促進している。
※ 月間100万PV以上の4つのコンテンツを集約したWebマガジン「StockShot」(ストックショット)を配信している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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